両家で婚約を確認し合う儀式として古くから行われている結納。
どうやって行うのか、準備するべきもの、儀式の流れなどは、実は親世代もよくわからないということが多いのです。
事前の準備や当日の流れ、儀式の口上など、知っておきたい結納の基礎知識についてご紹介します。
伝統的なしきたりに則り、婚約の儀式を執り行うのが結納。一方、婚約食事会は両家が集まり、食事を楽しみながら親睦を深めるもの。どちらを行うかは親の希望を聞き、ふたりが間に立って意見を調整して決めるといいでしょう。
ちなみに、「ゼクシィ結婚トレンド調査2023(全国推計値)」では、結納を行った人は7.8%、婚約食事会のみ行った人が83.5%、どちらも行わなかった人が8.6%でした。
結納は挙式の4〜7カ月くらい前に行うのが一般的。両家の都合に合わせて日取りを決めればいいでしょう。お日柄を気にする人がいる場合は、大安や先勝、友引の午前中に行うのがお勧めです。
正式な結納は仲人を立て、仲人が両家の間を行き来して行います。しかし、近年ではそのような結納を行う人は少なくなり、仲人を立てずに、どこか1カ所に両家で集まって行う略式結納が一般的になっています。
結納の場所としてよく利用されているのは料亭で29.5%。次いでホテルが22.7%、妻の家が18.8%となっています。ホテルや専門式場などでは結納のプランを用意するところも多く、結納品や当日の衣裳などの手配を任せることができる上、当日の進行を担当してもらえる場合もあるので、忙しい人にお勧めです。
結納プランがない場合でも、予約をする際には「結納で利用します」と伝え、個室を取るようにしましょう。また、すでに結婚式の会場が決まっている場合、親に下見してもらうことも兼ねて、その会場内の料亭やレストランなどで結納をするのもいいでしょう。
なお、結納を行うエリアは両家で相談して設定しましょう。特に、両家が離れている場合は、交通費なども発生することになりますので、ふたりが間に立って両家でしっかり話し合い、調整するのがお勧めです。
結納はエリアによってしきたりが異なります。両家のエリアが異なる場合は、どちらの方法で行うのか事前に相談しましょう。
結納で用意するのは結納品、結納金、婚約記念品です。結納品は大きく関東式と関西式に分かれます。関東式はすべての品物を一つの台の上に載せる一台飾り、関西式は1品ずつ台に載せるのが一般的です。なお、結納品は百貨店や結納専門店、結納プランがある会場の場合は、結納品がプラン内にセットになっていることも。
また、家族書や親族書を用意するのか、結納金はどうするか、結納返しを行うのかなども、両家で話し合って決めましょう。家族書や親族書、結納金、結納返しは、最近では省略することも多くなっています。
さらに、当日の出席者と服装についても打ち合わせをします。結納の出席者は本人と両家の親(または親代わりの人物)が一般的。祖父・祖母やきょうだいなどは出席しませんが、もし同席するようならば事前に相手に知らせておきます。なお、出席者の人数は両家で揃える必要はありません。
服装は両家で格を揃えましょう。一般的に準礼装または略礼装で臨むことがマナーとされていますが、両家で話し合ってスマートカジュアルで揃えても問題ありません。
結納の儀式は一つ一つに意味が込められていて、それを両家で理解することにより、お互いの気持ちが伝わって絆がぐっと深まります。儀式自体は10~15分程度の短い時間なので、落ち着いた立ち居振る舞いを心掛けましょう。本来は決められた口上以外は一切口に出さないのが決まり。口上を覚えるのが大変な人は、メモを見ながら進めても大丈夫です。
儀式の進め方は地域によって異なりますが、ここでは関東式の例をご紹介します。
和室の場合は床の間やその前、床の間がない場合は毛氈(もうせん)などを敷き、その上に飾ります。洋室ならテーブルの上に。料亭やホテルなどで行う場合は、どこに飾ればいいか確認しましょう。
女性の家で結納を行う場合は、女性側が先に結納品(結納返し)を下座(左側)に飾り付けます。結納返しがない場合は、受書のみを並べます。その後、女性側はいったん退出し、男性側が上座(右側)に結納品を飾ります。
なお、受書とは結納品を受け取ったことを示す受領書のようなもの。本来は受け取る側が用意するものですが、結納品の品目を書く必要があるため、最近では贈る側が一緒に用意することも少なくありません。
料亭やホテルなどで行う場合は、男性側→女性側の順で飾り付けるのが一般的です。なお、飾り付ける際は、会話は控えます。結納プランを利用する場合は、会場側で飾り付けてくれることもあるので、事前に確認しておきましょう。
先に男性側、次に女性側が入室して、全員が揃ってから着席。席次は男性側が上座、女性側が下座となります。基本的に出入り口に近い席が下座となりますが、料亭やホテルなどでは事前に確認しましょう。それぞれの並びは上座(結納品に近い方)から本人→父→母となります。
男性の父(いない場合は母や本人でも)が進行役になるのが一般的。男性の父が「このたびは●●様と息子■■に素晴らしいご縁を頂戴いたし、誠にありがとうございます。本日はお日柄もよろしく、これより結納の儀を執り行わせていただきます」と口上を述べ、一同で深く礼をします。
男性の母が結納品を女性の前まで運び、一礼します。男性の母が席に戻ったことを確認してから、男性の父が「こちらは私どもからの結納品です。幾久しくお納めください」と口上を述べます。
結納品の中から女性本人が「目録」を手に取り、中を改めます。それを父→母の順で確認したら、再び台の上に戻します。女性本人が「ありがとうございます。いく久しくお受けいたします」と述べ、揃って深く礼をします。
この後、女性の母が結納品を自分側の場所(下手側)に戻し、受書を男性本人の前に運び、一礼します。女性の父から「受書でございます。いく久しくお納めください」と述べます。これを受けて男性本人は受書の中を改め、父→母の順に確認します。その後、男性本人が「ありがとうございます。いく久しくお受けいたします」と述べ、揃って深く礼をします。
女性側からの結納返しがない場合は、結納品のやり取りはここで終了となります。女性側からの結納返しがある場合は、女性側から男性側に結納品を納めます。やり取りは男性から女性に納めたのと同じです。
男性の父が結びの口上として「本日は誠にありがとうございました。略式ながら無事結納をお納めすることができました。今後とも末永くよろしくお願いします」と述べます。続いて、女性の父が返礼として「こちらこそどうもありがとうございました。幾久しくお付き合いのほどよろしくお願いします」を述べて、結納の儀式は終了です。
なお、婚約記念品は結納の儀式の一環として、結納品のやり取りをした後にお披露目する機会を設けてもいいし、いったん結納の儀式を終わらせてから、お披露目しても。ちなみに、関西式の場合は、結美和(指輪)として結納品の一つとして含まれています。
結納の儀式が終了したら、記念撮影などをして、両家で会食をします。緊張感から解放され、和気あいあいとした雰囲気の中、両家の親睦を深めましょう。これから始める長いおつきあいの第一歩として、新しい家族になるのだという実感が湧いてくるはずです。
なお、ゼクシィ相談カウンターでは結納にお勧めの会場を紹介することができます。結納の場所に迷ったら、相談してみてはいかが?
※一部地域では、ご紹介できる会場が無い場合がございます。
※記事内のデータは「ゼクシィ結婚トレンド調査2023(全国推計値)」によります。
監修/岩下宣子(マナーデザイナー、現代礼法研究所代表)
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