結婚に際しては、さまざまな手続きや届け出が必要になります。ただでさえ結婚式の準備で忙しい中、何度も役所や手続きの窓口に足を運ぶのは大変。やるべきことをチェックして、効率的に進めていきましょう。

結婚をして新生活を始めるためにやるべきことは、「婚姻届の提出」「引っ越し」「氏名・住所の変更」の3つ。この中でカギとなるのは、「引っ越し」と「婚姻届の提出」のどちらを先にするかです。それにより手続き・届け出の順番が異なってきます。
タイミングとして考えられる3つのパターンについて、それぞれ手続き・届け出の順番を見ていきましょう。
[手続きの流れ]
[手続きの流れ]
[手続きの流れ]
※引っ越し先の役所に転入届を提出する期限

手続きの工程の数が少ないことからわかるように最も効率がいいのは、引っ越しと婚姻届の提出をほぼ同時(14日以内)に行うパターンです。
◎何度も役所に行く必要がない
大きなメリットは、役所に行く回数を抑えられるため手間や時間を節約できること。
引っ越し先の役所に転入届を提出する期限は引っ越しから14日以内。婚姻届を出したい日の14日前までに引っ越しを終えておくと、新しい住所で婚姻届の提出と住所変更の手続きをまとめて1日で済ませられます。
◎新しい姓と住所の住民票の写しを同日に取得できる
引っ越しと婚姻届の提出を同日に行うと、その日のうちに新しい姓と住所の住民票の写しを取得できます。ただし、遅い時間の来庁や不備による差し戻しがあると同日に対応できなくなる可能性もあります。どれくらいの時間を要するか、事前に役所に確認しておくと安心です。
姓が変わるとさまざまな名義変更が必要です。以降の各種手続きをスムーズにするため、本人確認書類となるマイナンバーカードと運転免許証の氏名・住所変更手続きは先に終わらせておくとよいでしょう。
運転免許証の変更手続きに必要となるため、本籍が記載された住民票の写し(コピー不可)も忘れずに取得しておきましょう。運転免許証の変更手続きは、新居所轄の警察署か運転免許試験場となります。役所では手続きできないので注意してください。
警察署または運転免許センターが役所の近くにある場合は、役所に行った後に同日に済ませることも可能です。ただし、混雑状況によっては、各種変更手続きに時間がかかることもあるため、事前に施設の受付時間や混雑状況を確認しておきましょう。
[1日で完了!効率的な役所での手続きの流れ]
| 手続き | 必要なもの |
|---|---|
| ① 転入届を提出 | ・転出証明書 ・本人確認書類(※1) |
| ② 婚姻届を提出 | ・婚姻届 ・旧姓の印鑑(任意) └婚姻届提出時の押印をする場合 ・本人確認書類(※1) |
| ③ 新しい住民票の写しを取得 | ・転出証明書 ・本人確認書類(※1) ・新姓の印鑑(※2) |
| ④ マイナンバーカードの変更手続き | ・マイナンバーカード |
| ⑤ 国民健康保険・国民年金の変更手続き |
[国民健康保険・国民年金の名義変更の場合] ・国民健康保険被保険者証 ・年金手帳 ・本人確認書類(※1) ・マイナンバー確認書類 [職場の保険から切り替える場合] ・健康保険資格喪失証明書または退職日がわかる書類 |
自治体によっては手続きや届け出の際に必要な持ち物が決められている場合があるため、事前に必要書類を確認しておきましょう。
◆書類に不備が出ないように注意する
同タイミングで複数の手続きを進めることになるので、書類の不備不足がないよう十分に注意しましょう。書類に不備があると、手続きに想定よりも時間を要する可能性があります。
手続きにかかる時間や必要な持ち物は、自治体によって異なります。役所の公式サイトや問い合わせ窓口を活用しながら、事前準備を進めるとよいでしょう。
◆新しい住民票の写しが何枚必要になるかを事前に確認する
新しい氏名・住所の住民票の写しは、運転免許証の氏名・住所変更で提出が必要となります。手続きには、本籍の記載がある住民票の写しを持参してください。自分名義の車を所有している場合は、自動車登録の変更手続きでも使用します。
その他にも、会社への提出書類や銀行口座・各種保険の変更に必要な場合もあるので、自分は何枚必要になるかを調べ、行う手続きに応じてまとめて取得しておくと何度も発行手続きをする手間が省けます。
◆希望の転入届・婚姻届の提出日に必要書類を間に合わせる必要がある
引っ越しのタイミングは新居の契約や引っ越し業者の予約日などに左右されます。また、新しい姓の印鑑の作成に日数がかかる可能性もあります。
婚姻届の提出日は、スケジュールに余裕を持った日にちを選び、早めの準備を心掛けたいですね。
とはいえ、婚姻届の提出日はふたりの大切な記念日になる日。効率だけでは計れないものです。ふたりでよく相談して、どのパターンで手続きするかを決めてくださいね。では、ここからは役所で行う各手続きの詳細を説明していきます。

[準備の流れ]
以前は婚姻届の提出時に戸籍謄本が必要でしたが、2024年3月より不要になりました。ただし、婚姻届には「本籍」を記入する欄があるので、わからない場合は事前に調べておきましょう。
証人は18歳以上であれば誰でも問題ありません。親やきょうだい、親戚、親しい友人、お世話になった人などにお願いするケースが多いようです。署名と本籍の記入が必要なので、事前にお願いしておくとよいでしょう。
婚姻届を提出するのは、届出人の本籍地または所在地の市役所、区役所または町村役場になります。役所によっては、結婚式を挙げた場所や旅行先などで提出できる場合もあります。
役所では365日、24時間受け付けてもらえます。ただし、窓口が開いていない日や時間帯での届け出の場合、届け出の内容の確認が後日となり、内容に誤りがあった場合は受理日がずれてしまうこともあります。提出日にこだわっているのであれば、窓口が開いている時間に届け出るか、事前に役所で内容を確認してもらいましょう。
なお、もともと同居していて婚姻届を提出する人は、同時に世帯合併の手続きを行います。

転出届・転入届は、それぞれ提出する役所が異なります。なお、同じ市区町村内で引っ越しをする場合は、引っ越し後14日以内に転居届の手続きをします。
| 転出届 | 今住んでいる市区町村の役所に提出する |
|---|---|
| 転入届 | 引っ越した先の市区町村の役所に提出する |
[手続きの流れ]
手続きは引っ越し前、あるいは引っ越し後14日以内に行いましょう。
転出届の提出は郵送でもOK。転出証明書は3~10日ぐらいで送られてきます。転出証明書は転入届を提出する際に必要になるので、紛失しないように注意して。
手続きは引っ越し後14日以内に行いましょう。届け出の際は転出証明書が必要です。

引っ越しの前に、ライフラインの停止と開始の連絡が必要です。いつまでに行わなければならないかを確認しておきましょう。インターネットでできるものもたくさんあります。
引っ越しの7~10日前までに契約している電力会社に電話かインターネットで停止と開始の連絡を。引っ越し前と引っ越し後で電力会社が異なる場合は、それぞれの会社へ手続きを行います。
| いつまでに | 引っ越しの7~10日前まで |
|---|---|
| 連絡先 | 契約している電力会社 |
| 連絡方法 | 電話 インターネット |
引っ越しの4~10日前までに管轄の水道局にそれぞれ電話かインターネットで停止と開始の連絡をします。
| いつまでに | 引っ越しの4~10日前まで |
|---|---|
| 連絡先 | 管轄の水道局 |
| 連絡方法 | 電話 インターネット |
引っ越しの1~2週間前までに契約しているガス会社に電話かインターネットで停止の連絡を。引っ越し当日は開栓に立ち会う必要があるので、ガス開栓の予約も入れます。
なお、オートロックの建物の場合、停止の際にも立ち会いが必要となる場合もあります。引っ越し前と引っ越し後でガス会社が異なる場合は、それぞれの会社で手続きを行います。
| いつまでに | 引っ越しの1~2週間前まで |
|---|---|
| 連絡先 | 契約しているガス会社 |
| 連絡方法 | 電話 インターネット |
引っ越しの1週間前までに最寄りの郵便局の窓口で転送の手続きをするか、「転居届」を郵送。インターネットでも手続きできます。
| いつまでに | 引っ越しの1週間前まで |
|---|---|
| 連絡先 | 日本郵便株式会社(郵便局) |
| 連絡方法 | 郵便局の窓口 郵送 インターネット |
引っ越しが決まったら、なるべく早めにインターネットで手続きをします。回線工事が必要な場合もあるので、確認しましょう。
| いつまでに | なるべく早く |
|---|---|
| 連絡先 | インターネット・ケーブルテレビの契約会社 |
| 連絡方法 | インターネット |

ほとんどの名義変更手続きで本人確認書類が必要になるため、最初にマイナンバーカードか運転免許証を変更しておくと、その後の手続きがスムーズになります。
自治体によって異なるケースもあるので、手続きに必要なものを事前に調べて用意しておきましょう。
氏名・住所が変わったら14日以内に、新住所の役所で手続きをします。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後14日以内 |
|---|---|
| 手続きする場所 | 新住所の役所 |
| 必要なもの | ・マイナンバーカード |
運転免許証の名義変更は、役所ではなく、新しい住所地を所轄する警察署か運転免許試験場、または運転免許センターで手続きを行います。
役所で住民票の写しを受け取ったら、そのまま向かって同日に終わらせてしまうのもおすすめです。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後14日以内 |
|---|---|
| 手続きする場所 | 運転免許センター 警察署 運転免許試験場 |
| 必要なもの |
・運転免許証 ・新しい住民票の写し(本籍の記載があるもの) [都道府県とまたぐ引っ越しの場合] ・顔写真(30×24mm)が必要なケースもあり |
氏名・本籍の都道府県が変わったら(住所変更のみは手続き不要)、新住所のパスポートセンターで「記載事項変更旅券発給申請」の手続きを行います。有効期限が1年未満の場合は、「切り替え発給」にすることも可能です。
海外へ新婚旅行に行く場合、パスポートの氏名と航空券の氏名は一致している必要があります。航空券を早めに手配する場合などは気を付けましょう。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後なるべく早く |
|---|---|
| 手続きする場所 | 新住所のパスポートセンターの窓口またはオンライン申請(※3) |
| 必要なもの(※4) |
[窓口申請の場合] ・新しい戸籍謄本 ・一般旅券発給申請書(※5) ・顔写真1枚(45×35mm) ・古いパスポート ・手数料 └新しいパスポートの受け取りの際に必要 [オンライン申請の場合] ・マイナンバーカード ・古いパスポート └申請時に情報の読み取りに使用。新しいパスポートの受け取り時も持参 ・手数料 └新しいパスポートの受け取りの際に必要 |
氏名・住所が変わったら速やかに銀行口座の名義変更手続きを行いましょう。今は、銀行窓口に行かなくてもWEB上で手続きが可能な金融機関が多いです。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後なるべく早く |
|---|---|
| 手続きする場所 | 銀行窓口またはインターネット |
| 必要なもの | ・キャッシュカード ・新しい本人確認書類 └運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
※金融機関により異なるため、事前に確認を
クレジットカードの変更手続きもWEBで手続きできるケースがほとんどです。手続きから約1~2週間で新しいクレジットカードが送られてきます。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後なるべく早く |
|---|---|
| 手続きする場所 | WEBアプリ、会員専用ページなど |
| 必要なもの | ・クレジットカード ・新しい本人確認書類 └運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
※金融機関により異なるため、事前に確認を
結婚前に加入しており、結婚後も継続する場合や職場の保険から切り替える場合、氏名・住所が変わったら14日以内に新住所の役所で手続きをします。
| いつまでに | 氏名・住所の変更後14日以内 |
|---|---|
| 手続きする場所 | 新住所の役所 |
| 必要なもの |
[国民年金の名義変更の場合] ・年金手帳 ・新しい本人確認書類 └運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど ・マイナンバーカード(通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票の写しでも可) [国民健康保険の名義変更の場合] ・国民健康保険被保険者証 [職場の保険から切り替える場合] ・健康保険資格喪失証明書または退職日がわかる書類 |
結婚や新生活のスタートには、さまざまな手続きや届け出が必要です。どのタイミングで何をすべきかを整理して計画的に進めれば、慌てることなく準備できますよ。
取材・文/池島由希子 監修/若山大輔(行政書士/行政書士法人アインクラッド代表社員)
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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