パートナーシップ制度で同性カップルの絆はより強く!メリットや課題も
パートナーシップ制度は、同性婚が法制化されていない日本において、性的マイノリティーのカップルの関係性を自治体が公的に承認する制度で、全国に広がっています。そこで、今年パートナーシップ制度の利用を始めたばかりの、同性カップルにインタビュー。パートナーシップ制度利用を決めた動機、手続きの仕方、良かったこと、課題など聞いてきました。
パートナーシップ制度は、同性婚が法制化されていない日本において、性的マイノリティーのカップルの関係性を自治体が公的に承認する制度で、全国に広がっています。そこで、今年パートナーシップ制度の利用を始めたばかりの、同性カップルにインタビュー。パートナーシップ制度利用を決めた動機、手続きの仕方、良かったこと、課題など聞いてきました。
左:つかささん(32歳)
右:ともかさん(27歳)
専門学校で出会い、お付き合いを重ねる中で性自認について向き合ってきた。つかささんはノンバイナリー(自分の性自認が男性・女性どちらかに明確に当てはまらない)、ともかさんはパンセクシャル(相手の性別や性自認に関係なくその人を好きになる)がしっくりくるそう。趣味は旅行で、日本全国47都道府県のルーレット旅を決行中!
パートナーシップ制度をきっかけにつかささんは母へカミングアウト。
ウエディングフォトは海やチャペルで撮影した
<ビーチ写真:画像協力>フォトグラファー ふ~みん
海が大好きなふたりは
水族館スタッフを育成する専門学校で出会った
ふたりの恋は、ともかさんのひと目ぼれから。専門学校の研修旅行先の沖縄で、友人から背中を押されて勇気を出して告白するも、つかささんは同性同士の恋愛の難しさを痛感していたため断ってしまう。
「異性とも同性ともうまく付き合っていけない中途半端な自分に嫌気が差して…。恋愛はもういいやって気持ちだったので」。一方、ともかさんは同性を好きになったのは初めて。「ただただ好きで絶対に付き合うぞ!」の勢いのままその後も猛アタック。つかささんは「どうせうまくいかないよ」と思いつつもお付き合いが始まった。
ところがともかさんは、自身の性を見つめ迷い悩むつかささんをそのままに受け入れてくれた。「男性になりたいわけではない。ボーイッシュなスタイルが好きなだけ。男性でも女性でも“どっちでもない”のがしっくりくる」とつかささん。「ともかのおかげで、自分に自信が持てるようになりました」
付き合って3年半を迎え、つかささんからプロポーズ。「お互いが大切なパートナーだ、という証明が欲しい」とパートナーシップ制度を利用することに。住んでいる市ではまだ制度が導入されていなかったけれど、あえて引っ越しはせず、市にメールでアプローチをして待った。そこには「制度が広がってほしい」の思いがあった。
ともかさんが、ひと目ぼれをしていたころの写真
付き合い始めて7年を経て、旅先の紅葉狩りで和装の記念写真。
ともかさんはしっとり、つかささんは男性用の着物でかっこよく
イベントでレインボーパレードに初参加。
「沿道で手を振る人からも元気をもらいました」
2年ほどして、ふと行政のサイトを見るとようやくパートナーシップ制度が導入されていた!付き合って7年7カ月目に迎える「令和7年7月7日に申請しよう」と半年前に予約。必要書類を用意し「絶対にこの日じゃないとダメなんです」と担当者に念押しメールを送り、当日を迎えた。
申請はスムーズに進み、その場でふたりの関係を証明する「パートナーシップ宣誓書受領証」と「パートナーシップ宣誓書受領証カード」が発行され、万一の時に家族として手続きができる病院がある安心感も得られた。でも正直、特別な実感があるかというと、それほどでもない。「配偶者として同等と扱う職場や企業もまだまだ少ないし…」とふたり。
それでも、周囲の「おめでとう」の言葉は宝物。付き合った頃からふたりを応援するともかさんの母は、「いっぱい幸せになってね」とめちゃめちゃ喜んでくれた。つかささんは、制度への申請をきっかけに母へカミングアウト。幼い頃に母と交換していた20年ぶりの日記に思いをつづり、うまく伝えられるよう動画も制作。母は交換日記に返事を書いてくれた。
ふたりの次の夢は結婚式。つかささんの中に「家族や友人は招かれたらどう思う?」のモヤモヤがあってまだ踏み出せないけれど、ともかさんは現在進行系のそのリアルな気持ちにも寄り添っている。ふたりで一緒に、少しずつ前へ前へ。
SNSで同性同士カップルの暮らしを楽しく公開中!
私たちの場合、まずは市役所に申請日の予約メールを送りました。それから必要書類などについてやりとりを。本人確認できる身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)、婚姻してないことを証明する戸籍抄本、どちらかがパートナーシップ制度を受けたい市に住んでいることを証明する住民票の写しなどを用意。市役所を訪れ「パートナーシップに必要な〇〇が欲しいんですけど」と言っても、担当部署以外の方にはスムーズに話が伝わらないことも…。当日の手続きは1時間程度でした。(つかささん)
家族から祝福された喜びがあり、少しの安心感も得られました。ただ、今使えるものがなくて実感は薄いんです。それに私たちの住む市では、LGBTQ+フレンドリーの病院はリストになっていなくて、自らサイトで調べるか電話で問い合わせないといけない。それは大きな課題だと感じています。市から病院や企業への働きかけも行っているという話も聞きました。私たちも少しずつですが声を挙げていきたいです。(ともかさん)
パートナーシップ制度は全国に広がり、導入していない都道府県はゼロに。ただ自治体ごとに条件が異なり、内容もさまざまで課題も多いようです。パートナーシップ制度の利用を検討する際、引っ越しが叶うのなら、いろんな自治体を比較検討するのも有効です。
構成・文/千谷文子 D/mashroom design
※1 パートナーシップ制度でできることは、自治体によって異なります
※掲載されている情報は2025年12月時点のものです