【結婚式レポートin千葉県】式の1週間後に父は他界。最後まで気丈な人でした
父と娘の短く長く幸せなバージンロード
「親孝行したんじゃないんです。父が最後の力を振り絞って、私に親孝行させてくれたんです」と志保さん。「娘とバージンロードを歩くこと」を励みに闘病していた父の病状が悪化し、急きょ、日取りを早めた家族式だった。
コロナ下で入院中の父を見舞うこともできず、式当日のペアレントタイムで1カ月ぶりの再会。父の様子に喜びと悲しみが一度に溢れ出す。すぐ後に行われたバージンロードの予行練習では、父の体調が気掛かりで心が進行に追い付かない。そんな娘の様子を察してか父は本番で、「ここで礼」「ここは右足から」と娘をそっとリードした。「立っているのはおろか息をするのも大変そうだったのに……最後まで気丈な父でした」。バージンロードを歩ききり、祭壇の前で待つ亮さんの手を取った父の「よろしく頼むぞ」という全身全霊の声に、亮さんは「命を懸けて」と誓いながら、その手を強く握り返した。
父の生きる励みとなり、娘にしてやれる最後の責任を果たした式の1週間後、父は他界した。「親戚も遠慮して、私たち家族と両家の親だけの、ささやかな式でした。独身時代に夢見ていたそれとはまるで違ったけど、こんなにも幸せな結婚式はありません」
結婚4年目で叶った結婚式。夫婦として家族として、気持ちを新たに笑顔で歩み出した
父が新婦を新郎に託す瞬間。三者三様の思いが込み上げる
披露宴会場は普段レストラン営業もしている。「おいしいごはんをみんなで囲みたかったのでこちらに」
ナチュラルな雰囲気の会場に合うウエルカムボード
「ママのような長いドレスが着たかった……」とプリンセスブーム真っただ中の長女(2歳)。新婦が脱ぎたてのドレスを渡すと、鏡の前で胸に当てご満悦。またファーストミートでは母のドレス姿に羨望(せんぼう)のまなざしを向けた。「娘のあんな顔、初めて見ました(笑)」
父の写る最後の家族写真は一生の宝物に
ヘッドドレスはフリマアプリで2000円で購入
式前に読まれた新婦の手紙には、子どもの頃はお父さんに似ていると言われて嫌だったけど、今はそれを幸せに思うこと。母のような母になりたいとつづられていた
ペアレントタイム。ずっとそばで父を支えてきた母が、この瞬間を迎えられた安堵(あんど)と娘の美しい晴れ姿に号泣
千葉県千葉市
中川 亮さん(43歳)
志保さん(33歳)
挙式日:2021年9月21日
会場:THE SURF OCEAN TERRACE
ゲスト数:10名
結婚4年目。1歳と2歳の姉妹を育てるカップル。親孝行と念願のドレスを着たくて家族式を挙げることに。
※ゼクシィ首都圏版2022年2月号より転載
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