【結納の進め方<当日編>】結納品の飾り方から口上まで、略式結納の当日の流れを解説
結納の所要時間は20分程度。儀式の流れや口上(せりふ)には決まった手順があるので、ひと通りきちんと頭に入れ当日に臨みましょう。口上は暗記する必要がありますが、決して難しいわけではないのでご安心を。ここでは関東式の略式結納の流れやマナーについて説明します。
Index結納当日の基本の流れとマナー
#01 結納品を飾る
#02 入場する
#03 儀式を始める前のあいさつ
#04 結納品を納める
#05 結納返しを納める
#06 婚約記念品のお披露目
#07 締めの口上を述べる
#08 祝宴
Q: 「受書」ってどんなもの?
#01|結納品を飾る
和室なら床の間や上座に
洋室なら上座に置いたテーブルの上に
どこに飾る?
自宅で行う場合、##s##床の間があれば床の間に、ない場合は手頃な台に毛氈(もうせん)を敷いて床の間代わりにし、白木の台のまま飾ります##e##。洋室の場合は##s##上座にテーブルを置き、毛氈や白い布などを掛けてその上に飾って##e##も大丈夫です。料亭やホテルなどで行う場合は、スタッフに確認しておきましょう。
どうやって飾る?
##s##まずは女性側が「結納返し」の品を飾り##e##、男性側の到着を待ちます。その際、##s##男性側が結納を飾る場所を空けておき、そこよりも下座に飾ります##e##。
女性宅へ到着した##s##男性側は、入室後、用意された場所に結納品を飾ります##e##。余計な会話はせず、粛々と作業を進めましょう。##s##その間、女性側は別の部屋で待ちます##e##。
自宅以外で行う場合の飾り方は?
##s##前もって結納であることを会場に伝えておけば、飾る場所を用意してもらえます##e##。飾り付けは男性側→女性側の順で行いますが、##s##それぞれ相手が準備している間は席を外しましょう##e##。「結納プラン」を利用する場合は、飾り付けまで含めてやってくれる会場もあるので確認を。
▼結納<基礎・準備編>についてはこちら↓
結納を行うことで、結婚する実感が湧いたり両家が団結したり。みんなが「やってよかった!」と思えるよう、今のうちにしっかり結納のことを学んでおきましょう。まずは結納当日に向けて、何から取り掛かり、どんな準備をすればいいのかをご紹介します。
#02|入場する
先に男性側、次に女性側が入室し
全員がそろったところで着席
##s##最初に部屋へ入るのは男性側。続いて女性側が入室し、全員がそろったところで着席します。##e##その際、男性側は上座、女性側は下座に座りますが、##s##結納では本人たちが上座(結納品に近い場所)##e##ということを覚えておきましょう。並びは上座から本人→父→母の順番です。
#03|儀式を始める前のあいさつ
男性側の父が行うのが一般的
不在の場合は母や本人が行う
初めのあいさつは##s##進行役を務める男性側の父##e##が行いますが、不在の場合は母や男性本人がその役目を引き受けます。仲人がいる正式結納の場合は、最初のあいさつも仲人が行います。
口上例 男性側の父の口上例
このたびは、モモコ様と息子タロウに、素晴らしいご縁を頂戴いたしましてありがとうございます。本日はお日柄もよろしく、これより結納の儀を執り行わせていただきます。
このたびは、モモコ様と息子タロウの縁談をご承諾くださいまして、誠にありがとうございます。本来なら仲人様をお通しするのが正式ではございますが、本日は略式にて進めさせていただきます。
#04|結納品を納める
男性側の結納品を女性側に納める
1:男性側が結納品を女性側に納める
男性の母が「結納品と家族書をのせた台」を女性本人の前へ運んで一礼。母が席へ戻ったら、男性の父が口上を述べて深く一礼します。
口上例 男性側の父の口上例
そちらはタロウ(または私ども〇〇家)からの結納でございます。
幾久しくお納めください。
2:女性側が目録を改め、受書を渡す
受け取った結納品の中から、女性本人が「目録」を手に取って中を改め、さらに父→母へと渡し、全員で目を通します。それから女性本人が口上を述べて一同深く礼を。その後、女性の母が受け取った結納品を飾り台へ運び、「受書」を男性本人へ渡して一礼します。
口上例 女性本人の口上例
ありがとうございます。幾久しくお受けいたします。
#05|結納返しを納める
女性側の結納返しを男性側に納める
1:女性側が結納品を男性側に納める
女性側の親が、「男性側へ贈る結納品と家族書をのせた台」を男性本人の前へ運んで一礼。席に戻ったら、女性側の父が口上を述べて深く一礼します。
口上例 女性側の父の口上例
先程は結構な結納の品を頂きましてありがとうございました。そちらはモモコ(または私ども〇〇家)からの心ばかりの御礼の品でございます。幾久しくお納めください。
2:男性側が目録を改め、受書を渡す
受け取った結納品の中から、男性本人が「目録」を手に取って中を改め、さらに父→母へと渡し、全員で目を通します。それから男性本人が口上を述べて一同深く礼を。その後、男性の親が受け取った結納品を飾り台へ運び、「受書」を男性本人へ渡して一礼します。
口上例 男性本人の口上例
ありがとうございます。幾久しくお受けいたします。
#06|婚約記念品のお披露目
婚約記念品を用意している場合は
ここで親たちに披露しよう!
結納式の中に、婚約記念品のお披露目を盛り込んでみてはいかがですか? 関西式では元々指輪(結美和)として結納品目の一つですが、両家が集まるいい機会ということで、関東式でも取り入れるカップルが増えてきました。
進め方に決まった手順や口上があるわけではありませんが、結納式の流れに沿って、厳かなお披露目シーンを演出しましょう。
口上例 女性本人の口上例
このたびは婚約記念品として、タロウさんから婚約指輪を頂きました。
すでに指に着けていますが、改めて皆さんにお披露目させてください。
口上例 男性本人の口上例
このたびは婚約記念品として、モモコさんから腕時計を頂きました。
これから始まる結婚生活とともに、長く大切に使っていきたいと思います。
#07|締めの口上を述べる
男性側の父が口上を述べた後
女性側の父が返礼する形で締める
初めのあいさつと同様、進行役を務める男性側の父が行います。続いて女性側の父(不在の場合は母)が返礼の口上を述べ、全員で「今後ともよろしくお願いします」と丁寧にあいさつをしてお開きを迎えます。
口上例 男性側の父親の口上例
本日は誠にありがとうございました。おかげさまで無事に結納を納めることができました。今後とも末永くよろしくお願いいたします。
口上例 女性側の父親の口上例
こちらこそありがとうございました。今後とも末永くよろしくお願いいたします。
#08|祝宴
婚約が正式に調ったことを喜び
お祝い膳を囲んで親睦を深めよう
結納後はお祝い膳を囲み、両家の親睦を深めたいもの。料亭やホテルなどの「結納プラン」を利用する場合はそのまま同じ会場で、自宅で結納をした場合は仕出しを頼んだり、料亭などに場所を移して行うことが多いようです。##s##時間の目安は2~3時間##e##。無事に結納が終わり、両家の親戚付き合いがこれから始まることを祝って、和やかな歓談のひとときを楽しみましょう。
結納のこともっと知りたい! Q&A
結納に付きものの専門用語をはじめ
知っておきたい事柄をQ&Aでご紹介!
- 「家族書」ってどんなもの?
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家族書は##s##同居する家族を記した書類のこと##e##で、結納品に添えて相手側に渡します。具体的には##s##家族全員の氏名、続柄、年齢を父・母・きょうだい(年齢が高い順)の順番で記したもの##e##です。
- 「受書」ってどんなもの?
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##s##結納品を確かに受け取りました、という受領書##e##のようなもの。受け取る結納品の内容を全て列記しますが、そうなると事前に相手の結納品の内容を教えてもらわなくてはいけなくなるので、##s##あらかじめ「結納を贈る側が一緒に用意」するケースが多い##e##ようです。
- 仲人を頼む場合、どんなお礼をすればいい?
-
地域のしきたりによってお礼の中身は若干変わるものの、##s##必ず用意しておきたいのは「御礼」「御車代」「御酒肴料」「手土産」##e##の4つ。
##sb##「御礼」##eb##
お礼の金額は、関わってもらう内容に応じて結納金の1~2割を目安に考えておくといいでしょう。披露宴の媒酌人も頼んでいるなら、式後にまとめて渡しても大丈夫です。
##sb##「御酒肴料」##eb##
結納後はお祝い膳で仲人をもてなしますが、辞退された場合は「御酒肴料」として仲人夫婦2名分の料理よりも少し多めの金額を包みましょう。
##sb##「御車代」##eb##
自宅~結納会場までの往復のハイヤー代を目安に、切りのよい金額で用意しておくのがマナーです。
##sb##「手土産」##eb##
5000円~1万円程度のお菓子や縁起ものなどを。こちらは両家の連名で、結び切りの熨斗(のし)紙を掛けて渡します。
▼当日を迎える前に
結納の準備記事もCheck!
結納を行うことで、結婚する実感が湧いたり両家が団結したり。みんなが「やってよかった!」と思えるよう、今のうちにしっかり結納のことを学んでおきましょう。まずは結納当日に向けて、何から取り掛かり、どんな準備をすればいいのかをご紹介します。
岩下宣子 マナーデザイナー
「現代礼法研究所」主催。NPOマナー教育サポート協会理事長。全日本作法会の故内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業、学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作を手掛ける。