岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。
結婚式のご祝儀は、友人だと3万円が相場とされていますが、中にはさまざまな事情で「そんなにたくさん包めない」と悩んでいる人もいるようです。そこで今回は「ご祝儀が1万円だったらどうする?」というテーマで全国の新郎新婦にリサーチ!マナーの先生にも話を伺ってみました。
岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。
場合によっては問題ないが
基本は3万円を包むのがマナー
Q.\新郎新婦の皆さん/ご祝儀が1万円だったらどう思う?
A.モヤッとする……74%
気にならない……26%
全国の新郎新婦に調査したところ、##s##「モヤッとする」と回答した人がなんと74%も!中には「それなりの事情があったのかな?」「ご祝儀はあくまでも気持ちだから」と寛容な人も一部いるものの、多くの人は「常識的に考えられない」とネガティブな印象を持っています。##e##
それでは、なぜ3万円がご祝儀の相場とされていて1万円ではだめなのか、その理由を考えてみましょう。
ご祝儀はゲストからのお祝いの気持ちであり、強制するものではありませんが、それでも3万円という相場には理由があります。
結婚式には婚礼料理+飲物代が平均2万1000円、引菓子や引出物といったギフトには平均7000円(いずれもゼクシィ結婚トレンド調査2022(全国推計値)より)かかっていて、合計すると相場とされているご祝儀額とほぼ同じくらいになるのです。
そう考えた時、##s##“ご祝儀が1万円”だと新郎新婦にかなり負担をかけてしまうことになるので、かかった費用の相当分をご祝儀として包むのが相手に対する配慮##e##と心得ておきましょう。
披露宴に出席せず、挙式にのみ参列する場合は、純粋に結婚のお祝いとして1万円でもOK。その場合、表書きは少し控えめに「松の葉(ほんの気持ちです、の意)」としてもいいでしょう。なお、新郎新婦には包んだ金額について言及したり説明したりする必要はありません。
結婚式を行わない友人・知人に対しては、“祝福の気持ち”がきちんと伝わればよいので、基本的に1万円程度を包めば十分です。現金にこだわらず、お祝いの品でも構いません。
結婚式を欠席する場合のご祝儀は、“いつその返事をしたのか”というタイミングによって変わります。招待された時点で欠席の返事をしていた場合は1万円を包めば十分(プレゼントでも可)ですが、いったん出席すると返事をしていて直前に取りやめた場合は、もともと考えていた金額(3万円など)をそのまま包む気遣いが欲しいところです。
ちなみに料理についていえば、式の20~10日前にはキャンセル料が発生する会場がほとんど。その費用を新郎新婦が持つことになるため、たとえやむを得ない事情があったとしても、出席時と同等のご祝儀を渡すのがマナーです。できれば結婚式の1週間前までに手渡しをするか、現金書留で送っておきましょう。
婚姻届の提出から結婚式までの期間が空くと、「すでにお祝いを渡してしまった!」というケースも出てきます。もちろんご祝儀は“結婚式の会費”ではないので、何度も渡す必要はありませんし、そのあたりは新郎新婦も分かっているはず。
とはいえ、手ぶらで行くのは気が引けるという場合は酒肴料(しゅこうりょう)として1万円程度を持参する方法もあり。受付係の人には「ご祝儀は事前にお渡ししています」と伝えた上で、表書きに「松の葉」と記したものを持参してもいいでしょう。
ご祝儀の金額に明確な決まりはないものの
モヤモヤする人は多数
ところで実際に、結婚式でゲストからもらったご祝儀が1万円だったら新郎新婦はどう思うのでしょうか?リアルな声を調査してみました。
ご祝儀が1万円だと、正直、料理代や引出物代でマイナスになってしまいます。(Yunaさん)
あえて本人に言ったりはしないけど、自分がゲストとして式に出席する際、こういうことはしないよう反面教師にしたいと思います。(SHIOさん)
私の周りでは3万円を包むのが常識だし、お金がないなら身内に借りると思う。「1万円でもいいや」と判断したということは、軽く見られているのかな?とがっかりします。(はなまるさん)
今どき学生でもない限り、3万円を包むのがマナーでは。ただ、自分たちのためにわざわざ時間を割いて来てくれたことを考えると、本人には言えないのでモヤモヤすると思います。(Sakiさん)
ご祝儀はあくまでも本人の気持ちだと頭では分かっているものの、いざ開けてみると中に1万円しか入っていないとモヤモヤするのが花嫁の本音のようです。
それまでどんなに親しくしていても、「常識がないのかな?」と思われてしまうと、今後のお付き合いにも影響する恐れが。花嫁の声を肝に銘じ、どのように対処すればいいのか、再度じっくり考えてみましょう。
新郎新婦の強い意向があれば、
事情を伝えながら相談を
ご祝儀を1万円しか出せない場合、そもそも結婚式に出席するべきでしょうか。マナーデザイナーの岩下宣子さんに尋ねてみました。
「結論から言えば、思うようにご祝儀を包めない場合、欠席するのも相手への配慮です。新郎新婦にとって結婚式は人生の大事なイベント。ご祝儀額のことで大切な思い出に水を差すわけにはいきません。こちらにしてみても、1万円しか用意できず、新郎新婦に悪いなと思いながら出席するのも気が引けますよね。##s##ただし、新郎新婦が事情を分かった上で強く誘ってくれているなら、相談してみてもいいのではないでしょうか。式当日は出せる金額を包んでおき、後日余裕がてきた時にプレゼントを贈る方法もありますよ##e##」(岩下さん)
誰にも聞けなかった「結婚式のご祝儀1万円問題」。さまざまな事情があるとは思いますが、多くの人がNGと回答している限り、避けた方が無難かもしれません。今後の友人関係も考えて、最善の手段を取ってくださいね。