
スーツは?ネクタイは?靴は?不安や疑問を完全解決!【結婚式の男性ゲスト 服装着こなし&マナー】
男性にとっても結婚式の服装はわからない部分が多いもの。
ビジネススーツでいいの? ネクタイの色は? 靴はどうする? 男性が不安や疑問に思う部分を、マナーデザイナーの岩下宣子先生に伺いました。

マナーデザイナー 岩下宣子先生
結婚式では礼服を着用します。礼服とは冠婚葬祭で着られるフォーマルウエアのこと。ブラックスーツは喪服としても利用できるので、社会人なら1着用意しておくと重宝します。
Index
#01|男性の礼服の種類

男性が結婚式で何を着るかは、立場によって異なってきます。一般的には新郎や新郎新婦の父は正礼装、主賓や親族などはモーニングコートやタキシード、ブラックスーツなど、一般ゲスト(友人や同僚など)はブラックスーツまたはダークスーツを着用します。
ただし、こちらはあくまでも目安なので、結婚式の会場や雰囲気、新郎新婦と自分との関係や立場などを考え、何を着るか選ぶといいでしょう。
モーニングコート

昼の正礼装。ウエストから裾にかけて斜めに大きくカットされたジャケットのデザインが特徴。結婚式では新郎新婦の父親が着ることが多い。
タキシード

夕方から夜にかけての正礼装。白と黒でまとめ、蝶タイとカマーバンドを身に着ける。結婚式では新郎や新郎新婦の父親、主賓が着ることが多い。
ディレクターズスーツ

昼の準礼装。黒のジャケットにストライプ(黒×グレーなど)のスラックス、ベストを組み合わせる。結婚式では主賓や上司、親族などが着ることが多い。
ブラックスーツ

昼夜問わず着用できる準礼装。黒色のスーツのことだが、ビジネススーツとはデザインが微妙に異なる。結婚式では主賓から一般ゲストまで幅広く着られる。
ダークスーツ

濃紺やダークグレーのスーツのことで、準礼装として結婚式への出席も可能。ただし、など格式のある会場での結婚式には着用しないのが無難。

礼服は時間帯によって着るべき服が決められていますが、日本では昼と夜の礼装の区別があいまいなことが多く、夜の礼服であるタキシードを昼間に着用することも許容されています。
#02|男性一般ゲストの服装マナー
迷ったらブラックスーツがお勧め

結婚式のメンズゲストの服装でオールマイティーなのがブラックスーツです。格式の高い結婚式からカジュアルな結婚式まで、ブラックスーツを着用すればまず間違いはありません。礼服のブラックスーツと黒のビジネススーツとは明らかな違いがありますので、選ぶ際には以下のポイントに注意してください。
Point 生地
礼服のブラックスーツは上質なウール生地が使用され、非常に濃く深い黒色をしています。黒色は室内ではその違いがわかりにくいのですが、太陽光の下では違いが歴然。最近の結婚式は屋外に出ることも多いので、ビジネススーツでの代用はできれば避けたいもの。なお、弔事にも着用できるよう、光沢は抑えられています。
Point ジャケット
ジャケットはシングルとダブルの2種類がありますのでお好みで。すっきりと見せたいならシングル、貫禄を出したいならダブルがお勧めです。シングルジャケットの場合、ベストはあってもなくても構いませんが、ベストを着用するとよりフォーマル感が出ます。ジャケットと同じ色で合わせるのがいいでしょう。
Point パンツの裾
パンツの裾はシングルが基本です。
カジュアルな結婚式ならダークスーツでオシャレに装っても

ややカジュアルな結婚式の場合は、ネイビーやグレーのダークスーツを選ぶのもありです。ただし、礼服として着るなら、ジャケットはベント(後ろ身頃に入っている切れ込み)なしで、パンツの裾はシングルにします。ビジネススーツとしても使用したいのならパンツは2本用意して、1本はシングルに、もう1本はダブルにすると使いやすいでしょう。
ダークスーツでフォーマル感を出すならベストを重ねてみるのもお勧め。ジャケットと同色が基本ですが、ベストの色を変えるとしゃれた雰囲気も醸し出せます。なお、「平服でお越しください」と招待状に書いてあった場合は、ダークスーツを選ぶのがいいでしょう。
#03|男性ゲストの小物や靴のマナー
シャツ

ブラックスーツやダークスーツのシャツは、白の無地を合わせるのが一般的。襟の形はウイングカラーかレギュラーカラーがお勧めです。カジュアルな結婚式であれば、ダークスーツに薄いブルーのシャツを合わせても。
これはNG
ボタンダウンはカジュアルな印象を与えるので避けた方が無難。また、夏の結婚式でも、半袖のシャツはNGです。
ネクタイ・蝶ネクタイ

ネクタイはシルバーグレーまたは淡色や白黒の縞柄、またはドット柄などがお勧めです。カジュアルな結婚式でダークスーツを着用する場合は、薄い色合いのブルーやピンク、イエローなどでも構いません。
これはNG
喪服を連想させる黒色はNG。大きなドット柄や派手過ぎる柄物も避けましょう。

小物

タイタックやネクタイピン、カフスは必ずしも身に着けなくてはならないわけではありませんが、あればオシャレ度がアップ。シルバー系で袖口にはカフスボタンをあしらうのがいいでしょう。また、ポケットチーフもお忘れなく。麻またはシルクの白無地で、スリーピークス(3つの角が見える折り方)で挿すのが本式です。ベルトもスーツに合わせて黒のシンプルなものを。
これはNG
ベルトは殺生を連想させるヘビ革やワニ革などは避けます。
靴と靴下

黒が基本。ひもありの方がフォーマルに見えます。デザインは爪先に横線が入ったストレートチップ、または何も飾りのないプレーントゥがお勧め。靴下は靴やスーツに合わせて無地の黒色のものを用意します。
これはNG
小さな穴が開いたメダリオンタイプはカジュアルな雰囲気で、結婚式にはふさわしくないとされます。ブーツやスニーカーもNG。ベルト同様、ヘビ革やワニ革なども避けましょう。
また、就活用の靴については、紐タイプで磨いてあれば問題なし。ただし、着古した感じが出ている場合は失礼になるので避けましょう。
黒以外の靴下はNGです。くるぶし丈などのスポーツタイプもカジュアルに見えてしまうので避けてください。

フォーマルな装いでの参列がマナーとされる結婚式。新郎新婦への敬意やお祝いの気持ちを込めて、もちろん足元までしっかり配慮したいもの。そこで、結婚式で履いてOKな靴とNGな靴をレクチャー。しっかりとマナーを押さえて、自信を持って参列しましょう。
バッグや荷物
大きな荷物を持って披露宴に出席するのはNGです。ビジネスバッグもふさわしくないので、事前にクロークに預けましょう。財布や携帯電話などはポケットに入れるか、クラッチバッグに入れます。

結婚式でゲストが持つべきバッグは、荷物を運ぶためだけでなく、服装としてのバランスも求められます。お祝いの場にふさわしいのはどんなタイプで、避けるべきはどんなタイプか詳しくご紹介。またサブバッグについてのマナーやバッグの扱い方にまつわるマナーもチェックしましょう。
#04|タキシードの着用マナー
最近では、結婚式にタキシードを着る男性も増えています。タキシードは夜の礼装とされますが、日本ではその辺りがあいまいで、午後であればタキシードもOKとされることが多いようです。

タキシードの基本コーディネート
タキシードはすべてを黒と白でまとめるのが正式。黒のジャケットとパンツに、ウイングカラーまたはレギュラーカラーのプリーツ付き白シャツと黒の蝶タイ、黒のカマーバンドを合わせます。ポケットチーフは白。ベルトはせず、必要に応じてサスペンダーを。カフスボタンも忘れずに。靴は黒のエナメルのプレーントゥかオペラパンプスとなります。
アレンジコーディネート
基本コーディネートは夜の雰囲気が強いので、午後の披露宴に一般ゲストの立場で出席するのであれば、タイやポケットチーフ、カマーバンドなどを色や柄物にしたり、フリルなどがあしらわれたシャツを着るなど、少しアレンジを加えてもいいでしょう。
また、グレーやブルーなどダークな色合いのタキシードもありますので、「ブラックタイで」との指定がない場合で一般ゲストとしての出席であれば、こちらもお勧め。
#05|男性ゲストの服装マナーQ&A
- ビジネススーツで代用するのはダメ?
- 基本的にはNG。やむを得ない場合は暗めの色を選んで
基本的には望ましくありません。就活用のスーツ(リクルートスーツ)についても同様です。やむを得ずビジネススーツで代用する場合は、黒やチャコールグレー、ネイビーなど暗めの色合いのものを選んでください。仕事の延長線上に見えないように、ポケットチーフなどをあしらうのをお忘れなく。礼服のブラックスーツは1着持っていると慶事にも弔事にも使用できますので、結婚式に招待されたのを機にあつらえてもいいでしょう。
- コートはどのようなものを着ればいい?
- ビジネススーツに合わせるものでOK
特別に用意する必要はなく、ビジネススーツに合わせるものを着用して問題ありません。会場に着いたらいつまでもコートを着用しているのではなく、クロークに預けるようにします。
- 帽子をかぶってもいい?
- 男性の帽子は基本的にはNGです
スーツに中折れハットなどを合わせるのはオシャレな雰囲気ですが、男性の帽子は結婚式では基本的にNGです。友人主体のガーデンウエディングなどではありかもしれませんが、新郎よりも目立つのは避けたいもの。病気などの理由で帽子をかぶりたい場合はあらかじめ新郎新婦に申し出て、了解を得ておくのがお勧めです。
- 着物で出席する場合は、何を着ればいい?
- 少し格を落とした羽織袴がおすすめです
洋装と同様に、和装にも礼服があります。礼装として認められるのは羽織袴です。中でも最も格が高いのは黒紋付き羽織袴で正礼装となり、色紋付き羽織袴は準礼装となります。この2つは結婚式では新郎が着用することが多いので、ゲストは避けた方が無難。ゲストとしてふさわしいのは、仙台平(グレーの縞地)以外の袴を合わせた色紋付き羽織袴、お召し(ちりめんのような凸凹がある絹織物)の羽織袴です。ややカジュアルな結婚式であれば、着物に羽織を合わせたスタイルでも問題ありません。
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岩下宣子 マナーデザイナー
「現代礼法研究所」主催。NPOマナー教育サポート協会理事長。全日本作法会の故内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業、学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作を手掛ける。
構成・文/粂 美奈子 イラスト/nodeko

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