【LGBTQ+カップル実例】制度が誕生した初日にパートナーシップ宣誓
お互いにかけがえのないパートナーであり、家族として生きていくことを周囲に伝えたくて、80名のゲストを招き結婚式を挙げた。その後、地元にパートナーシップ・ファミリーシップ届出制度が誕生すると、初日に手続きを行い受理証明を手にした。そして今は子どもを迎え入れている。ふたりで切り開いてきた道のりを紹介します。
お互いにかけがえのないパートナーであり、家族として生きていくことを周囲に伝えたくて、80名のゲストを招き結婚式を挙げた。その後、地元にパートナーシップ・ファミリーシップ届出制度が誕生すると、初日に手続きを行い受理証明を手にした。そして今は子どもを迎え入れている。ふたりで切り開いてきた道のりを紹介します。
左:菅野貴文さん(37歳)
右:菅野隼人さん(37歳)
貴文さんは精神科の訪問看護師で保健師・公認心理師の資格も併せ持ち、整理整頓が得意なきちんとタイプ。隼人さんは小児科の認定看護師として働き、家庭では得意の料理を担当。「両親が沖縄出身だからか僕は少々時間にルーズなのんびり屋」と笑う。真逆な性格の看護師カップルは10年ほど前にアプリで出会った。
結婚式を計画した日からふたりの“家族物語”が始まった
付き合い始めたのは2015年のクリスマス
10年ほど前──。「ゲイの看護師友達が欲しくて」アプリに登録した隼人さん。そこで出会った貴文さんは同世代だが2校の大学で学んだために職場デビューしたばかりで、仕事も私生活もてんてこ舞い…。すでに看護師としてキャリアを積んでいた隼人さんがサポートをするうちに、気の合う友人から恋人になった。
付き合って2年目の夏には沖縄でウエディングフォトを撮影。手先が器用な隼人さんは、当時海外のウエディングではやっていたお花の蝶ネクタイをお揃いで手作り♪「看護師という選択も良かったけれど、本当はファッションやアートに興味があったんです。でも両親から『男は手に職をつけて働け』と言われて看護師の道に進んだんですよね」と振り返る。
LGBTQ+フレンドリーなフォトグラファーに依頼した
沖縄のウエディングフォト
ふたりが好きな世界観を演出に取り入れた結婚式は大盛り上がり!
ウエディングフォトを撮った翌年、「結婚を証明するものがないから、ふたりが家族になることを周囲に報告しよう」と結婚式を挙げた。まずはゼクシィ相談カウンターを訪問し、理想のウエディングスタイルを伝え、LGBTQ+フレンドリーな会場の紹介を受けて、ゲスト80名に招待状を発送。
これまでふたりは自身のセクシュアリティーについて家族に話してこなかったけれど、結婚式を機にカミングアウトした。「両親は混乱し疎遠になった時期も。でも少しずつふたりのことを理解してくれて、最終的には結婚式も参列して祝ってくれました」(隼人さん)。
そして式から4年後、ようやく地元にもパートナーシップ・ファミリーシップ届出制度が誕生。ふたりは初日に申請をして、他3組のカップルと共に交付式にも出席した。
「自分たちはパートナーだという証明が一つ示せることは前進。同性カップルが異性カップルと同じように、社会で暮らせることへの第一歩だと思いました」(隼人さん)。「法的な課題は解決されていないものの、自治体が後押ししてくれるのは心強い。正直、パートナーシップのサービスは利用していないけれど“お守り”のような存在です」(貴文さん)。
子どもを迎えて、両家親と初お宮参りへ
式を挙げる前から「いつかふたりで子どもと暮らせたらいいね」と話していたふたり。何度も話し合い、子どもの権利を第一に考え抜き、時に悩み、長年にわたって自治体や法律の専門家に相談を重ねてきた。そして価値観が一致するレズビアンカップルから連絡をもらい、結果的に隼人さんの実子を授かることができた。出産前には子どもとの関係性をつくるため、隼人さんと貴文さんは養子縁組をする選択もした。
ただふたりが養子縁組をしても、実父である隼人さんに万一のことがあった場合、貴文さんが子どもを引き取ることは困難で子どもを守れない可能性がある。そこで未成年後見人となる公正証書も作成。「それでも100%安心ではないんです。今の制度では、同性カップルが子どもを育てることはかなりハードルが高い」と貴文さんは話す。
一方でファミリーシップの届け出も。法的効力はないものの、保育園の見学や入園の際に「ファミリーシップ届出受理証明カード」を見せるとスムーズに対応してもらえた。近所の親子教室も“ふたりパパ”を自然に受け入れてくれて、今も楽しく通っている。
子どもを迎え入れ「自分より大切な存在ができた」隼人さん。「これからも娘が安心していられる場所を作っていかなければいけない」と貴文さん。今ある制度を活用しながら道を切り開き、3人の家族の形を築いている。
制度が不十分な中、ふたりは長年にわたって悩み、法律の専門家と共に考え抜いた一つの選択として、養子縁組をして未成年後見人となる公正証書を作成しました。それは決して簡単なことではなく、膨大な時間と多額の費用を費やしています。子育てに奮闘するふたりは、「LGBTQ+当事者の可能性を広げたい」と願い、今の制度の中でできうることに挑戦を続けています。
構成・文/千谷文子 監修/松岡宗嗣 D/mashroom design
※1 パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度でできることは、自治体によって異なります
※LGBTQカップルへ向けた相談可能なスタイルは会場ごとに異なるため、予約時に希望を伝えて確認すると、より安心して式場探しを進められます
※掲載されている情報は2026年5月時点のものです