【LGBTQ+結婚式実例】同性カップルの会場・演出・おもてなしPart5
揺るぎない誓い、自由な発想から生まれる演出、心尽くしのおもてなし…。カップルの数だけスタイルがある、カラフルなLGBTQ+ウエディングをレポートします!今回は、キャンプ場に150名を招いた男性同士の結婚式です。型にはまらないアイデア満載のふたりのスタイルをチェックして!
揺るぎない誓い、自由な発想から生まれる演出、心尽くしのおもてなし…。カップルの数だけスタイルがある、カラフルなLGBTQ+ウエディングをレポートします!今回は、キャンプ場に150名を招いた男性同士の結婚式です。型にはまらないアイデア満載のふたりのスタイルをチェックして!
左:ソウタさん(32歳)
右:コウヘイさん(38歳)
舞台芸術を学ぶ大学で、研究室の助手と学生の間柄だった。付き合って別れて復縁し、6年間の遠距離恋愛も。心根が優しく聞き上手なコウヘイさん、歌やダンスが得意でストレートな物言いのソウタさんは、自分にない魅力に惹かれ合った。2024年にパートナーシップを結ぶ。コウヘイさんは大学に勤めながら俳優業を続け、後にキャンプ場に転職して野外体験の司会として活躍。ソウタさんはテーマパークの出演者を経て保育士に。結婚式には教え子たちも参列した。@bokurano_wedding
晩秋の森で開かれたアウトドアウエディング。
澄み渡る空気の中でふたりもゲストもみんなの表情が輝いた
ソウタさんのちょっとした興味から登録したアプリで、いつも顔を合わせていた大学の研究室のコウヘイさんとまさかのマッチング!今まで同性が恋愛対象だったかどうかもおぼろげなソウタさんだったが、運命を感じてお付き合いを始めた。
2年記念日にコウヘイさんから実家にプレゼントが届いたのを機に、ソウタさんは泣きながら母にカミングアウト。すると「もっと早く言えば良かったのに」と受け止めてくれた。それから別れたり復縁したり遠距離になったり転職したり。10年を迎え、ソウタさんから「そろそろ結婚式を挙げたいね」と提案をした。
ソウタさんの憧れはホテルの王道ウエディング。でも近隣ではLGBTQ+フレンドリーな会場を探せず、一方で予算の心配もあり。そこでキャンプ場を会場にして手づくりの結婚式を一からつくり上げることに。全国からやってくるゲストの宿泊施設があるのも魅力だった。
準備期間は約8カ月。エンターテインメントに携わってきたふたりらしく、みんなの力を借りて、みんなが楽しい結婚式を目指した。司会は俳優時代の仲間に、余興はテーマパーク時代の仲間や今の職場の人たちに依頼。料理もイタリアンを経営する大学の友人にオーダーした。迎えた当日。野外にしつらえたバージンロードに現れたのは、コンテンポラリーダンサーの“花の精”。続いてコウヘイさんも一緒に踊り出し、花の精からブートニアを授かって祭壇へ──。
友人と踊りながら挙式入場するコウヘイさん。
エンタメウエディングの始まり♪
母と入場し、胸元にブートニアを挿してもらったソウタさん。
母はほほ笑みながら少し涙ぐんでいた
高砂席に次々ゲストがやってきて記念撮影。
家族連れで参列してくれた人も
キャンプ場の工房で全員分の切り株プレートを作成した。
ふたりの名前と「ありがとう」を添えてギフトに
祭壇に並んだふたりは大好きな人たちが一堂に会して胸を熱くした。「時代時代で自分たちが悩んでいた時に支えてくれた人ばかり。感慨深かったです」(コウヘイさん)。それぞれの友人が誓いの言葉を投げ掛けるとゲストも大粒の涙。150名全員の顔写真を貼った相関図風の結婚証明書には、一人一人が結婚生活に大切なもの(愛情やご飯など)を選んでフィンガースタンプを。ふたりはパートナーシップ宣誓をして、今までの思い出もよみがえるような宝物の結婚証明書を披露した。
と、ここで閉式と思いきや。いきなり祭壇でどつき合いのけんか!ついには芸人さながら可愛くチュッとしてみんな大笑い。「人前でしたことがないし、男性同士の誓いのキスがみんなにどう映るか分からなかったのでコントに」。大盛り上がりの小粋な演出になった。
続くパーティもふたりらしく。ケーキではなくソウタさん大好物の白飯を大きく握って、食べさせ合いのセレモニー。誕生日を迎えたゲストには“お結びバイト”を。テーマパーク時代の仲間がパレードを始めると、それぞれの仕事仲間もフラッシュモブで踊り出して会場は一つに。特定のコミュニティーだけじゃなく全員で楽しむ仕掛けだった。
二次会でも数々のパフォーマンスが繰り広げられ、キャンプファイヤーも囲んで。8割のゲストがそのままキャンプ場に泊まり、愛いっぱいのふたりのウエディングの余韻に浸って、森の中で幸せな眠りについた。
フラッシュモブが始まると
ふたりも高砂席で踊り出してJUMP!
エネルギッシュなパフォーマンスにゲストもノリノリ。
写真を撮って、動画を回して、手拍子を送って
みんなが「懐かしい」と声を上げたキャンプファイヤー
「既にカミングアウトをしているゲストを招きましたが、僕は厳格な父には話していなくて。結婚式を挙げるなら、パートナーシップを結ぼう、その前に親に話さなければ…と。父には結婚式の招待状を渡して話しました。パートナーを紹介した時に、父が行きつけのスナックに連れていってくれてお酒を飲んだり歌ったり。以前にカミングアウトしていた母はなかなかわが子のこととして理解できない様子でしたが、式後の今では『あなたたちが幸せになるということをだいぶ飲み込めるようになってきた』と話してくれています。結婚式をきっかけに、段階を踏んでカミングアウトの輪っかが広がりました。過去の鎖みたいなものが一つずつ外れて、家族になるってこういうことなんだろうなという準備だったように思います」(コウヘイさん)
「結婚式でやりたいことが価値感も含めてなかなか相手に伝わらなくて…。手づくりウエディングならではの制作物の準備も大変でした」とソウタさん。一方、コウヘイさんは「キャンプ場の宿泊・送迎手配、事業者さんとの打ち合わせ、結婚式の予算の管理もてんてこ舞いでした」と振り返る。プロに頼らずに、全てをふたりでやりきることの大変さを痛感。スケジュールが迫って焦ったり、できていない・決まっていないことがあってけんかもちょくちょく勃発。「僕は意見がぶつかると黙っちゃうタイプなんですが、そこは気持ちを切り替えて。ふたりが目指しているのは“幸せな結婚式”なんだから逃げずに理解できるように話を聞こう、気分転換を一緒にしようという姿勢を心掛けました」(コウヘイさん)
料理はコースじゃなくちゃダメとか、結婚式のスタイルは決まっていると思い込んでいましたが、固定観念を外してふたりらしくプランニングすると違う世界が広がっていました。10年付き合ってきて、一つのことをふたりでこんなに頑張ったのは初めて。けんかしたこともうまくいったことも、全部がふたりの人生の大切な思い出に。皆さんの大好評もたくさん頂いて大きな喜びです。(ソウタさん)
【WEDDING DATA】
開催地:山梨県
会場タイプ:キャンプ場
挙式日:2025年11月2日
準備期間:約8 カ月
当日のふたりの呼び名:コウヘイさん&ソウタさん。ふたり一緒に呼ぶ場合は「新郎のおふたり」
ゲスト:家族・職場関係・友人(150名)
ふたりはキャンプ場を選んだけれど、美術館、水族館、公園、ビーチ、古民家、レンタルスペース、自宅etc.どこでもOK。「結婚式の会場はこういう所」という固定観念を取っ払ってイメージしてみて。フリープランナーなどプロの力を借りれば会場探しからサポートしてくれるし、準備もスムーズです。
構成・文/千谷文子 D/mashroom design
※掲載されている情報は2026年3月時点のものです