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お金・常識

籍を入れる結婚のメリットとは?法的権利や事実婚との違い

「籍を入れる」「籍を入れずに事実婚にする」…。大好きなパートナーとずっと一緒にいる方法も、昔と違って今はいろいろな形が世の中に受け入れられつつあります。だからこそ、ふたりが自分たちに合う選択をするために知っておきたい「法律婚」と「事実婚」のこと。それぞれの違いやメリット・デメリットを専門家の方に教えていただきました。

目次
今回教えていただいたのは…
原口未緒さん

原口未緒さん

弁護士

籍を入れる結婚とは?事実婚との違い

  • 籍を入れる結婚とは?事実婚との違い

「法律婚」と「事実婚」の違いとは、結婚式を挙げたかどうか、同居しているかどうか、結婚指輪をしているかどうかは関係なく、婚姻届を提出しているかどうかの違いです。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

婚姻届を提出し、籍を入れる「法律婚」

法律的には、ふたりが婚姻届を提出し籍を入れることで「婚姻関係」が成立します。このことを「法律婚」といいます。いわゆる一般的な結婚をしている状態。「籍を入れる」とは、婚姻届を提出して法律上の夫婦になることです。「法律婚」にすることで、法的に夫婦としての権利や義務が発生します。「法律婚」の中には、籍を入れて別々に暮らすという「別居婚」も含まれます。

籍を入れない「事実婚」

一方、「事実婚」は、籍を入れないで、夫婦と同じような共同生活を送る結婚の形です。内縁関係といわれるものも「事実婚」に当てはまります。「事実婚」として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。

・互いに婚姻の意思がある
・共同生活の実態がある
・事実婚を公的手続きにも表明している
・子どもがいる場合、子どもを認知している

「法律婚」と「事実婚」の違いについて、以下の表もご覧ください。

「法律婚」と「事実婚」の大きな違い

法律婚 事実婚
相続人の資格 死亡人の配偶者が相続人となる 相続するためには、生前贈与や遺贈が必要となる
嫡出子と非嫡出子 婚姻中に妻が妊娠して生まれた子どもは夫の子と推定される 夫の子として推定されず、認知が必要となる
親権 子どもの親権は、父母の共同親権となる 原則、母親の単独親権となり、父親が親権を得るためには手続きが必要となる
医療機関への入院・手術などの緊急対応(配偶者や子に対して) できる できない
原口未緒さん

ライフスタイルや経済状況の変化により、法律婚だけでなく事実婚や別居婚を選ぶ方も増えています。それぞれの形には法的面でも特徴があるため、安心して暮らすためにも正しい知識を持つことが大切です。(原口未緒さん)

それぞれの違いをまずは知ることが大切とのこと。ここから細かく一緒に見ていきましょう。

「法律婚」(籍を入れる結婚)のメリット

  • 籍を入れる「法律婚」のメリット

「法律婚」を選択すると、配偶者控除などの税制優遇や相続権などの権利・義務が生じます。この権利や義務が生活のさまざまなシーンで夫婦や家族を保護し、安定する役割を持っています。次から、少し細かく説明していきますね。

税制優遇が受けられる

配偶者控除や扶養控除、医療費控除の合算、さらに贈与税の配偶者控除など、税負担を軽減できる制度が利用できます。

社会保険・健康保険の扶養に入ることができる

年齢や年収など、諸条件を満たせば、配偶者の扶養に入り保険料の負担が軽くなり、医療費自己負担も抑えられます。

相続権がある

「法律婚」では、配偶者に法定相続人としての権利が認められ、遺産を受け継ぐことができます。

離婚時の法的保障がある

離婚する際には、財産分与や慰謝料請求の権利があり、生活を守る法的な枠組みが整っています。「事実婚」でも扶養に入っていた場合は年金分割ができますが、扶養に入っていない場合は年金分割ができません。

原口未緒さん

その他のメリットとして、住宅ローンを共同で組めたり、企業によっては家族手当が支給される場合もあります。また、法律婚をしていることで社会的な信用や精神的な安定、生活基盤の安心感にもつながります。(原口未緒さん)

「法律婚」(籍を入れる結婚)のデメリット

  • 「法律婚」のデメリット

一方で、「法律婚」の場合は婚姻届を提出するなどの手続きなどを面倒(デメリット)だと感じる人もいるかもしれません。その他、デメリットと感じられがちなこととは…

姓の変更が必要な場合がある

「法律婚」は夫婦同姓が原則のため、どちらかが姓を変更する必要があり、戸籍や各種手続きの負担が生じます。

親族関係が増え、親族との付き合いが生じることも

「法律婚」をすると互いの親族とも親族関係が生まれるため、親戚付き合いなど、新たな人間関係が増えることもあります。

もし離婚を選択する際は、手続きが煩雑で負担が大きいことも

離婚には協議・調停・裁判といった法的手続きが関わり、精神的・時間的に負担が大きくなることがあります。

「事実婚」のメリット

  • 「事実婚」のメリット

籍を入れないで、夫婦と同じような共同生活を送る「事実婚」とは、ふたりが単に同棲状態でいることとは異なり、婚姻の意思があり社会的に夫婦として認められている状態を指します。そんな「事実婚」のメリットとは…

姓を変える必要がない

どちらかの籍に入る必要がなく夫婦別姓のまま生活できるため、名前の変更による手続きや職場・社会での不便がなく過ごせます。

戸籍に記録が残らない

「事実婚」であれば、離婚した場合でも離婚歴などの記録が本人の戸籍に残りません。

親族付き合いの負担が少ないことも

法律上の親族関係がないため、親戚付き合いに縛られにくくなります。

ふたりの自由な関係が築ける

ふたりの結婚生活が法律に縛られないため、より自由で対等な関係を築きやすくなります。

原口未緒さん

「事実婚」でも、一定の要件を満たすことで、相手の健康保険や厚生年金には入れる場合があります。また、パートナーとの関係を解消する際に「法律婚」と同様に財産分与や慰謝料請求が認められます。(原口未緒さん)

「事実婚」のデメリット

  • 「事実婚」のデメリット

「事実婚」では「法律婚」と比べて不利益が生じることもあります。デメリットについても押さえておきましょう。

法定相続人としての相続権がない

遺言がなければ、相手の財産を相続できないため、生活の安定に不安が残ることがあります。

税制優遇が受けられない

配偶者控除や扶養控除など、税制上の優遇が受けられない可能性があります。

子どもが生まれた場合、立場が「非嫡出子」となる

「非嫡出子」とは、日本の法律上で婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことを指します。夫の子どもとして認められないため、親子関係を認めるためには「認知」の手続きが必要となります。「認知」されないと、法律上で父子関係が成立しないので、戸籍上父親の欄が空欄になる、父親の相続人になれないなどの不利益があります。

家族手当や慶弔金の対象外になることがある

勤務先によっては、福利厚生の家族向け制度が利用できないことがあります。

その他、賃貸契約や住宅ローン、病院での緊急対応など、公的な場面で「夫婦」として認められなかったり、共同ローンを組むことが難しいケースもあります。

どちらにするか迷ったけれど、
こちらを選んでよかった!

花嫁
迷ったけれど「法律婚」を選んでよかった

名字が変わることによって、さまざまな場面で名字変更の手続きに金額がかなりかかるのでちゅうちょしました。籍を入れたことで、結婚したことをより実感しました。(miiさん)

花嫁
迷ったけれど「法律婚」を選んでよかった

法律婚をしなくても幸せだし家族になれると感じていますが、将来的な社会保障や、万が一の時を考えて法律婚を選びました。法律的に認められていることで得られる安心感もあり、選んでよかったと思っています。(歩さん)

花嫁
迷ったけれど「事実婚」を選んでよかった

婚姻届という形式にかかわらず、それぞれの自由意思を尊重し事実婚を選びました。 税控除など、さまざまな観点で悩むこともありましたが、国籍が違うこともあり、現在は事実婚で落ち着いています。社会や世の中がどうであっても、ふたりの意見を尊重し決めたことだから後悔はありません。(A.Kさん)

花嫁
迷ったけれど「事実婚」を選んでよかった

仕事やアイデンティティーの一部になっている自分の名字を残したいと思っていました。法律婚をすると名字の変更がほぼ必須になるため、それを避けたい思いが強かったんです。「名字を変えるのは仕方ない」「周りに合わせなきゃ」というプレッシャーから解放されただけではなく、制度や常識に縛られずに自分の納得感を優先できたことで、心に余裕が生まれました。(わんこさん)

「事実婚」を選ぶならしておいた方がよい手続きについて

ふたりが「事実婚」を選ぶとしたら、そのメリットを受けつつも「法律婚」で得ることができる権利や保証などを補うことで、将来の不安やトラブルをわずかでも少なくすることができます。

その代表的な手続きは、
◆住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」に変更する
◆事実婚契約書を作成する
◆遺言書を作成する(特に財産相続について)
◆生命保険の受取人をパートナーに指定する
◆パートナーシップ制度を利用する


などが。これらの手続きは、専門家(弁護士、行政書士、司法書士など)に相談しながら進めることをおすすめします。(原口未緒さん)

From編集部

それぞれのメリットやデメリットを知って、ふたりに最適の選択をしてね

「法律婚」も「事実婚」も、それぞれによいところ(メリット)とちょっと大変なところ(デメリット)があります。大切なのは“ふたりにとって心地いい形”が何かを話し合って、選ぶこと。これからの暮らしや大切にしたい価値観をふたりで擦り合わせながら、納得のいく選択をしていってください。結婚の形にとらわれ過ぎずに、ふたりらしい幸せを見つけてくださいね。

構成・文/RIE☆ イラスト/ふち
※記事内のデータおよびコメントは2025年8月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー73人が回答したアンケートならびに、過去2年以内にパートナーと「法律婚」「別居婚」「事実婚」いずれかの状態になった女性200人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです

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