
「先負」ってどんな日? 結婚式や入籍をしてもいい日なの?
皆さん「先負」って聞いたことありますか?一日の「縁起の良しあし」を判断する六輝(六曜)の一つなのですが、「負」という字面から「この日に結婚式や入籍をしてもいいんだろうか?」「そもそもの意味は何だろう?」と気になりますよね。この記事では「先負」について徹底解説。
INDEX
先負ってどんな日?読み方は?
先手を打とうとすると負ける日。午後はいいけれど、午前中は良くない
【先負の意味は?】
「先んずれば負ける」という意味があり、何事も慌てたり、急いだりせず、穏やかな心で、物静かに過ごすのが良いといわれる日です。
一日の中では「万事朝より昼まで悪し。昼過ぎより日暮れまでは障りなし」といわれ、同じことをするにしても、午前中に行うのは良くないけれど、午後なら良いといわれます。
なお、午前と午後の境目は12時ですが、六輝においては14時とする説も。その場合、14時までが凶で、14時過ぎが吉の時間帯になります。
また、凶の時間は午前0時から正午まで、吉の時間は正午から24時までとする説と、凶の時間は日の出から正午まで、吉の時間は正午から日没までとする説もあります。
【先負の読み方は?】
「先負」という言葉自体は江戸末期に生まれ、「せんまけ」と呼ばれました。「せんぷ」「せんぶ」「さきまけ」という読み方もあります。
先負の日に避けた方がいいことは?
結婚式や入籍はしていい?
先負の日に避けた方がいいのは「争い事」「勝負事」「急用」
「負け」を忌む日なので、訴訟やコンペティション、ギャンブルなどの争い事、勝負事は避けた方がいいといわれます。
急の用事も避けた方がいいのですが、午後は運勢が良くなるので、行うなら午後に。
縁起を担ぎたい人は午後の結婚式が◎
「負」という漢字が入ることから、ネガティブなイメージがして、「縁起が良くないのでは?」「結婚式や婚姻届提出などのお祝い事には向かないのでは?」と思う人もいるようですが、これは間違い。
結婚式も婚姻届提出も争い事や勝負事ではないので、先負に行っていいのです。ただし、先にも述べたように、午前中は凶の時間帯なので、運勢が気になるなら、挙式も披露宴も吉の時間帯に。逆に言うと、午後の結婚式、婚姻届の午後提出は縁起がいいと考えてよし。
六輝(六曜)ではイマイチな先負。
結婚式は大安や友引の方がよくない?
先負の日の結婚式は問題ないとはいえ、六輝(六曜)の中で比較すると、大安、友引、先勝の方が縁起が良く、先負は4番目。悩む人も多いでしょう。
六輝(六曜)は日々の吉凶を占うものとしてとてもポピュラーですが、その由来は中国の占い。実は仏教や神道とも関係なく、信ぴょう性は低いと考えられています。明治初期には「でたらめで、よりどころがない」という理由で禁止された時代も。
そんなこともあって「六輝(六曜)を全く気にしない」「キリスト教式や神前式で行うなら関係ない」という人もいれば、「結婚式は特別なことだから、六輝(六曜)を見て日取りを選びたい」という人も。
式の日取りを決めるにあたっては「自分たちや親・親族、ゲストの都合」「ふたりの思い」「会場の空き状況」など、さまざまなことが関係します。「縁起を担ぐ・担がない」「六輝(六曜)を日取り決めの参考にする・しない。する場合、どの程度か」を考えて日にちを決めましょう。
【タイプ別】先負の日に結婚式をする?しない?の考え方
●「六輝(六曜)の中で一番縁起のいい日にしたい」という人は大安に
●「できるだけ縁起のいい日が良い」という人は大安か友引に
●「仏滅でなければいい」という考えなら、先負の日も候補に
●「先負でいいけれど、凶の時間帯が気になる」という人は挙式開始を午後に
●「縁起は担がない」「六輝(六曜)は気にしない」という人は好きな日、好きな時間に
この後、結婚式や婚姻届提出などを先負の日に行った卒花の実例を紹介するので、それも参考に。
同じ「先負」の日でも「天赦日」と重なれば大安以上のめでたさ
六輝(六曜)以外にも「選日」や「暦注下段」など縁起の良しあしを占う方法があります。特に良い日は1年に5~6日しかなくて、大安よりも良いといわれる「天赦日」。この日はどんな凶も打ち消すので、先負と天赦日が重なったら一日中縁起のいい日になります。
また慶事全般において「大吉」で、「新しいことを始めるのにふさわしい」といわれる「一粒万倍日」や「甲子」、「天の恩恵を受けられる」といわれる「天恩日」、「天が人を慈しむ」といわれる「母倉日」、挙式に良い「神吉日」、満月や新月の日と重なる日もおすすめ。もし日取りの選択肢がたくさんあったら、これらの「吉の日」と重なる日を選んで、運勢をアップさせるのもいいですね。
先負の日に挙式した人はどのくらいいる?
みんな六輝(六曜)を気にした?
今回のアンケートで「先負」の日に挙式した人は17.2 %。なんと、「勝」という文字も入って先負より印象がいい「先勝」と同率、「縁起がいい日」といわれる「友引」ともそんなに差がありませんでした。意外と多いのではないでしょうか?
【先負の日に挙式した人たちは六輝(六曜)を気にした?】
●1位:「仏滅」は避けようと思った……「仏滅のみ良くない印象があったので」
●2位:できるだけ縁起のいい日が良かった……「大安か友引が良いと思っていた」「特別な日なので、最初は大安一択で考えていた」
●3位:気にしなかった……「六輝(六曜)より3連休の中日であることを重視」「海外挙式で、現地と日本時間で1日ずれるので、気にしないことにした」
●4位:親が気にしたので、六輝(六曜)をチェックした……「私たちは気にしなかったが、両家の親が仏滅以外を希望」「母に『何かあった時に六曜(六曜)が悪いせいだと言われないようにして』と言われて」
先負の日にした人には、六輝(六曜)を気にしても「仏滅以外で」と考える人たちが多いよう。会場選びで出遅れて、あるいは急きょ結婚式を挙げることになり、「大安・友引はもう空いていなくて、仏滅以外で良い日を探したら、先負の日しかなかった」というケースも多い。
挙式開始時間を決めるのに、
先負の凶の時間帯を避けた?
「先負」の日に結婚式をした人に挙式開始時間を聞いたところ、午前より午後の方が多いという結果に(ここでは午前と午後の境目を12時として調査)。午後にした人のうち「先負の凶の時間帯を避けて午後にした人」は4割弱でした。
凶の時間帯は友引や先勝、赤口にもあるのですが、一日の吉凶まで気にして時間を決めた人は先負に挙式した人に断然多いのです。他の六輝(六曜)と比べて「先負」は意味が分かりやすいからでしょうか。一方、午前開始にした人のほとんどが凶の時間帯を気にしていませんでした。
【挙式開始時間帯別】その時間にした理由
●午前挙式開始……4割程度は「会場の空きの関係で」。残りの6割は「披露宴がランチタイムになるように」「式場勤務の友人に朝一の挙式が一番時間のずれがなくて良いと聞いたから」など個々の考えに基づいたものか「理由もなく」
●午後挙式開始……4割弱が「先負の凶の時間帯である午前を避けて」、残りの6割強がその他の理由で、「会場の空きの関係で」「遠方の人が日帰りしやすいように」「朝バタバタしたくなかった」「時間を空けずに二次会に移りたかった」「夕景から夜景に変わる景色も楽しめるから」など
私も先負の日に挙式しました

【ゲストのことを最優先で考えた】
遠方から来る方が翌日ゆっくりできるように土曜か祝前日を希望。3月で空いていたのが先負の日の12時挙式開始でした。大安や友引もいいけれど、先負でも午後なら吉。他の挙式とのかぶりもなく、留袖やモーニングを着る親たちも都合が良かったよう。(小田巻さん)

【親の気持ちを考えて仏滅以外に】
私たちは縁起なんて気にしないタイプですが、婚姻届を仏滅の日に出したことを親が気にしたので、結婚式は互いの誕生月の土日で仏滅以外の日にしました。先負なので、午後が良かったのですが、空いてなかったので10時挙式開始に。それでも仏滅よりは良かった。(Bellさん)

【一日の流れを考えて12時開始に】
挙式開始を12時にしてアペリティフパーティ、披露宴、アフターパーティという日程に。六輝(六曜)を気にしない私たちにとって先負の日の午後になったのは結果論ですが、祖母から「先負だから午後なのね」と言われ、気にする人もいることにびっくり。(Karenさん)
先負の日に入籍した人はどのくらい?
凶の時間帯を避けて提出した?
【先負の日に入籍した人の割合】
実は挙式日よりも「結婚記念日」となる婚姻届提出日のお日柄を気にした人が多く、大安や友引にした人の数も挙式日より婚姻届提出日の方が多いのです。そのしわ寄せなのか、先負に提出した人は8.8%と少なめ。
先負の日にした人の4分の3が「六輝(六曜)は気にしなかった」。そのため、選んだ日がたまたま先負だったというケースも多数。
【婚姻届を提出した時間】
午前が4割、午後が6割。午後にした人には「先負だから、午後の方が良いと思って」と答えた人もいるのですが、「仕事の昼休みに提出」「仕事帰りに提出」「午前中は用事があったから」など他の理由の方が断然多い。
午前にした人の理由は「朝一の混んでいない時間が良かった」「結婚にまつわる手続きを一日で終わらせたくて」「午後に用事や仕事があったので」など。やはり多くの人が凶の時間まで気にせず提出。
私も先負の日に入籍しました

【私の誕生日で一粒万倍日】
最初は大安が良いと思いましたが、ふたりが出会った日でもある私の誕生日を婚姻届提出日に。六輝(六曜)は先負だったけど、一粒万倍日!当日は昼食の後に行きたかったので、午後提出。(かほさん)
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【毎年祝日になる日に入籍】
元々「婚姻届提出日も結婚式も仏滅でなければ」という考えでした。それより毎年休みになる祝日であることを優先。先負の凶の時間帯は意識して提出は午後に。(かえるさん)

【その年の「いい夫婦の日」が先負だった】
「いい夫婦の日」を結婚記念日にしたくて、六輝(六曜)は調べずに提出。この日に提出する人が多いと聞いて、朝一に役所に行きました。彼の実家は六輝(六曜)を気にしていたので、結婚式は大安に。(なーなさん)

【毎年変わる六輝(六曜)より日にちを重視】
正直、六輝(六曜)はどうてもよく、交際記念日に婚姻届を提出。結婚記念日はこれから先ずっと大事にしたい日なので、毎年変わる六輝(六曜)より「日にち」を重視した方がいいと思いました。(みみみのみ~さん)
先負の日に両家顔合わせ食事会や
結納を行った人はどのくらいいる?
【先負の日に両家顔合わせ食事会や結納を行った人の割合】
両家顔合わせ食事会や結納は結婚式や婚姻届提出と同様、おめでたいこと。そのため、六輝(六曜)を重視して、大安や友引を選ぶ人が多いのです。先負の日にした人は約10%で、ほとんどが「六輝(六曜)を気にしなかった」。
【食事会や結納のスタート時間】
両家顔合わせや結納はランチタイムに合わせて行う人が多く、開始時間は11時~12時30分の間に集中。早めにすると先負の凶である午前にかかってしまいますが、吉凶の時間まで気にして決める人はほぼなく、お店の開店時間やふたり、親の都合などから相談して決めている様子。
毎日の六輝(六曜)はここでチェック
「縁起のいい日カレンダー」リンク集
先負以外の六輝(六曜)は?
六輝(六曜)には友引の他、以下の5つがあります。
●大安(たいあん・だいあん)
「大いに安し」「大いに安らか」で終日安泰な良き日。六輝(六曜)の中では一番縁起がいい。どんなことも積極的に進めてよく、結婚式や両家顔合わせ食事会、結納、引っ越し、婚姻届提出、ハネムーン出発にもおすすめ。
●友引(ともびき・ゆういん)
「友を引く」「友にまで及ぶ」といわれ、葬儀には向かないが、慶事は「幸せのお裾分け」となる良い日であり、大安の次に人気がある。ただし、11~13時は凶で、それ以外が吉。気になる場合は挙式開始や婚姻届提出を凶の時間以外に。
●先勝(せんかち・せんしょう・せんがち)
「先んずれば勝つ」で午前が吉、午後が凶の日。早い時間に行動すると幸運が舞い込んでくるといわれます。大安、友引の次に良い日ですが、縁起を担ぐなら結婚式は午前開始、婚姻届は午前中に提出を。
●赤口(しゃっこう・しゃっく・じゃっこう)
赤が火や血を連想することから「支障が起こりやすく、お祝い事は慎んだ方がいい」といわれますが、11~13時は吉なので、この時間帯に婚姻届を出したり、挙式を始めるのは良い。
●仏滅(ぶつめつ)
終日凶であらゆることを控えた方がいいといわれる日。「物がいったん滅び、新たに物事が始まる日なので、午後は良い」という捉え方もあり、費用がリーズナブルなど他のメリットをとって仏滅に挙式する人も。
六輝(六曜)に関してはこの記事もチェック!
From 編集部
六輝(六曜)も含めて日取りの条件を挙げ、優先順位を決めましょう
六輝(六曜)は吉凶を判断する考え方の一つである以上、「吉だからOK」「凶だからNG」というわけではありません。先負は午前の縁起が良くない日ですが、気にする・しないは個々の判断。いざ結婚式や婚姻届提出日などの日取りや時間を決める時は、六輝(六曜)以外の日取り選びの条件も挙げ、「六輝(六曜)」の条件と合わせて優先順位を決めましょう。そうすると、納得のいく日取りが選べます。
構成・文/渡邊博美 イラスト/田中麻里子
※記事内のデータおよびコメントは2025年2月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー189人が回答したアンケートならびに2年以内に結婚式を挙げた20~40歳の女性110人が回答した「マクロミル調査」によるものです
※「入籍」はすでにある戸籍に入ることです。しかし本記事では便宜上、結婚を入籍と表現しています
※掲載されている情報は2025年4月時点のものです
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