【連載】立原綾乃のOne&OnlyウエディングVol.2「いつか戻って来られる場所で<後編>」
結婚式には大切にしたいことがいろいろあります。「テーマを決めること」もその一つ。テーマといっても色や形といった目に見えるものだけでなく、「想いの込め方」が鍵なのです。数々の花嫁の想いを形にしてきた、立原綾乃さんが手掛ける素敵なウエディングの実例・第2回目の今回は、「戻って来られる場所」をテーマにハワイで式を挙げたカップルの後編です。
母への想いを込めて挙式に臨むHanayoさん
お母さまの手でベールダウンをした後は、いよいよ挙式の始まりです。「バージンロードを母と歩きたかった」というHanayoさん。20歳のころにお父さまを亡くされていることもあり、お母さまとの絆はとても強いものがあるように思いました。
ちなみにオープンエアのスペースを彩るのは、Hanayoさんの夢でもあったお花のバージンロード。ウクレレの音色と高原にそよぐ優しい風が、母娘を祝福してくれました。
今回のカップル「Manabuさん&Hanayoさん」
Manabuさんと、人気ネイルアーティスト「Hana4さん」として活躍中のHanayoさんは同じ大学の同級生。2年半前に再会し、今回「この先も何度も戻って来られる場所・ハワイ」で、家族や仲のよい友人たちに見守られながら式を挙げた。
会場/ハワイ・オアフ島 Sunset Ranch(サンセットランチ)
http://sunsetranchhawaii.jp/
「自分たちの言葉で誓うこと」。それもふたりのテーマの一つ
ふたりが何より大事にしたかったのは挙式。実際にふたりが考えた「誓いの言葉」はとても感動的でした。その中で、私自身、ハッと気付かされたことがあります。「晴れの日もあると思うし、雨の日もあると思う。岩場みたいな場所も土がぬかるんでいる所を歩くこともあるだろうけど、これからもよろしく。愛してるよ」というManabuさんの言葉です。実はこれ、式直前にふたりが体験したことだったから。外はあいにくの雨模様で実際に足元がぬかるんでいて、「岩場」というのも、おそらく先ほどまで撮影していたビーチのことでしょう。
こうやって、式当日に感じたことを誓いの言葉にできるなんて素晴らしいと思いませんか? 日本語が分からないはずのアメリカのご友人が、一生懸命に誓うふたりのそばで涙ぐむ様子を目の当たりにし、この挙式がどんな意味をもたらしてくれたのかを再認識することができました。
ワンポイントadvice「誓いの言葉にその場の想いを盛り込むこと」
心を込めて考えた言葉をきちんと語ることも大切ですが、「今感じている想い」をそのまま誓いの言葉にしてもいいんじゃないかなと思います。今日を迎えた感動が本当のふたりの誓いとなるから、そばで見守っているゲストの胸にもじーんと響くのではないでしょうか。
雨が降る中、外に出る決断をしたふたりにミラクルが!
朝から降り続いている雨は、挙式が終わってもなかなかやむ気配を見せません。そこで私はふたりに決断してもらうことにしました。「まだ少し雨が降っているけど、予定通り外に出てフラワーシャワーをする? それともやむまで待ってみる?」。私が決めることもできましたが、そうするとふたりが後悔するかもしれません。でも自分で決断したことなら、どんな状況でも納得できますよね。
そして天が祈りに応えるかのように小降りになったとき、ふたりは外でフラワーシャワーをすることを選びました。もちろんふたりのために集まってくれたゲストですから、困った顔をする人は誰もいません。花びらが空を舞ったその瞬間、振り返ったみんなの目に飛び込んできたのは、大きく優しく空いっぱいに描かれた虹でした! まさにミラクル。神の祝福ですね。
ワンポイントadvice「決断はふたりを強くする!」
結婚式は決断の連続! テーマを決めるのもそうですが、準備中や今回のように式当日に何かを決断する場面が出てくることもあります。これから先の長い人生も、幾度となくふたりで何かを決めていかなくてはいけませんよね。そんな中、「今考えられるベストの選択ができた」という自信がふたりを強くするんです。
ケーキカット&乾杯でゲストをおもてなし
帰国後に大きなパーティを予定しているため、現地では挙式のみ。それでも来てくれたゲストを精いっぱいおもてなししたいというふたりの気持ちを酌み、ケーキカットをして、みんなに振る舞うことにしました。グラスを片手にゲスト同士も和気あいあいのいいムード。ふたりからゲストに、サプライズで歌とフラダンスのプレゼントも。「こんな感動の連続の結婚式は初めてだった」と皆さん口々におっしゃっていて、私も嬉しい気持ちになりました。
ワンポイントadvice「パーティなしでも感謝は伝えられる」
予算など、さまざまな事情でパーティを諦めようと思っている人はいませんか? もちろん簡単でもいいので会食の場を設けられたらいいのですが、このふたりのようにケーキカットと乾杯というスタイルでも、十分におもてなしの気持ちは伝えられます。ぜひプランナーさんに相談してみてくださいね。
From綾乃『テーマがぶれなければどんな状況でも感動できるもの』
前・後編と続いたManabuさん&Hanayoさんのウエディング、いかがでしたか? テーマである「戻って来られる場所」と「自分たちの言葉で誓うこと」。一見、あいにくと思われがちな空模様でも、その日にはその日にしかないストーリーが生まれます。そしてふたりがきちんと決断し、納得して式に臨んだことで、素晴らしい一日を過ごすことができました。
結婚式はふたりのもの。多少のアクシデントがあっても、大事にしたいテーマさえぶれなければ想像以上の感動を味わうことができるはずです。
立原綾乃 TRUEwedding代表/ディレクター
「結婚式という時間そのものをデザインする」という新しい発想で、日本のウエディングデザイナー第一人者として活動。特定の会場を持たず軽井沢・ハワイに特化した1日1組のオーダーメイドウェディングプロデュース「TRUEwedding」を手掛ける。
相手の想いを形にする抜群のセンスと彼女にしかつくれない温かな時間は、ウエディングにとどまらず、ライフスタイルにおいても多くの女性から支持されている。
著書に『立原綾乃の手作りウエディングBOOK』
TRUEwedding TEL03-6450-6363(11:00~19:00)
http://truewedding.jp/
企画・監修・写真提供/立原綾乃 構成・文/南 慈子
※掲載されている情報は2016年12月時点のものです
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