【連載】立原綾乃のOne&OnlyウエディングVol.1「いつか戻って来られる場所で<前編>」
結婚式には大切にしたいことがいろいろあります。「テーマを決めること」もその一つ。テーマといっても色や形といった目に見えるものだけでなく、「想いの込め方」が鍵なのです。そこで、数々の花嫁の想いを形にしてきた立原綾乃さんが手掛ける、素敵なウエディングの実例を、これから全24回にわたってご紹介します。花嫁の想いとそれを実現させた綾乃さんの、とっておきのアイデアやテーマづくりをぜひご参考に。
Manabuさん&Hanayoさんのテーマは「戻って来られる場所」
今回ご紹介するのは、Manabuさん&Hanayoさん(人気ネイルアーティストHana4さん)のウエディングです。私のアトリエを訪れたとき、Hanayoさんにはどうしても叶えたい夢がありました。それはハワイで結婚式を行うこと。実はハワイはHanayoさんのご両親がかつて式を挙げた場所で、家族の心のよりどころなんだそう。「母や、今は亡き父の思い出が詰まったハワイ。私たちだけでなく、いつか子どもが生まれても戻って来られる場所だと思うから」と、その理由を教えてくれたHanayoさん。そんなストーリーそのものをテーマにして、ふたりの結婚式の準備がスタートしました。
(1枚目)ガーデンの木を飾るフラワーシャンデリアの前で。この地が「ふたりがまた戻って戻って来られる場所」に
(2枚目)ふたりの言葉で誓い合う。「挙式」はふたりが最も大事にしたかったこと
(3枚目)はるばる駆け付けてくれたブライズメイド。ゲストとも想いを共有
今回のカップル「Manabuさん&Hanayoさん」
Manabuさんと、人気ネイルアーティスト「Hana4さん」として活躍中のHanayoさんは同じ大学の同級生。2年半前に再会し、今回「この先も何度も戻って来られる場所・ハワイ」で、家族や仲のよい友人たちに見守られながら式を挙げた。
会場/ハワイ・オアフ島 Sunset Ranch(サンセットランチ)
http://sunsetranchhawaii.jp/
テーマに合わせて選んだ会場は「庭のある邸宅」
当初Hanayoさんは、ご両親ゆかりの教会が現在ウエディングを受け付けていないことを知り、現地のゲストハウスをいくつか検討している最中でした。ただ、どこも「何か違う」と悩みながら私のアトリエを訪ねてくれたのです。
まずはふたりの話を聞きながら、「どうしても自分たちの言葉で誓いたい」という強い想いを知りました。さらにHanayoさんから見せてもらったお気に入りのイメージ画像の中には、フラワーシャンデリア(上からつるすお花の装飾)や、花びらをまいたグリーンのバージンロードがたくさん。そこで私が提案したのは、広い草原が広がる邸宅「Sunset Ranch(サンセットランチ)」でのウエディングでした。
また、帰国後は東京で大規模なパーティを予定していることもあり、ハワイでは挙式のみを希望。ただし来てくれた人たちに感謝を伝える場も設けたいということで、式後に乾杯とケーキカットのセレモニーを取り入れることにしました。
ワンポイントadvice「想いを集めて紡ぐこと」
ウエディングを準備する上で、「ふたりが大切にしているもの」や「ふたりならではの何か」を考えることはとても大事です。最初はぼんやりした想いのかけらでもいいので、それらを集めて少しずつ整理していけば、テーマや場所、やりたいことがきっと見つかるはずです。
「ふたりならでは」を盛り込んだファーストミート
Hanayoさんが叶えたかったことの中にビーチでの撮影があります。せっかくハワイまで来たのですから、これは当然ですよね。ドレス姿の花嫁と新郎が初めて顔を合わせる「ファーストミート」もビーチで行うことにしたのですが、私からふたりへもう一つプレゼントを用意しました。それは花嫁が持つブーケを新郎から手渡してもらうということ。
これはふたりのエピソードを聞く中でひらめいたことです。実は普段から、ManabuさんはよくHanayoさんに花束を贈っていらっしゃるようで、「ならばブーケも彼から手渡してもらいましょう!」と思い立ったわけです。素敵なサプライズにHanayoさんもジーン。ファーストミートがさらに感動的で思い出深い瞬間になりました。
(1枚目)いよいよ感動のファーストミート。新郎の手にはHanayoさんに贈るブーケが
(2枚目)Hanayoさんは人気ネイルアーティスト。この日のネイルももちろん自分で
(3枚目)Manabuさんが着ているのは、花嫁の祖父から借りたタキシード。「彼女のおじいさまが大切にされていたもの。ぜひこれを着て式を挙げたいと思いました」と新郎。新しい家族の絆はこんなところにも
ワンポイントadvice「ふたりの思い出を掘り起こして」
ふたりの思い出や約束、出会ってから今までに感じた「嬉しかったこと」などをじっくり掘り起こしてみましょう。そして見つけた「ふたりだけの何か」をさりげなく結婚式に取り入れたら、テーマにふたりらしさが増すんです。例えばそれが、みんな行うようなポピュラーな演出でも、きっと特別なものになるはずです。
ゲストと想いを共有することも大事なテーマ
ふたりを祝福するために駆け付けてくれたゲストは親族・友人合わせて約20名。日本だけでなく、はるばるアメリカ本土から出席してくれた友人もいました。ふたりのテーマである「戻って来られる場所」をゲストとも共有できたら、こんなに幸せなことはありません。
遠く離れた場所でウエディングを楽しむことは、ふたりだけでなく、ゲストにとってもそうめったに経験できない特別な思い出。ウエルカムドリンクや自らデザインしたオリジナルのギフトもちゃんと用意して、心からの歓迎と感謝を伝えました。
(1枚目)ウエルカムコーナーには気軽に飲めるドリンクを、ディスプレーを兼ねて用意
(2枚目)ゲストと笑顔でおしゃべりするHanayoさん。一人一人に感謝を伝える
(3枚目)フラワーシャワー用のコーンは、Hanayoさんのネイルデザインをパッケージに取り入れたもの
From綾乃『ふたりにとってのベストな場所=みんなが笑顔になれる場所』
数ある会場の中から、ふたりにぴったりの場所を選ぶのは意外と難しいですよね。ステンドグラスやバンケットから見える景色など、気になるポイントはいろいろあるけれど、覚えていてほしいのは、「ふたりにとってベストな場所=みんなが笑顔で集まれる場所」であるということ。テーマと共に選んだ会場なら、その想いを一緒に分かち合ってもらえることでしょう。
次回はいよいよふたりのハワイ挙式の後半です。アフターセレモニーではちょっとしたミラクルも起こりますよ。ぜひお楽しみに。
立原綾乃 TRUEwedding代表/ディレクター
「結婚式という時間そのものをデザインする」という新しい発想で、日本のウエディングデザイナー第一人者として活動。特定の会場を持たず軽井沢・ハワイに特化した1日1組のオーダーメイドウェディングプロデュース「TRUEwedding」を手掛ける。
相手の想いを形にする抜群のセンスと彼女にしかつくれない温かな時間は、ウエディングにとどまらず、ライフスタイルにおいても多くの女性から支持されている。
著書に『立原綾乃の手作りウエディングBOOK』
TRUEwedding TEL03-6450-6363(11:00~19:00)
http://truewedding.jp/
企画・監修・写真提供/立原綾乃 構成・文/南 慈子
※掲載されている情報は2016年12月時点のものです
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