結婚式の誓いの言葉「健やかなる時も病める時も」に込められた意味
キリスト教式で耳にする「健やかなる時も、病める時も…」という誓いの言葉。誰もが一度は聞いたことがあるフレーズですが、その意味や役割まで知っている人は意外と少ないかもしれません。今回は結婚式の現場で司式者として活躍中の牧師先生に直接インタビューして、誓いの言葉に込められた意味や、その意義について伺いました。
キリスト教式で耳にする「健やかなる時も、病める時も…」という誓いの言葉。誰もが一度は聞いたことがあるフレーズですが、その意味や役割まで知っている人は意外と少ないかもしれません。今回は結婚式の現場で司式者として活躍中の牧師先生に直接インタビューして、誓いの言葉に込められた意味や、その意義について伺いました。
ステファン・ラブロ
牧師
2002年より宣教師としての活動をスタートし、2004年以降は、アニヴェルセル各会場にて数多くの挙式の司式を担当。現在は目黒区碑文谷のCHRIST CHURCH TOKYOにて副牧師を務める。儀式の本質や大切さを重んじ、新郎新婦一組一組に真摯(しんし)に向き合いながら、心に寄り添う温かな司式を行っている。
「誓いの言葉は、単に“好きだから一緒にいる”という気持ちを確認するものではなく、決意を表明する特別な瞬間です。牧師が神様の前で問いかけ、新郎新婦がはっきりと答えることで、自分自身の“心の印”となり、神様とそこにいる全ての人に対して、ふたりの真心や覚悟がしっかりと伝わります。(ステファン牧師)」
「挙式における誓いの言葉には次の大切な役割があります。
・神様からの祝福を授かる
ふたりの『誓います』という言葉を通じて、神様からの祝福が注がれます。
・温かな絆の始まり
新郎新婦、神様、参列者が一体となることで新しい“絆”が生まれます。
・決意の表明
ふたりが心からの決意を公に表明することで、周囲からの承認と祝福を確かなものにします。
(ステファン牧師)」
誓いの言葉とは、ふたりの心からの思いと決意を、神様や参列者の前でしっかりと表明するもの。その誓いによって祝福を受け、夫婦としての「温かな絆の始まり」を形づくる、大切な役割を担っています。
誓いの言葉には基本の形がありますが、実は牧師によって表現やニュアンスが少しずつ異なります。ここでは、ステファン牧師の誓いの言葉をご紹介します。
「新郎〇〇さん、あなたはこの女性を妻とし、
神の定めに従って夫婦となろうとしています。
あなたは、健やかな時も病む時も、
この人を愛し、敬い、慰め、助け、
命の限り、真心を尽くすことを誓いますか。
新婦〇〇さん、あなたはこの男性を夫とし、
神の定めに従って夫婦となろうとしています。
あなたは、健やかな時も病む時も、
この人を愛し、敬い、慰め、助け、
命の限り、真心を尽くすことを誓いますか」
このように誓いの言葉は、ふたりがこれからどんな夫婦でありたいか、その本質を丁寧に言葉にしたものなのです。
キリスト教式の中では必ず耳にするフレーズですが、「誰かの言葉」ではなく「自分たちの約束」として受け止め、一つ一つをかみ締めることが大切です。
「チャペルという慣れない雰囲気の中で、おふたりはとても緊張されています。だからこそ私は、あえて笑顔でおふたりに向き合うようにしています。そうすることで、温かく穏やかで、真心のこもった式になるんです。(ステファン牧師)」
緊張しすぎてしまうと、大切な瞬間の記憶があいまいになってしまうことも。少し肩の力を抜いて、ふたりで過ごす特別な時間を楽しむ気持ちで臨んでみてください。
誓いの言葉を通して結婚の実感が一層深まり、その言葉の重みを強く感じました。式後はほっとすると同時に、これからの結婚生活が楽しみに。(ちゃんさん)
よく耳にする誓いの言葉も、自分たちのこととして受け止めると、これからの夫婦生活で大切にしたい思いが詰まっていると実感。けんかをしても、あの日の気持ちに立ち返れる大切な記憶になりました。(ナッツさん)
普段はなかなか口にしない言葉を、厳かな空間で交わすことで、特別で神聖な時間に。一つ一つの言葉に重みを感じ、「結婚するんだ」という実感が一気に湧きました。(minaさん)
「プロテスタントの考え方では、結婚式は“聖礼典(洗礼などの神聖な儀式)”ではなく、“公の表明によって神様と参列者からの祝福を求める儀式”と捉えられています。そのため、普段教会に通っていない方であっても、結婚という新たな門出に際して神様の祝福を受けることが可能です。また、誓いの言葉を述べることで、そこにいる全ての人がふたりの“証人”となり、将来にわたって支えていく基盤が築かれます。(ステファン牧師)」
誓いの言葉を交わすことで、ふたりにとっては決意を表明する場に、そしてゲストにとってはその約束を見届け、承認する大切な瞬間となります。
[カトリック教会で挙式をする場合]
カトリック教会での挙式は、原則として新郎新婦のいずれか、もしくは両者が信者である必要があります。信者でない場合は、事前に結婚講座の受講が求められます。
[司式者の呼び名]
教派によって呼び名が異なります。
カトリック:神父
プロテスタント:牧師
牧師の視点から見ると、結婚式はキリスト教の教えという「種」をまく、大切なきっかけでもあります。
「私たちが神様の言葉をお伝えしても、それがいつ芽を出すかはその方次第です。それでも牧師は“神様のしもべ”として、年齢や国籍を問わず、全ての人にその素晴らしさを伝える責任があると考えています。(ステファン牧師)」
ステファン牧師にとって、同じ結婚式は一つとしてありません。誓約やウエディングキスといった緊張の場面を終え、署名の際に「おめでとうございます」と声をかけた時に見せるふたりのほっとした表情や、心からの「ありがとうございます」という言葉は、特に印象に残る瞬間だと言います。
さらに、親や祖父・祖母の表情にも目を向けているそう。晴れ舞台を見守っていたご家族が、無事に式を終えて安堵(あんど)し、笑顔や涙を見せるその瞬間は、牧師にとって「ご褒美」のように感じられるのだとか。
「国や会場によって違いはありますが、海外ではおふたり自身で言葉を考えて述べる“パーソナルバウ”が多く見られます。牧師やスタッフのサポートを受けながら誓いの言葉を自ら書き、内容は当日まで相手に伝えず、挙式の中で初めてシェアします。自分たちの言葉で誓うことで、相手への思いや真心をより深く表現できるのです。(ステファン牧師)」
こうしたオリジナルの誓いの言葉は、より感動的なシーンを生み出すことも。
「誓いの言葉を読む場面で、おふたりが思わず涙することも多く、私自身も胸を打たれることがあります。(ステファン牧師)」
海外のような「パーソナルバウ」を取り入れてみたいなら、牧師に相談してみましょう。キリスト教式でも、対応してもらえることがあります。
また、人前式もおすすめ。ふたりで考えたオリジナルの誓いの言葉や、ゲストから問いかけてもらうスタイルなど、自由にアレンジできるのがうれしいところ。ふたりらしい言葉で誓う瞬間は、きっと心に残るものになるはずです。
挙式は緊張する瞬間でもありますが、ふたりの決意を言葉にし、大切な人たちから祝福を受けるかけがえのない時間。一つ一つの言葉をかみ締めながら、真心を込めて誓い合い、一生の記憶に残る特別なひとときを、ぜひ楽しんでください。
構成・文/齊藤亜由美 イラスト/murayoko D/ロンディーネ 取材協力/アニヴェルセル株式会社
※掲載されている情報は2026年5月時点のものです