[専門家が解説]和装花嫁ヘア×髪飾りの基礎知識~伝統からトレンドまで~
和装を着る時に気になるのは、和装ならではの伝統やルール。そこで、ヘアスタイルや合わせる髪飾りの基礎知識から最近の傾向について、ヘアメイクで着付け師でもある金田恵理子さん監修の下、ご紹介します。また、前撮り・挙式・披露宴のシチュエーション別の実例もチェックしてくださいね。
和装を着る時に気になるのは、和装ならではの伝統やルール。そこで、ヘアスタイルや合わせる髪飾りの基礎知識から最近の傾向について、ヘアメイクで着付け師でもある金田恵理子さん監修の下、ご紹介します。また、前撮り・挙式・披露宴のシチュエーション別の実例もチェックしてくださいね。
記事:「『色打ち掛け』に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説」より
日本髪といわれる伝統の髪型の中でも、花嫁さんが結うのは文金高島田(ぶんきんたかしまだ)です。かつて武家の女性に結われていた髪型で、結い上げた髪をまとめた「まげ」の根元が高い位置にあるのが特徴です。
花嫁の白無垢や色打ち掛けに合わせられてきており、かつらを着ける花嫁さんが多かったのですが、近年は地毛結いをする人も増えています。地毛の場合は、襟足の髪が20cm以上必要です。
記事:「『色打ち掛け』に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説」より
伝統的な日本髪の結い方やシルエットを、びん付け油を使用せずに洋髪感覚で結い上げるのが新日本髪です。
地毛で結い上げるので、生え際などが自然な印象で、顔の形や雰囲気に合わせてアレンジできます。髪飾りも自由にすることで、より自分らしいスタイルを実現できます。
記事:「『色打ち掛け』に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説」より
多くの花嫁さんが取り入れているのが、ドレスと変わらないような洋髪です。和装の場合は、襟足を見せるスタイルが一般的なため、シニヨンが王道ですが、最近はポニーや編みおろし、ツインアップといったスタイルも選ばれ、自由度がアップ。
髪飾りも花をはじめ、金箔(きんぱく)や水引など多彩なバリエーションで自分らしい装いに華を添えています。
記事:「白無垢に合わせたい[綿帽子]意味・由来からかぶり方、合わせる髪型までまるっとご紹介!」より
綿帽子は、袋状のかぶりもののことを言い、さらにかぶったスタイルのことも「綿帽子」と言います。白が基本ですが、近年は赤い縁取りのものやシースルー素材など、新しいタイプが出てきています。
綿帽子には、魔除けや新郎以外の人に顔を見せないためのものという説があります。角隠しは色打ち掛けにも合わせられ、挙式でも着用できるのに対し、綿帽子は挙式、白無垢のみに合わせるのが基本でしたが、近年は自由度がアップ。挙式以外で着用されることもあります。また、綿帽子の中の髪型は日本髪だけでなく洋髪でもOKです。
記事:「『色打ち掛け』に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説」より
文金高島田などの日本髪に合わせる、額や頭部を覆う帯状の布を角隠しといいます。かつては白い正絹が一般的でしたが、ポリエステルなど化繊素材も取り入れられ、刺しゅうや差し色の入ったものもあります。
角隠しは白無垢だけでなく色打ち掛けや引き振袖に合わせることができ、挙式と披露宴どちらでも合わせて良いとされます。
名前のごとく、「角」を隠すものという由来があり、結婚した後に、花嫁が怒って角を出さないようにという願いが込められています。
記事:「『色打ち掛け』に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説」より
かんざしは和装のヘアに挿す髪飾りです。形状や素材もさまざまありますが、日本髪には、べっ甲や白銀、真珠、サンゴ、金銀といった希少かつ縁起のいい素材が使用されています。また、彫金、蒔絵(まきえ)、象眼といった伝統的な技法を施した繊細なタイプが一般的です。
一方、洋髪の場合は、つまみ細工や和玉といった和テイストのものから、ビジューなど素材のバリエーションも豊富。自由に自分らしい装いを楽しむ花嫁さんが増えています。
最も王道なのは洋髪で、半数以上を占めました。次いで、日本髪や新日本髪の地毛結が約3割、日本髪のかつらが約1割という結果に。
和装については、伝統やルールへの不安や、普段なじみの薄い日本髪や新日本髪は似合うかわからないという声もあり、取り入れやすさも洋髪が選ばれる理由に。また、地毛結の日本髪・新日本髪は髪の長さの条件や結えるヘアメイクさんも限られる点も実施率に影響しているようです。
第1位:造花 29.1%
第2位:綿帽子 21.8%
第3位:かんざし 20%
第4位:生花 18.2%
第4位:ドライフラワー 18.2%
(複数回答)
花嫁さんが選んだ和装ヘアの髪飾りで多かったのは、扱いやすく、バリエーションも豊富な造花。綿帽子は洋髪にも日本髪・新日本髪にも合わせられ、花嫁らしさも人気のポイント。また、近年は金箔や水引でシンプルでモダンなアレンジも好まれている他、パール、リボンといった飾りも選ばれていました。
造花2本を用意し、1本はそのままシニヨンの角度に添えて大胆に、もう1本は細かく分けてそれぞれピンに付け、バランスよくちりばめた/歩さん
シニヨンは少し斜めにつくり、個性を出した
前髪はトレンドのシースルーバングで軽やかに
バレリーナをテーマにしたシニヨン。コンプレックスだった産毛を生かしたキュートな前髪アレンジもお気に入り/tedecoさん
三つ編みをあしらったバレリーナ風の洋の要素と純和風な花飾りの折衷スタイル
黒の絞りの引き振袖の掛下に白無垢を合わせた大人なスタイルを、花嫁の個性を生かしたヘアで着こなして
カチモリヘアで現代的な要素も取り入れつつ、ピタッとタイトにまとめて凛とした印象のシニヨンヘア/Sakiさん
白無垢に合わせて白で統一した花は、義理母のお手製。前髪はウエットな質感で数本束にしてすっきりと
和装のしっとりした雰囲気に合わせつつもトレンド感のある装いに
おだんご4つのふわふわアップヘア。サイドにあしらったかんざし風の生花アレンジでキュートに/知香さん
前髪はシースルーにして、生花だけでなくドライフラワーやリボンもあしらった
王道和装よりも少し個性的で可愛らしいスタイルを希望。ランダムなおだんごでポップな後ろ姿に
伝統と新しさを融合した新日本髪に惹かれて、色打ち掛けで後撮り/wakanaさん
自然な毛流れと現代風なかんざしで、自分らしさも生かしたスタイルに
グリーン地の華やかな色打ち掛けと相性抜群の新日本髪
「前撮りのヘアスタイルで大切にしたいのは、やはり写真写りです。挙式や披露宴に比べて、冒険しやすく自分らしいスタイルにこだわれるのも魅力。ロケーション撮影の場所やスタジオの雰囲気など背景との相性や、着る衣裳の色や柄、撮影したいイメージなどトータルで考えたいものです。
ただし、ロケーション撮影する場合に注意したいのは、風。ゆるふわなスタイルでもまとめていれば髪が乱れないようにセットできますが、前髪や後れ毛は顔にかかりやすいので、ヘアスタイルを考える時に考慮しておくと安心です」(金田さん)
正統派のシニヨンスタイルの両サイドに、造花のサクラをアシンメトリーにあしらった/みっこさん
前髪はサイドに流して、上品にまとめて。サイドからのぞくサクラで華やかに
神社での神前式だったので、純和風な花嫁姿への憧れがあり、綿帽子を合わせて
毛流れの美しい、たっぷりとしたボリュームのシニヨンスタイル。華美になりすぎず和装に合う上品なスタイルに/りみなさん
べっ甲のかんざしと組みひもの髪飾りで和の情緒に満ちた横顔
挙式では、綿帽子を合わせて。前髪は7:3の割合にしてサイドに流した
神社での挙式にふさわしい伝統的な和装をと、日本髪のかつらにこだわった/pan.0446さん
正面だけでなく横から見た時の美しさも意識し、和装ならではの凛とした雰囲気に
髪飾りには「日本桂」のきれいなシルエットが引き立つ、上品なべっ甲の髪飾りを合わせて
「挙式ヘアでまず考えるのは、綿帽子・角隠しを着けるか着けないか。それによって、できるヘアが変わってきます。
綿帽子の場合は、日本髪、新日本髪、洋髪いずれも可能ですが、ヘアが隠れるので、綿帽子の内側から見える部分を想定しながら、前髪や飾りの位置なども調整を。髪飾りも基本的にNGはありませんが、綿帽子の中では頭部のトップに着ける専用器具とぶつからないように、また綿帽子でシルエットがつぶれないように気を付けましょう。
角隠しは基本的には日本髪や新日本髪に合わせます。
挙式は神社での挙式の場合も、基本NGはありませんが、カジュアルすぎるヘアや個性の強すぎるヘアなど、会場や挙式の雰囲気にそぐわないものは避けた方が無難です」(金田さん)
前撮りは王道のシニヨンだったので、披露宴は長い髪を生かしたポニーに/sayuさん
赤い実物の造花と共にブラウンのチュールもあしらって、個性あふれるスタイルに
あでやかな和装をポニーテールで現代風に着こなして
和装と相性のいいつるっとしたまとめ髪。派手すぎないけれど華やかな印象になるように生花も添えて/美空さん
前髪もストレートの質感にして、サイドへ流して清楚な印象に
どの角度からも生花が見えるようにあしらってもらったのもこだわり
「披露宴は挙式から披露宴まで、またお色直しと、時間が限られています。そのため、あまり時間をかけたくない場合は、挙式のヘアと大きく変えずに髪飾りや前髪だけなど、ポイントのみのチェンジでもだいぶイメージが変わります。挙式で綿帽子を合わせるなら、外すだけでも印象が変わります。
地毛で日本髪や新日本髪にしたい場合は、1時間弱ほど時間がかかるため、もし結婚式当日なら、挙式から取り入れるのがおすすめです」(金田さん)
和装ヘアには伝統やしきたりによってしばりがありそう、という花嫁さんの疑問や不安の声がありました。金田さんによると、今や和装のヘアは自由度が高く、自分らしいスタイルを楽しむ花嫁さんも増えている様子。ここではさまざまな和装ヘアにまつわる疑問について伺いました。
お色直しで和装だと、あまりヘアにかける時間がないですか?
お色直しの時間は移動も含めて30分くらいが一般的です。ドレスに比べると和装の方が少し長くかかりますが、ヘアに割けるのがだいたい15分くらい。お色直しではベースのヘアを変えず、髪飾りや前髪などポイントのチェンジのみにされる方も多いです(金田さん)
無造作な感じのゆるめのシニヨンが希望ですが、和装ではあまりヘアスタイルを崩しすぎないほうがいいのでしょうか?
無造作加減がどの程度かによりますが、ラフなスタイルでも、質感がパサパサしていたり乱れていたりといったことでなければマナー違反ではありません。しっかりツヤがあり計算されてセットされた無造作感のあるヘアならOK。
成人式などで着られる振袖に比べると、花嫁の和装は思っている以上に華やか。その豪華さも念頭において、和装とバランスのいいヘアを検討するのがおすすめです(金田さん)
先輩花嫁さんの写真を見ると皆さんアップヘアですが、ダウンヘアはルール的にNGでしょうか?
ルールでダメではありませんが、花嫁さんらしい美しさには、襟の抜き具合や帯山のラインがとても重要です。ダウンやハーフアップだと、襟にかぶさりラインが見えにくいですし、ヘア自体も襟にぶつかって乱れやすくなってしまいます(金田さん)
ショートヘアやボブヘアで和装に合わせる際に気を付けるポイントはありますか?
ダウンヘアについてお伝えしたように、和装花嫁は襟足や背中のラインが大切なので、ショートなら襟足がもたつかないようにカットしたり、アップ風にまとめるのがおすすめです。もし下ろす場合も、着物の襟にかからないようにした方が和装もヘアも花嫁らしくキレイに見えるでしょう(金田さん)
伝統的な和装とはいえ、時代とともに変化は続いているようです。新しいスタイルや髪飾りも積極的に取り入れられて、自由度もグッとアップ。一方で和装ならではの美しさや華やかさを生かすバランスもやっぱり大切です。ぜひ、花嫁和装ならではの魅力も押さえながら、自分らしい装いを叶えてくださいね。
金田恵理子さん
ヘアメイク・着付け師
TVCM・雑誌・ファッションショーなどのヘアメイクを担当する傍ら、和装着付け技術を習得。その後フリーとなり、雑誌などでブライダルのヘアメイクや着付けを手掛けている。
構成・文/小松ななえ イラスト/寺澤ゆりえ D/ロンディーネ
※記事内のコメントは2026年2月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー48人が回答したアンケートならびに、2年以内に結婚式を挙げた20~40歳の女性110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2026年4月時点のものです