「色打ち掛け」に合う髪型って?正統派・日本髪から洋髪スタイルまで実例で解説
色打ち掛けに合わせる髪型として選ばれているのは、日本髪(文金高島田)、新日本髪、洋髪のおもに3種類。その中でも日本髪はかつらや地毛結いに分かれます。近年は洋髪を中心に自由度も高くバリエーションが広がっているヘアスタイル。それぞれの特徴と共に、実際に花嫁さんが色打ち掛けに合わせたヘアスタイルの実例をご紹介します!
色打ち掛けに合わせる髪型として選ばれているのは、日本髪(文金高島田)、新日本髪、洋髪のおもに3種類。その中でも日本髪はかつらや地毛結いに分かれます。近年は洋髪を中心に自由度も高くバリエーションが広がっているヘアスタイル。それぞれの特徴と共に、実際に花嫁さんが色打ち掛けに合わせたヘアスタイルの実例をご紹介します!
日本髪の中でも、花嫁さんの髪型と言えば文金高島田(ぶんきんたかしまだ)です。髪をまとめて結った「まげ」の根元が高い位置にあるのが特徴です。
もともとは武家の女性に結われていた髪型でしたが、現代では花嫁の白無垢や色打ち掛けに合わせる格式のあるスタイルとして取り入れられています。
かつて文金高島田のかつらを着ける花嫁さんが多かったようですが、近年は地毛結いをする人も。地毛で結ってもらう場合は、肩下5cm以上の長さが必要です。
伝統的な日本髪のシルエットを、びん付け油を使用せずに洋髪感覚で結い上げるのが新日本髪といわれるスタイルです。
地毛で結われるスタイルのため、自然な印象で、顔の形や雰囲気に合わせてアレンジできるので、より自分らしいスタイルを実現できます。
ドレスに合わせるスタイルと大きく変わらない洋髪ヘアは、現代の花嫁さんに最も選ばれているスタイルです。
シニヨンのまとめ髪が一般的ですが、自由度は広がっていて、大正時代を彷彿とさせるフィンガーウエーブなどレトロなスタイルも人気。和装らしい髪飾りをプラスするなど、アレンジのバリエーションも多彩です。
かつらと眉の色も自然になじむように調整
艶のある毛流れ、すっきりとした襟足が美しい
遠目に見ても、華あるべっ甲が目を引く
オフホワイトに金刺しゅうが映える古典的な色打ち掛けは代々受け継いだもの。祖母や母と同じように最も格式が高いといわれる古典的な文金高島田のかつらを合わせた。
かつらには伝統的なべっ甲のかんざし、鶴の模様が描かれた角隠しを合わせた正統派の装いに。
かつらは事前にフィッティングを行い、頭のサイズに合うものを選びました。また、かつらの髪の色にも黒と焦げ茶があり、自分の髪色に近いものに。眉毛の色も合わせて、自然に仕上げていただきました。(mi_wd_okuraさん)
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■シーン/前撮り
■髪の長さ/ウエストあたり
角隠しでかつらの境い目をカモフラージュ
角隠しにも紅色の差し色が
柄なしの色打ち掛けは自然な笑顔が映えるモダンなムードも
どこかモダンな表情も持つ柄なしの色打ち掛けには、クラシックなスタイルに憧れて文金高島田のかつら×角隠しを合わせた。
かつらは顔の形や髪色などに似合うものをセレクト。神前式ではべっ甲のかんざしを合わせたが、披露宴では金の素材でグッと華やかに。
角隠しは色打ち掛けに合わせて、朱色の差し色のものをセレクトしました。綿帽子も良かったのですが、写真を撮った時に顔が隠れたり影になったりすることが欠点。額のかつら感を隠したいのもあり、角隠しを選びましたが、結果大満足の仕上がりでした!(yamatsudesuさん)
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■シーン/披露宴1着目
■髪の長さ/ボブ
サイドの丸みも顔の形に合わせたシルエットに
鶴模様が品を添える純白の角隠し
爽やかなグリーン、べっ甲…正統派にして現代的な印象も
伝統的な模様を爽やかなグリーンの刺しゅうで施し、古典的でありながら現代的な感性も感じさせる色打ち掛けに合わせたのは、地毛で結った文金高島田。
べっ甲色のかんざしが映え、美しく結い上げた「まげ」も引き立つ角隠しで、時を経てなお美しい正統派の装いに。
日本髪の中でも花嫁しか結うことができない文金高島田に。顔立ちや色打ち掛けの雰囲気に合わせて、襟足や両サイドの髪の丸みを調節していただき、すっきりしながらも柔らかな雰囲気に仕上げていただきました。(suzu_wakonさん)
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■シーン/挙式
■髪の長さ/肩下20cmほど、胸のトップあたり
自然な毛流れが柔らかな笑顔を引き立てる
艶やかな「まげ」には伝統のべっ甲かんざしを
古典的な色打ち掛けに新日本髪でさらなる格式を
古典的な色打ち掛けに合わせたのは、憧れていた日本髪を自分らしくアレンジした新日本髪。披露宴ではお辞儀をする機会も多いので、都度前髪を直さなくてもいいスタイルにした。
伝統技法を取り入れながらも顔の形や雰囲気を生かし、自然に結い上げた髪型にはべっ甲のかんざしを合わせて、花嫁らしく華やかに。
お色直しでドレスを着用する予定だったので、洋髪に影響しないように、固めすぎずに結い上げていただきました。新日本髪のシルエットは、ヘアメイクさんにお任せしました。(kaoleenu.k.wdさん)
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■シーン/挙式、披露宴1着目
■髪の長さ/鎖骨の下くらい
多彩な髪飾りもトーンや色みで統一感のある仕上がりに
高い位置に大きめに作ったまげが個性を演出
織り柄がさりげなくもオリジナリティーを放つ色打ち掛け
織り模様だけの真紅の色打ち掛けが引き立つ、アレンジを加えた新日本髪は、花嫁の顔の形や雰囲気を生かしつつも、遊び心あふれるシルエット。
古典的なかんざしをメインに、赤い実の造花などにぎやかにあしらいつつ、色打ち掛けと統一感のある姿に。
本来ボリュームを出す耳上や後ろをあえてスッキリさせたり、逆にトップはかなり大きめにするなど、私の顔に合うバランスにしてもらいました。髪の毛をうねうね、ぐるぐるひねってもらったのもお気に入りポイントです。(toyou_wdさん)
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■シーン/神前式後の食事会
■髪の長さ/肩すれすれくらい
ほんのり引き出したヘアで抜け感のあるスタイルに
白いコチョウランで清楚な横顔に
自然な笑顔が映える洋髪スタイル
ずっと憧れていた赤い色打ち掛けに白いコチョウランの髪飾りを合わせる和装姿を実現。ヘアは前髪のあるシンプルめのシニヨン。
白いコチョウランを主役にするため、他の装飾は控えめにしつつ、金箔や水引、ドライフラワーで今っぽいムードを演出した。
京都のおしとやかな女性をイメージしたシンプルなシニヨンスタイルですが、今どき感も欲しかったので、トップあたりの髪の毛を少しずつ引き出してもらいました。(christmas_wed_00さん)
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■シーン/前撮り
■髪の長さ/胸のあたり
花材の種類や着け方を変えて、アシンメトリーな後ろ姿に
目元まで流れる金箔でグッと印象的な横顔に
黒地の色打ち掛けをキリリと着こなす
黒地に多彩な花や鶴の模様が描かれたあでやかな色打ち掛けに合わせたのは、たくさん飾った生花を引き立てるスッキリシンプルなシニヨン。
シンビジウム 、コチョウランをメインに使用し、アクセントでオンシジュームのボブキャットも装飾。右側のみにあしらった金箔は目尻までのばし、個性のある横顔に。
ダウンヘアのドレス姿からのお色直しで着用したため、すっきりとしたまとめ髪を希望しました。また、お花が主役になるようにアレンジしていただきました。(monaさん)
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■シーン/披露宴2着目
■髪の長さ/胸のあたり
くるくるの前髪が和装姿をグッとモダンに
和を現代的な感覚で表現する立体シニヨン
正統派の柄行きも着こなしでクールに
こっくりとした深みグリーンがモダンな印象を与える色打ち掛けに合わせたのは、アレンジの効いたシニヨン。
後ろはまるでリボンのようにクロスしたシニヨンに細い三つ編みを掛け合わせ、モダンな和の魅力満載!あえてヘッドドレスを着けず、ヘアアレンジを主役に。
シニヨンの立体感や三つ編みが今っぽく、でも和の雰囲気も出ていてお気に入りです。後ろは和装らしいキリリとしたまとめ髪に対して、サイドに分けた前髪はくるくるさせてギャップを出しました。(wd__orさん)
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■シーン/前撮り
■髪の長さ/胸のあたり
suzu_wakonさん
角隠しとは花嫁の額や頭部を覆う白い絹の布です。基本的には文金高島田をはじめとする日本髪に合わせるもの。
和装の髪型に合わせる小物といえば、綿帽子もありますが、綿帽子は白無垢に合わせるのに対し、角隠しは白無垢だけでなく色打ち掛けや引き振袖に合わせることができます。また、綿帽子は挙式で着用しますが、角隠しは挙式だけでなく披露宴で合わせても良しとされます。
さまざまないわれがありますが、名前のごとく、「角」を隠すものというのが由来。花嫁が結婚した後に、怒って角を出さないようにとの願いが込められたものと言われています。
mi_wd_okuraさん
かんざしはまとめ髪に差す、日本古来の髪飾りのこと。形状や素材も多種多様です。
日本髪には、べっ甲や白銀、真珠、サンゴ、金銀といった縁起が良いといわれる希少な素材選ばれ、彫金、蒔絵(まきえ)、象眼といった伝統的な技法を施したものが合わせられます。
一方、洋髪の場合は、ビジューなど素材の自由度も高く、より自分らしいスタイルを追求できるでしょう。
| 前挿し | 額の両側に挿し、顔周りを華やかに見せます |
|---|---|
| 前ぐし | 額の上部、まげの前方に挿すくし状の飾り |
| 中挿し | まげの中に棒を挿し、左右を飾る最も目立つ装飾 |
| 笄(こうがい) | まげの後ろ側に挿す棒状の飾り |
| 後挿し | 髪の後ろ側に挿す揺れる飾り。後ろ姿に花を添える |
wd__orさん
洋髪は伝統的なかんざし以上に生花などドレスと変わらないヘッドドレスが人気。生花もコチョウランといった和テイストはもちろん、洋花も人気です。
近年はちりめん細工、組みひも、水引など和のアイテムを生花や造花、ドライフラワーと合わせたアレンジを楽しむ人も。金箔を髪の毛にあしらうのも定番となっています。
また、チュールやリボンなどドレス感覚で合わせるなど自由度が高まっています。
花嫁だからこそ着られる色打ち掛け。昨今は合わせるヘアスタイルもより自由に。伝統の素晴らしさを取り入れるのも、自分らしいスタイルにこだわるのも素敵!ぜひ、思う存分こだわって、理想の和装を実現してくださいね。
構成・文/小松ななえ イラスト/Ecco
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです