難病と生きるふたりの幸せのカタチ~『1/LOVERS』
結婚したって、しなくたって、何度したって、いい。
一緒に暮らしても、それぞれに住まいがあっても、いい。
家族が増えても、ずっとふたりっきりでも、誰が何と言おうとも。
ふたりの決めた幸せは、全部、いい。
みんなのカラフルな“幸せのカタチ”をシェアしていきましょう。今回は、筋肉が衰えていく難病を患う妻と二人三脚で歩く夫の話──。
結婚したって、しなくたって、何度したって、いい。
一緒に暮らしても、それぞれに住まいがあっても、いい。
家族が増えても、ずっとふたりっきりでも、誰が何と言おうとも。
ふたりの決めた幸せは、全部、いい。
みんなのカラフルな“幸せのカタチ”をシェアしていきましょう。今回は、筋肉が衰えていく難病を患う妻と二人三脚で歩く夫の話──。
「あなたは何をやってもできるから応援する。ずっと支えていく」のエールは、筋ジストロフィーを患う綾子さんから。邦彦さんは、新築の社屋で化学物質過敏症になり嘔吐(おうと)に苦しんだが、彼女の言葉を受けて転職を決意。そして「結婚するなら彼女しかいない」と思うように。
こっそり指輪を購入して高級レストランに誘うと「家でゴロゴロしている方がいい」と却下され、仕方なく彼女宅で「ゴロゴロしてるとこ悪いんだけど、結婚しましょう」とパカッ♪綾子さんは彼を支えると言ったし、結婚したいと思っていたけれど、進行性の難病は彼を不幸にするかもしれない。一瞬迷ったが、心に素直に答えた。
後に彼母に「こんな私ですみません」とあいさつすると「いいのよ、あの子だってできないことがたくさんある。できないことを支え合うのが夫婦だから」と軽やかだった。
ふたりはIT企業の同期。邦彦さんは誰とでもフラットに付き合う“超バリアフリー男”で、綾子さんから告白した。結婚後、コロナ下の会話で「やり残したことは?」「子どもが欲しい」と一致。自然に授かり、万全の準備をしてくれた医師の下で無事出産。ふたりとも大号泣だった。
妊娠・出産を経て綾子さんは家でもヘルパーが必要になり、子育ても彼中心で息子はすっかりお父ちゃんっ子に。そんな暮らしの中で、邦彦さんは時間がかかっても「一緒に息子のオムツ替えする?」などと声掛けをしてくれるそう。夫婦は今、お母ちゃんにしかできないことを模索中だ。
さて、今夏も海水浴大好きな彼女が企画して沖縄へ!そして浮き輪を着けた子どもとプールに入ると、浮力のおかげで、立って!抱っこ!家族のピカイチの幸せに。“今日という日は今日限り”をよく知る夫婦は「息子に多く経験させ、世界は広く、選択肢はたくさんあることを教えたい」と夢を膨らませている。
「人生で一番楽しいことをしよう」と歌うようになった綾子さん。
会社の同期とバンドを組んで、初心者の彼も一緒に♪
ガーデンのあるバリアフリーの会場で結婚式を。
スワロフスキーを入れたつえにブーケとおそろいの生花も飾った
2歳7カ月の愛息を、車いすの“低い抱っこ”ではなく
「周囲のお母さんのように立って抱っこできた」喜びの瞬間
小澤綾子さん(42歳)
邦彦さん(44歳)
20歳で筋ジストロフィーと診断された彼女は、仕事の傍ら、「今を生きる大切さ」を歌と講演で伝える活動をしている。彼は「趣味は子育て」と言うほど子煩悩。
構成・文/千谷文子 撮影/保田敬介 D/mashroom design
※Photo Episodeの写真は綾子さんからの提供。
※掲載されている情報は2025年11月時点のものです。