事実婚22年、年の差17歳のふたりの幸せのカタチ~『1/LOVERS』
結婚したって、しなくたって、何度したって、いい。
一緒に暮らしても、それぞれに住まいがあっても、いい。
家族が増えても、ずっとふたりっきりでも、誰が何と言おうとも。
ふたりの決めた幸せは、全部、いい。
みんなのカラフルな“幸せのカタチ”をシェアしていきましょう。今回は事実婚22年、年の差17歳のふたりの話──。
結婚したって、しなくたって、何度したって、いい。
一緒に暮らしても、それぞれに住まいがあっても、いい。
家族が増えても、ずっとふたりっきりでも、誰が何と言おうとも。
ふたりの決めた幸せは、全部、いい。
みんなのカラフルな“幸せのカタチ”をシェアしていきましょう。今回は事実婚22年、年の差17歳のふたりの話──。
日曜は市民プールで1時間泳ぎ、帰り道に「運動したからいいよね」と背徳感高めのハンバーガーを頬張る幸せ。彼が焼くお好み焼きの香りも週末恒例のワクワクだし、夕食後のシネマタイム、小さなテレビに録画した番組を映し、あーだこーだと突っ込みを入れるだんらんも大好きだ。
実は好みは違う。水泳が得意な彼はマスターズの大会に出場したほどだが、彼女は「運動苦手」。それでも“一緒時間”をつくろうと、水曜に水泳教室に通い日曜に一緒に泳ぐ。映画の好みも違うが、互いが少し歩み寄れば一緒に楽しめそうな番組を彼が録画する。
住まいは築50年のリノベした団地。西向きの間取りで、日が傾き始めると広いリビングは黄昏に染まる。日常の景色は、特別な景色。ふたりの歩みも黄昏に向かい、日常の一つ一つがいとおしい。
始まりは22年前。グラフィックデザイナーだった彼とライターの彼女は、広告のプレゼンに挑むメンバーとして出会った。「カッコイイ」と見惚れた彼は17歳上、前妻と離婚していた。「自分の考えを口にする彼女はタイプ」とすぐに一緒に暮らすように。
しかし離婚歴がある彼との結婚は彼女の父に認められず、事実婚ライフが始まった。彼が入院した時は、書類に「内妻」と書くよう言われカッとなったが、その後、尊敬する社会学者の著書で“非婚”という言葉を知り、少しずつ肩の力が抜けてきた。周囲にもふたりの関係を自然に話せるように。むしろ「こうあらねば」に縛られない共同生活はフレキシブルで、後にパート務めになった彼が夕食担当となり、彼女は仕事に全力投球してきた。
近い将来、農家を営む彼女の実家で親を見守りつつ、一緒にできる食に関わる仕事を計画している。「日々の暮らしを大切に、元気で長生き!」がふたりの心の合言葉。
バルコニーからの絶景。
ふたりで夕焼けを眺めながらビールで乾杯することも
全国の美術館巡りや歌舞伎観賞、大相撲観戦もふたりの趣味。
夏旅はアクティブに海水浴もセットにして計画!
誕生日など特別な日には得意のちらしずしを振る舞う彼。
甘辛煮のしいたけなど一つ一つの具材も手作り
としおさん(74歳)
さちさん(58歳)
彼はグラフィックデザイナーから車のディーラ ーに再就職し、75歳を迎える前に現役引退した。「家では彼女はお姫さま、僕は執事です」
構成・文/千谷文子 撮影/竹村陽子 D/mashroom design
※Photo Episodeの写真はふたりから提供
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです