婚姻届の「同居を始めたとき」欄の書き方 なぜ必要?こんなときどうする?
婚姻届には、「同居を始めたとき」という欄があります。いったい何のために、この欄があるのでしょうか。また同棲を始めたタイミングが曖昧なときなど、書き方に困ったときはどうすればいいのでしょう。基本的な書き方から、疑問点までお答えします。
婚姻届には、「同居を始めたとき」という欄があります。いったい何のために、この欄があるのでしょうか。また同棲を始めたタイミングが曖昧なときなど、書き方に困ったときはどうすればいいのでしょう。基本的な書き方から、疑問点までお答えします。
婚姻届の「同居を始めたとき」の欄には、結婚式を挙げた時、または、同居を始めた時のうち、早い方の年と月を書きます。年は平成・令和など、和暦で書きます。平成をH、令和をRで略すのはNGです。
婚姻届に「同居を始めたとき」の欄がある理由は、はっきりしていませんが、5年に1回行われる国勢調査のために、ふたりがいつから一緒に住んでいるのかを明確にしておくことで調査が進めやすくなるためと考えられます。
婚姻届を今日出すつもりだったけれど、住民票をまだ移していなかった!という場合はどうする…?
住民票をまだ移していなくても、既に一緒に住んでいるなら、同居のための引っ越しをしてきたタイミングを「同居を始めたとき」欄に記せばOKです。基本的に、「同居を始めたとき」欄に記す年や月は、同居を始めたタイミングでも、住民票を移したタイミングでもどちらでもよいのです。
結婚式の前に同居を始めましたが、まだ住民票を移していなかったので、事前に役所に行き、書き方を相談しました。(でじゃまるさん)
婚姻届を出すタイミングで、彼は既に新居に住んで住民票を移していたものの、私がまだ住民票を移していませんでした。(いろさん)
結婚式の前に同居を始めましたが、住民票がまだお互いに実家のままでした。(hiさん)
長く同棲をしていたカップルだと、いつから一緒に暮らしていたか、曖昧な場合も
同居を始めた時期がはっきりしない場合や、思い出せない場合は、正確でなくても、おおよその年と月を書けば大丈夫です。わからない場合は、空欄でも構いません。
半同棲のような期間が1年ほどあり、それを含むのかどうかを悩みました。結局、実際に同棲を始めた月を記入することにしました。(KEIさん)
同居を始めてから数年たっていたため、西暦や元号を思い出すのに時間を要しました。(Chaco.さん)
同居を始めたときが思い出せなくて、不動産の契約書を見返すのが面倒でした。(mhさん)
私は1人暮らし、彼は実家暮らしで、どちらも新居から近かったので、お互いのタイミングで新居に荷物を運び、来られるタイミングで住み始めたため、同居の開始時期をいつとするか迷いました。(モモさん)
一緒に住み始めた時期が思い出せず、スマホのカメラロールをさかのぼって、撮影日を確認して記入しました。(友梨さん)
仕事の都合などで別々に住んでいるけれど、婚姻届はクリスマスなど記念日に出したい!というカップルはどうすればいい…?
婚姻届は出すけれど、まだ同居もしていないし、結婚式もしていない場合は、「同居を始めたとき」の欄は空欄で構いません。
同居も結婚式もしていなかったため、どう書いていいかわかりませんでした。窓口で聞き、空欄で提出しました。(しょこらさん)
婚姻届を出したのみで、今すぐ一緒に住むという話は出ておらず、結婚式の日取りも未定だったためどのように書いていいか、わかりませんでした。(ssさん)
まだ同居はしていなかったので、どのように書けばいいのか、困りました。市役所の方に聞くと丁寧に教えてくださり、一緒になってやってくださったので安心でした。(ピノさん)
「同居を始めたとき」欄のすぐ下に「初婚・再婚の別」の欄があります。市区町村役場としては、初婚か再婚かで、手続き上、確認する書類が変わってくるため、この欄が必要だと考えられます。例えば、初婚の人は、婚姻前は親の戸籍に入っており、結婚の際は、親の戸籍から除籍となって、配偶者と新しい戸籍を作るのですが、再婚の場合は、既に一度、親の戸籍を抜けて新たな戸籍を作っていることになるので、初婚か再婚かによって手続き上の違いが出てくるのです。
また、以前は女性の場合、民法で「再婚禁止期間」が100日間に設定されていたこともあり(2024年4月に撤廃)、「再婚」の場合、離婚から所定の日数が過ぎているかなどを確認する必要もあったのではないかと推察されます。
結婚式、婚姻届の提出、同居の順番はカップルの事情によってさまざまです。タイミングによっては、「同居を始めたとき」欄の書き方に迷う人もいるでしょう。ですが、この欄は同居をしていない場合などには空欄でも構わないですし、そこまで厳密に考えなくても大丈夫です。迷ったときは、提出時に窓口で相談してみるとよいでしょう。
若山大輔さん
行政書士/行政書士法人アインクラッド代表社員
1987年生まれ。2014年に全国初のブライダル行政書士として独立。結婚生活に関する法的・資金的なアドバイスを提供しているほか、オリジナル婚姻届を企画・販売する「婚姻届工房」の代表としても活躍。
構成・文/河内千春 イラスト/moko.
※記事内のコメントは2025年8月に「ゼクシィ花嫁会」メンバー75人が回答したアンケートおよび、2025年8月に行った、1年以内に結婚した既婚男女110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです