【結婚後の戸籍謄本の取り方】いつ反映される?何が書かれている?
「入籍後の戸籍謄本ってどんなもの?」「戸籍謄本が必要な場面とは?」という花嫁さんは多いもの。今回はそんなさまざまな声にお答えすべく、戸籍の作成にかかる期間や具体的な取り方、どんなことが書かれているかなどを詳しく解説します。
「入籍後の戸籍謄本ってどんなもの?」「戸籍謄本が必要な場面とは?」という花嫁さんは多いもの。今回はそんなさまざまな声にお答えすべく、戸籍の作成にかかる期間や具体的な取り方、どんなことが書かれているかなどを詳しく解説します。
戸籍の作成は本籍地の役所で行い、反映までには7日~10日ほどかかります。婚姻届を提出すると、ふたりの戸籍が新たに作られますが、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)に反映されるまでの期間は、どこの役所に提出するかによって多少変わります。
一般的に、婚姻届を提出した役所と本籍地の役所が同じ場合、数日~1週間程度で反映されますが、本籍地の役所が異なる場合だと、婚姻届が受理された役所から通知が来て、そこから作成が始まるため、10日ほどかかることもあります。
なお、上記の期間はあくまでも目安で、提出時の状況や役所によっても異なるので、気になる場合は窓口で確認しましょう。
婚姻届を役所に提出した際に、「このたび入籍しました」「籍を入れました」というセリフをよく聞きますが、厳密に言えばこの表現は間違い。お互い初婚の場合、すでに存在している戸籍(例えば相手の家族の戸籍など)に入るわけではなく、結婚によりふたりで新しい戸籍を作るため、厳密に言うと「入籍」ではないのです。もちろん一般的に浸透している言葉でもあるので、無理やり言い換える必要はありませんが、戸籍に関する豆知識として覚えておいてくださいね。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは、結婚、出生、死亡などの個人の一生が記録されている公文書のことです。今まで親の戸籍に入っていた同氏の子は、婚姻届を提出することで結婚前の戸籍を抜け、夫婦の新しい戸籍を作ることになります。
では、個人の身分にかかわる重要な事柄とは一体どのようなことでしょう。
まずはざっと、どんな項目が記されているのかを見てみましょう。
| 戸籍謄本に記されている内容 |
|---|
| 1.本籍・氏名 |
| 2.戸籍事項(戸籍編製) |
| 3.戸籍に記載されている者・身分事項(出生・婚姻)/夫または妻 |
| 4.戸籍に記載されている者・身分事項(出生・婚姻)/夫または妻 |
次に、それぞれの項目を1つずつ見ていきましょう。
「本籍」とは戸籍が置かれている場所のことで、必ずしも現在住んでいる所ではありません。もちろんふたりの新居を本籍として登録しても構いませんし、“日本国内であれば”自由に設定できます。
「氏名欄」には戸籍の筆頭者の名前(姓と名)が書かれています。筆頭者とは戸籍の代表者で、姓を変えない側の氏名を記載するのが一般的です。
「戸籍事項の戸籍編製」には、この戸籍が作られた理由が記されています。皆さんのケースでは「婚姻」が主な理由になると思いますが、少し前だと、戸籍が電子データ化された「法改正」のことなどが戸籍事項欄に記載されているものもあります。
こちらは個人の身分事項欄です。夫と妻の身分に関する事柄が記されていて、子どもが生まれたらその子の情報も追記されます。
「戸籍に記載されている者」の欄に夫と妻、それぞれの情報が載っています。具体的には生年月日や父・母の名前、父・母との続柄のほか、自分が「夫か妻か」という配偶者区分が記載されます。
「身分事項」には、自分自身の出生に関することや婚姻に関する内容が記されています。出生・婚姻だけでなく、離婚や養子縁組、死亡など、個人の一生が記載されていくことになります。
<戸籍に記載されている者>
【生年月日】
【配偶者区分】(※夫もしくは妻)
【父】
【母】
【続柄】
<身分事項/出生>
【出生日】
【出生地】
【届出日】
【届出人】
<身分事項/婚姻>
【婚姻日】
【配偶者氏名】
【従前戸籍】(※自分の前の戸籍がある場所)
婚姻届を出すと新しく夫婦の戸籍が作られるという話をしましたが、自分が抜けてしまった後の親の戸籍には、「除籍」という文字が記載されます。ただしその文言が加わるだけで子の記録自体が消されてしまうわけではないので、必要な時、親子関係を公的に証明することは可能です。
結婚後、さまざまな理由で戸籍謄本が必要になることがあります。よくあるケースでは、国家資格免許証の書き換えや取得、職場への手続きや届け出(扶養家族となる場合の申請、家賃補助・結婚祝い金の申請など)、ハネムーンへ行くためのパスポート申請などが挙げられます。
管理栄養士免許の氏名変更手続きのために戸籍謄本が必要でした。ちなみに本籍のある市がコンビニ対応していなくて、取り寄せに手間がかかりました。(みっこさん)
ゴールデンウイークと重なり、申請に必要な戸籍謄本を取り寄せるのに時間がかかりました。旅行の申し込みが間に合うかどうかギリギリでかなり焦ったので、早めに申請することをお勧めします。(Yさん)
コンビニ交付を利用しましたが、本籍地が住んでいる場所と異なっていると事前の利用登録申請が必要。そうとは知らず数日待つことに。(友紀子さん)
歯科衛生士免許の書き換えとパスポート申請に必要でした。婚姻届を出したのが4月でしたが、ちょうど新年度の始まりで役所が混み合う時期。発行してもらうまで2週間ほどかかったと思います。(tomomiさん)
上記以外にも、車の買い替えや車検証の変更手続き、住宅ローン申請、不妊治療助成金の申請などその使途は多岐にわたります。中には再婚時、自分の子どもを再婚相手の戸籍に入れるための養子縁組手続きなどを行ったという人もいました。
戸籍謄本は、作成された後のタイミング(婚姻届の提出から7日~10日経過後)なら、役所の窓口やコンビニ交付の場合は即日、郵送の場合は1~2週間程度で取得することができます。
とはいえ完成を待っている間に、どうしても戸籍謄本が必要な場面が出てくることも。そういう時に役立つのが、婚姻の事実を証明する書類として戸籍謄本代わりに使用することができる「婚姻届受理証明書」。ただし発行に要する日程は自治体によって異なり、コンビニでの発行ができない・用途が限られるというような制約もあるため、事前に確認しておくことが必要です。
婚姻の事実を証明する書類として使える「婚姻届受理証明書」。申請するタイミングや使い道などを詳しく解説します。
以前は居住地と本籍を置いている役所が異なる場合、直接足を運んだり郵送で依頼する必要がありましたが、2024年3月1日からは最寄りの役所など、全国どこからでも戸籍謄本を取得できるようになりました。
また、現在ではほとんどの役所がコンビニ交付に対応しているので、マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書の暗証番号<4桁>の事前登録が必要)さえあれば、コンビニで簡単に取得することも可能です。
【戸籍謄本の主な取得方法】
・直接役所に出向いて申請する(本籍地の役所じゃなくてもOK)
・役所に依頼して郵送で取り寄せる
・コンビニの複合機から発行する
・代理人が役所に請求する
【申請に必要なもの/役所の窓口で受け取る場合】
・戸籍証明等請求書(HPからダウンロード可能)
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
・手数料
・印鑑(不要な場合も)
【申請に必要なもの/コンビニ交付の場合】
・マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁)の事前登録が必要)
・コンビニ交付手数料
【申請に必要なもの/郵送で受け取る場合】
・戸籍証明等請求書(HPからダウンロード可能)
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどのコピー)
・定額小為替
・切手を貼った返信用封筒
結婚後、戸籍謄本が必要な場面は思いの外いろいろあるもの。できれば手元に欲しい時期から逆算して準備を進めましょう。どうしても間に合わない場合は、婚姻届受理証明書で代用できるケースもあるので、今のうちから調べておくと安心です。
若山大輔さん
行政書士
1987年生まれ。2014年にブライダル行政書士として独立。結婚生活に関する法的・資金的なアドバイスを提供しているほか、オリジナル婚姻届を企画・販売する「婚姻届工房」の代表としても活躍。
構成・文/南 慈子 イラスト/田中麻里子
※記事内のコメントは2025年8月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー66人と、2年以内に婚姻届を提出し、その後戸籍謄本を取り寄せた経験のある花嫁110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです
※各種制度については将来改正・変更される場合があります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります