「和装前撮り」完全ガイド~ロケorスタジオ・費用・衣裳&ヘアバリエ~

和装で前撮りしたいなら知っておきたい、撮影の種類や場所、費用、衣裳について徹底解説!人気傾向や注意ポイントも押さえて、後悔のない和装前撮りを叶えてくださいね。
和装で前撮りしたいなら知っておきたい、撮影の種類や場所、費用、衣裳について徹底解説!人気傾向や注意ポイントも押さえて、後悔のない和装前撮りを叶えてくださいね。
加納紘美さん
着物スタイリスト
和装のコーディネートをするかたわら、撮影ディレクションやオリジナル白無垢のプロデュースを行う。2024年9月より「はなよめきものKANO」として独立。着物のスタイリング、着付け、撮影のディレクションを案内中。
データ出典:2025年4月に過去2年以内に結婚式をした女性110人が回答したマクロミル調査
和装で前撮りをする場合、まず決めたいのが「どこで撮影するか」。選択肢は2つあり、一つは撮影会社や結婚式会場にある撮影スタジオで行う「スタジオ撮影」。もう一つは、寺社や公園といったスタジオ以外でのロケーション撮影です。
今回のアンケートでは、和装前撮りを行った人のうち、スタジオ撮影、ロケーション撮影を行った人が、それぞれ同じ39.1%。どちらも行った人は19.1%という結果になりました。
それぞれの特徴については次の通り。
■スタジオ撮影は時間確保が難しい人に!
何日も日程を確保することが難しい方や、天候が気になる方にはとてもおすすめです。夏や冬でも空調の快適な空間、整った設備の中で撮影できるのもメリット。
スタジオ撮影と言えば昔はかしこまった写真という印象もありましたが、最近は個性的なスタジオも多く、豊富な背景やコンセプトを生かしたセットで、おふたりのイメージに合わせた撮影が可能です。
■ロケーション撮影は場所にこだわりたい人に!
美しい日本庭園や雄大な自然など、撮影場所の選択肢がスタジオよりも豊富。四季折々の自然の景色、雨上がりの色濃い木々の緑にきらきらとした日光が写り込んだり…予想を超えた撮影ができることも少なくありません。
スタジオでは緊張してしまう新郎新婦も、屋外ではリラックスしていつも通りの笑顔が出てくる場面がよく見られます。(加納さん)
前撮りの費用は撮影枚数や衣裳点数など、さまざまな要素によって異なります。一般的にはロケーション撮影よりもスタジオ撮影のほうが若干リーズナブル。平均は以下の通りですが、スタジオ・ロケーション撮影共に、最も多い価格帯は10万~15万円でした。
費用は、衣裳のクリーニング代や土日に追加料金が発生することも。また、ロケーション撮影では撮影する場所の使用許可申請料やフォトグラファーの出張費などが必要な場合もあります。
費用データ出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)
前撮り写真の使用目的があるのなら、それを踏まえて撮影時期を決めましょう。例えば、ウエルカムボードやペーパーアイテム、映像に使いたいと考えるなら、写真が必要になるタイミングから逆算して撮影したいもの。
撮影後、写真のデータが受け取れるまでには、2週間から1カ月ほどかかるケースが多いよう。
例えば、ウエルカムボードに次のような条件で前撮り写真を使用するなら…、
・5月1日の挙式
・ウエルカムボードの発注から納品までは2週間かかる
→写真データは遅くても4月半ばまで必要
→撮影は3月半ばまでにしておきたい
結婚式で前撮りのデータを使いたかったため、間に合うように日程を組んだら、5カ月前になりました(カスタードさん)
招待状の作成にギリギリ間に合う時間を検討し、年末年始の休みに平日料金でお得に撮影できました(あおりんごさん)
撮影時期を決めるにあたってもう一つ考慮したいのは、「どんな写真が撮りたいか」。特にロケーション撮影の場合、四季ごとに景色や光の回り方は大きく変化します。また、暑さや寒さ、空模様など撮影環境に影響があることも。
実際に和装撮影で人気なのは、暑くもなく寒くもなく過ごしやすい春や秋。春は桜、秋は紅葉などその景色も支持される理由。人気が高いだけに予約が取りにくいのが難点です。
前撮りの費用を抑えたかったため、桜の季節の少し前にしました。3月でも梅が咲いていて結果的に、花に包まれた素敵な写真が撮れました(美空さん)
新緑の季節できれいだったので5月を選びました。比較的晴れの多い、梅雨前であることも決め手に(rinaさん)
紅葉×着物で撮影したかったので、イチョウがキレイな11月を選びました(amiiiさん)
ロケーション撮影では、春の桜と秋の紅葉シーズンが特に人気。日本ならではの美しい写真は言うまでもなく印象的です。
真夏や真冬は避けられることが多いですが、その分リーズナブルなプランが出る時期でもあります。エアコンの効いたスタジオ撮影なら、予算重視派の方にはおすすめのシーズンともいえるでしょう。この時期は結婚式の件数も少なくなるので、衣裳の選択肢が増えるのも注目したいポイントです。
和装撮影といっても、和装には種類があります。それぞれの特徴を理解して、どれが着たいか考えてみましょう。
白無垢 | 打ち掛け、掛け下、帯や小物を白で統一した和の婚礼衣裳の正礼装 |
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色打ち掛け | 色や柄のある豪華で華やかな打ち掛け。白無垢と同等の格式がある |
引き振り袖 | 裾を引いた振り袖。黒い引き振り袖は江戸時代後期には上流武家の婚礼衣裳でもあった。帯が見えるので着こなしの幅が広がる |
■白無垢の場合
白一色な分、生地の質感や織り方、使われている技法で印象が大きく変わるので、さまざまなタイプを試着しましょう。綿帽子を合わせるのも白無垢ならではの装い。最近は色や柄のある花嫁小物も豊富なので、自分らしい着こなしも楽しめます。
■色打ち掛けの場合
重厚感のあるあでやかな色使いや柄行きが写真に映える色打ち掛け。色柄が無限にある分、衣裳店側のバリエーションも豊富です。柄には意味もあるので、何色のどんな柄行きにするのか試着で聞きながら、選ぶ時間を楽しみましょう。
■引き振り袖の場合
優美な帯結びが見える唯一の和装。新郎のタキシードと合わせた大正ロマンな雰囲気の撮影も人気です。打ち掛けを羽織らない分、シルエットがすっきりするので、スタイリッシュな印象にまとめられ、撮影中も軽やかに過ごせます。
着用率データ出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)
ヘアスタイルはなりたい和装のイメージにもつながる大切なポイント。現代風の洋髪から純和風のかつらまで、希望のスタイルをイメージしておきましょう。
洋髪 | ドレスと変わらないスタイルでアレンジする洋髪。和装の場合はまとめ髪がスタンダード |
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日本髪 | 地毛で結い上げる昔の定番スタイル。ある程度の髪の長さが必要 |
かつら | 文金高島田(ぶんきんたかしまだ)と言われる日本髪のかつら。正統派の和装や綿帽子、角隠しとの相性も抜群 |
■洋髪
水引や金箔を使ったスタイルや韓国風もまだまだ人気ですが、潔くショートヘアやボブスタイルにされる花嫁様も印象的。普段の印象と変化をつけにくいので、より華やかなヘッドアクセで差をつけるのがおすすめです。
■日本髪
古風で奥ゆかしい姿が着物にとても合います。中でも昔ながらの日本髪を現代風にくずした新日本髪は、伝統と流行のいいとこ取り。かんざしだけでなく、生花や現代風のヘッドアクセもよく合います。
■かつら
現代女性に合わせた明るい髪色のかつらもあるので、イメージに合ったものを選べます。かぶってみたら意外としっくりきた!というお声もよく聞きます。
和装はコーディネートの自由度がアップ。中でもヘアアクセは王道のかんざしや花だけでなく、金箔や水引をアレンジしたタイプまでバリエーションが広がっているようです。
白無垢には王道だと思っていたコチョウランの生花を合わせました(ninaさん)
SNSで情報収集し、洋髪にトレンド感のある金箔や水引をセット(りいさん)
伝統的な簪(かんざし)や櫛(くし)だけでなく、生花や造花、チュールやちりめん細工、リボンや組みひも、水引などとにかく種類が豊富。
流行は、タイトでミニマムなスタイルから、華やかなスタイルに戻りつつありますが、ヘアアクセはたくさん着けるよりも、スタイリッシュにセンス良く着ける方が増えています。
着物の多くはたくさんの色柄が入っているので、和装っぽくないかもと思っても合わせてみると意外にも合うことが多くあります。ご自身の感性を信じてヘアメイクさんに相談してみてください。
花嫁和装に合わせたい洋髪の実例集。トレンド感を取り入れたいならぜひ参考に!
和装のポーズは、「スタイリッシュな結婚式のペーパーアイテムに使いたいから、クールなポーズで」など、撮りたい写真のイメージと写真の使用目的に合わせて考えるのがおすすめ。
正座でのお辞儀やふたりで寄り添うポーズ、和装の柄を見せるポーズなど、ある程度和装撮影ならではの「型」もあるので、マストで撮影してもらうと、トレンドに左右されず思い出として残せます。
式当日に比べて、より自由に撮影を楽しむ時間が取れる前撮りでは、手を取り合って歩いているショットや、ふざけ合っているシーンなど、普段のおふたりらしいナチュラルな動きのある撮影も人気です。
また、大変嬉しいことに撮影スタッフとの記念撮影をご希望くださるおふたりも増えています。お支度中を切り取ったようなシーン、特にメイクをしている姿や撮影後の集合写真など、オフショットを撮るのも思い出に残っておすすめです。
王道から自然体のポージングまで参考になる実例集。事前に希望のイメージをフォトグラファーさんに見せておくと、上手に導いてくれるはず。
この記事では、実際に和装前撮りをする上で決める必要のある項目を中心にお伝えしました。プロのアドバイスや卒花の声も参考に、まずはどんな和装前撮りをしたいか、イメージするところから始めましょう!
構成・文/小松ななえ イラスト/Ecco
※記事内のデータならびにコメントは2025年4月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー56人が回答したアンケートおよび、過去2年以内に結婚式をした女性110人が回答したマクロミル調査、「ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)」によるものです
※掲載されている情報は2025年6月時点のものです