「マタニティウエディング」の不安 <時期、ドレス、プランetc.>にプロが回答!
妊娠中に式を挙げる「マタニティウエディング」。いざ自分が妊娠してみると、体調面やドレスのこと、会場のサポートなど不安なことがたくさん。妊娠中に式をする際のポイントや注意点について、産婦人科医、専門誌ディレクター、マタニティ専門ドレスショップ店長に、詳しく教えてもらいました。プロの意見を参考にしてみて。
教えてくれたのはこの方たち!
広尾レディース 院長
宗田 聡 先生
日本産科婦人科学会認定医・指導医。2012年に同クリニックを開設。妊娠出産や不妊治療など、体と心の両面から女性の不調を支えるかかりつけ医として診療を行っている。『31歳からの子宮の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、 著書多数。
『The Professional Wedding』ディレクター
『おめでた婚サポートプランナー認定講座』コーディネーター
桑田和代さん
ウエディングプランナー経験後、『週刊ホテルレストラン』の編集に携わる。2011年に株式会社ウエディングジョブ設立。超未熟児の長男を出産した経験を踏まえ、マタニティウエディングを支える会場スタッフへの啓発活動に力を入れている。
mamage by innocently(ママージュ バイ イノセントリー)店長
宮崎美穂さん
2014年開店時よりマタニティ専門ドレスショップ「mamage」の店長としてコンセプト・ドレス開発に携わる。『おめでた婚サポートプランナー』やメディング認定の医療サポート認定資格『マタニティコンシェルジュ』を取得。自身の出産経験も生かし、マタニティ花嫁に寄り添ったアドバイスを行っている。
【不安1】マタニティウエディング、みんなはどうしたか知りたい
Q1.みんなはマタニティ婚とパパママ婚、どっちにした?
A.【マタニティ婚が8割弱】
妊娠がわかってから結婚式をした先輩花嫁たちにアンケートを実施したところ、結果は以下の通りに。
妊娠中に結婚式をする「マタニティ婚」
・・・77.8%
出産後に結婚式をする「パパママ婚」
・・・22.2%
パパママ婚も増加傾向にあるものの、8割近い人がマタニティウエディングを選択していました。
Q2.マタニティウエディングのメリット、デメリットは?
A.【産後は思い通りにいかないことも。環境が整うなら検討を】
「産後は子どもの状態や自身の体調の戻り具合、職場復帰の準備など予測が付かないことが多く、産後に結婚式を望んでいてもタイミングを失ってしまうこともあります。突然の妊娠や結婚で不安な気持ちも、結婚式をすることで前向きになれます。
ただ、妊娠や出産には常にリスクが伴うのは事実。マタニティウエディングのサポート体制が整った会場で、産婦人科医の許可も出るならば、結婚式を考えてみてください」(桑田さん)
Q3.マタニティウエディングにはどんなスタイルがある?
A.【通常と同じ挙式&パーティが多い】
「以前は結婚前の妊娠に否定的な意見の方もいて、式をしなかったり内輪で祝う方も見受けられました。最近ではマタニティウエディングであっても通常通り挙式&パーティを行うカップルが多いようです。体調や準備できる期間を鑑みて、写真だけを残すフォトウエディングや、家族だけで祝うファミリー婚、カジュアルな1.5次会など、ふたりに合ったスタイルを見つけてください」(桑田さん)
【不安2】やっぱり、赤ちゃんと自分の体調が気になる・・・・・・
Q4.どの時期にどのくらいおなかが大きくなる?
A.【妊娠6カ月くらいからおなかが目立つように】
初期:「妊娠によるおなかの変化はほぼありません。だいたい妊娠10週ではまだ子宮は握りこぶし大しかありません」
中期:「妊娠20週(妊娠6カ月)頃よりおなかの膨らみが目立ちだし、その後だんだん前にせり出してきます」
後期:「子宮が胃や腸を押し上げ、かなり前に突き出してきます。大きくなった子宮の重みで腰を曲げてバランスを取らないといけなくなります。足元も見えにくくなります」(宗田先生)
Q5.マタニティウエディングは妊娠何カ月くらいまでできる?
A.【妊娠5~6カ月が安定期。7カ月を過ぎるとおなかが張りやすくなる】
「妊娠初期はつわりや出血・腹痛などが起こりやすく、体調がよくないことが多いため、結婚式など負担のあることは好ましくありません。
また、後期になると赤ちゃんが大きくなっておなかもかなり重くなり、腰など体にかかる負担も増えてきます。
一般的には、安定期と呼ばれる妊娠15~16週以降から妊娠20週中頃までが、勧められる期間です。妊娠週数が進んで、お腹が大きくなると張りやすくなります。お腹の張りが頻繁にあったり、腰に痛みなどを感じる状態であれば、週数にかかわらず控えた方がよいでしょう」(宗田先生)
Q6.妊娠中に結婚式をする際に気を付けることは?
A.【無理のない体勢で水分補給と食事を小まめに取る】
「妊娠すると、体の調子は妊娠前とは大きく変わってきます。長時間立ちっ放しであったり、体を締め付けるような格好などはよくありません。自分の体とお腹の赤ちゃんのために、結婚式の最中にも小まめに水分を補給したり、食べ物を口にすることが大切です。また、結婚式中はできるだけ座るようにして、楽な格好で過ごせるよう周囲の人に配慮してもらってください」(宗田先生)
【不安3】会場のサポート体制やプランがわからない
Q7.どんな会場を選べばいい?
A.【マタニティウエディングの知識があるスタッフがいる所に】
「会場の設備としては、バリアフリー、打ち合わせ場所や式当日に横になって休める場所がある、近くに対応できる病院があることなどがポイントになります。またそれ以上に大事なのが、スタッフの対応力。妊娠中の式準備について研修を受けていると安心です。出産経験があるプランナーを付けてほしいと言ってみるのも、一つの手。きちんと寄り添ってくれる会場なら、花嫁の希望に応えてくれるはずです」(桑田さん)
Q8.会場のマタニティプランってどんなもの?
A.【直近の割引やマタニティ特典が付くことも】
「マタニティウエディングは、準備期間が短くなることから直前割引があることが多いです。また、打ち合わせの回数をできるだけ減らしたり、当日横になって休憩できる部屋を用意してくれることも。
特典としては、マタニティフォトが無料で撮影できたり、マタニティ専用ドレスを着られるほか、ベビー用品のプレゼントがある会場もあります」(桑田さん)
Q9.突然結婚式ができなくなった場合は延期できる?
A.【多くの会場で延期は可能。もしものために保険も】
「突然入院になるなど結婚式ができなくなったときには、多くの会場で延期ができます。ただあまりに直前だと料理のキャンセルができず代金を支払うことも。成約時には、キャンセルや延期の規定について必ず確認するようにしましょう。
また、マタニティウエディングを行う方向けにキャンセル時の出費を補償する保険商品もあります。掛け金は大体1万~5万円程度です」(桑田さん)
【不安4】マタニティだとおしゃれな花嫁姿になれないかも・・・・・・
Q10.妊娠何カ月までなら普通のドレスが着られる?
A.【おなかが出ないうちは普通のドレスもOK】
「軽くて動きやすいものなら、通常のドレスでも大丈夫です。ウエストに切り替えがないAラインはおなかが目立つので、目立たせたくない方は切り替えがあるタイプがお勧めです。流行中のウエストの切り替えが高めのデザインなら、おしゃれな雰囲気に。
妊娠7カ月目くらいからは、おなかが前にせり出してくるので、おなかのサイズにドレスを合わせます。通常のドレスだとおなかはピッタリ、デコルテはブカブカになってしまうので、マタニティ専用のドレスの方が美しく見えます。
おなかが出る前(初期~5カ月目)は体調が不安定な時期でもあります。試着してみて少しでも違和感があるものは、避けた方がよいでしょう」(宮崎さん)
Q11.マタニティ用ドレスと普通のドレスとの違いは?
A.【着心地とデザインを工夫して美しい花嫁姿に】
「マタニティ用ドレスは、着ていて苦しくない、軽い、動きやすいことを前提に、おなか周りのサイズにゆとりを持たせています。それだけでなく、細い所は細く見せることにより、スタイリッシュでメリハリのあるドレス姿を実現できるようにしています。
例えば、おなかと背中にストレッチ素材を使い、体形の変化にフィットすることで、着たときの負担を少なくしています」(宮崎さん)
Q12.和装は着てもいい?
A.【着てもよいが重さや着付けに注意】
「和装を着ること自体は、妊娠中でも可能です。ただ、総手刺しゅうや織物など着物自体に重量のあるものは避けた方が無難です。特に挙式や撮影は長時間立ちっ放しになることもあるので、羽織ってみて無理のないセレクトが大事です。
着付けも妊娠中ならひもを締める箇所に配慮が必要です。プランナーから着付け担当へ、必ず妊娠していることを伝えてもらいましょう」(宮崎さん)
Q13.ヒールが高い靴が履けなくてもきれいに着こなせる?
A.【低いヒールにしたいことをドレス選びの前に伝えて】
「ヒールの高さは、ドレスの裾の余り分に対して決めていきます。低いヒールを履いてドレスの裾が余ってしまうと、裾を踏んでしまって転倒の危険があります。低いヒールを履くつもりなら、ドレスのセレクト前にスタッフに伝えると、ちょうどよい丈のドレスを選んでくれます。
妊婦さんはおなかが出てくる分、式当日は試着時よりも前丈が多少上がってきます。試着段階でドレスの裾にピッタリのヒールを合わせるのではなく、おなかの変化を考慮して微調整してもらいましょう」(宮崎さん)
【不安5】式当日のイメージが知りたい
Q14.マタニティウエディングにお勧めの演出は?
A.【赤ちゃんをイメージする装飾がお勧め】
「招待状などのペーパーアイテムに天使のモチーフを使ったり、誓いの言葉で子どもについて触れると、ゲストの印象に残ります。リングピローに結婚指輪とベビーリングを一緒に飾ったり、ウエディングケーキにベビーシューズのシュガークラフトを飾ったりしても素敵。パーティでは、子どもへのメッセージをタイムカプセルに入れたり、赤ちゃんの心音や動画を映像演出で流す人もいます。おむつで作ったダイパーケーキをオブジェとして飾ると、かわいくて写真映えもしますよ」(桑田さん)
Q15.ゲストに妊娠のことを伝えるべき?
A.【親と相談して伝え方や時期を決めるのがお勧め】
「ゲストに妊娠していることを言うかどうかは、まずふたりで考えて親に相談するのが大事です。言う場合は、友人には式当日サプライズでもいいですが、親族には事前に伝えておくなど配慮を。
式の段階では伝えないことにするならば、伝えられる段階になった時点でゲストに『式ではお伝えできず申し訳ありませんでした』とひと言電話やメールで報告するといいでしょう」(桑田さん)
Q16.当日に気を付けた方がいいことはある?
A.【経験のある介添えさんに頼んで無理をしないこと】
「打ち合わせ中はプランナーさんが担当ですが、当日は介添えさんが花嫁のお世話をしてくれます。できれば、妊婦の介添え経験がある方にお願いできると安心です。介添えさんは、花嫁の顔色や目の動きなどから体調を気遣ってくれます。パーティ中や撮影中など自分では頑張ってしまうところを、介添えさんが察して休憩を入れてくれることも。時間に余裕を持った進行にしたり、軽いドレスやブーケにすることも大事ですが、それ以上に自分でも無理をしないことを肝に銘じて、当日を楽しみましょう」(桑田さん)
From 編集部
プロの力を借りてマタニティウエディングを叶えて
妊娠を機に結婚することになると、親へのあいさつや引っ越し、妊婦健診、出産の準備など大忙し。結婚式をするかどうか思い悩んでいるうちに出産育児へ突入すると、毎日忙しくなって結局式を挙げないままになることも。体調やスケジュールに問題がないようなら、プロの力を借りてふたりの新たな人生を祝うセレモニーを叶えよう。
構成・文/稲垣幸子 イラスト/田中麻里子
※掲載されている情報は2020年2月時点のものです
※記事内のデータは、2018年12月に「ゼクシィ花嫁1000人委員会」のメンバー19人と既婚女性103人を対象に実施したマクロミル調査によるものです
●妊娠中に結婚式を挙げる方は、妊婦健診に欠かさず行き、必ず医師の指示を最優先で守ってください。
●おすすめの時期は、あくまで一般的な目安であり、おなかが大きくなるペースやつわりの度合い、体調は個人によって差があります。ご自身の体調を最優先に、準備を進めてください
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