結婚したら、新姓の印鑑は必要?手続きに使う印鑑の種類や購入方法
婚姻届を提出して姓が変更になった場合、新たに必要となるのが新姓の印鑑。公的な手続きでは印鑑の使用は減りましたが、やはり印鑑が必要なことも。そこで、行政書士の湯原玲奈さんに現在の状況を教えていただきました。アンケート結果やすてきな印鑑の実例も参考にしてみて。
【解説】新姓の印鑑が必要な手続きや法律
Q1.新姓の印鑑、必要な場面は?
現在の日本では婚姻届を提出すると、姓を変更した夫または妻は戸籍と住民票の姓が変わります。
印鑑登録は住民票と連動しているので、新しい姓になって法律行為を行う場合は、新しい姓での印鑑登録をする必要があります。
例えば、不動産の購入などの大きな買い物で、購入の意思表示(契約)や支払い(ローン契約)などの際に“実印”(印鑑登録をした印)が必要です。
民間の商取引では、印鑑は本人証明として利用されていますが、行政の書類で押印をする場面は大幅に減っています。(行政書士 湯原玲奈さん)
<新姓の印鑑が必要な手続き 例>
・不動産の登記
・住宅ローンなど銀行融資契約
・生命保険などへの加入
・遺産相続
・契約書の作成 など
Q2.仕事で新姓の印鑑が必要なことはある?
旧姓のままでも仕事ができるかどうかは会社側の判断ですが、免許制の職業の場合はそれぞれの法律により決まりがあります。
弁護士や税理士、行政書士などの士業は以前から届け出をすれば旧姓の使用が可能でしたが、最近は他の職業でも旧姓併記ができる場合も増えたようです。
看護師や薬剤師、宅建士などは、それぞれの法律により、姓名が変わった場合は変更手続きが必要です。これらの職業で新姓で仕事をする場合には、新姓の印鑑が必要になることがあります。
保有している資格や職場により個別に決まりがあるので、新姓の印鑑がいるかどうかは、事前に確認するようにしましょう。(湯原さん)
Q3.現在は印鑑が不要になった手続きは?
行政手続きは印鑑が約9割廃止されており、市区町村への届け出などはほとんど押印が不要です。婚姻届の印鑑も不要になりました。
ネット銀行での口座開設は印鑑が不要ですし、都市銀行も印鑑レスの口座が増えています。とはいえ民間の手続きは、一概に全てが不要とは言い切れません。
以前に印鑑を届け出て銀行口座を作った場合は、新姓の印鑑に変更する手続きをした方がよいでしょう。(湯原さん)
Q4.婚姻届を出したら、印鑑登録が必要?
姓が刻まれている実印の印鑑登録は、住民票の姓が変わると自動的に失効します。そのため、新姓の印鑑登録を改めて申請する必要があります。最初から下の名前のみでの印鑑登録をしてある場合は、姓が変わっても印鑑登録は失効しません。
ちなみにマイナンバーで旧姓併記すれば、旧姓の印鑑で印鑑登録が可能ですが、再度印鑑登録の手続きは必要です。
結婚で姓が変わることを考えると、印鑑登録する実印は下の名前のみで登録した方が面倒が少ないと思います。(湯原さん)
【調査】新姓の印鑑を作る時期や購入先
卒花にアンケート調査をしたところ、新姓の印鑑を作った時期は「婚姻届を提出する前」が51%で半数以上。これから結婚するという時期に印鑑を作成する人が多いようです。
購入場所は「ネット上のショップ」が42%で1位。「印鑑専門店」で作った人が2位で29%。簡単なものでよいということで「100円均一ショップ」で手に入れた人も17%いました。
印鑑を作る場合、ネット上のショップでは当日出荷が可能な店も。専門店などでは、3日~1週間程度で手彫りの印鑑が出来上がります。
【知識】知っておきたい印鑑の種類
個人で使う印鑑には主に実印、銀行印、認め印の3種類があります。
【印鑑の種類】
●実印……印鑑登録している印鑑
●銀行印……銀行口座を作成する際に届け出る印鑑
●認め印……日常でサイン代わりに使う印鑑
3種類に分けるのは、防犯上の理由です。日常で使う認め印と公的な証明になる実印、口座にひも付けられた銀行印を別々にしておくことで、本人の意図しない契約を勝手に作られたり、不正に銀行取引をされることを防ぎます。
【印鑑のサイズ】
印鑑のサイズは、実印、銀行印、認め印とも規定はありません。また、必ずしも3本とも高価なものにする必要はありません。きちんとした印鑑を1本作る場合は、男性用は直径15mm、女性用は13.5mmがメジャーです。
【印鑑の素材】
広く使われているのは白い水牛の角。他にはツゲ、象牙、チタンなど。アクリルも見た目が美しく人気がありますが、欠けることもあるため実印登録を受け付けない役所もあるようです。
【印鑑に刻む文字】
姓と名のフルネームだけでなく、下の名前のみでも実印として使えます。公の印鑑は偽造しにくいことから篆書体(てんしょたい)という書体が多くなっています。戸籍上の文字ならばアルファベットでもOKです。
【実例】「新姓の印鑑、作りました!」
結婚を機に新姓になった4人に、どんな印鑑を作ったのか教えてもらいました。お気に入りのポイントや利用用途など、参考にしてみて。
新姓の印鑑、どう選んだ?
【No.1】『桜カラー』
会社での手続きに認め印が必要だったため、インターネットでオーダー。銀行に勤めていて、口座の印鑑の変更も必要だったため、名字と下の名前の印鑑を2種類購入。大きさは一般的な12mm、淡い桜色で、見た目がかわいらしいところが気に入っています。(紗希さん)
【No.2】『レインボー』
彼の名字になったのがうれしくて、婚姻届提出後にネットで購入しました。あめ玉みたいでかわいいところがお気に入り。使うたびに癒やされて、愛着が湧きます。銀行の氏名変更や会社の書類提出時に使いました。(せいママさん)
【No.3】『ハーバリウム』
婚姻届提出の1カ月半前にネットショップで見つけました。金具の色とお花の色みを好きなものに組み合わせできるのが魅力。なくさないように基本的には自宅で配達物が届いたときや書類提出のときに使っています。(夕紀子さん)
【No.4】『チタン』
ネットショップで購入したのは、婚姻届提出の2日後。チタン製なので丈夫で一生使えることと、京印章制作士による手書き文字の印影が気に入っています。不動産の購入や住宅ローンの契約で役に立ちました。(章郎さん)
結婚の手続きはこちらもチェック!
From 編集部
姓が変わる場合は、早めに新姓の印鑑を用意しよう
印鑑は、行政手続きでは多くが不要になったものの、民間の商取引では本人証明として広く使われています。結婚を機に、住宅の購入やローンの契約など、大きな取引をすることもあるため、姓が変わる場合は新しい印鑑を作成しておくのがお勧めです。できれば婚姻届提出前に、また婚姻届提出後の早いタイミングで、新姓の印鑑を用意しておきたいですね。
湯原玲奈 行政書士/マリッジデザイン株式会社 代表取締役
国際結婚・離婚、外国人の在留ビザ申請などが専門。行政書士として離婚相談を多数受ける中で「離婚を回避し夫婦を幸せにしたい」という思いから、カップルのためのコミュニケーションツール「マリッジノート(R)」を開発。著書に『一生幸せなふたりでいるための10のワーク[マリッジノート(R)]』(朝日新聞出版)。
行政書士湯原玲奈 法務事務所 http://www.reina-office.com/
マリッジデザイン株式会社 http://www.marriage-note.jp/
構成・文/稲垣幸子 イラスト/moeko
※記事内のデータならびにコメントは2023年9月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー49人が回答したアンケートによるものです
※掲載されている情報は2023年11月時点のものです
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