【結婚式レポートin岐阜県】高山らしい結婚式に憧れていました

「映画のワンシーンのような写真を残したくて」。支度が整うと、料亭の茶室で写真撮影に臨んだ。白無垢に地毛で結った日本髪姿の京子さん。手入れの行き届いた庭から差し込む春の日差しをまとい、あでやかさを放っていた。

高山市出身のふたりが望んだのは、伝統的な結婚式。花嫁行列で護国神社に向かい、神前式後は岐阜県内最古の料亭での披露宴。ゲストの8割を親族が占めた。祝宴会場は、お膳が並べられた二間続きの和室。祝いのお菓子と桜茶での「さかづきごと」で開宴し、しばらく料理を堪能したところで、飛騨の祝い唄『めでた』が始まった。裕二さんの伯父がうたい出すと、全員がしみじみとうたい上げる。この『めでた』が終わるまで席を立ってはいけないのが飛騨のルール。ここからはゲスト同士が自由に酒を酌み交わす。目の前には映画のような世界が広がる。「着物が好きなので、ひと目ぼれした総絞りの引き振り袖と、袖付きの雰囲気のあるウエディングドレスを選びました」と京子さん。「手作りの小物類も、凝った演出もないんですよ」と笑う。それでも両家の父をはじめ、ゲストは皆、祝い酒に酔い、語り合い、笑い合う。両家の確かな絆を紡いだ3時間だった。

披露宴会場の料亭で支度を済ませ、雅楽隊と共に花嫁行列で飛騨護国神社へ。高山の古い町並を歩く様はまるで時代絵巻のよう。神社では裕二さん一家が京子さん一家を出迎えた。これも飛騨ならではのしきたり

ずらりと並ぶ祝いの膳。春を感じさせる地元の食材を使った料理が膳をにぎわす

「めでた」をうたう裕二さんの伯父。続いてゲスト全員が声を合わせる。永くうたい継がれている心に染みる唄だ

席札とお品書きも昔ながらのものでシンプルそのもの。高砂席に飾られた桜がひと足先に高山に春を連れてきたようだった

挙式へ向かう京子さんの門出の姿。目線の先には父の姿が

ゲストから大きな歓声が上がったほど、立派なタイが振る舞われた。タイと記念撮影

裕二さんのおいと、親戚の女の子たちがサプライズで花束をプレゼント。花道を歩く姿にゲストは目を細めた

京子さんの前職の上司が手作りした木目込み人形。受付でゲストを出迎えた

厳粛に行われた神前式。「ここは友人も参列できるので選びました」と京子さん

Profile

岐阜県高山市在住
前川裕二さん（29歳）
京子さん（29歳）

挙式日：2023年3月19日
挙式会場：飛騨護国神社
披露宴会場：角正
招待客：39名

共に県外の大学を卒業後、Uターンで高山の企業に同期で入社。2016年より交際開始。現在はふたりとも教員。

※ゼクシィ東海版2023年7月号より転載

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