年賀状での結婚報告<相手別・事情別の文例集>注意すべきマナーは?
「結婚しました」というお知らせは、デジタルもいいけれど、年賀状を兼ねた結婚報告はがきも新婚カップルに根強い人気。ただ、タイミングや内容、結婚式に出席してくれたか否かなど送る相手ごとの配慮など、注意したいポイントもあるよう。そこで、年賀状で結婚報告をする場合のマナーや、悩んだ時の文例などを、プロに教えてもらいました。
「結婚しました」というお知らせは、デジタルもいいけれど、年賀状を兼ねた結婚報告はがきも新婚カップルに根強い人気。ただ、タイミングや内容、結婚式に出席してくれたか否かなど送る相手ごとの配慮など、注意したいポイントもあるよう。そこで、年賀状で結婚報告をする場合のマナーや、悩んだ時の文例などを、プロに教えてもらいました。
年賀状を兼ねた結婚報告はがきは、マナー的に問題なし。ただし、送るタイミングや相手によって注意すべきこと、結婚報告だからこそ気を付けたいことなどがあるので、以下を参考にして考えましょう。
結婚報告はがきは、結婚(婚姻届の提出、結婚式)から2カ月以内を目安に送るのが一般的なマナー。ただし、少し待てば年賀状のタイミングと重なる場合などは多少超えても問題ありません。
明確なルールはありませんが、例えば春以降の結婚なら暑中見舞い(7月7日頃~8月7日頃に到着)、それ以降なら年賀状(1月1日~7日に到着)、それ以外は一般的な結婚報告はがき、のようなイメージで考えると良いでしょう。
年賀状はいろいろな立場の人に送るので、誰にとっても失礼のない内容になるよう考えましょう。例えば結婚式に出席した人としていない人、友人と目上の人、職場の人など、送る相手によって内容を変えた方が良い場合もあります。
この後、ケース別の文例も紹介しているのでぜひ参考にしてみて。
結婚報告はがきは結婚式の招待状と同様、句読点(「、」や「。」など)を付けないのが一般的。これらは文の区切りや終わりを表す記号のため、慶事の文面で使うと縁起が良くないとされています。そのため、句読点の代わりに改行で文を区切ったり、スペースを空けたりすることで読みやすくする必要があります。
句読点と同様、忌み言葉も避けるのが一般的。例えば「別れる」「冷める」「途絶える」「離れる」など別れを連想させる言葉や、「ますます」「いよいよ」など繰り返すことを連想させる重ね言葉も避ける必要があります。
手書きのメッセージは、必ず入れなければいけないことはありませんが、印刷された文面だけだとなんとなく味気ない感じがしてしまうもの。せっかくの結婚報告なので、相手によってひと言書き添えると好印象です。
結婚報告は「ふたりから」の報告という形で、連名で送るのがマナー。姓を変えた方の名前の後ろに(旧姓 ○○)と入れましょう。
年賀状は、すべてが印刷文だと味気ないだけでなく、送る相手によって内容やトーンを変えるのが難しくなります。だから自分で作る場合も、印刷会社などに頼む場合も、「定型文を印刷+個別のメッセージを手書き」がおすすめ。ここでは、誰に送っても失礼にならない年賀状の「定型文」の文例をご紹介します。
謹んで新春のお慶びを申し上げます
この度 結婚いたしました
お互いに助け合いながら温かい家庭を築いていきます
未熟な二人ですが ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします
あけましておめでとうございます
私たちは〇月〇日に婚姻届を提出し 新たな道を歩みはじめました
おかげさまで 楽しい結婚生活を送っております
本年も変わらぬお付き合いのほど よろしくお願いいたします
みなさまにとって幸多き一年でありますよう 心よりお祈り申し上げます
定型文に添える「手書き」のメッセージ部分も意外と迷うもの。結婚式に出席してくれた人としていない人では内容を変えたいし、目上の人と親しい友人ではトーンを変えたいですよね。ここでは、相手別の手書きメッセージ文例をご紹介します。
おかげさまで 順調な新生活を送っております
力を合わせて笑顔あふれる家庭を築いてまいります
今後ともどうぞよろしくお願いいたします
いつまでも温かい祝福を忘れることなくふたりで笑顔いっぱいの家庭を築いていきます
本年もどうぞよろしくお願いいたします
ご報告が遅れましたが 私たちは昨年〇月〇日に結婚し 新しい人生を歩み始めました
落ち着いた頃に ふたりでご挨拶に伺わせてください
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます
ご報告が遅れましたが 昨年〇月〇日に結婚しました
これからは力を合わせて 温かい家庭を築いていきます
お近くにお越しの際にはぜひ新居へお立ち寄りください
本年もどうぞよろしくお願いいたします
年賀状を兼ねた結婚報告はがきには、写真を入れるケースが多いよう。受け取る人も、前撮り写真や結婚式当日の写真を見たい!という人が多いでしょう。デザインはお気に入りを1枚大きく使ってもいいし、たくさんの写真をコラージュしても楽しい雰囲気に。ただし、写真は絶対に必要ということではないので、相手との関係性などによって入れたくない場合は、なしでも構いません。
写真や文章を決め、スマホのアプリやパソコンのソフトなどを使ってデザインし、家庭用プリンターではがきに印刷するか、ネットプリントを注文。宛名は宛名ソフトで印刷するか、手書きで入れます。
デザインや印刷に時間がかかり、家庭用プリンターでは印刷の仕上がりにムラが出ることもありますが、自由にデザインでき、コストを抑えられるのがメリット。相手によって写真や文章を差し替えるのも簡単です。
年賀状作成サービスや業者を決め、用意されたテンプレートの中から好きなものを選び、写真をアップロードして文面を入力。印刷や納品の方法などを決めて依頼します。最近では投函までを行ってくれるサービスも。
自作するよりコストがかかり、デザインや文面の自由度も高くありませんが、プロによる高品質な仕上がりが期待でき、さらに宛名印刷や投函代行を依頼すれば、手間が省けます。
出産後の報告であれば結婚と共に子どもの誕生に報告を。出産前であれば結婚の報告のみをし、子どもの誕生後に改めて暑中見舞いなどで方臆するのがおすすめです。出産の予定を伝えたい人には手書きで「○月に家族が増える予定です」などと書き添えても。
新年 おめでとうございます
昨年〇月に結婚 〇月〇日には第一子が誕生し
賑やかなお正月を迎えました
これからは家族で力を合わせて 笑顔あふれる家庭を築いていきます
本年もどうぞよろしくお願いいたします
寒中見舞いでの報告の場合にも忌み言葉や句読点には注意を。また、喪中であることには触れず、季節のご挨拶と結婚の報告をします。
寒中お伺い申し上げます
寒さの厳しい日が続いておりますが いかがお過ごしでしょうか
私事ですが昨年〇月〇日に結婚いたしました
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願いいたします
寒さ厳しき折 ご自愛のほどお祈り申し上げます
結婚して初めてのお正月という「新婚感」を演出できるし、結婚報告が遅れてしまった人も自然に報告できるなど、年賀状を兼ねた結婚報告にはメリットがいっぱい。ただ、作ったり送ったりする時に知っておきたいマナーも多いので、この記事を参考にして、早めに準備を進めてくださいね。
岩下宣子さん
マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事長。企業をはじめ、学校、商工会議所、公共団体などへのマナー指導や講演を行う。執筆活動にも取り組み、マナーに関する多数の著書を持つ。
西川侑希さん
手紙の書き方コンサルタント
一般社団法人 手紙文化振興協会の認定資格を持ち、今の時代に合う手紙の書き方を分かりやすく発信し、企業研修やオンラインでの指導、講演などで活躍する。書籍、企業ウェブサイトの監修といった、手紙の力で“書くコミュニケーション力”を高める活動にも取り組んでいる。
取材・文/前川ミチコ イラスト/moeko 構成/小田真穂(編集部)
※記事に掲載されている情報は2025年10月時点のものです