【結婚式の父親の服装】モーニングを着ないのはNG?礼服・スーツの選び方
結婚式を控えた新郎新婦にとって、親の服装選びも意外と悩ましいポイント。特に父親の衣裳は「やっぱりモーニング?」という声がある一方で、「堅苦しい」「着慣れない」とモーニングを避けたがる父親も少なくありません。本当にモーニングを着なければいけない?スーツでは失礼?ほかに選択肢はある?そんな服装マナーについてマナーデザイナーの岩下先生に聞きました。場にふさわしい代替案についても、わかりやすく解説します。
結婚式を控えた新郎新婦にとって、親の服装選びも意外と悩ましいポイント。特に父親の衣裳は「やっぱりモーニング?」という声がある一方で、「堅苦しい」「着慣れない」とモーニングを避けたがる父親も少なくありません。本当にモーニングを着なければいけない?スーツでは失礼?ほかに選択肢はある?そんな服装マナーについてマナーデザイナーの岩下先生に聞きました。場にふさわしい代替案についても、わかりやすく解説します。
マナーデザイナーの岩下先生によると、結婚式で新郎新婦の父親がモーニングを着ないこと自体はマナー違反ではありません。大切なのは、服装を整えることで「ゲストを立てる=相手を大切に思う気持ち」を示すこと。新郎新婦や親が主催者として、その姿勢を伝えることが礼儀に当たるのです。モーニングという第一礼装は、祝福してくれるゲストへの心尽くしの表れともいえます。
一方で、カジュアルな結婚式にしたい場合は、招待状に「礼装ではなく平服で」と明記しておくことをおすすめします。家族が第一礼装でないのにゲストが礼装で来てしまうと失礼になりかねません。あらかじめ結婚式の趣旨を伝えておくことが大切だと岩下先生は話しています。
モーニングは、男性の「昼の正礼装(最も格式の高い服装)」です。ジャケットは前裾が斜めにカットされたデザインで、黒のジャケットにグレーのしま柄ズボン、白シャツ、ベスト(グレーまたは白)、ネクタイを合わせるのが基本スタイル。結婚式での「父親の装い」として最も格が高く、ゲストを迎える立場にふさわしい服装とされています。
ただ、モーニングはあくまで「昼の礼装」なので、午前~午後の日中の式典に限定されます。そのため、夕方以降や夜の披露宴では着用しないのがマナー。夜の正礼装はタキシードや燕尾服です。
先輩花嫁110人へのアンケート調査によると、新婦の父親の衣裳は「モーニング」が圧倒的に多く、82.7%を占めました。続いて「ブラックスーツ」7.3%、「タキシード」4.5%、「その他の服装」4.5%が続きます。「黒紋付き」は0.9%と少数で、「燕尾服」は0%という結果でした。夜の正礼装にはタキシードを選ぶ人が多いようです。
| ブラックスーツ | 礼装としてはカジュアル寄り。カジュアルな結婚式などに。 |
|---|---|
| タキシード | 夜の正礼装。基本的には蝶ネクタイもカマーバンドも黒で揃える。 |
| 燕尾服 | 夜の正礼装。黒の上下に「ホワイトタイ」を合わせるのが基本。 |
| 黒紋付き | 黒の五つ紋付き羽織袴は、和装の正礼装(第一礼装)。 |
| ダークスーツ | ネイビーやダークブルーのスーツで。ブラウンだと、かなりカジュアルな印象。 |
形式にとらわれない自由な披露宴にしたいと思っていたので、父は手持ちのジャケットに少し派手なネクタイを選びました。お金も選ぶ時間もかからず楽だと言っていました。母はワンピース、姉はセットアップでした。(美希さん)
父の兄から譲り受けた紋服があったので、彼の家族にも着たい紋服があると伝えました。母は祖母が仕立てた留袖、妹は着物を着ました。(わこさん)
モーニングを着ない理由として「面倒」「手配方法がわからない」といった声もありますが、実際には多くの父親がレンタルを利用しています。ホテルや式場ならサイズを伝えるだけでスムーズに手配でき、式後の保管も不要。衣裳を増やしたくない方にも安心です。さらに、レンタル品はメンテナンスが行き届いているため、清潔感や安心感もあります。購入に比べて費用を抑えられる点も大きなメリットです。
結婚式で新郎新婦の父親がモーニングではなくブラックスーツを選ぶ場合は、小物の合わせ方で「格上げ」して見せることができます。例えば、シルバー系のネクタイを選べば、きちんとしたフォーマル感が漂い、準礼装に近い印象に。さらにチーフの色も合わせれば、より上品で華やかな雰囲気になります。
また、シャツにカフスを付けるのもおすすめ。さりげない輝きが手元に華やかさを添え、普段のスーツスタイルとの差を出すことができます。カフスはフォーマル感を高めるアイテムとして効果的で、ネクタイやチーフとテイストを合わせれば、ブラックスーツでも結婚式にふさわしい特別感を演出できます。
ブラックスーツを結婚式らしく格上げするには、小物の統一感が大切です。ベストを合わせれば胸元に立体感が出て、フォーマル度がぐっと上がり、色はネククタイやチーフと合わせてシルバー系にすると、より上品な印象に。
靴は黒の革靴を基本に選びましょう。最も格式が高いのは飾りのないシンプルなタイプですが、装飾が少なめのデザインであれば、結婚式でも問題ありません。ベルトは靴と同じ黒で揃えると、統一感が増してスマートな印象に。靴下は黒の無地を選ぶのが基本です。
腕時計については「結婚式では時を忘れる(時計に目をやるのは失礼に当たる)」ため外す方がよいという考え方も以前はありました。ただし、マナーデザイナーの岩下先生は「気にしすぎず、身に着けても大丈夫」と話しています。華美すぎないシンプルな時計であれば、違和感はないでしょう。
父親はモーニング、母親は留袖で、両家とも第一礼装のパターン
父親はダークスーツ、母親はツーピースで、カジュアルに揃えたパターン
結婚式で新郎新婦の父親が着る服装は、両家で「格」を揃えることが大切です。岩下先生によると、「例えばどちらかがモーニングで、どちらかがブラックスーツだと、格が低い方はいたたまれない気持ちになりますよね。両家で揃えることが大事」とのこと。
結婚式は両家の大切な門出を共に祝う場。服装の格を合わせることは、両家のバランスを整え、ゲストに対しても誠意を示す意味につながります。
両家で「格」を揃えるためには、事前にしっかりとコミュニケーションを取ることが欠かせません。岩下先生は、「お嬢さんや息子さんを通じて伝えるのも一つの方法ですが、誤解が生じる可能性もあるので、両家で直接話し合うことが大事」と話しています。
結婚式準備の中で、両家がじっくり話す機会はそう多くありません。このタイミングに「どんな思いで服装を調えようと思っているのか」を共有し合うことで、お互いの気持ちが理解でき、親子や両家の絆を深めるきっかけにもなるでしょう。
親族のみのカジュアルな挙式で、彼の父は最初からモーニングを着ないと言っていました。彼の妹の結婚パーティでもスーツだったそうです。そのため、相手のご家族に合わせてスーツで臨むことにしました。もともとカジュアルな式だったのでスーツでも問題ありませんでした。(よねぴーさん)
新郎側の父がスーツを着ると言っていて、式場から「両家で服装を揃えた方がよい」とアドバイスを受けたため、スーツで統一することにしました。特に反対意見もなく、自然に両家で合わせた形になりました。(m.mさん)
新郎新婦が和装のため、特にもめることもなく、自然に服装を決めることができました。彼の父親も紋付き袴を着る予定で、母は留袖、兄はスーツと、家族全体のバランスも調っていました。(ちゅんさん)
リゾート挙式だったため、ゲストも含めて全員がラフな服装でした。服装のレベル感に迷う方もいましたが、「スーツやワンピース」と具体的に伝えました。事前に話して両家とも同じくらいのカジュアル感だったので特に問題はありませんでした。(EYさん)
結婚式での父親の装い=モーニング、というイメージは根強いですが、必ずしも必須というわけではありません。正礼装はモーニングですが、親族だけのカジュアルな結婚式や、パーティ感の強いウエディングであれば、ブラックスーツなどの略礼装でも失礼には当たりません。ただし、その際は両家で格を揃えることが大切です。また、ゲストにも「カジュアルなパーティである」ことを事前に伝えておくと安心です。大切なのは「お祝いの気持ちが服装にも表れているかどうか」。主役のふたりと気持ちを揃えて、大切な一日を迎えましょう。
岩下宣子さん
マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。
構成・文/竹本紗梨 イラスト/林田秀一
※記事内のデータおよびコメントは2025年8月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー8人が回答したアンケートならびに、3年以内に結婚式を挙げた女性110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです