【婚姻届の証人欄】書き方を見本付きで解説!本籍や印鑑の注意点も
婚姻届が受理されるためには、ふたりの結婚を認める証人の署名が必要です。この記事では証人欄の書き方や、書く際の注意点を解説します。これから結婚するふたりは証人を依頼する前に、証人を依頼された人は、どのようなことを書けばよいのか、確認のためお役立てください。
婚姻届が受理されるためには、ふたりの結婚を認める証人の署名が必要です。この記事では証人欄の書き方や、書く際の注意点を解説します。これから結婚するふたりは証人を依頼する前に、証人を依頼された人は、どのようなことを書けばよいのか、確認のためお役立てください。
証人の欄は、通常、婚姻届の右側に2人分あります
婚姻届の「証人」とは、ふたりがお互いに結婚の意思があることを認め、証明する第三者のことです。婚姻届に証人が必要なことは、民法で定められています。証人が必要になった背景としては、偽装結婚を避けるためや、合意が取れていない不本意な婚姻を防ぐためと考えられています。
「証人」というと、お金や住居を借りる際の「保証人」と語感が似ていることもあり、「証人を引き受けると、何かデメリットがあるのではないか」と心配になる人もいるかもしれませんが、婚姻届の証人になることに、デメリットは基本的にありません。ふたりがお互いに結婚の意思があることを承知していれば大丈夫です。例外として「偽装結婚を手伝う」「ふたりの合意が取れていないのに無理やり結婚する目的で証人を依頼されて受ける」ようなケースでは、証人が罰則の対象になることもあります。
証人は、成人(日本では18歳以上)であれば、誰でもなれます。人数は2人以上必要ですが、夫と妻、それぞれから1人ずつ選ばなければいけないものでもありませんから、例えば、妻側の知人から2人揃えても構いません。
証人は、結婚する当人たち以外で、ふたりの結婚を認めてくれる人であればOK。親に頼む人が多いですが、友人や上司に頼む人もいますし、外国籍の人でもその国の成年であれば証人になれます(※1)。頼める人がいない場合は、有料の証人代行サービスに依頼する方法もありますし、婚姻届を受け付ける窓口の人が証人になってくれる自治体もあります(※2)。
※1 外国籍の人が証人を務める時は、書類の添付が必要な場合があるので、提出先の自治体の役所に確認を。
※2 証人代行サービスは、弁護士や行政書士などの専門家に依頼するのがおすすめ。また、窓口での証人の依頼については、市区町村役場の方針によって対応が異なるため、事前に電話などで可能であるか、問い合わせをしてください。
住所は覚えていても、自分の本籍は正確に覚えていない、という人も少なくありません。そのため、結婚するふたりは、証人を依頼する際には、住所だけでなく、本籍を書く欄があることは必ず伝えておきましょう。また、証人の依頼を受けた人は、署名をする日までに、正確な本籍を確認しておきましょう。本籍は市区町村役場の窓口やコンビニエンスストアの交付サービスなどを利用して、戸籍謄本(抄本)か、本籍記載の住民票の写しを取得すれば確認できます。
証人欄には、まず氏名を必ず自筆で署名します。続いて生年月日を記入します。生年の表記は、和暦が一般的です。西暦でも基本的には受け付けてもらえます(※3)。和暦の場合、昭和をS、平成をHなどの略字にはしないでください。押印は、以前は必要でしたが、2021年9月から基本的に不要となりました。任意ですから、押したい場合は押しても構いません。ただし、押印する場合は、インク浸透印やゴム印は使えませんのでご注意ください。
※3 自治体によっては和暦での記入を推奨している場合があります。西暦でも事実が間違っているわけではないため、受け付けてもらえるのですが、その場で修正を求められることもあるため、婚姻届に修正が入るのを避けたい場合は、和暦で書いておくとよいでしょう。
続いて、住所と本籍を記入します。「住所」は住民票の届け出を行っている場所で、「本籍」とは戸籍が登録されている具体的な場所のことです。住所と本籍の場所が違う人もいるので、戸籍謄本(抄本)や本籍記載の住民票などで確認しておきましょう。なお本籍は、地番や街区符号(番)で示されます。住所では「〇丁目〇番〇号」と書く場合も、本籍だと「〇丁目〇番」までであり、「号」は含めないことが一般的です。証人欄の本籍を書く所に「号」がないのは間違いではないので、書き加えないように注意しましょう。
3人以上が署名する場合も、生年月日、住所、本籍を記します
証人は民法で2人以上の署名が必要となっており、2人以上であれば、3人でも4人でも証人になってもらって構いません。ただし、通常の婚姻届の証人の署名欄は2人用です。この署名欄に3人分以上を無理やり詰め込むのはNGなので気を付けて。3人目からは欄外の空いている所に署名してもらいましょう。裏面を使ってもOKです。
外国籍の人も、その国の成年になっていれば、証人になれます。署名は日本語か、その人の現地語で書いてもOKです。生年月日は、西暦で記すとよいでしょう。住所は、日本語で書きますが、日本語が書けない場合は、現地語をカタカナに直した上で、それをローマ字で記入します。例えば、シアトル(Seattle)なら、Shiatoruと記入します。本籍の欄には、国名を書きます。なお、署名は必ず本人が書く必要がありますが、住所や本籍は代筆でも構いません。
親やきょうだいなど、同じ名字の2人に証人を依頼するケースもあるでしょう。名字が同じ人に証人を依頼する場合で、両者ともに押印をしたい場合は、ふたりが同じ印影の印鑑を使うのはNGです。異なる印鑑を使うようにしましょう。最も、押印は任意になりましたので、押印しなければ問題はありません。
間違ったところを二重線で消し、その上や横に書き直す。
記入間違いをした場合は、間違った箇所に二重線を引いて、記入し直します。その際、署名に押印をしていなければ、二重線の上に訂正印を押す必要はありません。署名に押印している場合は、役所によっては訂正印を求められる可能性があるので、二重線の上から訂正印を押しておくと確実です。
修正液や修正テープは使ってはいけないことに注意しましょう。また基本的には、記入した本人に修正をしてもらいます。特に署名の修正は本人以外してはいけません。
アパートやマンション名の書き方の例。
住所はアパートやマンション名まで、住民票に書かれているのと同じように書きます。アパートやマンション名は番地のあとのスペースに書きますが、名前が長くて、狭いスペースに書ききるのが難しい場合は、あらかじめ印刷されている「番地・番・号」を線で消しておきます。そのうえで、住所を詰めるように書くとよいでしょう。
顔合わせの際に両家父に書いてもらいました。予備として3枚持っていっていましたが、両家の父親が間違う箇所がそれぞれ異なり、3枚目でようやく間違わずに書くことが出来ました。余裕があれば5枚は用意しておくべきだったと反省してます。(佐梨奈さん)
両家顔合わせで父たちに署名してもらいました。事前に本籍を書かなければならないことを伝えていましたが、帰宅して2人で確認したところ、正しい書き方の「◯丁目◯番」ではなく、夫の父親は「◯ー◯」、私の父親は「◯の◯」と書いており、書き直しになるのかと焦りました。提出日ではない日に事前に役所に行って確認したところ、このままでも大丈夫と確認が取れたので安心しました。(ぽにぽにさん)
両家顔合わせの時に、それぞれの親に一度に書いてもらえたのですが、本籍が間違っており、結果、再度書いてもらうことになりました。実家が遠方ということもあり、2回目は郵送でのやりとりとなり、時間がかかってしまいました。(BSさん)
生年月日を西暦で書いてしまい、窓口で訂正することに。二重線と訂正印だらけの婚姻届を提出することになりました。証人にも和暦で書くようにお願いが必要でした。(美紀さん)
証人欄への署名は、余裕を持って早めに依頼して書いてもらった方が安心です。証人が遠方の場合は、郵送にも時間がかかりますし、証人によっては本籍の確認用の書類の取り寄せが必要な人もいます。証人欄に書き間違いがあって、修正が必要になると、さらなるタイムロスが発生する可能性も。
また、提出したい日にちに間に合わなさそうだからといって、証人欄の署名を代筆するのは絶対NG。署名の偽造は、刑法159条、有印私文書偽造罪となります。生年月日や住所、本籍は代筆してもよいのですが、署名は絶対に本人が書かなければいけないと覚えておきましょう。
いずれにしても、証人欄に万が一、不備が見つかった場合でも、修正の手配をした上で希望日に婚姻届が出せるスケジュールを組むようにしましょう。
ちなみに、婚姻届の証人欄の署名は、両家の親にお願いするなら、両家が揃うタイミングで書いてもらうのもよいものです。例えば、顔合わせ食事会の時に書いてもらうと、婚約の演出として思い出に残る上、効率もよく、早めに準備ができておすすめです。また、結婚式の前日や当日に両家の親に書いてもらうのも、結婚式への気持ちが高まる、特別なひとときとなるでしょう。
両家顔合わせの際に、互いの親に署名してもらいました。親に認めてもらうようで嬉しく、身の引き締まる思いでした。(いくらさん)
夫の父には、ふたりで実家を訪ねた時に、証人の署名をお願いし、その場で快く署名してもらいました。形式的なものではありつつも、改めて家族として迎えてもらえたような気持ちになり、じんわり感動した瞬間でした。(美奈さん)
彼のお父さんには、結婚式の前日に、会場のホテルで証人の署名をしてもらいました。(遥香さん)
夫が学生時代にお世話になった先輩に証人になってもらいました。ふたりで、カフェでその先輩とお会いして結婚の報告とごあいさつをし、証人の記入をしてもらいました。(美紀さん)
証人の署名は、私の親友に書いてもらいたいという強い希望があり、追跡ありの海外郵送にて送りました。(えみさん)
婚姻届の証人欄の署名は、それほど難しいものではないので、気負わなくても大丈夫です。ただし、証人を頼まれた側は本籍の確認が必要ですし、心の準備が欲しい人もいるでしょうから、頼む側は、日程に余裕を持って、丁寧にお願いしましょう。また、家族以外の人に証人になってもらった場合は、届け出後の結婚報告もお忘れなく。
若山大輔さん
行政書士/行政書士法人アインクラッド代表社員
1987年生まれ。2014年に全国初のブライダル行政書士として独立。結婚生活に関する法的・資金的なアドバイスを提供しているほか、オリジナル婚姻届を企画・販売する「婚姻届工房」の代表としても活躍。
構成・文/河内千春 イラスト/moko.
※記事内のコメントは2025年8月に「ゼクシィ花嫁会」メンバー75人が回答したアンケートおよび、2025年8月に1年以内に結婚した既婚男女110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年10月時点のものです