妊娠中の結婚指輪、どうする?購入時期から後悔しない選び方まで解説
妊娠中に結婚指輪を選ぶ時、気になるのが「指のサイズの変化」や「購入のタイミング」。体調や体形の変化が大きい時期だからこそ、「今買っていいのかな?」と迷う花嫁さんも少なくありません。そこで産婦人科専門医とジュエリーコーディネーターに、妊娠中の結婚指輪選びで押さえておきたいポイントや、失敗しないための工夫を詳しく伺いました。
妊娠中に結婚指輪を選ぶ時、気になるのが「指のサイズの変化」や「購入のタイミング」。体調や体形の変化が大きい時期だからこそ、「今買っていいのかな?」と迷う花嫁さんも少なくありません。そこで産婦人科専門医とジュエリーコーディネーターに、妊娠中の結婚指輪選びで押さえておきたいポイントや、失敗しないための工夫を詳しく伺いました。
林 聡先生
東京マザーズクリニック 院長
産婦人科専門医、臨床遺伝専門医、超音波専門医、周産期(母体・胎児)専門医。国立成育医療センター周産期診療部胎児診療科 医長ののち、2012年1月より 東京マザーズクリニック院長に就任。
小俣友里さん
ジュエリーコーディネーター
難関のジュエリーコーディネーター1級の資格を持ち、ジュエリーリフォーム専門の「ラトレイユ」の代表として活躍。ジュエリーのリフォームや修理はもちろん、オーダーメイドジュエリーも手掛けている。
「程度の違いはさまざまですが、妊婦さんにむくみが起きるのは自然な現象です。むくみは妊娠中期ごろ(妊娠6カ月ごろ)から始まり、特に妊娠後期(妊娠8カ月)から分娩に向けて症状が徐々に強くなります。妊娠中は血液量が増加し血液が薄まるため、血管外に水分が漏れやすい状況があり、さらに妊娠を安定に保つために多くの黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるため、このホルモンの働きにより体に水分を溜めやすくなります。場所は手、足、顔に現れやすく、特に足が強く出やすいです」(林先生)
「実際に『体形が変わり指輪が抜けない』『産後、指輪が入らない』といったトラブルはよくあります。妊娠・出産によりホルモンバランスや体形の変化が影響して、指のサイズが産後になかなか戻らないというケースも珍しくありません。対処法としては購入店やジュエリー工房でのサイズ直しや、産後数カ月でむくみが取れて体形が戻る方も多いので、焦らず様子を見るのも一つの方法です」(小俣さん)
妊娠と指のむくみはやはり関係がありました。指輪が抜けにくくなったりサイズが変わることもありますが、それは決して特別なことではなく、多くの妊婦さんが経験すること。妊娠中の体の変化と向き合いながら指輪を選んでいきましょう。
「つわりが軽い方が、婚姻届提出や顔合わせに間に合うように購入するケースが多いです。妊娠初期で体調が落ち着いているなら、指輪選びには良い時期です」(小俣さん)
「妊娠初期はまだむくみが起きていない方が多いので、指輪の購入は問題ないと思いますが、その後むくみが強くなると指輪がきつくなるので、きつさを感じたら早めに外して保管しましょう」(林先生)
指のサイズがまだ変わっていない妊娠初期は、つわりが軽く無理なく出かけられる方にとって、指輪選びの良いタイミングといえます。この時期に購入した場合でも、むくみを感じたら無理せず早めに外して保管し、産後に再び身につければ大丈夫。安定期に結婚式を予定しているなら、むくみやサイズの変化も想定して、購入時にショップへ相談しておくと安心です。結婚式の指輪交換でむくみが心配なら、仮リングを使用する、ネックレスに通して交換するなど、プランナーさんに代案を相談してみましょう。
「妊娠中の指輪選びは、安定期に入って早めのタイミング(妊娠5~6カ月頃)が最もおすすめです。むくみがピークになる前で、サイズ測定がしやすく、フォトウエディングやマタニティーフォトにも間に合います。心身ともに余裕があるのでデザイン選びも楽しめます。ただ、妊娠中期~後期は指がむくみやすく購入後や産後にサイズが変わる可能性が高いため、サイズ直しが可能な素材をおすすめします」(小俣さん)
「安定期になれば外出や運動をすることをおすすめしていてショップ巡りにはよい時期ですが、指輪を選ぶ時期としては、これからむくみが強くなることを踏まえて、産後にサイズが変わる可能性があることをお考えいただく必要があります」(林先生)
安定期は体調も落ち着き、外出しやすいため指輪選びにはおすすめの時期です。特にフォトウエディングや結婚式を安定期以降に予定しているなら、当日にぴったりの指輪を着けられるのも大きなメリット。ただし妊娠後期にかけてはむくみが強くなり、産後もサイズが変わる可能性があります。そのため、この時期に妊娠前よりサイズが大きめの指輪を購入する場合は、サイズ直しが可能な素材やデザインを選ぶことが安心のポイントです。
「産後、育児が少し落ち着いてサイズが戻ってから購入される方もいらっしゃいます。サイズが戻った指に合わせて購入できるので、じっくり選びたい方に好まれます。サイズ直しの心配がなく、赤ちゃんの誕生石や名前を刻印することもできます。同じタイミングでベビーリングを作る方も」(小俣さん)
「産後しばらくするとむくみも体形も妊娠前に戻っていきますので、医学的にはその安定した時期を待ってから、指輪に限らず衣類などの購入をしていただくことが良いと思います。一方で結婚指輪を産後まで待つことに関しては、いつむくみや体形が戻るかは人それぞれですので、『いつになったら戻るかな』と待ち疲れしてしまうことが精神医学的にもしかしたら良くないこともあるかもしれませんね」(林先生)
産後に体形や指のむくみが落ち着いてから指輪を選ぶのは、サイズ直しの心配がなく、赤ちゃんの誕生石や名前を刻んだり、ベビーリングと一緒に記念にできる素敵なタイミングです。ただし、体が戻る時期には個人差があり「早く戻ってほしい」と焦ると心に負担がかかることも。大切なのは、無理をせず自分のペースで選ぶこと。赤ちゃんとの新しい暮らしが少し落ち着いた頃、じっくり指輪選びを楽しんでくださいね。
●指のサイズが安定するまで待つ
産後すぐはむくみやホルモン変化の影響が残っていることが多く、サイズが不安定。一般的には産後3~6カ月以降にサイズが落ち着く傾向
●赤ちゃんとの生活に配慮したデザイン選び
引っかかりにくいシンプルなフォルム(丸みのある甲丸タイプなど)が人気。赤ちゃんの肌に触れても安心な、装飾の少ないデザインが好まれる
●素材の安全性
プラチナやK18など、肌に優しい素材が安心。医療用素材(チタンなど)を選ぶ人も
●育児中の着用シーンを想定する
着け外しを頻繁にする人は、着脱しやすいデザイン、少し大きめサイズを好みがち。ただ子育てで忙しいと、子どもと外で遊んでいて気付いたらなくなっていた、沐浴中に取れて排水溝に流してしまった…というケースも
あまりつわりが重くなかったので、結婚を決めてすぐに買いに行きました。彼が婚約指輪を選んでくれて、同じショップで結婚指輪も購入しました。(Misaさん)
早く買いに行きたかったけど、つわりで眠気と吐き気がすごかったので、安定期に入って体調が落ち着いてから購入しました。ただ、指のサイズが太くなってきたので、指輪を着け始めたのは産後体形が戻ってきてからです。(NAさん)
結婚指輪が欲しかったので、出産前に夫とジュエリーショップへ。産後にゆるくなるかもしれないとアドバイスされて、サイズ直しが1回無料でできることを確認してから購入しました。(ゆめさん)
結婚式も、子どもが生まれてから考えようと話していたので、結婚指輪は産後に買いました。それまでは、夫婦になったけど恋人時代のおそろいリングを着けていました。(のんさん)
「一般に金、プラチナ、チタン、ジルコニウムなどがアレルギーを起こしにくいといわれています」(林先生)
「プラチナ(Pt900・Pt950)はアレルギーが出にくく、耐久性も高い定番素材。特にハードプラチナは傷やゆがみに強く人気があります。チタン・ジルコニウムは医療用にも使われるほど肌に優しく、軽量。金属アレルギーの方にも安心。ただしサイズ直しが難しいので事前に確認を。K18ホワイトゴールドは、アレルギー反応が出やすい素材のニッケルを含む場合があるので注意してください」(小俣さん)
「サイズ直しが難しい素材や繊細な(変形しやすい)デザイン、全周デザインは避けた方が無難です。また、着け心地や安全性も考慮して、赤ちゃんとの生活に支障がないものをおすすめしています。華奢すぎるとゆがみやすいので、1.8mm以上の厚みが安心です。年齢を重ねてもなじむ、飽きのこないデザインを選ぶのもポイント。ストレートタイプで、彫りや石のないデザインは出産後にサイズ変更しやすく、何歳になっても着けやすいのでおすすめです」(小俣さん)
●チタン・ジルコニウム・タンタル
溶接が困難で、サイズ変更には特殊技術が必要。多くの工房でサイズ直し不可
●サージカルステンレス・合金・真ちゅう
加工時に変色・破損のリスクが高く、素材の成分が不明な場合も。修理を断られることが多い
●フルエタニティ
石が全周に入っていると、石が外れ、デザインが崩れる可能性が
●ミル打ち加工(全周)
粒状の装飾がサイズ変更でゆがみやすく、仕上げ直しが難しい。半周のみなら対応可能な場合も
●複雑な彫りや模様が全周にあるもの
模様が途切れたり、バランスが崩れる可能性あり
●長文の刻印入りリング
切断や接合で刻印が消えることがあるため、再刻印が必要になる場合も
●特殊な表面加工(グラデーション、いぶし仕上げなど)
加工が失われる可能性があり、再現が難しい
「妊娠中の方にはサイズ直し前提でご提案します。妊娠中はむくみやすいため、通常より0.5~1号ほど大きめをご提案することが多いのですが、大きすぎると回転したり抜けやすくなるので注意が必要です。出産後にサイズが戻ることを想定し、サイズ直し可能な素材を選ぶのが安心です。サイズ直し無料の回数、期限や保証内容もしっかりお伝えします。
また、妊娠中はシンプルな仮リングで過ごしていただくご提案もしています。もしくは妊娠前のサイズでご購入いただき、体形が戻るまでネックレスチェーンに通してペンダントとして使うというアイデアもあります」(小俣さん)
●指のサイズの測定時間
朝晩はむくみが出やすいため午前10時~午後5時が理想。夏はむくみやすく、冬は細くなる傾向があることを留意して
●サイズ直しの保証内容
ブランドごとに異なり、「初回無料」「1年以内無料」「回数制限あり」「永久保証」などさまざま。購入前に必ず確認
●クリーニング・仕上げ直し
超音波洗浄器でのクリーニングは無料で受けられるブランドが多い。小傷やくすみもきれいになる「仕上げ直し」(新品仕上げ)まで無料で行っているブランドも
●有料のケースが多いアフターサービス
ゆがみ直し 、指輪の変形を修整、石留め直し 、表面加工(テクスチャー)の再仕上げ
「指輪が少しきつくなった感じがしたら早めに外してください。むくみは妊婦さんにより程度が異なり、人によっては指輪が抜けにくくなることがあります。病院では妊娠中に指輪を早めに外していただくようにお願いしていますが、外すのを忘れて抜けなくなる方が、たまにいらっしゃいます。
むくみにより指輪がきつくなり、指の血行障害を生じる可能性もあります。妊娠中は皮膚が敏感となり皮膚のトラブルが起きやすいため、肌荒れやかゆみ、湿疹など金属アレルギーを生じることがあります。無理に指輪を引っ張ると、指を傷つけたり、指の血行が悪くなるため行わないでください。せっけんやオイルなどを塗って指輪を滑りやすくする、むくみを少なくするようにマッサージなどを試みますが、どうしても難しい場合は、好ましくはないものの、指輪をしたまま出産していただくことも検討します」(林先生)
●ジュエリーケースに保管
専用ケースに入れて、通帳や印鑑などの大切なものと一緒に保管すると安心
●アクセサリートレーに飾る
玄関や寝室など目の届く場所に置くことで、インテリアとしても楽しめる
●ポーチやバッグに入れて持ち歩く
小型ジュエリーポーチを使えば、外出時も肌身離さず持てる
●ネックレスに通してペンダントに
赤ちゃんの誕生石やイニシャル入りチャームなどと一緒に通すのも人気
●記念ボックスやフレームに入れて飾る
出産や婚姻届提出の記念品と一緒に、写真や手紙などと並べて
小俣さんによると、妊娠中の指輪選びは、赤ちゃんの誕生や家族の始まりを祝う記念ジュエリーという意味合いもあるそうです。生まれてきたお子さまに「この指輪はあなたがおなかにいる時に一緒に選んだのよ」と伝えることや、産後にイニシャルや誕生石を加えることで、より深い家族の絆を形にすることもできます。小俣さんは「大切なのは、自分らしい選択をして妊娠中でも産後でも指輪選びを楽しむこと」とアドバイスしてくれました。無理せず、新しい家族の時間を素敵なものにしてくださいね。
構成・文/竹本紗梨 イラスト/EccO
※記事内のコメントは2025年7月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー5人が回答したアンケートによるものです
※掲載されている情報は2025年9月時点のものです