LGBTQ+カップルが結婚式を挙げる前に知っておきたいこと
「結婚式を挙げたい」と思い立ったら、まず読んでほしいノウハウ特集。準備の流れ、会場選びのポイント、つまずきやすいことなど、LGBTQ+カップルのウエディングを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ広報室・鈴木絢子さんに聞いてきました。さらに先輩カップルたちの体験談も参考にして、楽しくスムーズな準備を始めましょう。
「結婚式を挙げたい」と思い立ったら、まず読んでほしいノウハウ特集。準備の流れ、会場選びのポイント、つまずきやすいことなど、LGBTQ+カップルのウエディングを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ広報室・鈴木絢子さんに聞いてきました。さらに先輩カップルたちの体験談も参考にして、楽しくスムーズな準備を始めましょう。
まずは「どんな結婚式にしたいのか」ふたりの話し合いから始めよう。
理想のイメージが固まってきたら、会場探しのフェーズへ。LGBTQ+フレンドリーの会場に狙いを絞って、見学やブライダルフェアを予約するのがオススメ。例えば「LGBTQ+ 結婚式会場」で検索したり、会場の運営企業が、LGBTQ+研修を行っているか否かをカンパニーサイトで確認したり、予約前に同性同士であることを伝えたり。ゼクシィ相談カウンターを訪れたカップルからは「スタッフがその場で電話確認して予約できた」という声も。
予約時に「同性カップルです」などとふたりについて話しておくと、会場側も経験豊富なスタッフを接客担当にするなど準備を整えてくれるケースが多く、話が早い。
また、会場見学は3軒巡ると比較検討しやすくなる。施設・設備のチェックをしつつ、ふたりの結婚式を一緒に楽しくつくり上げてくれそうなプランナーとの出会いを大事にしたい。ここまでクリアできたら、後の準備はふたりらしく進められるはず。
ゼクシィ相談カウンターを利用すると、ふたりに合った会場の提案・予約をしてくれるのでスムーズ。スタッフはLGBTQ+研修を受講しているので、何でも気軽に相談しよう。なお、気になる会場があれば、各会場のチャット相談機能を活用するのもおすすめ。
「何をイメージしたらいいのか分からない」というゼロベースのカップルこそ、気軽にブライダルのプロを訪ねてみよう。
今、結婚式のスタイルはバラエティー豊か。家族や仲間内だけの少人数ウエディングも人気の傾向で、ふたりきりで挙げることもできるし、家族と友人を分けて二部制にするのも◎。またフリープランナーを決めてから、プロと一緒にふたりらしい会場選びをすることも可能。ホテルやゲストハウス、レストランだけでなく、キャンプ場、公園、ミュージアム、自宅などで挙げるカップルもいる。
「一緒に楽しく準備できそうなプランナーさんとの出会いが決め手だった」(ヒデさん&トモさん)
上記のダンドリにあるように、まずは「LGBTQ+フレンドリー」の会場か見極めよう。プランナーのLGBTQ+ウエディングの実績有無も、安心に繋がる一つの要素。経験豊富なプランナーは、既存の価値観から離れてフラットに向き合ってくれるケースが多い。見学時に接客してくれたスタッフは窓口だけで、結婚式をプランニングするのは別のスタッフというケースもあるので、信頼できるスタッフが最後まで伴走してくれるかも要チェック!
「ふたりはオープンにしているけれど、ゲストの中にはアウティングを気にする人もいるかも…」と心配があるなら、他のカップルや他のゲストと鉢合わせしないような動線になっている、もしくは貸し切りにしている会場をセレクトとすると安心。
オールジェンダーの化粧室の有無、安心して利用できる更衣室の有無、子連れがいるなら授乳室の有無など、必要に応じて会場見学時に確認しておこう。
例えば、女性同士カップルの結婚式の場合、ゲストの男女比が女性に多く傾くことも。そのような場合は、化粧室をスムーズに利用できるよう対応可能かなどの確認も。
ゼクシィ相談カウンターを介して予約した3軒の会場を見学。決め手はナイトウエディングに合う洗練された空間と、スタッフの皆さんのフレンドリーな雰囲気。何よりプランナーさんとの相性がよく、僕たちの理想を形にしてくれると感じました。(左:トモさん&右:ヒデさん)
島根では親族中心の結婚式、東京では友人中心のパーティを開きました。どちらもお目当てだった神社以外は同性カップルOKで、会場探しはほぼスムーズに。東京では邸宅などクラシカルな3軒を巡り、1日2組限定・ウエディングでしか入れない非日常の空間が素敵すぎるホテルに決定。宿泊特典もあり両親に泊まってもらえたのも◎。(左:Oさん&右:Uさん)
取材協力:赤坂プリンス クラシックハウス
小規模な結婚式を挙げられる会場をネット検索。全国展開している会場でしたが「東京」「LGBTQ+」「ペット」と条件を絞っていくと、1軒だけ該当して。2匹の愛犬と挙式だけじゃなく、披露宴もずっと一緒にいられるのがポイントでした。(左:Rikuさん&右:Hisaさん)
挙式は、神前式・キリスト教式・人前式・仏前式などがある。宗教上のハードルがないかなど確認が必要だ。圧倒的に人気が高いのは「人前式」で、神様に誓うのではなく、今までにお世話になったゲストたちに誓うスタイルを大切にするカップルが多いよう。
結婚式は自由に進化する一方で、古くからの習わしがあることも。そのため準備中に戸惑うふたりもいる。具体的にどんな不安やモヤモヤが生じたのか、先輩カップルの胸の内をご紹介。
疑問・不安・違和感・モヤモヤ…そんな感情が湧いたら、プランナーに相談すると◎。ふたりのこと、ふたりがやりたいこと、やりたくないことなど、プランナーに共有しておくと、ふたりに合った提案をいろいろしてもらえるはず!また、当日はサーブするスタッフなど大勢が関わるが、ふたりのセクシュアリティーについて、どのスタッフまで開示されているのか確認することも大事。
□希望があれば打ち合わせや試着の個室対応
□ふたりの呼び方(名前、新郎新婦etc.)
□衣裳の希望(ドレス×タキシード、ドレス×ドレス、紋付き袴×紋付き袴etc.)
□演出などやりたいこと・やりたくないこと
□当日の立ち位置の希望
□セクシュアリティーの開示範囲(全員に開示、一部ゲストに開示、セクシュアリティーに触れないetc.)
□ゲストへの配慮(呼称や表現、性別にとらわれない対応etc.)
私たちはたとえ「新郎新婦」と呼ばれても「まぁいいや」ぐらいのスタンスなので、プランナーさんには最初に「聞きたいことは聞いてほしいし、同性カップルということに関して気を回しすぎないでください」と伝えました。もし気になることがあるなら、「ふたりのスタンスを感じ取って」は難しいので、先に伝えた方がいいですね。(左:Oさん&右:Uさん)
「結婚式へ招待する最初の声掛けで、友人らにカミングアウト。受け入れてもらえるかどうか不安だった」というOさん。個別カミングアウトは“重い”と感じる人もいるかもしれないので、まずグループSNSで上記のような文面で一斉に連絡した。「もし同性同士の結婚式に否定的な人がいても、その後で送る正式な招待状で“欠席”の意思表示をしてもらえると思った」と振り返る。実際は、みんなが「おめでとう!!絶対に行く!」と祝福に駆け付けてくれた。
結婚式の写真や動画を、その場でSNSにアップして臨場感たっぷりにお祝いする場面も増えている。招待状に「SNSにどんどんアップしてね」とメッセージを添えるカップルもいれば、事前にゲストに確認して、アウティングの観点からSNS投稿について注意喚起をするカップルも。ふたりとゲストの関係性はさまざま。ふたりのものさしで、最適なゲストフォローをしよう。
「それぞれが、ゲストに向けて感謝と今の気持ちを伝えました。『Hisaと結婚することになりました。海と空という相棒(愛犬)もいます。今まで心配ばかりかけたけど、私は今も幸せです』」(Rikuさん)
『Rikuに出会ってからは、毎日が喜びの日々でした。結婚式をしようと言ってくれたのもRikuです。普通の夫婦が経験するようなことを「私はできない」「私とは関係ない」と思っていたけれど、当たり前のようにRikuは僕にプレゼントしてくれています』(Hisaさん)
「ふたりともドレスで登場することは伝えてなかったので、サプライズ的に私たちを紹介できたと思います。そして私たちにしかできない演出として、笑いも交えながらLGBTQ+講座を開きました。『賛同してください』という押し付けな感じにはならず、『勉強になった』『あの演出があるとないとでは違ったね』と言ってもらえました」(Uさん&Oさん)
取材協力:赤坂プリンス クラシックハウス
「お色直し中座中に、ふたりの出会いから結婚を迎えるまでの歩みを、ドラマ風に仕立てた映像で紹介。僕たちの関係をより深く知ってもらえました。エンディングのスピーチでは、『同性婚が法的に認められる日が来たら、改めて集まっていただけたら嬉しいです』とお願いの言葉で締めくくりました。(ヒデさん&トモさん)
「この人なら!」とふたりが見初めたプランナーに出会ったら、最初から心をオープンにしてふたりのこと、結婚式を挙げる意味、大事にしている価値観、希望、不安、嫌なことetc.可能な限り語り尽くすのが吉。そうすれば迷うことも少なく、“らしさ”全開の結婚式を創造できます!
鈴木絢子さん
テイクアンドギヴ・ニーズ広報室
入社後、ウェディングプランナーとして新規営業、プランニング、式当日の立ち会いまでを一貫して担当。 東京と千葉の計4店舗に勤務し、LGBTQ+カップルの結婚式も手掛ける。現在、広報室に在籍。
協力/松岡宗嗣 構成・文/千谷文子 D/mashroom design
※記事内のコメントは2025年7月に会場スタッフとカップル3組にインタビューした内容によるものです
※掲載されている情報は2025年8月時点のものです