【結婚挨拶の切り出し方&タイミング】ケース別に徹底解説!当日のマナーも紹介
相手の親への結婚挨拶(あいさつ)って、どのように切り出せばいいか迷ってしまいますよね。初対面の場合やすでに面識がある場合、その時の状況によっても変わってきそうです。今回はご挨拶のタイミングとスムーズな切り出し方について、マナーデザイナーの岩下宣子さんのアドバイスを基に詳しく解説します。
相手の親への結婚挨拶(あいさつ)って、どのように切り出せばいいか迷ってしまいますよね。初対面の場合やすでに面識がある場合、その時の状況によっても変わってきそうです。今回はご挨拶のタイミングとスムーズな切り出し方について、マナーデザイナーの岩下宣子さんのアドバイスを基に詳しく解説します。
岩下宣子さん
マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。
結婚挨拶で難しいのは相手の親への切り出し方。ネットやマナー本を見ても、どんなタイミングでどう伝えるのか、細かいところまでは載っていないことが多いようです。定番の流れと切り出すタイミングは次の通り。
まずは相手の家に到着したら、玄関で「初めまして。〇〇〇(フルネーム)と申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」と、簡単な自己紹介を兼ねたご挨拶をします。結婚挨拶は部屋に通されてから行うのが基本。改めて自己紹介をし、出されたお茶をいただきながら一息ついた後で本題に入るとスムーズです。
結婚の了承を得た後は、再び和やかな歓談タイムを楽しんで。食事を出されたら遠慮せずに頂いても構いませんが、長居は禁物。頃合いを見計らい、長くても2時間程度でおいとましましょう。
なお、結婚を切り出す際のセリフについては、相手の親と面識がある場合・ない場合とで内容が異なるので、次のコーナーで解説します。
例えば結婚挨拶の場面で、初対面の相手の親を「おじさん、おばさん」と呼ぶのはやや違和感がありますよね。とはいえいきなり「お父さん、お母さん」もなれなれしい印象を与える恐れが。最初は無難に「〇〇さんのお父さま、〇〇さんのお母さま」と呼びましょう。さらに親の前で相手を呼び捨てにするのもNG。「〇〇さん」と下の名前で呼びかけて。
避けた方がよい言葉としては、「〇〇さんを下さい」というセリフ。「なぜ大事な娘を君にくれてやらねばならぬ!?」と気を悪くされないよう、「結婚を考えています」「結婚させてください」と穏やかに。また、話の流れで「そういえば…」と結婚挨拶を切り出すのもタブー。まるで話のついでのように聞こえてしまい、親もいい気持ちがしません。
すでに相手の親と面識がある場合、あまりかしこまるのもお互いに気恥ずかしい感じがしますが、結婚挨拶は特別なもの。きちんとけじめをつけることも大切です。
お忙しい中、お時間をつくっていただきありがとうございます。本日は改めて結婚のご挨拶に伺いました。よろしくお願いいたします。
※この後に続く「結婚したいと思ってるんだ」の決めゼリフは彼に任せてもOK!
ご無沙汰しています。本日は改めてお話ししたいことがあってお邪魔しました。ご存じの通り学生時代からの長い付き合いですが、その当時から気持ちは全く変わっていません。〇〇さんと結婚させていただけませんか。
相手の親と初対面の場合は、緊張したり親の出方をうかがったりしてご挨拶のタイミングを外しがち。いきなり切り出すのは難しいので、あらかじめお互い自分の親に結婚挨拶であることを伝え、二人三脚で頑張って!
(自分の親に)こちら、前に付き合ってるって話していた〇〇さん。今日は結婚挨拶に来てくれたんだ。緊張しているから優しくしてね。
初めまして。〇〇〇〇(フルネーム)と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。お二人のお話は△△さん(彼)からよく伺っていて、ずっとお会いしたいと思っておりました。
※「結婚させてください」の決めゼリフは彼に任せてもOK!
中にはおめでた婚や再婚など、どうやって切り出せばいいのか悩んでいる人もいるのでは?ここでは、さまざまなケース別の対応方法を例文と共にご紹介します。
喜んでくれる親もいれば、想定外の事態に戸惑う親も。まずは親の気持ちになって考えることが肝心です。その際、「ごめんなさい」と謝ったり、「妊娠したから結婚を決めた」という言い方をせず、子どもを授かったことを喜ばしいこととして切り出しましょう。
驚かせてしまって申し訳ありません。〇〇さん(彼)からお聞きになっていると思いますが、このたび子どもを授かりました。ふたりで責任を持って幸せな家庭を築いてまいります。
※まず彼が切り出し、その後「よろしくお願いします」とご挨拶する方法もあり
再婚であることを隠したりせず、ごく普通に振る舞って。「一度失敗していまして…」などネガティブな発言も慎んだ方が無難。前もって相手から事情を伝えてもらい、難色を示されなければ、自分からはあえて触れずに親から切り出されるのを待つスタンスでもOK!
初めまして。〇〇〇〇と申します。△△さん(彼女)とは職場で知り合って2年になります。実は私、一度結婚していたことがあり、お二人がそのことを心配されているとお聞きしました。過去は変えられませんが、△△さんとなら温かい家庭を築いていけると思っていますので、結婚をお許しいただけると嬉しいです。
子どもがいる場合、相手の親が気になるのは「家族としてうまくやっていけるかどうか」という点。親権や養育費、養子縁組など考えるべきこともいろいろあります。まずは挨拶に伺う前に相手から親へ事情を話してもらい、切り出す際にはふたりで一緒に丁寧に。
初めまして。〇〇〇〇(フルネーム)と申します。△△さん(彼)からもお話があったと思いますが、実は私、3歳になる娘がいます。そんな状況でも結婚したいと言ってくれた△△さん(彼)のお言葉に甘え、本日ご挨拶に上がった次第です。
子育てしながら仕事も頑張る彼女のことを、心から尊敬している。子どもも僕にとても懐いてくれているし、頑張っていい父親になりたいと思ってるんだ。二人にも温かく見守ってもらえたら嬉しいな。
今どき、いろんなカップルがいて当たり前。あえて自分から「年上です」切り出さなくても大丈夫だけど、相手の親から「失礼だけどおいくつ?」と聞かれる場合も想定して、ご挨拶の仕方を考えておくといいかも。
初めまして。〇〇〇〇(フルネーム)と申します。△△さん(彼)とは同じ職場に勤めております。本日はお招きいただきありがとうございます。実は私の方が少し年上ではありますが、△△さんが頼もしいのでいつも助けてもらっています。
その後、「年の差はお互いに気にしたことがない。結婚するならこの人しかいないと思っている」と切り出すのは彼の役目!
結婚挨拶を切り出すタイミングやシチュエーションは人それぞれ。「こんなときどうすればいいの?」という疑問に、マナーデザイナーの岩下さんからアドバイスを頂きました。
「レストランや料亭でご挨拶をする場合は、食事の前に行うのがマナーです。お店にお願いして料理の配膳を少し待ってもらい、『本日は大事なお話があって席を設けました。お運びいただきありがとうございます』と、きちんとした言葉で伝えましょう」(岩下さん)
「どんなに話が弾んでいても、お茶を飲んだりお手洗いで席を立ったりして、会話が途切れる瞬間は必ずありますよね。そこを見逃さず、『お話が盛り上がっている最中に申し訳ありませんが、本日は大事な話があってご挨拶に伺いました』と切り出してはいかがですか」(岩下さん)
「相手の親御さんの口数が少ない場合は、結婚挨拶のタイミングを計るのにも気を使いますよね。そんなときは、『〇〇さん(彼)はどんなお子さんだったのですか?』というように、親が話しやすそうな話題をさりげなく持ち出し、場の空気を和ませて。その上でご挨拶を切り出すとスムーズです」(岩下さん)
結論から言えば、どちらから切り出しても構いません。とはいえ相手の親の受け止め方にも配慮する必要があり、例えば「え?女性から切り出すの?」という反応を示しそうな親なら、大事な「結婚させてください」のセリフは彼に任せた方がいい場合もあります。ふたりでよく相談し、役割分担を考えておくと安心です。
知っておいて損はない“結婚挨拶当日のマナー”の数々。既存の記事と合わせてチェックしてみて!
時間に厳しい親なら、待ち合わせ時間ジャストに到着したいところですが、実際には迎える準備などでバタバタしているケースも。そこに配慮し2~3分遅れでインターホンを押すのがマナーです。5分以上は遅刻と見なされるので気を付けて。
すでに面識があり、相手の親と親しい間柄でも、結婚挨拶の際にはきちんとした格好で出向くのがマナー。清潔感のある服装を心がけることはもちろん、家に上がるので靴や靴下、中敷きにも気を配りましょう。
親から好感を持って受け入れてもらえる“親挨拶の服装”とは?男女別にじっくり解説します。
身だしなみを整えて玄関に入ったら、自分の名前を名乗り(初対面の場合)、「今日はお招きいただきありがとうございます」と、貴重な時間を割いて迎え入れてくれたことへのお礼を伝えます。
部屋に通されたらまずは下座に控えておきましょう。椅子を勧められたら座っても構いませんが、相手の親が入室したらきちんと立ち上がってご挨拶を。それから持参した手土産を渡します。その際、紙袋や風呂敷から出して渡すのがマナーです。
相手の親がもらって嬉しい手土産とは?迷ったらこちらの記事を参考に。
目的はあくまでも結婚挨拶なので長居は無用。相手の親から誘われていない限り、食事時を外して訪問するのがマナーです。ティータイムなら1時間半、「ごはんを一緒に」と言われている場合でも2時間を目安においとましましょう。
結婚挨拶は緊張する場面ですがそれは親も一緒。いろんな事情で迷うことがあれば、「相手の親はどんな気持ちなんだろう」と想像してみましょう。そうすれば、おのずと自然なタイミングと切り出し方がつかめるはず。親ファーストで乗り切ってくださいね。
構成・文/南 慈子 イラスト/てぶくろ星人
※掲載されている情報は2025年8月時点のものです