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夫or妻、結婚したらどっちの名字を選ぶ?~実態調査&手続きの注意点~

現在の日本では、結婚すると夫か妻、どちらか一方の姓しか名乗れない「夫婦同姓」が法律で定められています。どちらの姓を選択するのかは、ふたりの意志で自由に決められますが、迷いもありますよね。今回は、そんな「結婚時の改姓」のあれこれを詳しく解説します。

結婚したら「夫婦同姓」が法律上のルール

現在の日本の法律では夫婦同姓がルール。女性側の改姓が95%

結婚時、どちらの姓を選んだかのグラフ

現在の日本の民法の下では、婚姻届を提出する際にどちらの姓(氏)を名乗るのかを決めなくてはいけません。つまり、「法律上の結婚=夫婦同姓」となるわけです。ちなみに改姓するのは女性が圧倒的に多く、実に約95%の女性が男性の名字への改姓を選択しています。(※1)

とはいえ夫婦同姓を必須とする法律に異を唱える声も多く、将来的に結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることができるよう、「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」の導入を議論・検討されている最中です。

ちなみに外国の事情はちょっと異なります。実は日本のように「夫婦同姓」の制度がある国の方が少なく、アメリカ合衆国(ニューヨーク州)やイギリス、ドイツなどは夫婦同姓か別姓かを選択できますし、カナダ(ケベック州)や韓国、中国、フランスなどでは「夫婦別姓」が原則です。またイタリアなど、夫の姓に妻の姓が結合される「結合氏」という制度のある国も存在します。(※2)

※1/厚生労働省「人口動態統計」2022年調査より
※2/法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」より

「事実婚」って知っている?

事実婚とは、「婚姻届は出していないけれども、事実上は夫婦と同じような関係性を持ち共に暮らしている」という状態を指します。

日本では正式な夫婦として認められていないため、法律婚と全て同等の権利を得られるわけではありません。税法上や社会保険上は事実婚には柔軟に対応しているという印象がありますが、相続に関しては柔軟性は一切ないので、遺言書等で対応する必要があります。

また、相続と同様、子どもが生まれたときは法律婚でないことによるデメリットが一番感じられるのではないかと思います。事実婚の場合は子どもの名前をどうするか、が最大の問題となるので、このタイミングで法律婚を選ぶカップルは多いようです。
(行政書士/湯原玲奈さん)

「事実婚」についての詳細はこちらの記事をCHECK

どちらの名字にするか迷ったときの考え方

どちらの姓を選択するか考えているカップル

私たちはこう考えた!

577050さんの顔写真

【女性の姓を選択】
少し珍しい名字ということもあり、私の両親から「残してほしい」という希望が。かなり悩みましたが、彼や彼の親ともよく話し合い、了承をもらった上で彼に改姓してもらうことになりました。(kumanatsu0312さん)

503600さんの顔写真

【男性の姓を選択→将来的に変更も検討】
長女なので名字を残したいと思っていましたが、彼も変える気はなし。将来的に私の姓への変更も検討してくれると言ってくれたので、いったん私が改姓することにしました。(サクラさん)

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【男性の姓を選択】
結婚後は私の実家に住む予定になっていたので、本当は名字も変えてほしかったのですが、彼が自分の名字に愛着がある様子。故郷を離れてこちらに住んでもらう負い目もあったので、彼の希望を尊重しました。(ととろさん)

どちらの名字にするか迷ったら……

現在の戸籍制度では、ふたりは結婚と同時にそれぞれ元の戸籍から抜け、新しい戸籍を作るため、昔のように「家を継ぐ」という意味はほとんどありません。「新しい戸籍を作ったのでその戸籍にどちらの名前をつけようか」というイメージで、夫と妻、どちらの姓を選んでもいいのです。そのような理由も踏まえ、「男性側の姓になるのが普通」という固定観念を取り払い、どちらの姓を名乗った方がふたりにとってメリットがあるのか、ニュートラルな気持ちで話し合ってみましょう。

原則として、養子縁組以外で姓を家裁の許可なく変えられるのは婚姻しかないので、「新しい自分になる!」という気分が味わえるチャンスでもあります。法律上は相手の姓に変わっても、社会で活動する際に旧姓を名乗り続けることは可能ですし、プライベートと通称使用(ビジネスネーム)を使い分けることで、生活にメリハリが生まれるケースもあるようです。(行政書士/湯原玲奈さん)

改姓の手続きはどのようにする?

改姓手続きに必要な書類やアイテム

婚姻届を提出し、どちらかの姓が変わった際にはさまざまな改姓手続きが必要になります。代表的なものはマイナンバーカードや運転免許証、パスポートといった公的書類のほか、銀行口座やクレジットカード、スマホ、生命保険など。
仕事で旧姓を使用したいと考えている人は、旧姓併記できる書類(マイナンバーカード、運転免許証、住民票など)もあるので、氏名変更手続きの際に併せて申請しましょう。

結婚後に相手の姓に変更することはできる?

現在は夫の姓を名乗っているものの、やむを得ない事情で妻の姓に改姓したい場合、家庭裁判所の許可が得られれば変更は可能です。気を付けたいのは、「ただ夫の姓が嫌だから妻の姓にしたい」というような動機の場合、戸籍法で定められている「やむを得ない事由」「正当な事由」には該当しないため、家庭裁判所の許可が下りないということ。

ほかにも夫が妻の親と養子縁組をすれば妻の姓への変更は可能ですが、さまざまな手続きや相続などの問題も発生してくるため簡単ではありません。まずは周囲も交えてよく話し合うことが必要です。(行政書士/湯原玲奈さん)

改姓後の生活ってどう?

改姓してよかったこと・面倒だったことのイメージ

結婚して相手の名字になることを、みんなはどのように感じているのでしょうか。氏名変更の手続きが大変だったり、最初は呼ばれてもピンと来なかったりすることもあるけれど、一方で同じ名字を名乗ることで、夫婦になれた実感をしみじみ味わっている人も。「改姓してよかったこと・戸惑ったこと」を、アンケート調査より抜粋してみました。

改姓してみてどうだった?

花嫁アイコン2

<改姓してよかった!>
彼の姓を名乗れるのは単純に嬉しかった。家族になれたことが実感でき、恋人同士の頃と比べて、お互いの絆がより深まった気がしました。(うさぷうさん)

新郎アイコン

<改姓してよかった!>
私は男性ですが、妻の姓に変更することには特に抵抗なし。理由は自分の姓より相手のものが好きだったから、ワクワク感しかありませんでした。(YSさん)

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<改姓してここが困った!>
夫が改姓してくれました。ただ、単に私の名字を選択しただけなのに、人に話すと「婿養子?」と聞かれて少しうんざり……。(kumanatsu0312さん)

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<改姓したものの……>
日本では法律上、選択肢がないから仕方ありませんでしたが、「別姓でもいいのに」と違和感を覚えながら改姓しました。職場では旧姓を使うことにし、公的書類にも旧姓を併記しています。(友映さん)

職場などで旧姓を使いたい人は39.1%!

内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(2022年)」によると、結婚して名字が変わっても、「職場では旧姓を通称として使用したい」と考える人が4割近くに上りました。実際に旧姓で働いている人も多く、最初に氏名変更手続きさえ済ませてしまえば何の問題もなし。むしろ、ずっと旧姓でキャリアを積んできた人にとっては、仕事相手への説明が発生するなど、デメリットの方が大きい場合もあるようです。

From 編集部

よく話し合い、ふたりにとってベストな決断を!

結論から言えば、どちらの姓を選んでも法的には全く問題なし。社会生活を送っていく上でのメリット・デメリット、名字への愛着、フルネームで考えたときの響きなど、考えるべきことはいろいろありますが、今がふたりの姓について考えるよい機会。婚姻届を出す前に、ぜひじっくりと話し合ってみてください。

監修者の顔写真
Profile

湯原玲奈 行政書士/マリッジデザイン株式会社 代表取締役

行政書士として夫婦のさまざまな相談を受ける中で「幸せな結婚生活を送ってほしい」という思いから、カップルのためのコミュニケーションツール「マリッジノート(R)」を開発。「しあわせふうふ10年プロジェクト」と題した活動を展開している。

構成・文/南 慈子 イラスト/moeko
※記事内のコメントは2023年10月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー88人が回答したアンケートおよび、過去2年以内に婚姻届を提出した全国の20~40代の既婚男女110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2023年12月時点のものです

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