家計簿ズバリ診断[vol.20]東京都・ころさんの場合「将来マンションを売って田舎暮らしを」
結婚したら、夫婦でどのように協力して家計を管理していけるかが、未来の明暗を分けるカギ。そこでこの連載では、新婚カップルの「夢」と「リアル家計簿」から、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美先生が一家の未来をズバリ診断。今の生活でふたりの夢はかなうのでしょうか。
「売って利益の出る都内のマンションを買いたい」
家を買い、いつかは売って田舎暮らしがしたい。そのために売却益の出る都内のマンションを買いたい……という東京都・ころさんの家計簿を診断してもらいました。
相談者:東京都・ころさん
家を買いたいけれど、ゆくゆくはそこを売って田舎暮らしがしたい。だから売却益の出る都内の中古マンションをと考えています。子どもは3人希望で、公立の学校に行かせたいです。家の購入時期などアドバイスいただけたらと思います。よろしくお願いいたします!
【ころさん家族のプロフィール】
・夫39歳(会社員)
・妻32歳(会社員)
子どもは3人希望(妻33,35,37歳で出産希望)。
ころさんの平均的な月の家計簿がこちら!
【ころさんの夢と現実memo】※金額はすべて「約」
●将来の夢
・子どもは3人希望(妻33,35,37歳で出産希望)
・第2子出産後、育休1年取得して時短復帰後、退職してパートなどで働けたらと考え中
・マンション購入希望(都内で駅から徒歩10分以内の中古物件希望。予算5000万円くらい?)
・ゆくゆくは田舎暮らしを希望
・子どもは公立の学校に行かせたい
●月収とボーナス(手取り)
夫:35万円、ボーナス年間200万円(家賃手当含む)
妻:30万円、ボーナス年間100万円
●年収(手取り)
夫:620万円
妻:460万円
●借入金・ローン
なし
●総資産(現在)
夫:1800万円(保険350万円、株640万円、住宅財形480万円、投資信託30万円、企業確定拠出年金160万円他)
妻:300万円(保険80万円、株50万円、個人年金50万円他)
●家計管理
財布はそれぞれの財布と共同のものがあり、家計の支出は共同の家族カードで支払い
FP丸山先生が診断
ころさんの家計簿の採点結果は……
from 丸山先生
住宅購入時の夫の年齢が高め。
もっと頭金を増やす必要が
子どもが小学校に上がり
家賃補助がなくなる45歳で購入は?
30代でこれだけの資産があるというのはすごいですね。
子どもの教育費はすべて公立をご希望なので心配いりません。1人生まれたら毎月3万円ずつ積み立てていれば、私立大学に行くことになったとしても大丈夫です。
ただ、第1子の出産後は収入が減ること、住宅購入時の夫の年齢などを考えると、資金計画や物件の希望条件の見直しが必要そう。
まず、購入のタイミングですが、月7万円の家賃補助がなくなる45歳で買うとなると、ちょうど子どもの小学校入学前と重なります。なので、子どもの学区も考えながら45歳で購入するのがベストではないでしょうか。
住宅購入は総予算の3割以上が現金で用意すべき目安なので、仮に5000万円とすると、3割の1500万円はすでにクリアしています。
ただし、購入時の夫の年齢が高く、返済年数が短くなるので、それ以上に貯めておいた方が安心です。
from 丸山先生
20年で返すと
毎月返済額は20万円に!
借入金が3000万円くらいなら
購入後の住居費は今と同等に
夫45歳で20年ローンを組むとします。例えば5000万円、金利1%で借り、ボーナス月加算なしで返すとすると、毎月返済額は20万円の計算に。これでは今の住居費より大きくアップしてしまいます。
これを3000万円までに抑えると、毎月返済額は13万8000円。ここに管理費、修繕積立金、固定資産税などが加わるので、毎月の住居費は17万円くらいとなります。
これくらいであれば、現在の住居費と同じくらいに抑えることが可能。つまり、住宅ローンの借入金を3000万円くらいに抑えられるよう、それまでの期間で頭金を貯めていけば、購入後の家計も安心といえそうです。
予算が5000万円なら、すでに貯蓄が2000万円以上あるので、住宅ローンを3000万円借りて購入可能……と計算上では見えますが、予算の見直しも考えた方がいいかもしれません。
値下がりしにくい物件を探すには、購入時の価格も高くなるからです。
from 丸山先生
資産価値が下がりにくい物件を
買う必要があるけれど……
子ども3人と暮らせる広い家を
都内で探すなら予算アップも検討を
マンションは駅から徒歩5分以内(都心部なら10分以内)の便利な物件ほど資産価値が下がりにくいとされています。
ただ、家族5人で住める広さとなると、都心では物件そのものが少ないのが現状。また、中古でも築浅でないと、メンテナンス費用がかかる可能性も。予算は「5000万円くらい?」と検討中のようなので、もう少し頭金も含めて増やせないか、もしくは、都心や都内から離れた物件を検討してみてはいかがでしょう。
そしてまた、必ずしも売却時にマンションが高く売れるとは限りません。売却には売買手数料もかかりますし、売るタイミングによってはマイナスになる可能性も否定できません。将来、田舎暮らしを希望するなら、定年まで賃貸で過ごしつつ、地方移住の資金を貯めるのも一案です。
購入するにしても、買いたいときに希望の物件が出るとは限らないので、早めにリサーチを。どこにどんな物件があるかをチェックしておきましょう。
診断を終えて
相談者さんからひと言
ころさんより
かなり具体的に明確なアドバイスいただき、夫と感心しつつ、頭金の貯蓄を意識してやっていかなければならないという明確な目標ができました。現在子どもがいないので、今のうちに蓄えることを意識しつつ頑張りたいと思います。
都内の中古マンションで駅近だとかなり購入価格が高くなるので、ふたりで相談しながら、夫の家賃補助が出ている間に早めに購入できたらと思います!
この度は本当にありがとうございました。
From 編集部
貯蓄しながらマンションの買い時を待って
将来の売却を視野に入れながらのマンション購入は、物件の情報収集と、購入のタイミングが大きなカギとなりそうですね。丸山先生のアドバイスを参考に、しっかり貯蓄をしながら、いいタイミングで購入できるよう、良い家計を築いてくださいね!
丸山晴美 節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー
旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどさまざまなメディアで活動中。
URL:http://www.maruyama-harumi.com/index.html
構成・文/前川ミチコ イラスト/Sachicafe 監修/丸山晴美
※掲載されている情報は2021年1月時点のものです
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