あなたも対象かも?結婚&出産で、申請したらもらえたお金 [卒花実例]
「お祝い金」に「手当」「給付金」。結婚や出産、退職をすると、このような名称の付いたお金が勤務先や市区町村などさまざまなところからもらえます。ただし、人によってもらえるものもその金額も違い、正しい知識が必要。社会保険労務士の滝沢博美さんに教えてもらった最新の情報と、実際お金をもらった人たちの体験談を参考に、自分がもらえそうなものを把握しましょう。
「お祝い金」に「手当」「給付金」。結婚や出産、退職をすると、このような名称の付いたお金が勤務先や市区町村などさまざまなところからもらえます。ただし、人によってもらえるものもその金額も違い、正しい知識が必要。社会保険労務士の滝沢博美さんに教えてもらった最新の情報と、実際お金をもらった人たちの体験談を参考に、自分がもらえそうなものを把握しましょう。
【勤務先からの慶事手当】
結婚したら「結婚祝い」、子どもが生まれたら「出産祝い」など、おめでたいことがあった時に、福利厚生の一環としてくれるお金。金額は勤務先や雇用形態などによって異なり、今回の調査では1万~10万円まで幅がありました。勤務年数が長い人ほど多くもらえる職場も。
【加入組織からのお祝い金(労働組合、企業共済、健康保険組合)】
勤務先の労働組合や企業共済、健康保険組合などに加入している人は、そこからお祝い金が出ることも。こちらも勤務先や加入組織、勤務年数などで金額が異なり、今回の調査では5000~8万円でした。
【退職金】
退職した人に支払われる退職手当、退職慰労金。受給には、氏名や勤続年数など必要事項を申告書に記入して勤務先の担当部署(総務課、人事課など)に提出する必要があります。
【失業手当】
雇用保険加入者で、退職後、就職する意思を持って求職活動を行っている人に支給。妊娠・出産・育児や家事に専念してすぐに就職できない人は対象外です。
支給額は離職前の給与の60~80%で、離職時の給与額や年齢などで異なります。給付日数は自己都合の場合、90~150日。支給開始は原則退職1カ月たってからですが(離職回数が多い場合は3カ月後になることも)、結婚で遠方に引っ越し、通勤できなくなった場合は申請直後から支給されます。
【確定申告の還付金】
退職後、年内に再就職しなかった場合、勤務先で年末調整ができないので、翌年に税務署に確定申告をして(例年2月15日前後から1カ月間)、納めすぎた税金を返してもらいます。
生命保険に入っている人、医療費を10万円以上自己負担した人、家を購入して住宅ローンがある人は控除も受けましょう。
ちなみに、ふるさと納税をした人で退職後、無職のまま年を越した人は、ワンストップ特例制度が利用できないので、確定申告が必要。
「失業手当がもらえるなら、期限ぎりぎりまでもらいたい」と思っている人。早く再就職すると、代わりに「再就職手当」などがもらえることを知っておいて。
【再就職手当】
失業手当の受給資格の決定を受けた後、早く再就職が決まった人が、雇用保険からもらえるお金。支給残日数が3分の2以上ある場合は1日当たりの失業給付金×70%、残日数が3分の1以上ある場合は同×60%が、残りの日数分もらえます。
【就業促進定着手当】
再就職したけれど給与が前の職場より減ったという人向けの手当。支給条件は「再就職手当を受給している」「6カ月以上勤務した」「雇用保険に加入した」「再就職後半年の間に支払われた賃金の1日分の額が前職の日額賃金より低い」など。
【結婚新生活支援事業】
一部の自治体では婚姻届を提出したカップルを対象に、結婚に伴う新生活費用を補助(助成)してくれます(新居の購入費用やリフォーム費用、業者を使った引っ越し費用、新居の家賃や礼金・敷金、仲介手数料など)。
補助額は自治体や年齢などで異なり、かかった金額に対する補助率が決まっている自治体も。申請方法や期限なども異なるので、詳細は各自治体のホームページなどで確認を。以下は補助額の一例。
・夫婦ともに29歳以下の場合、1世帯最大60万円
・夫婦ともに39歳以下の場合、1世帯最大30万円
※ただし、夫婦の合計所得が500万円未満が条件
【地方自治体独自の支援事業】
「結婚祝いとして5万円」「移住した夫婦に10万円、20万円」「業者を使って引っ越しした夫婦に15万円」「毎月1万円の家賃補助を最大2年間」。これらは日本全国のどこかの市区町村で実際行われているもの。東京都では0~18歳までの子どもに月額5000円支給する「018サポート」を実施中です。このように結婚したばかりのカップルや子どもを支援する独自の制度のある自治体もあるので、要チェック。
【妊婦のための支援給付金】
医療機関で妊娠が判明したら、市区町村の窓口へ申請を。妊婦に対して5万円支給され、妊娠・出産の相談にも応じてくれます。
出産予定日の8週間前になったら妊娠している子どもの人数の届け出を。子ども1人につき5万円支給されます。
【出産手当金】
出産日(予定日より後に出産した場合は予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の翌日以後56日までの範囲で、会社を休んで給与が支払われなかった期間を対象に、健康保険から出産手当金が支給されます。1日当たりの金額は支給開始日以前の1年間の平均月収を30日で割った金額の3分の2。
【無痛分娩(ぶんべん)費用助成】
東京都や一部の地方自治体でスタート。「対象医療機関で硬膜外麻酔または脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔による無痛分娩を受ける」など条件を満たすと、無痛分娩に係る費用として最大10万円(東京都の場合)が支給されます。
【高額療養費】
医療費の自己負担の限度額は年齢や所得によって異なります。1カ月間の医療費が高額となって、限度額を超えた場合、超えた分を払い戻してもらえます。手術の位置付けとなる帝王切開での出産は高額となるため、後日、加入している健康保険の窓口へ申請を。
最初から帝王切開と判明している場合、「限度額適用認定証」発行の申請を。医療機関の窓口で認定書を提示すると、支払いを限度額までに抑えられ、高額な出費が避けられます。マイナ保険証の人は認定証の事前手続きが不要。
【出産育児一時金】
出産費用として子ども1人につき原則50万円が加入している健康保険から支給されます。実際は、多くの人たちが健康保険から出産施設に直接一時金を払う「直接支払制度」を利用。その場合、出産施設で払うのは費用の総額から一時金を引いた差額だけに。
市区町村の役所で母子手帳をもらう時、妊婦検診の受診券が14枚支給されます。ただし、利用できるのは同じ都道府県内の医療機関。里帰りした時など、他の都道府県で検診を受ける場合、受診券は使えないので、自分で支払った後、役所の窓口で申請して、その分のお金をもらいましょう。
なお、現在、この受診券を使っても全額無料になるわけではなく、限度額を超えた分は自己負担となります。
【児童手当】
子育て支援の一環として、児童を養育する保護者に支給されるお金。もらえる期間は子どもが0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで、金額は3歳未満が月額1人1万5000円、3歳以上 は1万円(第3子以降はずっと3万円)。
出産したり、他の市区町村から転入した時は、現住所の市区町村に「認定請求書」の提出を(公務員の場合は勤務先に申請)。
【育児休業給付金】
雇用保険の加入期間などの条件を満たしている人で、育児休業中の給与が支払われない時は、子どもが原則1歳になるまで(最長2歳)雇用保険から育児休業給付金が支給されます。父親と母親それぞれ取得可能で、育児休業を2回に分割することも可能。
休業開始から180日までの1日当たり支給額は休業に入る前の6カ月間の賃金(税金や社会保険が引かれる前の「額面」)を日割りした「休業開始時の日額賃金」の67%、181日目以降は同50%(上限・下限あり)。なお、育児休業中の年金や健康保険の支払いは免除されます。
【出生時育児休業給付金】
父親は母親が産後休業の期間、「産後パパ育休(出生時育児休業)」として、育児休業とは別に、子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得でき、分割して2回取得することも可能。支給要件を満たせば、雇用保険から、休業開始時の日額賃金×支給日数×67%の給付金が支給されます。
【出生後休業支援給付金】
子どもの出生直後の一定期間内に、原則、パパ・ママともに14日以上の育児休業を取得した場合、ふたりとも最大28日間、休業開始時の日額賃金の13%が雇用保険より支給されます。これがもらえれば、「育児休業給付金もしくは出生時育児休業給付金」と合わせて給付率は80%となり、手取りの10割相当が支給されることに。
【育児時短就業給付金】
2歳未満の子を養育するために時短勤務(育児時短)することによって賃金が低下するなど、要件を満たす時に雇用保険より支給されます。支給額は育児時短就業中の賃金の10%相 当。ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えないように調整されます。
出産や育児に関する制度は、この数年で本当に大きく変わりました。出産費用や妊婦健診の無償化といった国の議論が進んでいる他、企業が従業員向けにベビーシッターの割引制度を導入できるようになるなど、「お金を受け取る」以外の支援も広がっています。
自治体でも無痛分娩の助成や妊婦健診の拡充など、地域ごとの取り組みが増えてきました。
制度は年度ごとに更新されることも多く、妊娠・出産・育児のタイミングによって受けられる支援が変わることもあります。
少し手間に感じるかもしれませんが、厚生労働省やお住まいの自治体のホームページを時々のぞいてみると、思わぬサポートに出会えることがあります。
負担をひとりで抱え込まず、使える制度は上手に頼っていきましょう。
ふたりとも勤務年数約5年で結婚。会社からは夫15万円、妻8万円のお祝い金がもらえた。婚姻届提出の1週間ほど前に申請し、約2カ月後給与口座に入金。そのお金は後日行った結婚式費用の支払いに使った。
婚姻届提出直後に申請した組合からのお祝い金(夫5万円、妻2万円)も申請から2カ月後に入金。その直後が12年目の交際記念日だったので、行きつけのイタリアンレストランで、記念日のオーダーメイドフルコースを堪能。余ったお金は将来のための貯蓄に回した。
会社の就業規則を読むと「こんなお金ももらえるんだ!」と気付きます。私たちの場合、夫側はマイホームを新築するとお祝い金、私側は結婚1年以内なら引っ越し時の家具・家電購入費の補助があることを知り、しっかり申請させてもらいました。
担当部署からも結婚祝いなどに関して連絡が来ましたが、自分で先に調べれば、いち早く申請でき、いち早くお金がもらえます。(美咲さん)
【結婚】
・勤務先からの結婚祝い/ふたりで23万円
・組合からの結婚祝い/ふたりで7万円
【引っ越し】
・勤務先からのマイホーム新築時のお祝い金/30万円(夫)
・勤務先からの引っ越し時の家具・家電の購入補助/20万円(妻)
【出産・子育て】
・勤務先からの出産祝い/ふたりで32万円
・出産育児一時金/50万円
・出産手当金/77万円(妻)
・育児休業給付金/最初の6カ月間は1カ月約24万円、7カ月以降は1カ月18万円(妻)・27万円(夫)
・出生後休業支援給付金:4万3000円 (妻)・5万円(夫)
・児童手当/1カ月当たり1万5000円(3歳以降は1万円)
※夫は出産後、育休を1カ月間取得
もーたんさんは就職してから7年後に退職。長年遠距離恋愛をしており、まずは遠方に住む彼の元へ引っ越し、退職の翌月、婚姻届を出して結婚した。その後、結婚式を行い、妊娠、出産。
退職時、勤務先からもらった退職金80万円は子どもが生まれた時のために貯蓄し、現在、育児用品購入などに使っている。
失業手当は退職後すぐに手続き。「結婚によって遠方に引っ越し、今までの勤務先に通えなくなった」ことが退職の理由だったので、すぐに支給開始。4カ月間で満額の50万円をもらうことができた。そのお金は夫婦での外食費用や日用品購入、帰省時の交通費、遠方で行う結婚式の下見のための交通・宿泊費などに使った。
私は退職後に婚姻届を提出したため、勤務先の組合からのお祝い金(3万円)をもらいそびれました。勤務先や組合などによっては、結婚が退職後半年以内なら請求可能というところもあるので、結婚するより先に退職する人は確認を。
急いで退職する必要がなければ、先に婚姻届を提出してお祝い金をもらってから退職するのもおすすめ。(もーたんさん)
【退職】
・退職金/80万円
・失業手当/1カ月当たり12万5000円(4カ月間で50万円)
【妊娠・出産】
・里帰り中の妊婦検診費用の後日償還/8万円
・出産育児一時金/50万円
・勤務先の組合からの出産祝い/1万円
【育児】
・児童手当/1カ月当たり1万5000円(3歳以降は1万円)
※育児に関する給付金はこれから申請
婚姻届を提出した時、市役所で結婚新生活支援補助金のチラシをもらったもりもりさん。元々その市内で一人暮らししていた夫の家を仮り住まいにして新生活を開始。新居を探していたので、制度を利用することにした。
補助金をもらうには「この先5年以上住む意思がある」などの条件があったが、お互い転勤や異動がなかったので問題なし。お互い20代で、60万円までの補助が受けられたが、前家賃や敷金・礼金・仲介手数料など、賃貸契約時の費用だけでそのくらいに。その時の領収書を持参して申請した。引っ越しは夫の会社の2トントラックを使い、近所に住む家族がお手伝い。
実質引っ越しがただになり、「結婚式などお金がかかるイベントが多い時期だったので、ありがたいと思った」そう。
婚姻届提出などで役所に行ったら「利用できる助成金があったら、情報をください」と聞いてみて。私たちはその足で担当の課まで出向き、助成金の内容から今後の段取り、申請方法まで丁寧に教えてもらいました。
賃貸の支援以外にも、空き家バンクやリノベーションの助成金などがある自治体も多いので、そのようなものを活用するのもいいと思います。(もりもりさん)
【結婚】
・勤務先からの結婚祝い/2万円(妻)※夫は家族経営の会社なのでなし
【行政からの支援】
・市の結婚新生活支援補助金/60万円
婚姻届提出から8カ月後に結婚式、式から約2年後に出産したかえるさん。つわりがひどくて出産の3カ月前から有給と産前休暇で休みに入り、出産手当金(産前42日、産後56日分で106万8000円)や育児休業給付金、出生後休業支援給付金を取得。夫も有給以外に、土日含めて23日間の「産後パパ育休」を取り、出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金をもらった。
50万円の出産育児一時金はそのまま出産費用の一部に。給与の代わりとなる出産手当金や育児休業給付金は生活費に使ったが、勤務先からの出産お祝い金はチャイルドシート購入に充てた。
ちなみに、休業中は勤務先の担当者が申請関係の書類を全て自宅に送ってくれ、記入して返送するだけで済んだので、職場関係の申請は思ったよりラクだったそう。
申請するものは、出産前に把握していたつもりでしたが、東京都独自の育児支援を申請漏れ。育児に関する給付金には夫婦それぞれ申請するものがあったり、名称が似ているものがあったりで混乱しがち。出産後は慌ただしくなるので、事前に申請するものの一覧表を作り、夫婦で確認しておくことをおすすめします。
ちなみに、出産費用は出産育児一時金のおかげで自己負担は12万円。妊婦健診には助成券を使いましたが、7万円の自己負担がありました。(かえるさん)
【結婚】
・会社からの結婚祝い/1万円(妻)
・組合からの結婚祝い/4万円(妻)
【出産】
・会社の組合からの出産祝い/4万円(妻)
・会社の共済からの出産祝い/5万円(妻)
・出産手当金/106万8000円(妻)
・出産育児一時金/50万円
【育児】
・児童手当/1カ月当たり1万5000円(3歳以降は1万円)
・育児休業給付金/最初の6カ月間は1カ月約23万4000円、7カ月以降は1カ月17万5000円(妻)
・出生時育児休業給付金/22万円(夫)
・出生後休業支援給付金/ふたりとも各3万円
※ちなみに、休業前の標準月額報酬はふたりとも36万円くらい
今回ご紹介したものは申請しないともらえないものばかり。しかも、申請にはそれぞれ「期限」があり、それを逃すともらえません。もらえる人の条件やもらえる金額、必要書類などをちゃんと把握するとともに、「いつからいつまでの間に」「どこに」申請するのか、まとめておいて、申請漏れを防ぎましょう。
監修:滝沢博美さん
社会保険労務士
新卒入社をしたIT企業の人事・総務・経理部門で責任者を務め、働き方やお金に関わる実務を幅広く経験。社会保険労務士として開業してからは、受験対策講座の講師として分かりやすく伝えることに力を入れている。
結婚・出産・育児期にまつわる制度やお金の疑問を生活目線で丁寧に解説することを大切にしている。
構成・文/渡邊博美 イラスト/Sachicafe
※記事内のコメントは2025年12月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー106人が回答したアンケートによるものです
※記事中の制度に関して、将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります
※CASE1~4の金額については、各個人の事例です。人によって金額は異なります
※掲載されている情報は2026年2月時点のものです