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「本当にこの人でいいのかな」…etc.マリッジブルーに効くBOOKリスト

結婚に向けて気持ちが揺れたり不安に駆られたりするときは、本を読んで自分の感情と冷静に向き合ってみよう。マリッジブルーに寄り添う5冊を、代官山蔦屋書店のコンシェルジュで書評家でもある間室道子さんに教えてもらいました。本の中のワンフレーズが、気持ちを落ち着かせるヒントになるはず。

「本当にこの人でいいのかな……」漠然とした不安を感じたときに

『異性』 角田光代 穂村 弘 共著

イラスト1
異性

不安になるのは、まだ彼のことを本当に知らないからかも。そんな人にお勧めしたいのが、人気作家の角田光代さんと現代歌人の第一人者である穂村 弘さんとの恋愛考察エッセイ。友人同士の2人が、自分の体験を基に感じた異性への違和感をとことん掘り下げて、「異性とは何か」を心の奥底から語り合います。男女どちらの視点でも読めるので、彼にも読んでもらって感想を語り合ってはいかがでしょうか?

このひと言に、ドキッ!

「別れた人には不幸になってほしいか」
コンシェルジュ

「別れた相手には幸せになってほしいか、不幸になればいいと思っているか」を始め、ドキリとする設問に角田さんと穂村さんが本音で答え合います。他に「男はなぜ元カノからのプレゼントを平気で使い続けるのか」「サプライズって、いつまで必要?」など、「女と男ではこうも違うのか!」が満載。自分がまだまだ『異性』を知らなかったことに目からウロコです。(間室さん、以下間)

河出書房新社(河出文庫) 572円

「今更ながら別れた相手が気になる……」と感傷的になったときに

『均ちゃんの失踪』 中島京子 著

イラスト2
均ちゃんの失踪

直木賞作家の中島京子さんが描く、軽やかな恋愛小説。均ちゃんと付き合って半年の雑誌編集者の薫は、均ちゃん宅に泥棒が入ったことで警察に呼び出されます。しかし均ちゃんは行方不明。現場では元妻の美術教師と「均ちゃんは2番目の男」という重役秘書の2人と鉢合わせ。それぞれ自分にとって「均ちゃんとは何だったか」を見つめ直すことに。どの女性に共感するかは、自分次第。「過去の男に価値があるのは、自分が前に進むために役立つとき」ではないでしょうか。

このひと言に、ハッ!

「アホやった。いうか、若かった。いうか、好きやった」
コンシェルジュ

元妻が均ちゃんとの思い出を語るときのひと言。「終わった関係はさっぱりと語れる距離に置いておくのが一番だな」という気持ちになります。結婚は自分と彼との双方向の関係。彼にも忘れられない人がいたら、と思うと感情がざわつくのでは。過去の感情にとらわれずに、自分の道を見つけましょう。(間)

講談社(講談社文庫) 596円

「家族や周囲からの意見に、もううんざり!」と投げ出したくなったときに

『口紅のとき』 角田光代 著 上田義彦 写真

イラスト3
口紅のとき

結婚式に関する周囲との軋轢(あつれき)は、彼に言ったらケンカになるし、独身の友人には嫌みになり、既婚者に話せば現実的過ぎて気落ちする、そんな特有のややこしさがあります。そんなときは、自分の感情の整理を。本書は口紅をテーマにした短編小説。主人公は1人の女性で、6歳から79歳までの口紅にまつわる物語が書かれています。口紅は、女性としての自覚を表すアイテム。結婚式を控えた主人公の気持ちが参考になります。

このひと言に、納得。

「使い慣れたくちべにのようなことを、二人ではじめていく」
コンシェルジュ

義母から「結婚式に着けて」とブランド物の真っ赤な口紅を贈られた主人公は、式直前に思い返して普段使っている口紅を選びます。「今から私と典洋がはじめるのは、とくべつなことじゃないんだ。真新しいくちべにのような、きらびやかなことを、私たちははじめるのではない。もっとさりげない、もっとなんでもない、そう、この使い慣れたくちべにのようなことを、二人ではじめていく」この言葉に希望を抱けるはず。(間)

求龍堂 1512円

「最近彼とケンカばかり……」ときめきを取り戻したいときに

『I Love Youの訳し方』望月竜馬 著 ジュリエット・スミス 絵

イラスト4
I LOVE YOU

優しい言葉を掛けてもらいたいのは、彼も同じ。この本は、自分の言葉に優しさが足りているか、見つめ直せる一冊です。100人の作家が「愛している」という言葉を使わずに愛を表現したフレーズは、どれも日本語の奥深さを感じます。夏目漱石は「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳したとか。自分の好きなフレーズはどれか彼と話し合ってみれば、付き合い始めた頃のドキドキがよみがえるかもしれません。

このひと言に、キュン!

「話したいことよりも 何よりも ただ逢うために逢いたい」
コンシェルジュ

これは美人画でも有名な詩人、竹久夢二の愛の言葉。「なぜ逢いたいか、逢ってどうしたいのか、そんなことさえわからないまま、無性に、ひたすら、逢いたくなるときがある」そんなときがふたりにもあったはず。彼が自分に何を言ってくれるかではなく、自分が彼に何を言ってあげられるか、考えたくなる本です。(間)

雷鳥社 1296円

「あぁ、面倒……」結婚式の準備に疲れてしまったときに

『本日は大安なり』 辻村深月 著

イラスト5
大安

人気ミステリー作家の辻村深月さんの結婚式を舞台にした群像劇。ウエディングプランナーの思いに触れられる一冊です。花嫁を支えるためにたくさんの人がプライドを持って全力で働いていることに気付かされ、あなたもプランナーさんに感謝したくなります。地方の老舗ホテルで大安吉日の秋の日に行われる4組の結婚式には、それぞれ訳ありの人物が。担当する女性プランナーにも、実は秘密があって……。それぞれの結婚式が成功するのか、ハラハラしながら一気に読めます。

このひと言に、ジーン。

「大安はただそれだけでは実現しない。それを可能にするのは、私たちだ。 それが、ウエディングプランナー。大安を作り、支える職業。」(『本日は大安なり』より引用)
コンシェルジュ

ウエディングプランナーの多香子が、担当する新婦に複雑な気持ちを抱えながらもプロとして結婚式の成功を願う場面で出てくる言葉です。ほかにも結婚式業界で働く人たちの思いが詰まった名シーン、名ぜりふがたくさん。マリッジブルーでなくても、これから式を挙げる人全員にぜひお勧めしたい一冊です。(間)

株式会社KADOKAWA(角川文庫) 691円

From 編集部

本は心の薬、マリッジブルーにもよく効きます。

結婚は誰にとっても人生の大きな節目。季節の変わり目に体調を崩しやすいように、心がちょっと風邪気味になることも。そんなときは、読書で心を休めてみて。最近あまり本を読んでいないという人も、結婚準備の合間に一冊いかが?

コンシェルジュ
Profile

間室道子さん 代官山 蔦屋書店 
文学コンシェルジュ

雑誌やTVなどで本をお勧めする「元祖カリスマ書店員」。書評家としても活動中で、文庫解説に『タイニーストーリーズ』(山田詠美/文春文庫)、『母性』(湊 かなえ/新潮文庫)、『蛇行する月』(桜木紫乃/双葉文庫)などがある。

DAIKANYAMA T-SITE
http://real.tsite.jp/daikanyama/

構成・文/稲垣幸子 イラスト/MASAMI USHIKUBO
※掲載されている情報と商品の取り扱いおよび価格は2018年2月時点のものです

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