【プロが語る】夫婦だからこそ共有しておくべき「個人情報」って?
夫婦は、さまざまな困難やトラブルを一緒に乗り越えていくパートナー。だから、万が一のときにも困らないよう、お互いの個人情報やその保管場所を共有しておく必要があるんです。そこで、行政書士でマリッジデザイナーでもある湯原玲奈先生に、夫婦で共有するべき情報のポイントについて教えてもらいました。
「結婚=婚姻契約」
お互いに権利と義務が発生する立場に
「結婚」は婚姻届を提出する簡単な手続きですが、法律上は「契約」。婚姻届を提出すると相手の「配偶者」になり、お互いに権利と義務が発生するんです。
日常でも何かあったときには代理を務めるなど、「配偶者」の役目は重要。もしもに備えて、各種手続きの番号などの個人情報はお互い把握しておくとよいです。(湯原さん)
先輩たちが体験した個人情報についてのエピソードを参考に、お互いに把握できているか、チェックしてみよう!
【共有するべき情報1】「生年月日」
相手と年号が異なると、わからなくなることも!
「住民票を移しにいったら、結婚前だったために彼との関係を聞かれました。彼が昭和何年生まれかわからなくて、市役所の人から『もしかして昭和〇年ではないですか?』と助けてもらいました」(ふじさん)
「戸籍謄本を取りに行ったときに彼の生年月日を忘れてしまい、電話しても彼が出てくれず、出直しました」(たかなさん)
相手の生年月日といえども、昭和と平成で自分と年号が異なるとわからなくなる人も。西暦で覚えている人は、気を付けて!
「生年月日」は本人確認のための最重要項目
手続きでは「氏名」「住所」「生年月日」の3つが揃うことで、本人確認ができたと判断します。氏名や住所は変更することがあるので、生年月日は最も大切な確認項目。年号が分からないときは、年号を調べるアプリなどを活用しましょう。生年月日が分かってしまうと赤の他人でも手続きができてしまう恐れがあるので、SNSなどでの公開は慎重に。(湯原さん)
【共有するべき情報2】「年金番号・納付状況」
将来設計のために、未払いがないかチェックを
「彼から仕事中に年金番号が必要になったと家にいた私に連絡があり、すぐに教えることができました」(とろさん)
「夫は何度も引っ越しや転職をしているのに住所変更をしておらず、結婚後それまでの税金や年金保険料の未払いの請求が自宅に来て困った」(あいりママさん)
給与から年金保険料が天引きされている場合は、勤務先に年金手帳を預けているはず。自分で年金保険料を払っている場合は、未払いがないか確認しておこう。
毎年届く「ねんきん定期便」は取っておくのが正解
年金や税金、選挙に関わる役所からの連絡は、住民票に記載されている住所に送られてきます。そのため実際に住んでいる場所に住民票を置くことはとても大切。年金番号が必要なときは転職など多くはないですが、日本年金機構から毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」というはがきを保管しておくと安心です。はがきには年金番号を照会する番号が書かれているので、年金に関して問い合わせるときに役立ちます。(湯原さん)
【共有するべき情報3】「マイナンバー」
税金や給付金の手続きで、記載を求められることが
「児童手当の手続きでマイナンバーや通帳番号が必要だったのですが、夫が仕事中で連絡がとれなくて困りました」(やゆさん)
「マイナンバーカードを夫から預かっていたので、転居届提出時や免許証の住所変更の際に役立ちました」(なるちゃんさん)
「マイナンバー」は、国民一人一人に割り振られた番号。手続きで急に必要となることがあるので、わかる所に保管しておいて。
今後活用が進むので紛失しないように注意
「マイナンバー」は、税金などお金に関わることに使われます。番号は、住民票にも記載されています。顔写真入りの「マイナンバーカード」にしておけば、本人確認の資料として役立ちます。今後は銀行口座を作るときなど、必要となる場面が増えることが予想されます。また、改姓した場合は新姓変更の手続きをしましょう。(湯原さん)
【共有するべき情報4】「パスポート・有効期限」
海外へハネムーンに行くなら、有効期限を確認!
「新婚旅行前にパスポートの有効期限に気付かなくて慌てて更新」(ぱんさん)
「夫のパスポート期限を把握していたので、海外出張の話が出たときに指摘し、期限切れを避けられました」(Mさん)
パスポートは5年用と10年用があり、しばらく使っていないと期限が切れていることも。有効期限1年未満になると切り替え申請ができる。
有効期限のあるものはリマインダーをかけると安心
パスポートは顔写真が入っているので、身分証明書として有効。相手が海外に渡航するときには、念のためパスポートをコピーしておくか、データを保存しておいて。有効期限は忘れることが多いので、ネット上のスケジュールにリマインダーをかけておくと安心。改姓すると、パスポートの本籍地や氏名の変更手続きも必要です。(湯原さん)
【共有するべき情報5】「保険関係」
緊急時の備えとして、内容と保管場所を確かめて
「夫の車を運転していたのですが、自動車保険が夫のみになっていることに気付き焦りました」(テンパさん)
「どの医療保険に入っているか把握していたので、夫の入院時にいくら給付金が下りるかすぐ調べられた」(悠さん)
保険は、契約内容が独身向けの保障内容になっていたり、保険証券の保管場所がわからないと万が一のときに大慌て! 結婚を機に内容確認や整理整頓を。
死亡保険金は、受け取り人を親から配偶者に変更して
結婚したら保険内容を見直しましょう。言われるがままに入った保険がないか、積み立てなら解約時に返戻金があるので、一度すべて確認してみて。死亡保険金の受け取り人は、独身なら親にしていることが多いです。結婚したら配偶者に変更して。保険関係の書類をまとめた個人情報ファイルを作っておくと、何かあったときに慌てずに済みます。(湯原さん)
【共有するべき情報6】「本籍地・戸籍謄本」
彼の本籍地に合わせた人は覚えておいて
戸籍謄本が必要にな手続きはそれほど多くはないが、パスポートを新規に申請したり、氏名や本籍に変更があって切替申請を行なう場合などは、戸籍謄本が必要となる。
婚姻届の提出時に、いままでの本籍地とは別の場所を本籍にした場合は、自分の新しい本籍地の住所を覚えておこう。一部地域では戸籍謄本のコンビニ交付も可能。(※2024年3月より、婚姻届提出時の戸籍謄本の提出は不要になりました)
本籍地はふたりの好きな場所にするのもアリ
戸籍謄本とは、自分の出生地や本籍地、父母や兄弟姉妹の情報が書いてあるもの。婚姻届のほか、パスポートの申請、不動産の名義変更などで必要になります。発行後3カ月以内のもののみ証明書として有効です。
結婚するということは、ふたりの新しい戸籍ができるということ。ふたりの戸籍を置く場所=本籍地は、婚姻届の提出時に自由に決められます。本籍地にこだわりがなければ、新居や勤め先など戸籍謄本を取りに行きやすい所にしても良いと思います。(湯原さん)
From 編集部
お互いに情報共有して、最強のパートナーに
夫婦で必要な情報を共有しておけば、相手が困ったときにもスムーズに対応できるはず。早速大切な情報をまとめた共有ファイルを作って、ふたりのチームワーク力を高めよう!
湯原玲奈 行政書士/マリッジデザイン株式会社 代表取締役
国際結婚・離婚、外国人の在留ビザ申請などが専門。行政書士として離婚相談を多数受ける中で「離婚を回避し夫婦を幸せにしたい」という思いから、カップルのためのコミュニケーションツール「マリッジノート(R)」を開発。「しあわせふうふ10年プロジェクト」と題した活動を展開している。プライベートでは夫と娘との3人家族。著書に『一生幸せなふたりでいるための10のワーク[マリッジノート(R)]』(朝日新聞出版)。
行政書士湯原玲奈 法務事務所 http://www.reina-office.com/
マリッジデザイン株式会社 http://www.marriage-note.jp/
構成・文/稲垣幸子 イラスト/南 夏希
※掲載されている情報は2017年9月時点のものです(2024年5月21日更新)
※記事内のデータならびにコメントは、2017年8月に「ゼクシィ花嫁1000人委員会」メンバー96人が回答したアンケートおよび結婚10年以内の既婚男女104人が回答したマクロミル調査によるものです
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