【連載】立原綾乃のOne&OnlyウエディングVol.14「一人一人異なる思いで、同じ夢の世界を楽しむ」
家族やゲストはふたりの結婚式をどう感じ、どのように一日を過ごしているのでしょう。もちろん人それぞれ思いや感じ方は異なりますが、ふたりが「誓い合いたい」という結婚式の本質を大事にしていれば、そこに集う人たちもきっと心から楽しんでくれるはず。
今回はそんなカップルの心温まるウエディングをご紹介します。
ふたりの希望は自由な欧米スタイルのウエディング
お父さまの仕事の都合で、海外生活が長かった花嫁のErikaさん。結婚式は、そんな海外生活の中で実際に体験した、ふたりらしく心温まる欧米式のスタイルをイメージされていました。私たちTRUEweddingも、まさにおふたりが望む結婚式の形を理想としてお手伝いさせて頂いているので、お互いに共感し合える部分が多く、そこから一緒に準備を進めることになったのです。
式の前には花嫁のお母さまと妹さんが企画したブライダルシャワー(女性だけで行う結婚式の前祝いパーティ)も楽しまれるとのこと。「自分で用意できるところは自分たちの手で行う」という欧米風の準備スタイルも、うまく取り入れていらっしゃいました。
「自然体でいられる相手」。お互いをそう表する Yasuakiさん&Erikaさん。式の間も言葉の通り、ずっと自然体で過ごしていた
今回のカップル「Yasuakiさん&Erikaさん」
海が大好きなふたりが選んだのは湘南エリアのプライベートゲストハウス。多くの人たちに愛されるふたりらしく、式当日は親族や友人など総勢80名の温かい笑顔に包まれた。
【会場】ザ・コンテッサ・リゾート
※問い合わせは「TRUEwedding」まで(下記プロフィール欄参照)
開放的なムードに包まれていた挙式前のひととき
自然体のふたりの周りには、やはり自然体の家族や友人たちがたくさん。「式が始まる直前は緊張感が漂う」というイメージがあるかもしれませんが、皆さんがウエルカムドリンクを召し上がっていらっしゃる空間は、すでに愛にあふれた心地よい空気に包まれていました。傍らでは新郎やブライズメイド、グルームズメンがゲストを歓迎している姿も。この開放的な雰囲気は、海を望むロケーションだけでなく、ナチュラルな笑顔や振る舞いによるところも大きかったと思います。
【1枚目】ファーストミートの場面。お母さまのドレスをリメイクした美しい花嫁姿に感動……
【2枚目】大好きな妹と一緒に。式ではブライズメイドを務め、心温まるスピーチも披露してくれた
【3枚目】グルームズメンを務めてくれた新郎の友人たち。海を意識したコーディネートが爽やか
ワンポイントadvice「エンゲージメントフォトのススメ」
「彼とのエンゲージメントフォトも結婚式と同じくらい夢だった」という、憧れいっぱいの可愛いErikaさん。式は湘南の海辺ですが、当初、軽井沢の美しい自然とどちらにしようかと迷っていらっしゃったので、「ぜひ森へ来てお写真を撮りませんか?」とお誘いしました。
当日はヘアスタイリングをして、お気に入りのコーラルピンクのワンピースで撮影を。軽井沢の新緑に鮮やかなピンクが映えてとても素敵でした。そして何よりも、彼女の幸せそうなとびきりの笑顔が印象的でした。
「結婚式は家族の日、エンゲージメントフォトはふたりの日」。撮影そのものを思い切り楽しみながら婚約中の幸せな姿を残す、そんな時間をぜひ皆さんも体験してみてください。
誓いの言葉は「I do」。それが自分にとって一番自然だから
Erikaさんは敬虔(けいけん)なクリスチャン。挙式自体は、ご自身が普段からお世話になっている牧師先生にお願いしました。印象的だったのは「はい、誓います」という部分を彼女が「I do」と言ったこと。それが彼女にとって、自分が真っすぐでいられる言葉だったので。一方、彼は日本語で「誓います」とひと言。ああ、すごいなぁと感動しました。
「自分の誓いだからこそ、自分の意志を、自分が一番正直でいられる言葉で伝える」。ふたりの想いがそれだけ強く、そして誠実であることを物語っていたように思います。
【1枚目】「I do」「誓います」。力強い言葉でお互いに愛を誓う
【2枚目】挙式の前、父母に感謝を伝えながらギフトを贈るYasuakiさん
【3枚目】サムシングオールドを取り入れて、母さまのウエディングドレスをリメイクしたものを着用
「まさにフィクションの世界だね」新郎のお父さまの深いひと言
Erikaさんが夢描いていた欧米スタイルのガーデンパーティ。その夢に心から協力し、実現を願っていたYasuakiさん。私は、この1日をご両家ご家族の皆さまに楽しんでもらいたいという気持ちがあり、パーティ中にそっとご新郎のお父さまの元へ足を運びました。
そこでお父さまが話してくださった内容が今でも忘れられません。
「これはまさに、フィクションだよ! 素晴らしい夢のような世界だよ! 私はね、建築家だから、理想を描いて、それを実現することの素晴らしさと大変さというものを両方知っているんだよ。つまりね、物事は、いかにフィクションを長びかせるか。それができるということは本当に素晴らしいことなんだよ」と最高の褒め言葉を用いて、おふたりの結婚式、そしてパーティを楽しんでいることを語ってくださったのです。
人生の大先輩でありクリエイターでいらっしゃる立場の方から、何か大きな学びをさせていただいたように感じました。
【1枚目】新郎新婦のファーストダンスは、生演奏をバックに
【2枚目】テーブルナンバーに添えた流木は、ふたりが海を訪れた際に拾い集めたもの
【3枚目】食事を楽しんだり、同じテーブルの人同士で会話が弾んだり。誰もが思い思いのひとときを満喫していた
ワンポイントadvice「ゲスト一人一人が感じている“夢の世界”」
Yasuakiさんのお父さまのように、胸の内で感動をしっかりかみ締めていらっしゃる方はたくさんいるはず。お父さまは「夢の世界」という言葉で感想を伝えてくださいましたが、きっと人それぞれ、いろんな思いで結婚式をしみじみ味わっているものなんですよね。歓談タイムには感謝を伝える言葉と共に「楽しんでいらっしゃいますか?」とさりげなく尋ねてみてはどうでしょう? もしかしたらあの時の私のように、ゲストの素敵な本音を聞くことができるかもしれません。
静止画ではなく動いている時間だからこそ、みんなの心に残るもの
パーティのクライマックスはErikaさんとお父さまとのラストダンスです。決して誰かに見せる演出用につくられたのではない、大切な親子の時間。愛おしそうに娘の手を取りステップを踏むお父さまの表情は、そばで見ているゲストの胸を打ったことでしょう。
そして続くErikaさんからの花嫁の手紙。「小さい私が、真っすぐパパを見ている写真がありました。その気持ちはこれからも変わりません」。結婚式は家族とのお別れではなく、新しい家族が増えること。決して親子の関係が変わることではないのです。手紙をもらった親御さんだけでなく、みんなもそれぞれ自分なりの感じ方・受け止め方で、熱い涙を流した瞬間でした。
【1枚目】Erikaさんとお父さまとのちょっぴり切ないラストダンス。そばで見守るお母さまも思わず涙
【2枚目】思い描いた通りの結婚式が叶えられて幸せなふたり
From 編集部
from綾乃「テーマにこだわり過ぎず、まずは本質を大切に」
結婚式の本質を忘れてしまうと、「テーマ性のあるイベント」になってしまいます。もちろんそれはそれで楽しいけれど、果たして本当にふたりが望んでいたものでしょうか。
インスタグラムの素敵な画像を見て、それを参考にしたアイテムを飾るだけではなく、まずは感謝の気持ちを持ったり、「どういうふうに振る舞い、人と話し、スピーチしたらみんなが喜んでくれるんだろう?」と考えること。それを飛ばして「テーマや色、デザイン」だけにこだわると、中身のない結婚式になりかねないので、気を付けてくださいね。
立原綾乃 TRUEwedding代表/ディレクター
「結婚式という時間そのものをデザインする」という新しい発想で、日本のウエディングデザイナー第一人者として活動。特定の会場を持たず軽井沢・ハワイに特化した1日1組のオーダーメイドウエディングプロデュース「TRUEwedding」を手掛ける。
相手の想いを形にする抜群のセンスと彼女にしかつくれない温かな時間は、ウエディングにとどまらず、ライフスタイルにおいても多くの女性から人気を集めている。
TRUEwedding TEL03-6450-6363
http://truewedding.jp/
企画・監修・写真提供/立原綾乃 構成・文/南 慈子
※掲載されている情報は2017年6月時点のものです
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