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「いつか赤ちゃんが欲しい」なら“今”知りたい妊娠・出産の基礎知識

彼と「いつか子どもができたらいいね」と話すことはあっても、妊娠・出産したらどう生活が変化するのか、知らないことも多いのではないでしょうか。今回は、「いつか赤ちゃんが欲しい」と思う方に“今”読んでほしい、妊娠~出産の基礎知識をご紹介します♪

妊娠のタイミングを考えるために知っておきたい基礎知識

Q.妊娠のタイミングを考える際に考慮しておくべきことって?

Q妊娠のタイミングを考える際に考慮しておくべきこと

男女ともに考えておきたいのが、「年齢」と「ライフプラン」や「キャリア」について。年齢を重ねると徐々に妊娠しにくくなることを踏まえた上で、大変な出産、育児を人生のいつに設定するのか、仕事の昇進や転職、家の購入などなど、自分と彼のライフプランを想定することが重要です。

「妊娠・出産から子どもを育てる10年間は、自分のことだけに手をかけられない時間。その10年間を人生のいつにするのか、今は選べる時代です。ただ、高齢になると妊娠が難しくなることも事実。ライフプランを考えて、いつごろ産みたいかを決めたら、その中で自分が想像し得る一番早い段階で妊活を始めるのがいいと思います」(産婦人科専門医 海老根先生)

現代は、かつてと比べて結婚する年齢も出産する年齢も幅広くなっています。選択肢が多いからこそ、「いつ出産し、どんなふうに子どもを育てて、いつ仕事に復帰したいのか」という理想のキャリアやライフプランを、彼と一緒に考えていきましょう。

妊娠と年齢の関係については、女性は20代後半から30代後半にかけて、男性も35歳を超えると徐々に妊娠しにくくなる傾向があるという研究結果が出ています(※1)。また、20代の健康な女性でも1回の性交における妊娠率は20%ほどといわれており(※2)、妊活を始めたからといって、すぐに妊娠しなくても心配しなくて大丈夫。

参考文献:
※1 Human Reproduction Vol.17, No.5 pp. 1399-1403, 2002
https://academic.oup.com/humrep/article/17/5/1399/845579
※2 アメリカ生殖医学会(American Society of Reproductive Medicine)
https://www.asrm.org/resources/patient-resources/google-adwords-landing-pages/waiting-to-have-a-baby/

ちなみに不妊症ってどんなもの?

不妊症とは、12カ月以上避妊をせずに性交しても妊娠に至らない場合に認められる疾患のこと(※3)で、男女ともに原因がある可能性があります。ふたり一緒に検査を受けてみる、いつまでに妊娠しなかったら不妊治療を始めるか話し合うなど、ふたりで協力して妊活を進めていきましょう。

参考文献:
※3 不妊 | 公益社団法人 日本WHO協会
https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/infertility/

Q.妊娠を考えるなら、早めに気を付けておきたい生活習慣ってある?

生活習慣

男女ともに規則正しい生活に加え、食事の栄養バランスが大事。

「朝食のトーストやシリアルは、一見ヘルシーに思えてもほとんどが糖質。栄養バランスを考えると一汁一菜、副菜を揃えた和食がおすすめです。女性はカルシウムやビタミンの摂取を意識。男性はストレスがかからない生活を心掛け、精子のコンディションのためには、高温のサウナやバイクで股間を温めることを避けた方がよいですね」(海老根先生)

母子感染の恐れがある病気は予防接種の検討を

妊娠した女性が風疹にかかると赤ちゃんに「先天性風疹症候群」が出る可能性が。予防接種が必要かどうかは抗体検査で分かります。妊娠中は予防接種を受けることができないため、妊娠前に予防接種を受けることを検討しましょう。また、昭和37年度~53年度生まれの男性は風疹の予防接種を受けたことがない世代です。彼だけでなく、家族など身近な人にも予防接種を勧めてください。

妊娠中に関する基礎知識

Q.妊娠中の体調の変化ってどういうものがある?

Q妊娠中の体調の変化ってどういうものがある?

体調の変化でまず思い浮かぶのはつわりですよね。つわりは一般的に妊娠4週目ごろから始まり、最も症状がつらいのが8週から11週ごろ、15週から安定期に入る16週ごろには落ち着いてくるケースが多いです。

つわりに加え、妊娠中はさまざまな体調の変化が。臭いに敏感になる、トイレが近くなる、おなかが大きくなることで靴が履けない、爪を切りにくくなるなど不便なことも増えてきます。またおなかが重くなり足や腰、背中が痛くなることも。

体力が必要になるので、妊娠を考える方は、早めに体力づくりをするとよいでしょう。また貧血になりやすくなるので、妊娠前から鉄分の摂取を意識すると◎。

妊娠前にできれば済ませておきたいこと

妊娠中は女性ホルモンの変化で唾液が減少し、虫歯ができやすくなるともいわれています。虫歯の治療内容によっては母体に負担がかかる可能性もあり、産後も赤ちゃんがいると治療の時間を取ることが難しくなることも。妊活を意識し始めたらすぐに歯科検診を受けて、妊娠前に虫歯治療を終えておくとよいでしょう。

出産~産後に関する基礎知識

Q.産休・育休の制度をざっくり知りたい!

Q産休・育休の制度をざっくり知りたい!

産休には産前休暇、産後休暇があり、産前休暇は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求すれば取得できます。出産翌日から8週間は就業できないため、出産の翌日から産後休暇を8週間取得することができます(ただし本人が請求し、医師が認めた場合は産後6週間後から就業可能)。産休は、正規雇用者だけでなくパート社員や派遣社員、契約社員でも取得することができます。

育児休業は、産休が終わった翌日から、子どもが1歳の誕生日を迎えるまで希望期間内で休業することができる制度です。産休は女性だけですが、育休は男女ともに取得することができます。ただし、1年以上雇用されている、子どもの1歳の誕生日以降も雇用されることが見込まれるなど、一定の条件を満たしている必要があります。

Q.育休・産休中のお給料ってどうなる?

Q育休・産休中のお給料ってどうなる?

産休・育休中は、基本的にお給料は支払われませんが、出産手当金・育児休業給付金・児童手当で、1カ月にお給料の約5~7割を受け取ることができます。出産手当金は、勤務先の健康保険に加入している人が対象で、国民健康保険に加入している人はもらえません。

男性の育休取得を促進する新しい法改正も進んでおり、男性がもっと育休を取りやすくなる社会を目指す動きも。妊活前に、出産後のことについてふたりで話し合い、どのぐらいの期間どちらが育休を取るか、お互い納得できる方法を選択できるといいですね。

Q.妊娠・出産にはどんなお金がかかる?

Q妊娠・出産にはどんなお金が掛かる?

妊娠して最初にかかるお金は、妊婦健診費用、妊娠中の検査費用です。妊婦健診の合計費用は10万~20万円ほどですが、助成制度を活用することで自己負担を抑えることができます。出産費用の相場は50万~70万円程度。高額に感じて不安に思う人もいるかもしれませんが、出産育児一時金が50万円支給されるため、支払いは差額のみ。

申請すればもらえるお金も!

妊婦健診費用は自己負担ですが、自治体で検査費用の一部を助成する制度を実施しています。市区町村に妊娠届を提出すると、妊婦健診の受診票や補助券が交付されるので、病院の受付に提出して検診を受けましょう。
また上記の出産育児一時金は、健康保険加入者または被扶養者が対象で、子ども1人につき50万円が支給されます。出産後は児童手当の支給もあり、出生後15日以内の申請が必要です。

出産・育児にはお金がかかりそうと思うかもしれませんが、もらえるお金について確認し、きちんと申請して受けとることで、安心して子どもを育てることができますよ。

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From 編集部

知識を身に付け、早めにパートナーと話し合って

妊娠・出産するとどんな影響が出るのか、早めに知っておけば計画も立てやすくなります。いつ子どもをもうけたいのか、結婚後どんな働き方をし、どう育てていきたいのかは人それぞれ。いつか妊娠を考えている方は、今回ご紹介した内容を基に、ぜひ子どもについてパートナーと話し合ってみてくださいね。

海老根真由美先生
Profile

海老根真由美 白金高輪 海老根ウィメンズクリニック 院長

産婦人科専門医。埼玉医科大学医学部大学院卒業後、さいたま赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門病棟医長、同講師等を経て、2013年に白金高輪 海老根ウィメンズクリニックを開設。産婦人科、婦人科、助産師の外来を中心に、小児科や乳腺外科、泌尿器科、内科の診療も行い、女性のライフイベントに合わせた医療を提供している。

取材・文/竹本紗梨 イラスト/篠塚朋子 構成/伊藤りつ子(編集部)
※掲載されている情報は2021年9月時点のものです

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