ブライダルチェックとは?検査内容や費用etc.…女医さんに聞きました
ブライダルチェックと聞くと、どんなイメージを持ちますか?自分の体は気になるけれど「婦人科検診は痛そう」「病気が発見されたら怖い」といった不安から、受診に踏み出せない人も多いはず。ブライダルチェックは、妊娠を希望する・しないにかかわらず、ふたりをより深く知るための結婚前の準備の一つ。実際にどんな検査をするのか、また費用や受診するタイミングについて産婦人科医の清水なほみ先生に教えていただきました。
ブライダルチェックについて教えてくれたのはこの方
清水なほみ先生
日本産科婦人科学会専門医
2001年広島大学医学部医学科卒業後、広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに女性の美や健康をサポートするための医療を提供。ブログや書籍、雑誌などを通し、健康に関する情報を発信中。
そもそもブライダルチェックとは?
ブライダルチェックとは、結婚前や妊娠前に行う、体のトータルチェックのこと。健康状態に問題がないかどうかを健診することに加え、妊娠や出産の妨げに関わる病気がないかを調べることができる検査です。ウイルスや細菌に感染することで引き起こされる流産や早産などのリスクも、あらかじめブライダルチェックで検査を済ませておくことで、早期に対策することができます。
男性も受けるべき?
ブライダルチェックというと女性だけのものに思われがちですが、最近は男性でも受ける人が増えているよう。不妊の原因は女性側だけでなく、半数は男性側にも問題があるといわれているので、赤ちゃんを望む場合はそれぞれ受診しておくのがおすすめです。
また、風疹や性病は男性から女性への感染例もあります。いずれも母体に悪影響を及ぼすので、男性も積極的にブライダルチェックを受けておきましょう。
ブライダルチェックの検査項目と費用
ブライダルチェックの検査項目は、病院やクリニックによって異なりますが、いくつかの検査がセットになっているもの、もしくは検査したいものだけを選ぶこともできます。
女性のブライダルチェックの検査項目と費用は?
ブライダルチェックの検査には、血液検査で行うもののほか、超音波検査、細胞診による検査、膣(ちつ)分泌物による検査があります。おもな項目はこちら。
<血液検査>
●貧血検査
●糖尿病検査
●肝機能検査
●腎機能検査
●脂質検査
●風疹抗体検査
●甲状腺機能検査
●性感染症検診(梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIV)
<超音波検査>
●子宮・卵巣の形態的な異常の有無や、排卵を確認します
<細胞診による検査>
●子宮頸(けい)がん検診
●子宮体がん検診
<膣分泌物による検査>
●性感染症検診(淋(りん)病、クラミジア、トリコモナスなど)
婦人科やクリニックでは、この中のいくつかの検査をセットにしてプランが組まれています。
なお、費用は医療機関によって異なりますが、1万5000~3万円が目安。金額によって検査する項目が違うので、自分に合ったメニューのあるプランを選ぶようにしましょう。
また、ブライダルチェックは保険適用外となるため、基本的には自費診療。子宮頸がんなど、一部の検査は自治体から補助金が出る場合があるので、受診前にチェックを。
男性のブライダルチェックの項目・費用は?
男性のブライダルチェックは女性よりも検査項目が少ないのが特徴。おもな検査はこちら。
<血液検査>
●性感染症(梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIV)
●肝機能検査
●風疹抗体検査
<尿検査>
●性感染症(淋病、クラミジア、トリコモナス)
<精液検査>
●精液の量や精子の数・運動率を調べます
男性のブライダルチェックにかかる費用は、およそ1万~3万円が目安です。
ブライダルチェックはどこで受けられる?
ブライダルチェックは、婦人科や内科がある病院、レディースクリニックで受けることができます。また、男性の場合は女性と一緒に受診する以外に、泌尿器科で受けられる場合も。
婦人科検診を受ける機会があまりない場合、どこに行ったらよいか迷ってしまう人も多いかもしれません。まずは、家の近くにある病院やクリニックで評判のよいところを探してみましょう。
ブライダルチェックはいつ受ける?
ブライダルチェックを受けるタイミングに決まりはありませんが、将来的に妊娠を希望しているのであれば早めに受けておくのがおすすめ。具体的には、結婚の3~4カ月前に受診しておくといいでしょう。早めに受診することで、何か疾患があった場合でも早期に治療できます。
特に、結婚式前は式の準備や引っ越しなど新生活に向けて忙しくなるため、余裕を持って受けるようにしましょう。なお、ブライダルチェックの結果は通常1週間~10日前後で通知が届きます。
ブライダルチェックってみんな受けてるの?
実際にどのくらいの人がブライダルチェックを受けているのかは気になるところ。卒花へのアンケートでは、
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ブライダルチェックを受けた…19%
ブライダルチェックという名称ではないが検診は受けた…19%
何もしなかった…62%
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という結果に。
ブライダルチェックを受けた人は19%で、検診を受けた人も合わせると約4割の花嫁が結婚前後に何かしらの健康チェックを行っているよう。
また、「彼も一緒に受けたかどうか」聞いたところ
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ブライダルチェックを受けた…6%
ブライダルチェックという名称ではないが検診は受けた…9%
何もしなかった…85%
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と、女性よりもブライダルチェックを受ける人の割合は少ない傾向。ブライダルチェック=女性が受けるものというイメージがあるのかもしれません。
妊娠を希望するのであれば、彼の健康状態を知ることも大切。病院やクリニックによっては、ふたり同じタイミングで受けられるプランを用意しているところもあり、ペアで受けることでお得になる場合も。ブライダルチェックを考えている人は、まず彼と相談してみましょう。
彼と一緒に受けました!
自分や彼の健康を調べるためのよい機会だと思い彼と一緒に受診。どちらかに不妊の可能性がある場合、早期に知って対策を立てた方がいいと思いました(デンデさん)
健康状態を知りたくて受診
生理不順になることがあったためブライダルチェックを受けました。また、子どもを授かりたいと思っていたので、自分の健康状態を知っておこうと思いました(rinaさん)
補助金が出る検査のみ受けました
子どもが欲しかったため検診は受けましたが、それなりに費用もかかるので保険や自治体負担でお得にできる項目のみにしました(竹内愛加子さん)
事前に治療が必要か知りたくて
ブライダルチェックではありませんでしたが、将来的に子どもが欲しかったので、まずは治療などが必要なのかどうか知りたくてお互い検査を受けました(tomさん)
【Q&A】清水先生教えて!こんなときはどうする?
Q.毎年健康診断を受けているし、生理周期も順調だから受けなくても平気?
健康診断では発見できない疾患も
A.健康診断では、妊娠に関わる婦人科系の疾患や性感染症などを調べることができません。また、生理周期に問題がなくても妊娠しづらいケースも考えられます。自覚症状はなくても、自分の健康状態を知るために受けておくといいでしょう。
Q. ブライダルチェックを受けて、悪い結果を告げられるのが怖いです……
検診を前向きにとらえて!
A.「結果が悪かったらどうしよう」と、不安になる気持ちはとてもわかります。もし、検診を受けて気になる点があったとしても、普段の生活で改善できることや、手術や投薬により、安心して妊娠できる状態にしていけます。定期的な健康診断と同じように、まずは自分の体を知ることで結婚後の人生プランも立てやすくなるでしょう。
Q. ブライダルチェックは生理中でも受けられる?
生理中は避けておいて
A.ブライダルチェックでは子宮頸がん検診などがあり、生理中だと正しい検査結果が得られない場合があります。そのため、検診は生理を避けたタイミングで受診してください。
Q.婦人科検診は痛そうなイメージがあります……
痛みはほとんどありません
A.膣内を検診する際に、違和感を感じる場合がありますが痛みを伴うことはほとんどありません。深呼吸をしてリラックスした状態で受けると、違和感も軽減できるでしょう。
Q.不妊検査とは何が違うの?
不妊検査は継続的な治療が前提
A.ブライダルチェックは、妊娠に影響する疾患がないかを確認する検査で、基本的に1回の受診で完了します。それに対して不妊検査は、妊娠しない理由をより深く調べる検査になるので、ブライダルチェックよりも検査する項目が増えます。一番大きな違いは、女性側の「子宮卵管造影検査」です。この検査は妊娠を希望する前に「あらかじめ」行うことはほとんどなく、一定期間妊娠を目指してもうまくいかない時に行う検査です。
From 編集部
まずは健康状態を知ることから!
ブライダルチェックを受けるのは少し緊張するし、結果が怖いといった気持ちもあるはず。ただ、ブライダルチェックを受けることで、今の健康状態がわかるだけでなく、そこから体を改善することで、より健康で赤ちゃんを授かりやすい体づくりができるきっかけにもなります。ふたりの将来のためにも、ブライダルチェックについて一度彼と相談してみて。
構成・文/古閑真梨子 イラスト/IKULA D/ロンディーネ 監修/清水なほみ(産婦人科医)
※記事内のデータならびにコメントは、2021年12月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー84人が回答したアンケートによるものです
※掲載されている情報は2022年2月時点のものです
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