いつから始まったの?婚約指輪と結婚指輪の歴史と由来
結婚の際に用意される婚約指輪(エンゲージリング)と結婚指輪(マリッジリング)。この慣習は一体いつから始まったのでしょうか?その歴史や由来についてひもといてみたいと思います。婚約指輪(エンゲージリング)や結婚指輪(マリッジリング)にもっと親しみが湧いてくるかも!?
- 婚約指輪の起源は古代ローマ
- 婚約指輪が日本で広まったのは高度経済成長期
- 結婚指輪の起源は9世紀のローマ
- 結婚指輪が日本で定着したのは大正時代
Index
#婚約指輪の由来は?
婚約指輪は古代ローマ時代に端を発する
##s##婚約のときに指輪を贈る慣習は、古代ローマ時代にはすでに存在していたといわれています##e##。紀元前3世紀くらいには、婚約指輪は婚約が成立したことの証しとして用いられるようになり、花嫁は未来の夫に対して純潔を守る義務が発生したとされます。これを破ってしまうと、法的な責任も問われたのだとか。
初期の婚約指輪は鉄製で、後に金で作られるようになりました 。男性が自分のイニシャルを指輪に彫り、それを女性に贈るといったロマンチックなことも行われていたそうです。
なお、左手の薬指に婚約指輪を着ける慣習も古代ローマ時代からあり、左手は心臓に近く、薬指が心臓に直接つながっていると信じられていたためといわれています。
ダイヤモンドの婚約指輪の起源は15世紀ごろ
##s##婚約指輪にダイヤモンドが飾られるようになったの15世紀頃のこと##e##といわれています。
ハプスブルク家のマキシミリアン大帝(後の神聖ローマ皇帝)とブルゴーニュ公国シャルル勇胆公の娘であるマリアが婚約する際にダイヤモンドの婚約指輪が贈られ、これが史実に残る最初のダイヤモンドの婚約指輪とされています。四角くカットしたダイヤモンドをMの字に配したデザインで、Mはふたりのイニシャルであるとともに、聖母マリアも表していたそうです。
ダイヤモンドは美しい輝きを持つとともに、天然の鉱物の中では最も硬い物質で「不屈の精神、永遠の絆、約束」を示すといわれています。そのため、##s## 男性と女性を結び付ける「永遠に続く愛のシンボル」##e##として婚約指輪に装飾する宝石としてふさわしいとされました。
19世紀末には一般の人々もダイヤモンドの婚約指輪を贈るように
ダイヤモンドを飾った婚約指輪は長い間、王侯貴族など富裕な人々のものでしかありませんでしたが、 ##s##19世紀末には一般の人々にも広まってきました##e##。広まった理由の一つには、1866年に南アフリカでダイヤモンドの鉱山が発見され、ダイヤモンドを安定的に供給できるようになったことがあるようです。
18世紀後半から19世紀にかけては、ショーメやモーブッサン、ティファニー、カルティエ、ブシュロン、ブルガリなど、いまも世界的ブランドとして知られる高級ジュエラーも次々と誕生、ダイヤモンドの婚約指輪を供給するようになっていきました。
##s##人気を集めたのが大きなダイヤモンドが1粒だけさんぜんと輝くソリティアリング。爪でダイヤモンドを支える立て爪はダイヤモンドの輝きをより引き出すとして喜ばれ、中でも1886年にティファニーが考案した「ティファニー・セッティング」は一世をふうびしました##e##。 ダイヤモンドを持ち上げるようにして6本の爪で支えた「ティファニー・セッティング」のリングは、究極の婚約指輪としていまも世界中の女性たちの憧れの的となっています。
#結婚指輪の由来は?
結婚指輪の起源は9世紀のローマ
婚約指輪を贈る慣習が古代ローマ時代にはあったのに対し、結婚の際に指輪を交換するという慣習が生まれたのはもっと時代を経てからのこと。結婚指輪の起源は定かではなく、 結婚の際に男女でお互いに指輪を交換する慣習は、キリスト教が結婚に関与するようになってから生まれたものとされています 。
##s##9世紀にはローマ教皇ニコラウス一世が指輪が結婚の証拠になると認めた##e##という言い伝えが残っており、1027年には、結婚式では「花婿は花嫁に金の指輪を、花嫁は花婿に銀の指輪を交換している」という記録が残されています(ミュール『ローマの結婚指輪の起源』より)。その後、結婚指輪の交換は普及し、##s##13世紀のヨーロッパでは一般化していた##e##とされています。
結婚指輪にまつわるユニークな言い伝え
ヨーロッパでは結婚指輪に関するさまざまない関する言い伝えがあります。
例えば、「結婚指輪を交換する際に、新郎が新婦の第2関節まで指輪を一気に通すことができれば、結婚生活では新郎が主導権を握れる」、「結婚指輪が自然に壊れるのは、相手が不貞を働いた印だ」などです。さらに、宝石が付いている指輪の宝石が外れるのも、不吉なことが起こる前兆とされていました。
また、 結婚指輪を肌身離さず身に着けるという慣習も、中世から始まったといいいます。 結婚指輪は結婚を証明し、夫婦の結び付きを示すものなので、生涯外してはならないとされていました。例えば、中世ドイツでは女性が結婚指輪を外すと夫の愛が冷め、家庭不和になると信じられていたそうです。
#日本における
婚約指輪・結婚指輪の歴史は?
結婚指輪は明治時代後半から
日本で指輪が装飾品として普及し始めたのは明治時代後半のこと。キリスト教式の結婚式では結婚指輪の交換が行われ、明治の終わりには結婚指輪の広告記事も見られることから、結婚指輪が次第に浸透してきている様子が見て取れます。その後、##s##大正時代には結婚指輪の慣習は定着した##e##といわれています。
ちなみに、日本では奈良時代から江戸時代まで指輪を身に着ける習慣がほとんどなく、明治時代になって西洋文化が一気に流入してから、指輪も広まったようです。
婚約指輪が定着したのは高度経済成長時代
一方、 ##s##婚約指輪の慣習が定着したのは昭和30年代半ば以降##e##のこと。それまであったダイヤモンドの輸入制限もなくなり、次第にダイヤモンドを飾った婚約指輪が一般化してきました。昭和40年代にはダイヤモンド供給会社による婚約指輪のキャンペーンも行われ、一気に婚約指輪の慣習が広まり、定着したようです。
#婚約指輪や結婚指輪に用いられる
モチーフの歴史や由来
婚約指輪や結婚指輪によく用いられるモチーフとして、真っ先に思い浮かぶのはハートでしょう。しかし、##s##ハートが用いられるようになった歴史は意外に浅く、近代になってから##e##とのようです。金属でハートをかたどったものもあれば、ダイヤモンドをハート形にカット(ハートシェイプダイヤモンド)したものもあります。
一方、私たちから見ると、婚約指輪や結婚指輪にはふさわしくないのでは?というモチーフが、かつては使われていたこともありました。それは「蛇」です。 昔から蛇は生命力や不死のシンボルとして愛されており、##s##イギリスのビィクトリア女王は自身の婚約指輪に蛇のモチーフがあしらわれたリングを選んだそうです##e##。指輪に巻き付く蛇は永遠を象徴するともいわれています。