【結婚式レポートin岐阜県】結婚式の原点を見つめて家族、親族に直接感謝を伝えたい
古式ゆかしき高山の伝統的な結婚式と祝宴
高山市出身のふたりは、高校卒業後、高山を離れていた。時が過ぎ、東京からいずれ高山に戻って家業を継ぐことになっていた優さんと、偶然にも高山に戻って仕事を始めていた重利さんが、故郷で運命的な出会いを果たす。
「これまで友人の結婚式に参列し、にぎやかなのも良かったんですが、あらためて地元の良さや、日本古来の和装に魅力を感じており、結婚式は家族に感謝を伝えるためのものなので、家族をメインにしたいという思いはふたりとも同じでした」と重利さん。
自宅で地毛を結い、白無垢姿で親と3人のきょうだいにあいさつを終えると、近所の人に見送られ花嫁タクシーで神社へ。都心より半歩早く季節が来る高山。朱色の紅葉の下、祝福に駆け付けた友人らと写真撮影を楽しんだ。厳粛な神前式が終わると、今度は優さんの実家で仏壇を拝み、挙式関連行事が結びとなった。後半の祝宴は、創業229年、国の重要文化財指定の老舗料亭に親族が集った。「東京から見ず知らずの高山に嫁いできて、職人肌の父を支えながら僕たちを育ててくれた母には感謝しかない。重利のいい相談相手なんです」と優さん。終始ふたりを見守っていた優さんの母の柔らかな笑顔が印象的だった。
自宅の縁側で母からの紅差しで支度を終えた重利さん。「心が折れそうな時にいつも背中を押してくれたのが母でした」。母は、祝宴中の生い立ちムービーを見ながら何度も涙を拭った
日枝神社での厳かな神前式
角隠しと白無垢姿で自宅ののれんをくぐり、神社に向かった重利さん
花嫁行列では、新郎家が新婦家を迎えるのが高山のしきたり
挙式では優さんの希望で綿帽子姿となった重利さん。ふたりの記念撮影の様子をこっそりのぞいていた両家の親
挙式後、優さんと共に優さんの実家へ。優さんの家族がふたりを出迎えた
料理は茶の湯の心を踏まえた伝統的な宗和流本膳崩
高砂席ではふたりも料理を楽しんだ
膳を囲んで親族一人一人と思い出話に花を咲かせた。ふたりからゲスト全員に宛てた手紙を、優さんの母はただ一人、読まずにそっとバッグに入れた。「ここで読んだら泣いちゃうもの」
引き振り袖でお見送りするのも高山式。6人が並んであいさつした
大正時代のアンティークの引き振り袖での鏡開き。地酒を振る舞った
岐阜県在住
成瀬 優さん(32歳)
重利さん(30歳)
挙式日:2023年10月29日
挙式会場:日枝神社
披露宴会場:洲さき
招待客:19名
同じ高校だったが接点がなく、偶然にも優さんの妹と重利さんがクラスメートだった。優さんはパン職人。
※ゼクシィ東海版2024年3月号より転載
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