ひとりで悩まないで!「新婚のセックスレス」にプロが本気のアドバイス
あなた自身が彼と「セックスレス」(以下レス)になった時、どうしますか?誰にでも起こり得る「パートナーとのレス」について、セックスレスをはじめ数多くの夫婦の悩みに向き合っているカウンセラーの小野美世さんに「レス」の際の気持ちの向き合い方、現在悩んでいる方のお悩みに答えてもらいました。
ふたりの「レス」の要因は何?
アンケートでわかった「レス」の主な要因
今回実施したアンケートでは、セックスレスの要因として「仕事や家事などが多忙」という時間的要因や、「現在妊娠中・育児中のため」という環境的要因、「セックスに積極的になれない」気持ちが要因のものが多く寄せられました。また、「なんとなく…レスのまま現在までいる」というきっかけをつかめずにいる人も多数。
レスで悩んでいる人たちのうち「レスを解消したいと思っている」人は7割強。そして実際に彼と話し合いまで進めた人は4割弱。話し合うことについてハードルを感じている人も多いことがわかりました。
レスを解消したい!

彼とずっと仲良くいたい、私も気持ちよくなりたいし満たされたい。(たこさん)

彼との仲はいいが、セックスも愛情を表現するための大事なコミュニケーションだと思っているため。(Nさん)

私はすごくしたいわけではないけれど、彼に申し訳ないと思うので。(ゆんさん)
次からは、カウンセラーの小野美世さんにアドバイスをいただきながら、悩みを解決する方法を学んでいきましょう。
私がアドバイスします

彼・パートナーといい関係を築きたい女性3000人以上から悩みを聞いており、相談者の気持ちを汲み取ったアドバイスが好評でリピーターも多い。文字による相談を得意としている。
レスに深刻に悩んでいる人に贈る
「自分の気持ちと向き合う」3STEP
大変だけれど、まずは自分の気持ちととことん向き合ってみて
彼との間のレスについて、「向き合いたい」「解消したい」と本気で思っている人へ「自分の気持ちとの向き合い方」を小野さんに伺いました。
ここから3つのSTEPを丁寧に説明していきます。あなたも自身の心と向き合いながら、読み進めていってください。
STEP 1
“自分がこの状況をどう受け止めているか”を言語化していく
まずは、レスという状況をどう感じているのか、自分に問いかけてみましょう。準備運動として、彼への日頃思っている気持ちを思いつくまま書き出します。「なんで〇〇してくれないの」「いつも私ばっかり〇〇してる」「ひどい」など…。自分の気持ちをよく見たい時には、積もりに積もっているものを取り除いていく必要があります。
次に「今の状況をどう思っているのか」「何が悲しいのか」「どうしたいのか」をメモしていきます。ポイントは“自分を主語にする”こと。もし「彼は何を考えているんだろう?」と浮かんだら、「私は、彼が何を考えているのか気になっている」と変換して。
これは、自分の本当の感情を見つけるためのプロセスです。「彼と一緒に過ごす時間を増やしたい」「自分が落ち込み過ぎないようにしたい」など、「こうしたい」をたくさん言語化することで、彼と話し合った時の着地点を増やすことができます。
STEP2
“自分自身はどうしたいか”
本当の気持ちに気付く
ここからさらに“自分の気持ちをよく見ていく”ため、次の質問に答えてみてください。
・彼にまだ伝えていないことは何?
・実は隠している自分の気持ちは何?
・悟られないようにしていることは何?
テーマの性質上、相手に言えていないことは山ほどあるはず。「言ったら相手を傷つけたり関係が悪くなるかもしれないと思って言えない…」。その蓄積が、彼との溝を深め、あなたにストレスを与えているのも事実です。つらいのは、「隠しているから」「そのことを彼と共有していないから」かもしれません。
小野さんからのAdvice

彼に伝えるかどうかはいったん脇に置いて、自分が何を一生懸命に隠しているか、言わないようにしているかを、確認してみてください。
そして、最後の質問です。
・どうして、それを隠してきたんだろう?
・なぜ、その自分を彼に知られないようにしてきたんだろう?
こちらの答えは大きく2つに分けられます。
一つは、その自分を出すと彼に嫌われると思っていたり、その自分のことを自分自身がダメだと思っているから。もう一つは、それが自分にとってとても大事なことでその自分を守りたい、簡単に傷つけられたくないと思っているから。
例えば、「欲の強い自分を知られたくない」と感じるのは、嫌われる不安や自己否定がある一方で、「性を大切にしたい」という大切な気持ちが隠れているのかもしれません。本当は「欲の強い自分」の気持ちも大事にしたいはずです。だから、悩みになるんです。
小野さんからのAdvice

「彼はどうかわからないけれど、私にとってはとても大事なこと」がはっきり見つかったなら、「私はこういう人で、これが大事」と伝えると同時に、彼の「大事なこと」についても耳を傾けて。
STEP3
彼と話し合うことが
ベストな選択かどうかを考える
次にSTEP1・2で言語化できた自分の大切な気持ちを彼に話すことがベストな選択かどうかを考えていきましょう。具体的には、
・彼に隠してきた自分を、「私はこういう人でこういうことが大事なんです」と開示する
・それによって、ふたりの間に波風が立つかもしれない覚悟をする
この2つをできるかどうか考えるという意味です。
この覚悟が決まったら、次は、彼と性の価値観を話し合う段階に進みましょう。
覚悟が決まらないうち、または特に話し合いまではしなくてもいいかもと思えた場合は、現状維持と決めてもOK。話し合いを避けられるうちは徹底的に避けるというのも一つの道です。
小野さんからのAdvice

今回は、話し合いを避けることになったとしても、きっとまた「つらい」が押し寄せる時期がくるかもしれません。覚悟への怖さより「もうこれ以上今の状態を続けたくない」という気持ちが上回った時、きっと次の行動に進んでいけるはずです。
卒花が抱えている5つの「レス」のお悩みに
プロが本気のアドバイス
アンケートではたくさんのお悩みが寄せられました。どのお悩みもこれから先も彼と良好でいたいという気持から生まれるものばかり。レスの状況は人それぞれで一概に解決策を断言することは難しいけれど、今回は特に多かった5つの質問について、小野さんにアドバイスを頂きました。
相談1

セックスレスについて彼に相談したいけれど、どう相談していいのか、話すきっかけをどうつくればいいかわかりません(不和にならないように話をしたいです)。どのようなタイミングでどう話していくのが良いでしょうか…。(まるこすさん)
シンプルに「大事な話がある」と時間を確保してもらって
私はいつも、「シンプルにいきましょう」とお伝えしています。「大事な話があるの、いつなら時間大丈夫かな」とまずは時間を取ってもらいましょう。そして、話せる時がきたら「これを言うのはすごく緊張するし、今にも私泣きそうなんだけど、ふたりの関係が悪くなるのが嫌だから言うね!」という前置きをして、言いたいことから話してください。
「うまく話そう」としなくていいです。うまく話そうとするとおかしくなります。途中で泣き出すかもしれません。それでもいいです。緊張感を正直に伝えながら、自分の気持ちや考えを開示し、相手の意見を聞きたいと素直に伝えましょう。(小野さん)
One More Advice

特に、「私は性を大事にしている」という自分の価値観を話すことは難しいかもしれませんが、それを避けると自分の気持ちのことはあまり言わずに相手を責めるような言葉が出てしまい、彼が自分の気持ちや考えを話してくれる余地がなくなってしまうことも…。自分の気持ちを伝えつつ彼の気持ちにも耳を傾けましょう。(小野さん)
相談2

彼のセックスが雑で大切に扱われていないと感じます。彼にそれとなく伝えても理解してもらえません。どうしたらわかってもらえるのでしょうか。このままのセックスは苦痛なのでレスの方がいいとすら思えます。(りんごさん)
「わかってもらえていない」理由に応じて彼に再度伝えてみて
「彼とのセックスが苦痛」というテーマはご相談でもよく出るテーマなのですが、なかなかやっかいなテーマでもあります。「それとなく伝えた」とのこと、とても勇気が必要だったはずです。
それでも「わかってもらえていない」と感じる場合、理由はいくつか考えらえます。
1.表現がやわらか過ぎて実は伝わっていない
2.具体的にどうしてほしいかが伝わっていない
3.セックス中は興奮しているので、彼が言われた内容を忘れてしまう
4.彼の知識がAVなどの間違った情報に基づいている
などが考えられます。
1は、よく起こることです。「ちょっと言いにくいんだけど…」と前置きしつつ「これ以上我慢すると、行為自体できなくなっちゃうと思ったから伝えた」という内容も併せて伝えてもいいと思います。
2は、もしもこのくらいの強さで、とか、こういう手の動きで、など伝えられる「具体的なもの」があるのなら、それを実際にしながら彼に伝えてみてほしいです。
問題なのは3です。「その行為の最中は言われた注意を忘れてしまう」となると、彼女は何も言えなくなってしまいます。しかし女性の立場からすると、苦痛が取り除かれず、それを何度も伝えるのはストレスになりますし、恐怖心も湧いてくるでしょう。我慢をしないといけない状態が続くなら、「このまま変わらないなら、もうできなくなってしまう」と伝えて、彼にもどうしたらいいか考えてもらってください。
4も一度は彼に確認してみてください。特に「彼の力が強くて痛い。弱くしてほしいと言っても聞いてくれない」場合、「性器には強い刺激の方がいい」と思っていることがあります。(小野さん)
One More Advice

「こんなことを言ったら彼が傷つき嫌な気持ちになるんじゃないか」と心配される方が多いです。皆さん、とても優しいと思います。でも、もうすでにあなたは「自分のことを大切に扱われていないような気がする行為」に傷ついており、嫌な気持ちになっているのです。
もう、自分のことも守ってあげましょう。(小野さん)
相談3

生活のルーティンができてしまい、セックスをする機会が減ったのですが、どうしたら日常生活の中に取り入れられるでしょうか。小さい子どもがいてもレスにならない方法を教えてほしいです。(ゴリラの飼い主さん)
これまでの「当たり前」を崩して「柔軟」になってみて
小さいお子さんがいて、日々の生活スケジュールが以前と変わった場合は、「柔軟になること」が大切です。
「子どもがいなかった時のセックスは、こういうのが当たり前だった」というのがあると思います。もしかしたら、朝の方がしやすいかもしれない。寝室でなくてもいいかもしれない。
ここで、ふたりの間に「デリケートなこともお互い言いやすい空気感」や「ふたりの間の温かい親密感」があるかどうかが大事になってきます。
産後は特に、性のことも夫婦間で相談したり、調整したり、歩み寄ったりせざるを得なくなります(お互い言いたくない、何も言わないという感じだと、レスの期間がどんどん更新されていくことも)。ぜひ、彼とも「どうしたらいいかな?」を共有してみてください。(小野さん)
One More Advice

お子さんが小さい時期には頻度が減るのも自然なことです。「今はこのくらいの頻度でもOK」というのも、「季節に1回」「年に〇回」など、ご自身の中でゆるめに設定していいと思いますよ。(小野さん)
相談4

日常生活でレスにつながらない方法や、男性が妻を女性として見られなくなるタブーとかあれば知りたいです。(ももひこさん)
性以外のことで互いへの不満を減らせるところまで減らしてみて
たくさんの相談をお受けしている中で感じたことは、結局は彼が
・性を大事にして生きていきたい性質かどうか
・セックスの優先順位がどのくらいなのか
・パートナーと性の価値観の相違・意見の相違があった時に、相手に歩み寄ろうと思える人かどうか
ということが、とても大切だと思わされます。特に最後の項目の影響はとても大きいです。
性を大事にする女性は総じていろいろな努力やパートナーへの気配りをしている方が多いですが、レスになりかけた時に自分を責めてしまうことも。でも、違うんです。「自分のせいではないかもしれない」という視点もぜひ心に持ってください。彼の「優先順位問題」が思ったより影響するんです。あなたができることは、ふたりの親密感を維持し、デリケートな問題も話しやすい空気を普段からつくることにも目を向けてみてください。
日常生活でレスにつながらない方法は、遠回りに思われるかもしれませんが、「(性以外のことで)お互いに対する不満を減らせるところまで減らす」ことです。(小野さん)
One More Advice

生活を共にすると、これまで見えてこなかった相手の一面や生活習慣の違いなどが積み重なり、知らない間に不満がたまりがちです。最近口げんかが多い、けんかのパターンが決まってきたという方は特に、一度「どうしてこんなにけんかが多いのか?」を見直すタイミングかもしれません。カウンセリングでも日常生活や夫婦のコミュニケーションの見直しが先だなと感じる時には、まずそちらに向き合ってもらっています。(小野さん)
相談5

私自身、セックスにあまり興味がないんです。決して彼に嫌悪感があるとかではなく、とても愛していて日々幸せです。そういったことをしなくても愛されていることを実感できます。ただ、しないと彼に申し訳ないと思うし浮気されたら嫌なので性生活はなくなってはいけないと思います。どうしたら「したい」と私自身が思えるようになるか知りたいです。(モモさん)
悩みが自身の性質によるものか、そうではないのかを考えてみて
彼と幸せに過ごされているとのこと、何よりです。セックスに興味がないと自覚しつつも、彼への配慮を忘れない姿勢は素晴らしいと思いました。興味がないのは人の性質の一つで、基本的には変えにくいものです。
「セックスにあまり興味がない」と相談者さんが言う場合にも、いくつか種類があります。一つは、「本当は小さい頃から性に興味があったけれど、親からの教育や周りの影響で、『興味を持ってはいけない』と思い込み、今に至る場合」。この場合は、「小さい頃に性に興味を持つのは悪いことでもなんでもなく自然なことだった…」のように思い込みを解除していくことで、「セックスしたい気持ち」を改めて引き出していける可能性があります。
もう一つは、「小さい頃から本当に興味がなく、思春期を過ぎ大人になってもそれが変わらなく、なんなら恋愛中は彼に合わせてちょっと無理をしていて、今に至る場合」です。この場合は、「自分の性質を受け入れる」ということが必要。「どうしたらしたくなるのか」を追求する必要はなく、彼の「したい」に付き合っている状態をキープできれば、それでOKです。(小野さん)
One More Advice

セックスの中で「負担になり過ぎている、続けたら嫌になりそう」なことは、無理をする必要はありません。ここで無理をすると、セックスの時間をおっくうに感じるようになり、最終的にできなくなってしまうことも。そうなると、彼にとっても、あなたにとっても、幸せな状態ではなくなってしまいます。彼とご自身の両方を大切にしながら、今の状態を続けていけるといいですね。(小野さん)
From 編集部
無理をせず、ふたりで一歩ずつ進むことを大切にして
「セックスレス」は、決して珍しいことではありません。特に新婚時期は互いの生活環境の変化などさまざまな要因が絡み合うことがあるでしょう。
「レス」であることについて、自分の心と向き合わない(気付かないふりをし続ける)ままでいると、「相手のことも大切にできず、彼の何げない言動にも不満を感じることなどが積み重なり、『自分の人生が前に進んでいないまま時間だけが過ぎていく』という感覚になることが一番のデメリットかと思います」と小野さんはコメントしていました。
小野さんのアドバイスを参考に、ふたりに合った方法で、無理なく、焦らず、少しずつ歩み寄っていってくださいね。きっと解決の道は見えてくるはずです。

小野美世さん 夫婦の悩みカウンセラー
彼・パートナーといい関係を築きたい女性3000人以上から悩みを聞いており、相談者の気持ちをくみ取ったアドバイスが好評でリピーターも多い。文字による相談を得意としている。著書に『誰にも言えない夫婦の悩み相談室』(2019年刊)、『負けるが花』(2021年刊)、『したがらない夫との話し合い方』(2023年刊)などがある。
構成・文/RIE☆ イラスト/moeko
※記事内のデータおよびコメントは2024年12月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー52人ならびに、過去2年以内に結婚した110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2025年2月時点のものです
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