[全文掲載] 花嫁の手紙vol.54~思い出をたどりながら、感謝の気持ちをつづる~
花嫁が親や家族への思いをつづった手紙を読む「花嫁の手紙」は、結婚式の定番演出。普段言えなかった素直な気持ちを伝えられる良い機会ですが、何をどう書いていいかわからない…なんて悩む花嫁さんもいるのでは?そこで卒花の実例から、あなたが花嫁の手紙を書くためのヒントやコツを見つけてみませんか?
花嫁が親や家族への思いをつづった手紙を読む「花嫁の手紙」は、結婚式の定番演出。普段言えなかった素直な気持ちを伝えられる良い機会ですが、何をどう書いていいかわからない…なんて悩む花嫁さんもいるのでは?そこで卒花の実例から、あなたが花嫁の手紙を書くためのヒントやコツを見つけてみませんか?
「『結婚式といえば、クライマックスの花嫁の手紙』というイメージを持っていましたが、いざ式を挙げるとなると自身は読むか迷った」という詩史(しふみ)さん。「ただ、私は普段母と特段仲が良いわけではないので、こんな時くらいしか、この先感謝の気持ちを伝える機会はないと思った」と手紙を読むことにしました。
■招待ゲスト数…70名(家族、親族、友人、職場関係)
■花嫁の手紙を書き始めた時期…式の約半年前
■花嫁の手紙を書くのに要した時間…下書き約半年、清書約1週間前
■式で花嫁の手紙を読んだ時間…約6分(母へ)、約2分40秒(父へ)
数々のウエディングで司会という枠にとらわれず、たくさんの花嫁さんの結婚式の演出や「花嫁の手紙」の相談にも乗っている優月さんにコメントを頂きました。(優月りなさんInstagram/@ mc_yuzuki_rina)
手紙には、花嫁さまの思いがたっぷりとつづられていました。【A】では、「覚えていますか?」という呼びかけで一気に手紙に引き込まれました。幼い頃感じていた心情、それを察してらした母の愛情深さがリアルに伝わってきます。下線部の「その都度諦めずに全力で向き合って」という表現に、母の強さと娘の成長がにじみ出ていると思いました。【B】にある「品を育てなさい」という教育、言葉の美しさがしっかりと受け継がれ、さらには娘さんにも伝えていこうという姿勢に素晴らしい連鎖を感じます。
お父さまへの手紙は、語りかける口調と距離感がリアルで笑いと涙が入り交じる感情になりました。【C】にある、幼い頃に立てた誓い、それを守れなかったこと。大人になったからこその思いから、花嫁さまの成長も伝わりました。飾らない正直な言葉がつづられた素敵なお手紙だと思いました。(優月さん)
お母さまへ、そして他界されたお父さまへ2通の手紙を書いた詩史さんと、お手紙を受け取ったお母さまにお話を伺いました。
普段から母とは特段仲が良いわけではなく、お礼を伝えるのも恥ずかしいという気持ちが強かったのですが、このまま伝えずに後悔したくないと思い読みました。勇気を出して読んだことで、今まで母に伝えられなかった感謝の気持ちを伝えられました。号泣している母の姿を見て、母にもきっと、「今まで頑張ってきて良かった」って思ってもらえたかなと感じています。
「花嫁の手紙で人の親子関係のことを聞いたところで、その時間はゲストにとって有意義な時間になるのかな?」と思っていたのですが、ゲストから式後に「知らなかったことをたくさん知れて、すー(新婦)の気持ちや、お母さんの気持ちや、お父さんのこととか…涙腺崩壊だった。いろんなことがあっての今の素晴らしすぎるすーがあるのか…って聞いていた人みんな手紙に入り込んでたよ」という言葉をもらいました。
手紙を書くにあたって今までのいろいろな出来事を思い出すことで、「あの時自分はこう思っていたけれど、母はこう思っていたのかな」など感じるようになりました。自分が母親の立場になって母の気持ちを以前よりは理解できる(母の立場に立って考えられる)ようになり、母は母なりに愛情を持って育ててくれていたんだなと思うことができました。
書きたいエピソードが多すぎてどれを書こうかとても迷ったのが苦労ポイントです。結局少なくできずにいっぱい盛り込んでしまいましたが、実は見ていたとか、こう思っていたとか、今まで母に内緒にしていたエピソードを選びました。工夫したポイントは、よりゲストの方々に話が伝わるよう、数字(年齢・時間・回数など)と自分の感情を織り交ぜて書くようにしたところです。
エピソードは、ゲストにとっては初めて聞く話なので、よりゲストの方々に想像してもらいやすいよう、出来事をそのまま書くのではなく、数字(時間・年齢・回数など)や、その時の感情の変化や大きさを表現する言葉を加えることで、ゲストが具体的に場面を想像できるようになると思います。
娘からの花嫁の手紙、私には青天の霹靂でした。私は娘から距離を置かれている寂しさを感じていたので、手紙のシーンなどあるわけないと思い込んでいたからです。
手紙の朗読が始まると、周囲の景色が目に入らなくなりました。この不出来な母親に対してのギフトで初めて娘の思いに触れることができた嬉しさに涙が止まらなくなったのです。手紙は私の宝物として、死ぬ時にはひつぎに入れてもらって天国に持っていくつもりです。
自身の結婚式で花嫁の手紙を読むか迷うという人もいるでしょう。
今回ご紹介した詩史さんもそのお一人ですが、花嫁の手紙は、新婦の人柄を深く知る機会となり、ゲストと温かい感動や共感を分かち合う特別な時間を生み出します。そうした感情を共有することは、結婚式という日を忘れられない一日にするだけでなく、ゲストにとっても心温まる幸せな思い出となるはずです。
優月りなさん
MC・司会者・ナレーター・ラジオDJ
ウエディング業界歴18年で東京を中心に全国出張可能な司会者。幅広いスタイルの結婚式で新郎新婦らしさに溢れた人前式や、パーティの演出も提案。ブライダルモデル育成の経験から新婦の立ち居振る舞い、音楽やお手紙の相談など幅広く行っている。また、講師としても15名以上の司会者を輩出し、プロ司会者へオーダーメイドレッスンも行っている。
構成・文/RIE☆ D/ロンディーネ
※掲載されている情報は2025年8月時点のものです