新郎の感動演出「ジャケットセレモニー」 意味や流れ、注意点を解説
新郎新婦が一緒に行う演出はありますが、どちらがフォーカスされるかというと花嫁であり、その家族です。そこで生まれる「彼にもスポットを当てたい」という花嫁の思いにぴったりなのが、新郎のために行われるジャケットセレモニー。どんな意味があり、いつ、誰と行うのか、知っておくべき基礎知識を紹介します。
新郎新婦が一緒に行う演出はありますが、どちらがフォーカスされるかというと花嫁であり、その家族です。そこで生まれる「彼にもスポットを当てたい」という花嫁の思いにぴったりなのが、新郎のために行われるジャケットセレモニー。どんな意味があり、いつ、誰と行うのか、知っておくべき基礎知識を紹介します。
ジャケットセレモニーとは、新郎の身支度の仕上げとしてジャケットを着せてもらい、挙式へと送り出してもらう演出。花嫁には花嫁の母等からベールを下ろしてもらう「ベールダウン」がありますが、ジャケットセレモニーは新郎のそれに当たるもので、ジャケットを着せる役は新郎の親が一般的です。
実施タイミングは挙式の新郎入場前で、様子を見守るゲストは親子のやりとりに共感し感情が動かされる人も多数。また新郎の親が登場することで“家族の絆”への意識が深まり、結婚式全体が温かで優しい雰囲気に包まれるのも大きな魅力です。
「皆が思った以上に温かな笑顔で迎えてくれて、緊張がほぐれた」と新郎(写真提供/natsuさん)
ゲストが着席し終えたチャペルへ新郎が登場。ジャケットを着せる人(写真の例では新郎母)はジャケットを手にし、入り口近くで新郎を迎える。
ジャケットを着せる役は新郎母に依頼。普段は明るく無邪気な母から、改まって着せてもらうことが少し気恥ずかしくもあったそう(写真提供/natsuさん)
新郎はジャケットを着せる人の前に立ち、軽く背を向ける。広げて差し出されるジャケットに腕を通し、着終わったら向き直って整えてもらいます。
新郎は、母に背中を押される気持ちを感じながら入場したそう(写真提供/natsuさん)
新郎の晴れ姿の身支度が完了。ジャケットを着せる人からの温かな気持ちを受け取って、新郎はバージンロードを進みます。
3人兄弟を育て上げた母に対し新郎が深く感謝していることや、娘がいない義母へ息子を送り出す経験をしてほしいとの私の思いからジャケットセレモニーを提案。新郎自身も母への感謝を演出を通して表現でき、義母にとっても息子の巣立ちが感じられる感慨深い瞬間になったようで、この演出を実施できて本当によかったです。(natsuさん)
【父母にお願い】新郎母は少し照れながらも嬉しい表情。ゲストからも「初めて見た!」と好評(写真提供/寧々さん)
【父にお願い】父と息子の熱いやりとりに、会場も温かな雰囲気に包まれていたそう(写真提供/ひかりさん)
【母にお願い】新郎がハグをした瞬間、ゲストから“おぉ!”と歓声と拍手が!(写真提供/Tsubasaさん)
【父母にお願い】新郎母は少し照れながらも嬉しい表情。ゲストからも「初めて見た!」と好評(写真提供/寧々さん)
【父にお願い】父と息子の熱いやりとりに、会場も温かな雰囲気に包まれていたそう(写真提供/ひかりさん)
【母にお願い】新郎がハグをした瞬間、ゲストから“おぉ!”と歓声と拍手が!(写真提供/Tsubasaさん)
【父母にお願い】新郎母は少し照れながらも嬉しい表情。ゲストからも「初めて見た!」と好評(写真提供/寧々さん)
傾向としては新郎母にお願いするケースが多いようです。理由は、感謝を伝えたい存在ということに加え、新郎に姉妹がいない場合は母にベールダウンといった機会がないこと、両家を代表してのあいさつの機会がある新郎父に対し新郎母もクローズアップしたいという気持ちなどがあります。
また、父母にお願いするケースも。この場合は一方がジャケットを着せ、もう一方はブートニアを挿したりグローブを渡したりと、ふたりで身支度を完成させます。
父にお願いするケースは上記パターンと比べて少ない傾向にありますが、父と息子のやりとりにも独特の魅力が。凛とした緊張感に信頼や励ましといった芯のあるエールが込められていて、父親にとっても印象深い体験になるはずです。
義母にも何かで参加してほしく、また自分が母の立場なら成長した息子に嫌がられずにジャケットを着せてあげられるなんてとても幸せだと思ったのでお願いしました。着せてもらった後に新郎が母をハグしていて、とても良かったです。(Tsubasaさん)
新郎母にスポットが当たる機会がないことが気になり、「大切な場面で結婚式を一緒につくってほしい」と、私から新郎母に実施を提案。新郎母にはブートニアを、新郎父にはジャケットを託しました。新郎新婦それぞれに父母たちから身支度の仕上げをしてもらうことができて、大満足です。(寧々さん)
幼少時から新郎に向き合い頼れる存在の義父。感謝と大きくなった新郎本人の背中を感じてほしいとの気持ちでお願いしました。セレモニー中の義父は多くは語らず、着せた後は真っすぐなまなざしで新郎の胸に力強く拳を当て、ガッチリ握手。新郎は父らしい心のこもった送り方が嬉しく、目頭が熱くなったそう。(ひかりさん)
写真や映像に残るシーンであることを肝に銘じ「いつ、どこから撮られても大丈夫」な状態をキープできたら理想的。ゆったりした動作は堂々とした印象を与えるばかりでなく、その時間をかみ締められる効果があります。
また、全体の流れも頭に入れて。リハーサルを行えば、着せる側も安心できるでしょう。最初に通す腕、着せた後の整え方といった動作まで擦り合わせておくと本番はよりスムーズに進められます。けれど「ちゃんとやる」ことにこだわり過ぎる必要もありません。なぜならちょっとした余白にこそ、本人たちの素顔が出やすいから。ジャケットセレモニーは予期せぬ温かなやりとりが生まれる好機でもあるので、そんな場面も楽しめるといいですね。
予定通りに行うことにこだわり過ぎなくて良いと思います。夫が母をハグしたように、その場の流れも大切にすると、本人たちなりの個性が出るように感じます。(Tsubasaさん)
ジャケットセレモニーは、新郎と大切な人をクローズアップする演出です。主役となる新郎自身が感謝や決意の気持ちを新たにするだけでなく、やりとりする姿に感情移入するゲストも多いはず。それらは結婚式に欠かせない一体感と温かな雰囲気をももたらしてくれるでしょう。ぜひ実施を検討してみてくださいね。
構成・文/弘中栄美 イラスト/二階堂ちはる
※掲載されている情報は2025年6月時点のものです