「友人価格で」「急で悪いけど」はNG!?【結婚式の依頼】プロが頼まれて困ること
例えば友人や同僚から、「知り合いにフォトグラファーがいるんだけど、結婚式の写真を安く撮影してもらえるかどうか聞いてみようか」なんて言われたら、つい気持ちが傾いてしまいそうですよね。でも少し考えてみて。相手はそれで収入を得ているプロ。直接接点のない知人レベルで気軽にお願いしてしまってもいいものでしょうか。今回は110人の「専門職」の皆さんに、頼まれる側の本音を聞いてみました。
「専門職の人に結婚式のお手伝いを頼む」ってどういうこと?
結婚式では撮影やヘアメイク、ペーパーアイテム、披露宴演出など、さまざまなものを準備する必要があります。それらは会場や会場以外のショップ・会社にオーダーするのが一般的ですが、中には友人や知人のツテを頼って「その道のプロ」にお願いするケースも。その多くが予算を浮かせるために相場よりも低い価格で依頼しているため、引き受ける側にしわ寄せがくることもあるようです。
ちなみに今回、頼まれる側の専門職の人たちからは「おめでたいことに協力できて嬉しい」「頼まれること自体が光栄」と好意的な意見が目立ちましたが、一方で、「こんな頼まれ方をされるとちょっと困る」という声も少なからず寄せられました。
結婚式でお手伝いを頼む【専門職】とは主にこのような人たち
・デザイナー
・イラストレーター
・フォトグラファー
・WEBサイトの制作者
・イベントの設営・音響機器を操作する人
・スタイリスト
・フリープランナー
・司会者
・フローリスト
・美容師
・映像制作のプロ
・ハンドメイド作家
・編集者など
110人のプロの本音を調査!
「こんな依頼は正直困ります」
結婚式のお手伝いを頼まれた専門職の人たちは、何に戸惑いモヤッとしてしまったのでしょう。その理由は以下の通り。これからお願いしようとしている皆さん、ぜひご参考に!
その1.「費用が割に合わなさすぎ」
結婚式のお手伝いを「友人価格で」と頼まれるのは想定内とはいえ、あまりに相場から懸け離れた金額を提示されるとやはりモヤモヤする人が多いようです。
<専門職の人たちの本音>
◆招待状をはじめ、ペーパーアイテム全般のデザインを頼まれましたが、相場をご存じないのかあり得ない金額を提示されてびっくり。デザインという仕事への理解や敬意がないんだろうなと残念な気持ちに。(WEBサイト制作者/nmさん)
◆ドレス用のアクセサリーの制作を頼まれました。フリマサイトの感覚で当たり前のように値切られて残念。(ハンドメイド雑貨の制作・ネット販売/deさん)
◆披露宴撮影を「友人価格でお願い」と2万円で頼まれました。断れない相手だったので引き受けましたが、撮影後の編集が徹夜作業になり、多忙期ということもあって本来の業務に支障を来す羽目に。(フォトグラファー/H.Tさん)
最低限、材料費などの実費分は支払いたい
物には適正な価格というものがあります。あまりに低い金額提示は相手の仕事に対するリスペクトが感じられず、頼まれる側もモヤモヤ。例えばペーパーアイテムやアクセサリーなどは材料費だけではなく、専門職の人にとってデザイン料や技術料という目に見えない部分も大事な収入源なのです。最低限、制作に必要な材料費を支払った上で、感謝の思いをきちんと伝えることも忘れずに。
その2.「スケジュールがタイトすぎる」
「急なお願いで悪いんだけど、1週間で作ってくれないかな?」と依頼された人の気持ちを想像してみて。お祝い事なので協力したい気持ちはあるものの、本業との同時進行になりますし、物理的に無理なこともあるんです。
◆当日参加できない人からのビデオレターの作成。新郎から新婦へのサプライズということで、知人経由で頼まれましたが、日程がタイトすぎて困りました。(動画制作/shineyさん)
◆プライベートで遊ぶ仲ではない人から、プチギフトのお菓子の依頼が。忙しい中睡眠時間を削って作ることになり、少し後悔しました。(オリジナル菓子の製造販売/ねねさん)
◆ウエルカムボードを気持ち程度の謝礼で。お得意先の知人ということで通常価格を言い出しづらく悩みました。制作時間と料金が割に合わないからもうやりません。(キャラクターデザイン/クマたろうさん)
迷惑をかけないよう余裕を持って依頼を
お願い事をする際には、相手が仕事の合間を縫って手伝ってくれることを肝に銘じておく必要があります。スケジュールがタイトすぎると本来の仕事に差し障りが出てしまいます。また、せっかく頼まれたからにはベストを尽くしたいのがプロ。十分な時間が取れないとパフォーマンスが発揮できないので依頼には余裕を持って。
その3.「イメージがつかめない。反応が薄い」
「よろしく」と言われたものの、丸投げ状態では頼まれる側もお手上げ。さらに納品後に反応や感想がないと、満足してもらえていないのかな?と不安な気持ちにさせてしまいそうです。
◆「新郎新婦の似顔絵を描いて」とウエルカムボードを頼まれましたが、その後のリアクションが全くなく、ふたりが本当に気に入ってくれたかどうかが分からず、不安になりました。(イラストレーター/N.Tさん)
◆披露宴の生演奏を頼まれました。「ギャラは出せないけど席や料理を用意します」と言われて引き受けましたが、持ち時間やステージの様子を何度聞いても答えてもらえず、「適当に弾いて」という感じだったため、結局断ることに。(講師兼任の演奏者/あああさん)
ふわっとしすぎるオーダーは戸惑わせる原因に!
どんな思いで何を作ってほしいのか(または何をしてほしいのか)、そこが伝わらないと引き受ける側も戸惑ってしまいます。万が一イメージ通りのものが上がってこないとお互いに後味の悪い結果にもなりかねないので、依頼する際にはきちんと相談を。また、何かをお願いした後は、必ず感想や感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。
[その他] ドタキャン・無理発注etc.
専門職の人たちを悩ませる「あり得ないお願いの仕方」は他にもいろいろ。皆さんも依頼する前に相手の気持ちになって考えてみて。
◆【荷が重い依頼】
友人の友人から「結婚式のウエディングケーキを作って」と頼まれました。パティシエとはいえ、まだまだ駆け出しだし雇われの身。私には責任が重いと思って断りました。(パティシエ/えさん)
◆【無理発注の上にドタキャン!?】
披露宴で上映するムービーの編集を頼まれましたが、話を聞くとかなり長めのものを希望している様子。さらにドタキャンされてしまい、振り回されました。(動画制作・編集/御影凛さん)
◆【断れない状況での依頼】
式当日、親族のヘアセットをしてほしいとの依頼が。そこまではよかったけれど、当日になって急に別の人たちのヘアセットも頼まれてバタバタでした。(美容師/Eさん)
他にこんな依頼の仕方にも気を付けて!
他にも「お任せと言いつつ、いろいろ細かく口出しされた」「仕上がりに対して明らかに不満そう」という声などが。頼まれる側も全力でやってくれているのだし、そもそも友情価格で引き受けてくれている相手にダメ出しをするのはマナー違反。クオリティーに対して強いこだわりがある人は、きちんとお金を払って会場やショップにオーダーしましょう。
110人のプロが語る
「こんな依頼だと快く引き受けられます」
これまでモヤモヤする話ばかりをご紹介してきましたが、もちろん多くの専門職の人たちは「結婚式はおめでたい場だし、お役に立てたら嬉しい」と考えています。ただし、それには頼む側の気遣いやマナーが不可欠。どんな依頼の仕方なら快く引き受けたいと思ってもらえるのかを探ってみました。
プロの証言
ペーパーアイテムのデザインと作成。最初に条件やスケジュールを明確に伝えてもらえたので、スムーズに進めることができました。(WEBデザイナー/nさん)
知人から披露宴の演出のシナリオを頼まれました。式後、とても好評だったことを聞かされ、後日新郎新婦からも丁寧なお礼のお手紙をもらって感激。引き受けてよかったと思います。(シナリオライター/佐倉ういろうさん)
結婚式の印刷物のデザインを依頼され、相場よりも安く引き受けましたが、打ち合わせでの新郎新婦の対応が気持ちよかった。また、式後に直接お礼の品を頂きました。(WEBサイト制作・更新/natsumeguさん)
打ち合わせには直接出向くつもりでしたが、新郎新婦が手土産を持ってスタジオを訪ねてくれました。式直後に直接お礼の言葉をもらえたことも嬉しかった。(フォトグラファー/広島太郎さん)
知人である新婦にドレスのアクセサリーを作りましたが、その後、友人に紹介してくれたらしく、新たなアクセサリー制作の依頼が。最終的に自分の仕事にも結び付いたので、引き受けてよかったと思います。(レジンアクセサリー作家/キャプテンさん)
会場・外部ショップに頼んだ場合の[料金相場]を把握しておこう
友人や知人を介しての依頼でも、相場の半額以上は包むのが大人のマナー。
・司会者……7万円
・映像演出(総額)……10万7000円
・ウエルカムアイテム(総額)
……1万5000円
・ブーケ(総額)……4万7000円
・ブーケの加工……5万6000円
・会場装花……18万3000円
・招待状(1部)……390円
・席札(1部)……190円
・席次表(1部)……399円
・プロフィールパンフレット(1部)
……324円
・スナップ撮影……21万2000円
・ビデオ撮影……20万4000円
※映像演出やペーパーアイテム、ウエルカムアイテムは自作した場合の費用も含む
※「ゼクシィ結婚トレンド調査2022(全国推計値)」より
From 編集部
感謝と敬意の気持ちを持ってお願いするのがマナー
知人に結婚式の頼み事をすること自体はNGではないけれど、相手はそれを職業にしているプロ。金額的な問題だけでなく、大事な時間を割いてくれていることも理解しておかなくてはいけません。相手の都合に配慮しつつ、リスペクトの気持ちを持ってお願いすることをお忘れなく。
構成・文/南 慈子 イラスト/moko.
※記事内のデータならびにコメントは、2023年3月に全国の20~40代の専門職(本文中の専門職に該当する人)110人が回答したマクロミル調査、または「ゼクシィ結婚トレンド調査2022(全国推計値)」によるものです
※掲載されている情報は2023年4月時点のものです
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