寿退職、親離婚etc. 「悩ましい席次表の肩書」相談室
席次表を作っていると、肩書をどう付けたらいいか、悩む人が出てくることも。そんなケースを集め、フリーのウエディングプランナーとして活躍中の岡崎 桂さんに良い肩書の付け方や表記の仕方を聞いてみました。先輩花嫁たちがとった方法も参考に。
先輩花嫁が悩んだ「親族」の肩書
離婚、再婚、婚約者etc. 肩書で公表するのが悩ましい
Q.親が離婚。親権のない父を招く場合、どう表記?
A.母の隣に座るなら「新郎(新婦)父」の方が自然。違う席に着く場合や「父」と書くのに親や親族が抵抗を感じていたら、「新郎(新婦)親戚(親族)」「新郎(新婦)母友人」などが良いでしょう。
Q.母親の再婚相手の肩書は?
A.立場的には「義父」なので、「新郎(新婦)義父」とする人も多いのですが、ふたりにとっては彼・彼女の父親も「義父」になります。おすすめなのは「新郎(新婦)父」。特に親の離婚・再婚を知らない人が多い場合、正直に「義父」と書いて事実を公表しなくても良い。
Q.親族の彼・彼女、婚約者、内縁関係にある人は?
A.父、母、兄など親族の表記のあとに「友人」「知人」「婚約者」と入れるのが無難。
婚約者=いずれ結婚する人、内縁の妻=事実婚状態ということで、結婚している場合と同様の表記にする(兄の内縁の妻なら義姉、妹の婚約者なら義弟)、「新郎(新婦)親戚(親族)」とするなどいろいろ。出席するお相手の方の気持ちも考えて決めましょう。
先輩花嫁の事情と付けた肩書
[亡き祖父・父の席を設けたくて]
席次表に名前があるのに、空席だと欠席に見えそう。プランナーに聞いたら、「写真立てをテーブルに置いておけば、故人などと表記しなくて良い」ということだったので、写真を用意し、席次表の肩書は「新郎父」「新婦祖父」に。(こりさん)
[彼の親族が誰も出席しない!]
諸事情で新郎側の親族が全員欠席。親族の肩書が付いている人が新婦側だけの席次表をゲストが見たら、困惑するだろうと考え、彼と相談して、全員肩書は付けず、名前のみにしました。(Yさん)
[母が病気で出席できなくなり……]
直前まで待ったけれど、母の病状が回復しない。出席できないことは分かっていても、席次表から母の名前を抜きたくなくて、プランナーに相談したら「欠席でも問題ないから、載せましょう」と。当日は「新婦母」とした席に、伯母に座ってもらいました。(まいさん)
先輩花嫁が悩んだ「仕事関係者」の肩書
寿退職、転職した人etc. どんな肩書がいいか悩ましい
Q.寿退職した場合、職場の人はどう書く?
A. 正確に示すなら「元会社(職場)上司(先輩・同僚)」。会社(職場)を省いたり、「元」は晴れの日にふさわしくないといって「元」まで省くケースも。特に式直前に退職した場合、「元」を省く人が多いよう。親しい人なら「友人」でもOK。上司は勤務先・役職を入れても。
Q.職場を辞めた人の肩書は?
A.「会社(職場)元上司(先輩・同僚)」が正確な肩書ですが、上記と同様、「会社(職場)」や「元」を省いたり、「友人」とする人も。上司の場合、現在の勤務先や役職を入れた方が丁寧。
Q.複数の肩書がある上司は?
A.一番地位の高い肩書か、自分との関係で一番近い肩書にするのがおすすめ。悩んだらその上司に相談を。
Q.先輩か同僚かで悩む人がいる。
A.先輩と同僚の境目はありません。先輩花嫁も「年上だけれど、社歴は自分の方が上→上司でも同僚でもないので先輩にした」「年上の同期や部下→同僚にした」「年下だけれど、立場的には自分より上→皆先輩と呼ぶので、先輩にした」などそれぞれ。
Q.違う部署やグループ会社の人は?
A.「先輩」「同僚」で良いのですが、考え方は「同じ会社の人ということで同僚にした」「年上の人は人生の先輩ということで先輩にした」「勤続年数が自分より長いかどうかで先輩と同僚に分けた」と異なります。かなり立場が上の方は勤務先や役職を。
先輩花嫁の事情と付けた肩書
「同じ同期でも状況が違う]
今も会社にいる同期も、転職した同期もみんな仲良し。転職した同期を「元同期」とするなど、メンバーによって表記を変えた方がいいのか悩みましたが、全員一律で「会社同期」に。
(あややっこさん)
[転職前と後の職場の人を呼ぶ]
今の職場は「上司」「同僚」などと書くとして、前の職場の主任は役職まで書くか、「元会社先輩」と書くか悩み、「新婦先輩」に。(しりしりさん)
[招く職場関係は2人だけ]
友人中心の結婚式で、会社の人で招待するのは親しい先輩2人だけ。「会社先輩」とするか「友人」とするかで悩みましたが、プランナーに「あえて先輩とすると目立つのでは」と言われ、「友人」に。(さきゅみんさん)
[元を使うことを反対されて]
私は退職した職場の同僚の表記を「元同僚」としたかったのに、プランナーが「元を使うのはダメ。友人とすべき」と反対。職場で知り合ったことを示したかったので、勤務先を入れることにしました。(ちゃーやんさん)
[付き添いのヘルパーが同席]
障害がある仕事関係者の隣に座るヘルパーさんの肩書で悩みました。直接、その仕事関係者に相談し、その方の表記と同じ「新婦同僚」にしました。(FTW1224さん)
先輩花嫁が悩んだ「友人」の肩書
すごく年上・年下etc. 的確な肩書って何だろう?
Q.年齢がすごく離れた年上の人を「友人」としていい?
A.年齢に関係なく、親しく付き合っていたら「先輩」や「友人」でOK。すごくお世話になった人なら、その方を立てて「恩人」にしてもいいし、会社の上司のように勤務先や役職名や職業を入れても。
Q.すごく年下の友人も「友人」なの?
A.「後輩は失礼にあたるのでNG」という説が一般的なところで、「友人」とするのが無難。違和感があったら、グループ名、チーム名、勤務先名などを入れては? 相手が学生の場合、「〇〇大学」など、学校名を入れる人もいます。
Q.家族ぐるみでお付き合いしている一家の肩書はどうする?
A.相手の親子ともども「新郎(新婦)友人」とする人もいれば、親の方が親しい、あるいは実家の近くに住んでいるということで「新郎(新婦)父母友人」とした人、「新婦家族友人」と表記した人もいます。
Q.現在は同僚だけれど、元々友人だった人は?
A.友人のテーブルに座るなら「友人」、仕事関係者のテーブルに座るなら「同僚」がベター。先輩花嫁にも「友人」とした人、「同僚」とした人、まちまちです。
Q.友人の肩書に職業を入れてもいい?
A.「デザイナー」「ミュージシャン」「弁護士」など、職業を肩書にしても構いません。
先輩花嫁の事情と付けた肩書
彼が塾講師をしていたときの教え子を「教え子」と書くのか悩みましたが、今は友人のように付き合っているということで、「新郎友人」に。(さやかさん)
[彼の友人が私の上司!]
私の上司が新郎の友人だったため、肩書を迷いましたが、他の職場関係者は呼ばなかったし、上司としてではなく、友人として来てくれたため、友人としました。(彩乃さん)
[友人の人数に差があって]
彼はごく親しい人を少数精鋭で呼ぶという考え方。新郎友人が少ない席次表を見た彼の親族がどう思うか不安になり、私たちと私の友人で何度か飲む機会を設けて、共通の友人という既成事実を作り(笑)、「新郎新婦友人」と表記しました。(miicoさん)
先輩花嫁が悩んだ「外国人」の肩書や表記
カタカナ? 母国語? 敬称はどうする?
Q.外国人ゲストの名前はカタカナにするの?
A.カタカナ、日本人ゲストも読みやすい英語、それぞれのゲストの母国語。どれが正解というものはありませんが、席次表はゲストが席を探すためのツールなので、その方が読める言語にした方が親切。
また、名字と名前の順番は各国の表記に準じて。ファーストネームを先に書く国の場合、たとえ、名前をカタカナで書くとしても、ファーストネームを先に。
Q.外国人ゲストの敬称は?
A.英語で名前を書いたら、頭に「Mr.」「Ms.」(既婚者も未婚者も共通)を入れる。カタカナで書いたら、「様」をつけるのが基本ですが、状況によっては、外国語の名前の後ろに「様」をつけて、日本人ゲストと体裁を揃えてもOK。
Q.外国人ゲストの肩書は?
A.基本的に名前に使った言語で表記を。英語にする場合、友人なら「Groom’s Friend」「Bride‘s Friend」。
先輩花嫁の事情と選んだ表記
[中国系ゲストの漢字が日本語と違う!]
日本語の漢字にはない中国系ゲストの名前の表記で迷いました。パソコン内蔵のフォントをチェックしたら、使用予定だった日本語のフォントに近い中国の漢字フォントを見つけたので、その方のみそのフォントを使用。肩書は全員付けませんでした。(Yuiさん)
[日本人の友人の夫がフランス人で……]
名前はカタカナで表現できないものもあるので、アルファベットで。敬称は日本人の友人の夫だから、分かってもらえると思ったので、他のゲストと同様、「様」に。肩書は本人よりもほかのゲストの方が気にすると思い、「○○様御主人」と日本語表記にしました。(c’estさん)
[国際結婚でゲストの多くが外国人!]
国際結婚だったので肩書きはなし。でも席次表の表記を英語だけにするのか、日本語も入れるか迷いました。英語ができないのは家族だけだったので、そのためだけに日本語表記を加えるのはどうかと思い、英語で統一。(マックガーガン汐梨さん)
肩書はどこまで正確に入れるべき?
「席次表に全員の間柄を正しく入れなくてはいけないという決まりはないのです。状況によっては、個々のプライベートを尊重して配慮を。
困ったら、会場のプランナーに聞くと良いのですが、実は同じような事例でも、会場によって肩書の定義が異なることも。複数の肩書の付け方がある場合、どれが正しいというわけでもないのです。
親族に関することは親に聞く。仕事関係者のことなら、その職場の他の人がどうしているか調べるなど、気配りしてベストな肩書を付けましょう」と岡崎さん。
オリジナルの肩書にしてもいい?
「わが社の宴会部長」「半端ない歌姫」など、ゲストのキャラクターが分かるような肩書を付けた席次表にするのも楽しいですよね。
もちろん、構わないけれど、そのように表記するなら、全員のキャッチコピーを考えましょう。一部の人だけというわけにはいきません。
また、年配ゲストや親族などが見て、不快に思わないかもどうかも配慮して。
限られた文字数の中で考えるのが難しい場合、席次表とは別にゲストのプロフィール紹介のページを作るのも一つの手。
From 編集部
ゲスト側の気持ちも考えて
席次表の肩書や名前は個人情報の公開でもあります。だから、席次表のマナーを心得、ゲストが不快に思わないようにしたいところ。どう書いたらいいか分からない場合は本人の意向を聞いてみて。そうすれば「なんでこんな肩書にしたんだろう?」と思われることもありません。全員が納得の肩書が付けられると良いですね。
監修:岡崎 桂さん Wedding and Event Planner
ゼクシィなび、海外ウエディングのプロデュース会社、ホテルのプランナー、ウエディングマネージャーを経て、フリーランスのプランナーに。さまざまな会場の結婚式に携わり、多くの新郎新婦をサポートしてきた経験をもとにアドバイス。
取材・文/渡邊博美 イラスト/高橋将貴
※掲載されている情報は2018年9月時点のものです
※記事内のコメントは2018年8月に「ゼクシィ花嫁1000人委員会」メンバー64人と、5年以内に結婚式を挙げた花嫁103人が回答したマクロミル調査によるものです
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