プロが解決! ゲストへのお願い事「こんなときどうする?」
スピーチや余興をはじめ、結婚式ではゲストに頼みたい事がたくさん。でも、いざとなると「どうしよう……」と困ってしまうことも多いみたい。今回は先輩花嫁が直面した困りごとを「マナー」と「伝え方」のプロがズバッと解決します!
解決してくれるのはこのふたり
<伝え方のプロ>
佐々木圭一さん
ベストセラービジネス書『伝え方が9割』(ダイヤモンド社刊)の著者。大手広告代理店勤務を経て、現在テレビ出演や講演会などで幅広く活躍中。
伝え方は、センスではなく技術です。レシピを知っていれば、誰でも上手な伝え方ができます。ポイントは、自分が思ったままを言うのではなく、相手の頭の中を想像して話すことです。
<マナーのプロ>
岩下宣子さん
マナーデザイナーとして講演や執筆活動を行う他、企業や学校・公共団体などで「相手の立場になって考えるマナー」を指導。マナー関係の著書多数。
マナーは相手の立場に立って相手を思いやる心の表現です。ですから10人いたら10人のマナーがあるのです。マニュアルのように正解はないのですが、相手を思いやる気持ちが、相手に誠意として伝わり良い絆を編み出していくのだと思います。そのためにも相手が不枚に思うことを知ることも大切です。
困った! 目上の方への「お願いごと」こんなときどうする?
【どうする? 1】上司へのスピーチ依頼はふたりで行うべき?
「ふたりが勤める会社の上司に祝辞をお願いしました。その際、彼とふたりでごあいさつするべきかどうか迷いましたが、お忙しそうなので私ひとりで伺うことに。後々失礼なことをしたのではと不安になりました。」(美奈子さん)
[“マナー”で解決!]
★「彼とはあらためて一緒に伺います」のひと言を添えて。
「本日は取り急ぎひとりで参りましたが、後日あらためてふたりでごあいさつに伺いたいと思います」というお願いの仕方なら、誠意が感じられて好印象です。
プロが解説!
大事なのは「お忙しそうなので」「彼の都合がつかないので」と、ふたりで行けない理由を誰かのせいにしないこと。言い訳がましく聞こえてしまいますから。それよりも、まずはひとりで依頼をしておいて、後日あらためて引き受けてもらったことへのお礼を伝えるために、彼と一緒に足を運ぶといいと思います。
【どうする? 2】主賓スピーチをメールで頼むのは失礼?
「大学時代の恩師にスピーチをお願いしました。なかなかお会いする機会がない中、早く伝えた方がいいと焦り、メールをしてしまいました。お忙しい方とはいえ、大事なお願い事をメールで依頼して失礼だったでしょうか。」(aya1029さん)
[“マナー”で解決!]
★第一報はメールでもOK。ただし詳細は電話で伝えましょう。
「このたび結婚することになりました。つきましてはぜひ先生に主賓スピーチをお願いしたく、後日あらためてお電話を差し上げてもよろしいでしょうか」が基本です。
プロが解説!
連絡の手段としてメールを使うこと自体は、失礼ではありません。相手も心の準備ができるので逆に歓迎される場合も多いのです。まずは「メールで失礼致します」とお断りを入れた上で、あらためて電話でお願いしたい旨を明記しておくといいでしょう。電話をしてもよい日時を尋ねる一文を入れておくと丁寧な印象です。
【どうする? 3】「どうしても来てほしい」という気持ちをどう伝える?
「遠くに転勤してしまった職場の先輩。前職で一番関わりが深く、お世話になったので、ぜひ出席してほしいけど、遠方なので招待して良いのか迷いました。」(さきさん)
[“伝え方”で解決!]
×「ぜひ来てください!」
○「私が仕事で成長できたのは、田中さんのおかげです。新人時代を支えてくださった田中さんにこそ、今の私を見ていただきたいんです。」
プロが解説!
久しく会っていない人を招待すると、「なぜ私が?」と思われてしまうことも。そうならないために、相手の「認められたい欲」をくすぐってみましょう。後輩から「先輩のおかげで成長できた」と言われれば嬉しいし、快く出席してくれると思います。
【どうする? 4】親族へのお願い事は、親に任せっきりでも大丈夫?
「親戚のおじさんに余興をお願いしたくて、父から頼んでもらったものの、私からも直接お願いした方が良かったでしょうか?」(詩織さん)
[“マナー”で解決!]
★親戚への依頼は、親をワンクッション挟んで正解!
最初の打診は気心が知れた親に頼む方がいいんです。ただしその後で、「このたびはお引き受けいただき、ありがとうございます。楽しみにしています」と間髪入れずにフォローを。
プロが解説!
親族のことは親に頼む方がスムーズですが、任せっきりはやっぱりNG。「お引き受けいただいたそうで……」と、人ごとのようなあいさつをするのも失礼ですよね。親から打診してもらった後はなるべく速やかに、引き受けてもらえたことへの感謝を伝えましょう。大事なのはタイミング、3日以内を目安に。
【どうする? 5】一度お断りされた場合のお願いの仕方は?
「遠方に住む恩師に、主賓スピーチを電話でお願いしたところ、『できれば他の人に頼んで欲しい』とやんわり断られてしまいました。ただ他に適当な方を思い付かず、無理を言って押し切ってしまいましたが、失礼だったかもと不安です。」(麻莉さん)
[“マナー”で解決!]
★熱意がちゃんと伝わっていれば心配しなくて大丈夫。
「お願いできる方は先生しかいません。皆さんにも先生のお人柄を知っていただきたいので、ぜひお引き受けいただけませんでしょうか」と真心を込めて頼みましょう。
プロが解説!
礼法には「三辞三譲(さんじさんじょう)」という教えがありますが、これは辞退するのも譲るのも三度までという意味です。実際には二度くらいがちょうどいいのですが、先生はこのマナーをご存じで、まずは遠慮されたのだと思います。「他に適当な人がいなくて」という言い方ではなく、「先生しかいません」と熱意を持ってお願いすれば、喜んでお受けいただけると思いますよ。
【どうする? 6】一度依頼した人に、お断りを入れることになった場合は?
「上司に主賓スピーチを依頼していましたが、急きょその方の上役が出席してくださることに。いったんお願いしたのに、こちらの都合で取り下げることになってしまい、心苦しく思っています。」(あんずさん)
[“マナー”で解決!]
★ストレートに断らず、相手に委ねる形で。
「ご依頼差し上げた後、急きょ専務がお越しになることが決まりまして。大変申し訳ありませんが、ご相談させていただけますか?」と相手にお伺いを立てる形なら角が立ちません。
プロが解説!
同じ職場で「明らかに立場が上の人」が来ることになった場合は、頼まれている本人も辞退したいところでしょうから、全く問題ありません。ただし伝え方には配慮が必要です。「社長が来てくださるので、そちらにお願いすることになりました」と決定事項を報告するような伝え方だと失礼ですよね。あくまでも相談するスタンスで。
困った! 友人への「お願い事」こんなときどうする?
【どうする? 7】プレッシャーをかけずにお願いするには?
「幼なじみと、『お互いの結婚式でスピーチをしよう』と昔から約束していましたが、決まっていたこととはいえ、プレッシャーに感じたのではと心配になりました。」(紗絵さん)
[“伝え方”で解決!]
×「約束通り、スピーチはお願いね! どんな話をしてくれるか、楽しみ!」
○「幼なじみの歩美が話してくれるだけで、すごく嬉しい! ありがとう!」
プロが解説!
相手にプレッシャーをかけたくないときは、感謝の気持ちを前面に出しましょう。「ありがとう」のひと言があるだけで、人はお願い事を気持ちよく聞き入れることができます。さらに「あなたが話してくれるだけで嬉しい」と伝えることで、良い内容にしなくてはという重圧も減らせます。
【どうする? 8】お車代を出せないけど、来てほしい場合の頼み方は?
「お車代があまり出せないことを事前に伝えてはいましたが、もしかすると『じゃあ行きたくない』という気持ちになった遠方ゲストがいたかも。どう頼めば快く出席してもらえたのでしょうか?」(バオバブさん)
[“伝え方”で解決!]
×「遠くて申し訳ないんだけど、来てくれる?」
○「香織と幸子と一緒に旅行気分で来てくれたら嬉しいな。近くに有名なパワースポットもあるの!」
プロが解説!
こんなときには「相手の好きなこと」が効果的です。多少交通費はかかっても、友人との旅行だと思えばハードルが下がります。「旅行気分が味わえる」「パワースポットに行ける」というプラスアルファのお楽しみがあれば、行こうかなという気になりやすいでしょう。
【どうする? 9】一度お断りされた場合のお願いの仕方は?
「友人にスピーチをお願いしたところ、『自信がない』と断られてしまいました。その後、押し切る形で再度頼んで引き受けてもらったのですが、無理やりやらせたようで心がちょっぴり痛んでいます。」(朱華さん)
[“伝え方”で解決!]
×「やってくれる人が他にいなかったから、お願い!」
○「一生に一度のことだから、どうしても友美にお願いしたいの」
プロが解説!
一度断られているので、同じ調子でお願いするのは気が引けますよね。こんなときには「あなた限定」を使ってみましょう。「あなたは特別」という言葉には相手を動かす力があります。「自分にとってあなたは大切な人。だからこそお願いしたい」と素直な気持ちを伝えてみましょう。
【どうする?10】「好意の申し出」に応えられなかったときは?
「『余興でも受付でも、何でもやるからね!』と言ってくれた友人がいたのですが、結局お願いできることが何もなく。今からでもできるフォローは何かありますか?」(恭子さん)
[“マナー”で解決!]
★「気に掛けてくれていた」と実感できるひと言を。
「このたびはいろいろと考えていただいてありがとう。あなたには大切なお客さまとして出席して欲しかったから、来てくれただけで嬉しかった」と伝えておきましょう。
プロが解説!
結果的にお願いする事がなかった場合でも、協力を申し出てくれたことへの感謝をあらためて伝え、その上で「出席してもらえるだけで嬉しい」とフォローのひと言を。何も言わずにスルーするのは良くないと思いますが、「別に何も頼む事がなくて……」も正直過ぎますよね。大切なのは相手の気持ちをおもんぱかることです。
From 編集部
「伝え方」と「マナー」でゲストに快く引き受けてもらいましょう
プロのアドバイス、いかがでしたか? 頼み方一つで、ゲストも嬉しくなったりやる気が出たりするもの! マナーを守り、ゲストの気持ちを考えながら依頼することが、快く引き受けてもらえる秘訣(ひけつ)です。
『伝え方が9割』/佐々木圭一著(ダイヤモンド社)
「伝え方は、センスではなく、技術です。
誰であっても、学ぶことができます。」
今回、「伝え方」を教えてくれた佐々木さんの著書。読みやすくて結婚準備や新生活でも使える「伝え方」が分ります!
【史上初! 3年連続ビジネス書年間ベスト10入り】(2013年~2015年。トーハン調べ)
【2013年ビジネス書ランキング1位】(紀伊國屋書店新宿本店調べ)
【2013年 6ヶ月連続ビジネス書1位】5月から10月まで、ビジネス書ランキング1位獲得! (日販調べ)
取材・文/南 慈子 イラスト/タケウチアツシ 構成/小田真穂(編集部)
※記事内のコメントは2018年1月に「ゼクシィ花嫁1000人委員会」メンバー86人が回答したアンケートによるものです
※掲載されている情報は2018年3月時点のものです
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