親の前で恥ずかしくない、婚約食事会のテーブルマナー
両家が集う婚約食事会。普段は行かないような料亭やレストランなどで開かれることも多く、食のマナーは身に付けておきたいもの。そこで今回は、婚約食事会で遭遇しそうな“今更聞けない基本マナー”をご紹介。マスターすれば相手親にも好印象!
【席次】
Q1.誰が、どこに、座る?
A.名字が変わる方を立てて上座に。 上座は出入り口から遠くの席
目安は出入り口。出入り口から遠い席が上座、近い席が下座。上座・下座は誰が主催したかで決まる。例えば新郎家が主催すれば、新婦家が上座に着席。ふたりで場をセッティングしたなら、名字が変わる方を立てて上座に、あるいは昔の習慣に倣って新郎家を上座にする場合も。
(日本料理の図について)
新郎家が主催し、新婦家がお客様の場合。日本のマナーは「左上位」なので、床の間を背にして中心が第一席、左が第二席
(西洋料理の図について)
景色を楽しめる席を上座としても良い。西洋は「右上位」。表彰台(真ん中が金、右が銀、左が銅)をイメージして思い出して。図は新婦家が下座の場合。日本料理も中華料理も、景色の良い席を上席とする場合もある
(中華料理の図について)
上座は「1」、第2席は「1」の左、第3席は「1」の右、と交互に着席。変則的だが、「1」「2」「4」にお客様、「3」「5」「6」に主催側が一般的。図は新郎家がお客様の場合
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新婦側がお客様側であっても、「女性が上座では落ち着かない」と思えば、居心地がいいようにすればOK。事前に両家で話し合って決めておこう。
【正座】
Q2.座布団の美しい座り方は?
A.座布団の下座側から、静かに座る
1)座布団の下座側に座る。
2)手を軽く握って、座布団の対角に突く。
3)左手を上方向に移動し、座布団に上がる。
4)下りるときも、座布団の下座側に。
決して、足で座布団を踏みつけないように! 下座は、座る位置によって右にも左にもなる。
【正座】
Q3.足がしびれたらどうしよう?
A.崩してもOK。フレアスカートなら崩した脚も見えにくい
脚に全体重を乗せないよう、お尻と脚の間に紙1枚を挟んだイメージで座ると、しびれにくい。あいさつや乾杯を終えてしばらくたったら、下座側に脚を崩しても大丈夫。脚が見えにくいフレアスカートがお勧め。
【テーブル席】
Q4.スマートに椅子に座るには?
A.立ち位置は椅子の左側。背もたれには頼らない
1)椅子の左側に立ち、椅子をしっかり引く。
2)静かに座る。
3)サービス係の邪魔にならないよう深く座るが、背もたれには体を預けない。
4)立つときも左側に。
お店の人が椅子を引いてくれた時は、膝裏に椅子が当たったタイミングで静かに座ろう。
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欧米では、普段の生活で脚を組むことは失礼な行為に当たらないけれど、フォーマルな食事中に脚を組むのはマナー違反。テーブルを揺らす原因になるから。
【テーブル席】
Q5.バッグはどこに置く?
A.背中と、椅子の背もたれの間
背中と背もたれの間に収めると、自然と姿勢も良くなる。椅子の下に置く場合は、お店の人が左からサービスしやすいよう、右手側に置く。
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日本料理の座卓席の場合、バッグは、膝の前、座卓の下に収めると美しい。
【開宴】
Q6.乾杯シーンのポイントは?
A.グラスは合わせず、アイコンタクトで
フォーマルな場では、グラス同士、杯同士を合わせないのがマナー。目の高さぐらいに持ち上げて、アイコンタクトで乾杯しよう。
【開宴】
Q7.つぎ方、つがれ方は、どうすればいい?
A.おいしく飲むためのマナーに気をつけて
■ビール
つぎ方)ラベルを上にし、瓶を上から持つ。泡が3割になるよう、静かに→勢いよく→ゆっくりの3ステップ。
つがれ方)グラスを両手で持ち、相手がつぎやすいよう最初はグラスを傾けて。
■その他のアルコール
日本酒)つぐ方はとっくりの正面を上にして細く→太く→細くの量で。最後にとっくりを右に回すと滴が垂れない。つがれる方は両手で杯を持つ。
ワイン)フォーマルなお店ではサービス係に任せる。右側にあるのが自分のグラス。グラスは持たずにテーブルに置いたままついでもらう。人肌で温度が上がらないようステム(細い脚の部分)を持つこと。
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日本酒の杯を選べる時は、高さが低いものをセレクトしよう。飲むときに顎が上がらず、自然と美しいしぐさになる。
【開宴】
Q8.グラスに口紅が付いたら?
A.指でサッと拭う
ナプキンで直接グラスを拭くと目立ってしまうので、まずはグラスを手元に下ろしてから。事前に口紅をティッシュなどで押さえておくと安心。
【ノーサンキュー】
Q9.「もう飲めない」
「もう食べられない」時は?
A.合図を出してていねいに断る
■「もう飲めない」なら
グラスの縁に人さし指と中指を添えて、「せっかくですが」と断ろう。杯の場合は、懐紙で軽く拭き取ってから、逆さにして伏せておく。
■「もう食べられない」なら
最初から手を付けない。「おいしくいただきました。ありがとうございます。残してしまい申し訳ありません」とひと言、添えることも大事。
【総まとめ】
Q10.好印象を与える、立ち居振る舞いは?
A.「周囲を不快にしない」3ポイントを押さえて
1)美しい姿勢をキープ
まずは姿勢を正すことを意識して。美しい姿勢を保つには、テーブルとおなかの間がポイント。こぶし2つ分空けると、自然と背筋が伸びる。和室の座卓も同じ。またテーブルに肘を突いたり、脚を組んだりするのは、だらしない印象を与えるだけ。
2)一口大の食べ切りサイズで少しずつ
食べている途中で話し掛けられても、一口大なら頬の奥に忍ばせることもできる。食事中は会話を楽しむことを忘れずに。
3)相手に恥をかかせない
たとえ周囲がマナー違反をしても、気にしない。こんなエピソードもある。海外からの客人をもてなすある国の王室が、客人に倣って、本来は指を洗うためのフィンガーボウルの水を飲み干し、相手に恥をかかせなかったそう。これこそがマナーの心意気。
From 編集部
心のゆとりを生む、テーブルマナー
基本的なテーブルマナーを知っていると、心に余裕が生まれ、相手を思いやることも、会話を弾ませることも自然にできるようになるはず。肩肘張らず、思い出深い婚約食事会にしてくださいね。
岩下宣子 マナーデザイナー
現代礼法研究所代表。NPO法人マナー教育サポート協会理事長。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流小笠原清信氏に師事。各社企業、学校などでマナーの指導、研修、講演など行う。著書も多い。
構成・文/千谷文子 監修/岩下宣子 イラスト/大嶋さち子
*参考文献『これが美しい「食べ方」のマナーです ケース別[ふるまい方]』亜紀書房発行、『ガチャピン・ムックのマナーバイブル』主婦と生活社発行、『図解 マナー以前の社会人常識』講談社発行
*掲載されている情報は2017年10月時点のものです。
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