親、語る。「娘と彼があいさつに来た日。」
自分の娘が彼と結婚の挨拶に来る。その日は親たちにとってさまざまな思いが交差する一日。普段なかなか聞くことが出来ないあの日の気持ちを、7人の親たちに聞いてみました。
まっすぐ目を見て話す姿や娘を思う気持ちに「信頼できる」と安心しました
三姉妹の長女で一番お父さん子だった娘に交際相手がいることは知っていましたが、会うと情が移ってしまうので、結婚のあいさつにくるまでは会わないと決めていました。
スーツ姿に短髪、私の好きな銘柄のウイスキーを手土産に訪れた彼は、礼儀正しく、真面目そうな好青年。かなり緊張している様子でしたが、ここはけじめをつけないといけないと思い「今日は何できたの?」と質問。まっすぐ目を見て「泉さんと結婚させていただきたく、そのごあいさつに伺いました」と言葉が返ってきたので「しっかりしているな」と。
お茶を飲みながらいろいろ話すうちに、娘のことを大切に思っていることや、人間的に信頼できる相手だということもわかって安心しました。
あらためて「結婚させてください」と言われた時には「だめだといったらどうするの?(笑) よろしくお願いします」と答え、それからは和気あいあい。一緒に飲んだお酒がおいしかったです。(泉さん父)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……1年7カ月
■親のタイプ……比較的厳しい
■彼との関係性……初対面
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(父親が好きなウイスキー「山埼」)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
泉さんは事前に父が比較的厳しいことや、父の好みのウイスキーのことを彼に伝えていたため、彼も場にふさわしい服装、手土産で当日を迎えることができた。彼への事前の情報共有はとても大事。
緊張しましたが、けじめがつき喜びも分かち合えてよかったです
結婚式や結納は暦が気になりますが、親あいさつは彼の仕事の都合に合わせて来てもらいました。
事前に娘から詳しく報告を受けていて、とてもいい方だと聞いていたので、桜茶を用意して会うのを心待ちに。青森から宮城まで、わざわざスーツ姿で来てくれた彼は男らしく、とても感じのいい方でした。娘が「手ぶらでいいよ」と言ったのにもかかわらず、お菓子の手土産も持参。家に上がってすぐ「尚美さんと結婚させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします」と、ストレートに伝えてくれました。
大賛成だったので「こちらこそよろしくお願いいたします」と即答。みんなで緊張した結婚あいさつでしたが、きちんとけじめがつき、喜びも分かち合えてよかったです。(尚美さん母)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……4カ月
■親のタイプ……比較的厳しい
■彼との関係性……初対面
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(老舗のお菓子)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
親が暦や結納を気にするタイプである場合は、挨拶の日取りやダンドリに関しても良く親と確認をして。通常は彼女の家に先に挨拶に行くのが一般的なので、そのあたりもしっかりおさえておこう。
「俺じゃなく、あいつを選んだ娘」を信じて、幸せを願っています
小学生のころは「大きくなったらお父さんと結婚する」と言い張っていた娘。
結婚あいさつ当日は、「こいつにとられるのか」と無性に腹が立ちましたが、しっかりとしたあいさつに娘を思う気持ちが伝わってきて感動しました。知らないうちに目にうっすら涙が浮かび「娘をよろしくお願いします」と握手を求めていました。事前に娘から、どれだけ彼が好きか、彼がどんなにいい人かを聞いていたのが大きかったですね。
以前カジュアルに会った時とは違うピシッとした態度も好感がもてました。おやじ心は複雑ですが、「俺じゃなく、あいつを選んだ娘」を信じて、幸せになってほしいと願っています。(翔子さん父)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……1年7カ月
■親のタイプ……比較的厳しい
■彼との関係性……一度食事をしたことがある
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(老舗の和菓子)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
厳しい自分の両親の性格を考え、事前に彼のいいところやどれだけ彼のことを好きかをそれとなく両親に伝えていたという翔子さん。言い出すのは恥ずかしいけど、彼のどんなところが好きなのかをあらかじめ伝えておくと、彼への第一印象も変わるはず。
正式な結婚の挨拶は、やはりとてもうれしくて安心しました
彼とは何度か会って食事もしていて、ふたりから結婚するつもりだと聞いていましたが、なかなか正式な結婚のあいさつの日時が決まらず、結婚あいさつ当日は「やっと来てくれたか」というのが本音。
形式的なことかもしれませんが、服装や言葉遣いなどもしっかりしていて、「結婚させてください」の言葉がとてもうれしく、安堵(あんど)しました。いつごろ結婚式をするのかを気にしているのも理解してくれていて、「なるべく早く会場を探します」と言ってくれたし、どんな結婚式にしたいのか、具体的に親の希望を聞いてくれたのがありがたかったです。(わんこ丸さん母)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……1年8カ月
■親のタイプ……比較的厳しい
■彼との関係性……3回ほど食事をしたことがある
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(彼の地元の銘菓)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
結婚のあいさつに来ても、いつ結婚式をしようと思っているのかが分からないと親は不安になるもの。あいさつの時に結婚式を挙げる時期を大まかに伝えられていると親は安心。彼と事前に話せるのであれば、ふたりで目安をあらかじめ決めておいて。
一生懸命な姿がほほえましく、素晴らしい人だと思いました
ホテルの和食レストランの個室で食事がてらあいさつを受けましたが、最初に彼から「話のタネに」と手書きの身上書を手渡された時にはびっくり。「几帳面な人だなあ。そんなにしなくてもいいのに」と思いましたが、無口な父親に一生懸命話を振って、あまり飲めないお酒を真っ赤になりながら飲む姿がほほえましかったです。
そして、「理恵さんとお付き合いしてからまだ日は浅いですが、一緒にいるとすごく自然体でいられるし、幸せな家庭をつくれると思いました。結婚をお許しいただきたく思います。必ず幸せにします」ときっぱり。
こんなに素晴らしい方に娘をもらってもらえるのは光栄だと思いました。(理恵さん母)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……4カ月
■親のタイプ……比較的ゆるい
■彼との関係性……初対面
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(「白無垢」という日本酒)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
身上書は必ずしも用意しなければいけないものではないが、初対面の場合は会話のきっかけになることも。身上書を用意しない場合も、和やかに挨拶が進むよう、話題を用意しておくとベター。
「娘さんを何があっても幸せにします」の言葉が何よりもうれしかったです
2回ほど会ったことのある彼。結婚あいさつには特にこだわりも希望もなかったのですが、きちんと連絡をとってからわが家に来てくれたので、落ち着いて話ができてよかったです。
当日は前回会った時とは違う改まったスーツ姿。そして何よりうれしかったのは、彼が私と夫の目を見てしっかりと「娘さんを何があっても幸せにします」と言ってくれたこと。遠くに嫁ぐことになるので心配でしたが、その言葉を聞いてホッ。
後日、心のこもったお礼の手紙が届いたのにも夫婦で感動しました。(百々子さんのお母さん)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……8カ月
■親のタイプ……比較的ゆるい
■彼との関係性……2回食事をしたことがある
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(お菓子)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
百々子さんは事前に結婚準備に関する本を用意し、両親と彼にそれぞれ見せていたため、だいたいの流れをお互いが共通認識として持ち、スムーズに進んだそう。彼だけでなく、親にも事前に流れを伝えておくことでみんなが安心して当日を迎えることができる。
緊張しながら一生懸命話す姿に「この人なら娘を託せる」と思いました
デートのたびに娘を家まで車で送ってくれる彼。家にも何度か上がってもらったし、食事にも行き、10回以上会っていましたが、結婚のあいさつは親だけではなくふたりにとっても大きな節目。いつものように来たついでにするのではなく、きちんと日時を決めて、スーツ姿であいさつに来てくれたのはうれしかったですね。
彼の親御さんに先にあいさつに行ってもいいよと伝えていたのですが、「やはり花嫁の家に先に行くのがけじめ」と先にわが家に来てくれたのにも誠意を感じました。「このたび愛さんと結婚させていただきたいと思っております。何かお聞きになりたいことありますか」と聞かれた時は、「特にありません」と答えてしまいましたが、生い立ちや学生時代の話、娘を思う気持ちなど、一生懸命話してくれました。
いつも以上に緊張した様子で言葉をかんだりもしていましたが、それがむしろ好ましく「この人なら娘を託せる」と思いました。(愛さん母)
<親あいさつデータ>
■交際期間(あいさつ時)……6カ月
■親のタイプ……比較的ゆるい
■彼との関係性……10回以上会っている
■事前連絡……あり
■服装……スーツ着用
■手土産……あり(お菓子)
親が喜ぶ結婚報告「ココが決め手」
親は娘と結婚する男性がどんな人で、娘をどう思っているのかと気になっていても、なかなか遠慮して聞けないことも多いみたい。彼の方からきちんと自己紹介ができるよう、心の準備も忘れずに。
From 編集部
親あいさつを成功させるには“彼の事前の準備”がポイント
大切に育ててきた娘が嫁に行く。親にとってはうれしいことだけど、さみしい気持ちや心配な気持ちもあってその心の中は複雑。ふたりが親あいさつの場でしっかりと「幸せになります」と宣言することで、そんな親の気持ちを少しでも軽くすることができるのではないでしょうか? そして親が喜ぶ親あいさつには彼の事前の準備が不可欠。彼女もしっかりサポートをして当日に臨んで。
取材・文/笠原恭子 イラスト/なかきはらあきこ 構成/小田真穂(編集部)
※掲載されている情報は2016年2月時点のものです
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