花嫁担当ヘアメイクの本音【伝わるオーダー】&【困るオーダー】
特別な日のブライダルメイクは、絶対失敗したくないもの。こだわりを持つ花嫁さんも多い中、オーダーの仕方によってヘアメイクさんが困ってしまうこともあるようです。イメージ通りに仕上げてもらうためにはしっかり伝わるオーダーにしたいもの。そこで、大人気のヘア・スタイリスト金子真由美さんに、ヘアメイクさんの本音について教えていただきました。
卒花が証言!「私はコレで失敗しました」
「満足できなかった」と答えた卒花さんに聞きました
私たちの失敗エピソード
【お任せしすぎてしまいました】
挙式用メイクはナチュラルめにとざっくりお願いしましたが、写真で見ると薄くて顔にメリハリがなく…。プロに「お任せ」が一番と思っていましたが、似合う色、好きな色は人それぞれ。気になるところは細かくオーダーするべきだったなと少し後悔しました(はっちーぽっちーさん)
【細かいことも伝えるべきだった】
低めのシニヨンでお願いしたのですが、もっとふんわり感がほしかったです。イメージ画像を見せてオーダーしましたが、細かいニュアンスまでは伝わりませんでした。画像をプリントしてポイントを書き込むなど、もっと細かく伝えればよかったです (misakiさん)
【不満があったけど言えなかった】
理想とする後れ毛のバランスがありましたが、長すぎてバランスが微妙でした……。仕上がりに不満はあったものの、時間もないし、伝える勇気もなくて、結局当日もそのままに (たろうさん)
「イメージがうまく伝わらなかった」がダントツ多い結果に
ヘアメイクに「満足できなかった」と答えた人の理由の多くは、「プロだからなんとかしてくれるかも」そんなふうに思って、お任せしてしまったり、曖昧にオーダーしてしまったりすることで、イメージと違う仕上がりになったという声。
“イメージ”を思い浮かべるときの感覚というものは人によって異なるもの。だからこそ、誰にでも伝わるようなオーダーが大切です。そこで、次からプロのヘアメイクさんが実は困っているオーダー、そして伝わるオーダーについて解説します!
現役ヘアメイクさんの本音!
教えてくれるのはこの方!
ヘアメイク担当も花嫁の皆さんのイメージ通りに仕上げるのが一番だと思っています。思い描いた通りの仕上がりにするために、伝えてほしいポイント、伝わりやすい言い方について、解説します!
01.「普通のメイクとブライダルメイクは違うんです」
結婚式では、普段と違ってヘアメイク単体ではなく、全身のバランスはもちろん、空間との相性や雰囲気も視野に入れてセットで考えたいものです。
ヘアメイクのこだわりについて細かく指示してくださる方は多いのですが、「どんな会場なのか」「時間帯は昼か夜か」「どんなテーマの結婚式か」「装花の雰囲気は?」といったことまで知りたいのが本音です。
例えば、自然光がいっぱいのガーデンウエディングと、ムーディーなレストランでのナイトウエディングでは、光の当たり具合も違いますので、ハイライトの入れ方や色の濃淡なども違ったものになるのです。
また、できるだけ当日に近い感じをイメージするために、白いワンピースを着たり、着用したアクセサリーを持参していただけたらとても嬉しいです。(金子さん)
卒花はこうオーダーした
当日のドレスやアクセサリー、会場の雰囲気をしっかり共有しながら、事前にイメージを擦り合わせできた点もよかったです(ROCHIさん)
好きなイメージや苦手なイメージはもちろん、ドレスや会場の雰囲気も先に伝えられたのでスムーズでした(M.tomomiさん)
【伝わるオーダー1】結婚式全体の情報も伝える
□ドレスの試着写真やモデルが着ている画像を見せる
□会場の雰囲気がわかる写真を見せる
□結婚式のテーマを伝える
□装花、ブーケのイメージを伝える
□結婚式をする時間帯を伝える
□白い服で臨む
□当日着けるアクセサリーやベールがあるなら用意していく
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02. 「写真を見せる伝え方がベストです」
イメージを伝えるのは、至難の業。感覚やセンスの近い方と運よく出会ったならいいのですが、そうでない場合は、丁寧なコミュニケーションが必要です。
画像やヘアメイク指示書で伝えてくださるのは、とてもわかりやすくてありがたいです。ただ、バックスタイルだけ用意される方もけっこう多く、同じヘアスタイルではなくても、サイドから見たイメージ、前髪の感じなど、できるだけ多くの角度から見たイメージも確認したいなというのが正直なところ。
また、仕上がったヘアスタイルに「なんか違う」と感じた場合、その絶妙な違和感は「似ているけど、これは違う」というNGパターンも提示していただくと解消できたりします。私たちも、より皆さんのイメージを把握しやすくなるのでありがたいです。(金子さん)
卒花はこうオーダーした
ヘアメイクについて、イメージを伝えるだけではなく実際に複数枚の画像を紙に印刷し、渡しました(otaさん)
好みのヘアスタイルをインスタグラムなどから10枚近く写真をピックアップし、プリントアウトしたものを持参しました。似たような写真でも、好みの傾向を分かってもらえるようできるだけ多く用意したのがポイントです(みさきさん)
【伝わるオーダー2】さまざまな角度、NGパターンの画像も用意
□希望のヘアやメイクがあったら、イメージに近い画像をできるだけ多く用意する
□希望のヘアスタイルはフロント、サイド、バック、できるだけ全ての角度を用意する
□希望のヘアやメイクと似ていても、ちょっと違うものやNG画像まで提示する
03.「プレッシャーの掛けすぎはちょっと困ります」
また、逆にこだわりが強すぎるという方もいらっしゃいますが、それ自体は素晴らしいことだと思います。ただ、技術的なこと一つ一つへ細かい指示をされると、プレッシャーに感じるヘアメイクさんも多いかもしれません。
おそらく細かい指示をされる方は、自分でやることは失礼になると考え、全てプロにお任せするのが筋だと思われているのではないでしょうか?そのように感じるプロの方もいるかもしれませんが、一番の目的は皆さんのイメージ通りの仕上がりにすること。だから私は譲れないポイントがあれば、ご自身でやることもOKだと思っています。
また、ヘアメイクさんにもうちょっとこうしてほしいということを勇気がなくて伝えられないという方もいらっしゃるかと思います。そんなことは気にされず伝えていただきたいのが本音ですが、もし言いにくい場合は、「これもステキなんですが、●●したパターンも見たいです」という言い方だと、ソフトに、そして的確に伝わると思います。(金子さん)
卒花はこうオーダーした
リップの色が濃すぎたので、薄い色にしてほしいとお願いしました。少し言いづらくても、要望はハッキリしっかり伝えた方が相手も気持ちよく仕事ができると思うのであいまいな伝え方はしませんでした(みかんさん)
メイクの指示書を持参し、自分の好みやこだわり、普段のメイク、コンプレックスなどを記載。また、こだわりが強いポイントは自分でメイクさせてもらったりしました(力 ゆづかさん)
【伝わるオーダー3】NGは正直に伝え、部分的に自分でメイクも
□仕上がったヘアメイクに違和感を感じたら、「これもステキですが、もっとこういうパターンも見てみたい」と伝えて、チェンジを依頼する
□どうしても譲れないこだわりポイントがある場合は、確認の上、自分でやってみるのも手
□自分でヘアメイクの一部を担う場合は「気になるときは手を加えてもらっていいですか?」と、ヘアメイクさんの提案を聞くスタンスも忘れずに
04. 「肌質の不安や合わない化粧品は遠慮なく伝えてほしい」
リハーサルでは必ず肌に合わない化粧品がないかどうかを確認しますし、もし使ってほしい化粧品があればリハーサル時に遠慮せずお持ち込みしていただきたいです。
ただ、使ったことのない化粧品については合わないかどうかはわかりませんよね。そのため、リハーサルをした日はすぐにメイクを落とさず、時間が経過したときにどんな状態になるかまで見ていただきたいです。
また、結婚式当日はいつもと違う動きや姿勢をとったり、緊張したりして、普段以上に汗をかいたりすることも。汗をかきやすい人にはメイクが落ちないようにウオータープルーフの化粧品を使うなど対策も可能になりますので、肌質以外にも気になる体質があればぜひ教えていただけるとうれしいです(金子さん)
卒花はこうオーダーした
肌荒れしやすいので、下地は持ち込みました。また、リハーサルでつけまつげをしたのですが、かゆくなってしまったので当日はマスカラのみに。その他、好きな雰囲気や嫌いな雰囲気なども積極的にお伝えしました(おこささん)
メイクがとても崩れやすかったので、リハーサルで不安があることを伝えました。すると当日こまめに崩れ具合をチェックしてくださり、必要なタイミングでお直ししてくださったので安心しました(もこさん)
【伝わるオーダー4】時間の経過でお肌をチェック。気になったら連絡を
□肌質に合わない化粧品があれば伝える
□使いたい化粧品があれば、リハーサル時に持ち込む
□リハーサル後は3時間以上経過した状態を確認して、お肌に違和感があれば当日の前にヘアメイクさんに伝えておく
□肌質だけでなく、汗をかきやすいなど、体質で気になるところがあれば伝える
05.「流行のメイクにしたいなら、眉とチークを見てほしい」
流行を取り入れて旬の花嫁メイクをしたいという要望を持つ方はとても多いです。ただ、流行は一つではなく、その中でもさまざまなタイプがあるもの。
そしてその中でも、何が好きか、似合うか、自分ではなかなか違いがわからないかもしれません。わからないと、オーダーも曖昧になってしまい、こちら側も把握できないということもしばしば。そのとき見てほしいのは、眉とチークです。なぜならトレンド感が出やすいのがその2つのポイントだからです。
実際に試す場合は、リハーサルでがっちり決めようとしないのもポイントです。特にチークなど色みのあるものは、照明によっても変わるので、式当日に会場のライティングに合わせて濃淡を微調整させていただきたいです。(金子さん)
卒花はこうオーダーした
「1つの工程が終わるたびに確認を入れてください」ということだけお願いしました。「ベースどうでしょうか?」「アイシャドーの色どうですか?」と、段階ごとに細かくチェックを入れてもらい、任せっきりにしなかったことががイメージ通りに仕上がったポイントです!(西田綾香さん)
事前にスタイリストさんに好みをまとめた指示書をお渡しし、理想のイメージを共有しました。その際、ベース、眉、アイメイクなどポイントごとに好みを記載、逆に好まないイメージも伝えることで、ズレなくイメージ共有できたと思います(山本麻依さん)
【伝わるオーダー5】最低限眉とチークの好みをイメージしておく
□眉の形、濃さ、色み、質感について、好みをイメージしておく
□チークの入れ方、色み、入れるか入れないか、好みをイメージしておく
□色みや濃淡については、リハでガッチリ決めすぎず、当日の会場の照明の下で微調整するように余白を残しておく
06. 「流行のヘアにしたいなら、抜け感とボリュームに注目してほしい」
今のトレンドはヘアスタイルに「抜け感」を出すこと。抜け感は、絶妙なボリュームの違いやカールの大小、崩し具合といった質感によってつくられます。
絶妙なさじ加減であか抜け具合もグッと変わるので、なかなか言葉ではコミュニケーションの取りにくい部分ではあります。「なんか違う」と感じられるのもこの部分ではないでしょうか?
いったん仕上がったヘアを見て違和感があったら、「もうちょっとタイトだとどう見えますか?」「トップの髪をもうちょっと引き出した感じも見てみたいです」といった形で、ボリューム感、シルエット、質感に注目し、伝えていただくと理想のヘアへ調整がしやすくなります(金子さん)
卒花はこうオーダーした
横にボリュームを出すヘアスタイルを希望していたので、写真を用意し、「面長が気になるので横にボリュームを出してほしい」とお願いしました。全く希望通りのヘアスタイルにしていただけました(moteさん)
ふんわりはふんわりでもどのくらい崩すのか、ヘアアクセの着ける位置など、細部までリハーサルの際に伝えておきました(otaさん)
【伝わるオーダー6】ボリューム感、カールの大きさ……細部をイメージする
□絶妙なシルエットの違いがポイントなので、どのくらいトップのボリュームを引き出すか、カールの大きさがわかるイメージ資料を用意する
□メイク同様、NG のパターンを用意しておくと伝わりやすい
□後れ毛の長さなど、リハーサル後に美容室でのヘアカットで調整できるポイントもあるので、当日に微調整する余白を残しておく
□ウエットからふわふわといった質感のチェンジの場合、時間的にできないこともあるので、当日のプログラムを持参するとベスト
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From 編集部
やりたいことを明確に、しっかりコミュニケーションを
今回、意外に多かった卒花さんの声が、「伝えるのを遠慮してしまった」ということ。一方金子さんいわく、やりたいことは遠慮せず伝えてほしいというのがヘアメイクさんの本音。イメージを共有するというのは、実は至難の業。だからこそ、ご紹介した伝えるために用意しておきたいこと、伝え方のポイントをしっかり押さえて、ぜひ、しっかりコミュニケーションしてみてくださいね。
構成・文/小松ななえ イラスト/EccO
※記事内のデータならびにコメントは2022年3月に「ゼクシィ花嫁会」メンバー155人が回答したアンケートおよび、2年以内に結婚した女性100人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2022年5月時点のものです
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