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ふたりとゲストの幸せな一日に密着 -先輩の結婚式実例集-

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震災から7年目
52歳の新婦へサプライズ婚
東京都

「私だってドレスを着たかった」。日常の中でもらした新婦のひと言が、全ての始まり。ふるさと、宮城県石巻市鮎川浜が東日本大震災で被災してから7年。58歳の新郎は、52歳の新婦へのサプライズ婚を計画した。

 
ゲストも
仕掛け人
85名が、どや顔で泣き笑い

新婦の胸の内を知った新郎は、ウエディングフォトを撮ることにした。その準備を進める一方で、新郎は新婦に内緒で、前職の若手とこっそり結婚式を計画。「証拠が残らないように」と招待状は作らず、85名のゲストに電話や手紙、SNSで参列を呼び掛けた。

年齢的に、ドレスを着たい気持ちにずっとブレーキをかけていた新婦。このときも恥ずかしさが前に立ち「写真は誰にも見せないで」と話していたが……
ふたりが会場の空港ターミナルでロケーション撮影をしているときに、ゲストは続々と到着
全員集合写真スタンバイOKの会場で、何も知らない新婦の登場を待つ新郎。仕掛け人の85名も、ソワソワ、ワクワク♪
現れた新婦は「頭上に100個の“?”が浮かんだ」。どや顔で泣き笑いの祝福に包まれ、さっきまでの気恥ずかしさはどこかへ。「幸せいっぱいでした」
前の職場の上司や同僚、友人、料理店のおかみさんやその娘さんまで、「ふたりの人生の友人が勢ぞろいしていました」
ふるさと
尽くし
石巻の魅力いっぱいのおもてなし

7年前、結婚式を2カ月後に控えていたときに東日本大震災が起こった。新郎は石巻の父母も実家もふるさとの景色も、全てを失い、結婚式を取りやめ、東京での仕事も辞めて地元の建設会社に就職。社長として復興に力を注いだ。この日のサプライズ婚にも、いとしいふるさとへの思いが詰まっていた。

パーティでは、石巻の隣町、東松島市の大曲浜獅子舞のおはやしが流れて一気に活気づいた。毎年、正月にはふたりの家にも来てくれるという
江戸時代から300年以上の伝統がある獅子舞。ゲスト一人一人、全員の頭をはんで、邪気を払ってくれた
さっきまでスーツ姿だった男性司会者が、芸妓(げいぎ)姿で登場。「腰の鈴を鳴らすと福が来ます」と言ってゲストを湧かした。獅子舞と共演も
会社で「わが社の西郷隆盛」と慕われている新郎。用意されていたサプライズのドッグバルーンと共に、キュートに退場
引出物は石巻銘菓、その名も「ロールストーン(まきいし)」という、ずっしりおいしいチョコロールケーキ。津波で被災した洋菓子店の復興も願って
願いを
叶える伝える
空港ターミナルに仲間が集結

CAとして活躍していた新婦は飛行機が大好きなので、会場は空港ターミナルに。普段はなかなか会えない、“人生の友人”が一堂に会した喜びも大きかった。そして新郎は、笑顔いっぱいのウエディングを通して「震災で結婚式を諦めた人も、今から挙げようよ!」と発信した。

サンセットに合わせてウエディングスタート。たそがれの滑走路は、新婦が何度も見ほれた、懐かしい景色
新郎が可愛がっている前職の若手が、準備を手伝って奮闘。新婦好みのお色直しドレスを4着用意し、自由に選べるように
会社の法被にお色直しした新郎に合わせ、藍色のドレスを選んだ新婦。滑走路には誘導灯がともって、高砂席のバックには空港ならではの夜景が広がった
ケーキセレモニーに湧く会場。「それぞれ忙しくてずっと会えなかった人たちが目の前に! その喜びは計り知れないものでした」と新婦は振り返る
Bride & Groom
佐藤 昌良さん 好美さん
婚姻届提出から10年を迎えた夫婦。新婦は、新郎からも周囲からも“お母さん”と呼ばれ、親しまれている。
会場
スカイ ウェディング 羽田(東京都大田区)
挙式日
2018年1月28日
ゲスト数
85名
当日のタイムスケジュール
1345
ロケーション撮影
1600
全員で新婦を迎えるサプライズ
1620
パーティ開宴
新婦は、ゲストへのサプライズで
著名な声楽家と入場
乾杯、オープニング映像
1650
司会が芸妓姿で登場
獅子舞
新郎新婦中座
1730
再入場
声楽家が歌を披露
ゲストからサプライズプレゼント
1810
新郎謝辞、退場、お見送り
構成・文/千谷文子